Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−7958(T2010−7958/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「SUNSET Campari」の欧文字を標準文字で表してなり、第31類「野菜,果実」を指定商品として、平成21年1月23日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成中に、イタリア国ミラノ所在のダヴィデ・カンパリ社が、本願出願前より商品『リキュール』に使用して広く知られている『CAMPARI』の商標(商標登録第702484号)と類似する『Campari』の文字を有してなるから、出願人がこれをその指定商品に使用するときは、あたかも前記会社又は同人と組織的・経済的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 証拠調べ通知
本件について、本願商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、「campari」の文字が、本願商標の出願前から、我が国において、イタリア国ミラノ在のダヴィデ・カンパリ社の製造に係るリキュールの商標として広く知られていることについて、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、平成22年12月10日付けで通知を行い、同時に相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要点)
請求人は、平成23年3月17日受付の意見書をもって、「商標審査基準」中、商標法第4条第1項第15号に係る基準を引用し、上記3の証拠調べ通知は、商標「Campari」が「リキュール」に使用されて我が国において広く知られているという事実であり、当該審査基準の「2.(イ)その他人の標章の周知度(広告、宣伝等の程度又は普及度)」について、立証されたに過ぎず、他の要件(2.(ロ)ないし(ホ))を満たしていないから、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものではない旨主張し、同年同月18日付け手続補足書をもって証拠(甲25ないし甲31)を提出している。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」については、判例(平成12年7月11日最高裁判所第三小法廷判決、平成10年(行ヒ)第85号)が、「『混同を生ずるおそれ』の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」と判示しているところである。
これを本件についてみると、次のとおりである。
ア 引用商標の周知著名性及び独創性について
登録第702484号商標(以下「引用商標」という。)については、上記3の証拠調べ通知において示した事実より、その権利者であるイタリア国ミラノ在のダヴィデ・カンパリ社(以下「本件引用権利者」という。)の業務に係る「リキュール」(以下「本件引用商品」という。)の商標として、我が国の取引者、需要者一般に広く親しまれたものということができ、請求人も上記4の意見書において、引用商標の周知著名性を自認しているものである。
また、当該引用商標の「CAMPARI」と同一の綴りとなる我が国で広く知られた外国語は存しないものである上に、上記3の証拠調べ通知の事実からも「Campari」は、本件引用商品の商標として認識され、それ以外を認識しないものであるから、その商標としての独創性の程度は高いものというべきである。
イ 本願商標と引用商標の類似性の程度
本願商標は、上記1のとおり、「SUNSET Campari」の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、本願商標を構成する「SUNSET」の欧文字と「Campari」の欧文字との間には、一文字分の空白が存在し、また、当該「SUNSET」の欧文字が全て大文字で表されるのに対して、当該「Campari」の欧文字は、語頭の「C」のみを大文字としてその他の文字は小文字で表されてなるものであるから、本願商標は外観上「SUNSET」の欧文字と「Campari」の欧文字とに分離して観察されるものである。
また、本願商標は全体として外国語の成語に見当たらず、当該「SUNSET」の欧文字と当該「Campari」の欧文字とが組み合わされて一体として特定の観念を生じるものということもできないから、両者は観念上も一体のものとして看取されるものではない。
さらに、当該「SUNSET」の欧文字と当該「Campari」の欧文字とを常に不可分一体のものとして把握、認識しなければならない格別の事情も存しないものである。
加えて、当該「Campari」の欧文字は、上記アで説示したとおり、周知著名性を有する商標であるから、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際にあっては、本願商標は、強く支配的な印象を与える「Campari」の文字部分をもって取引に当たることも決して少なくないものというのが相当である。
そうすると、本願商標は、当該「Campari」の欧文字部分に相応して「カンパリ」の称呼をも生じ、本件引用権利者の製造に係るリキュールの観念を生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標は、その構成に相応して「カンパリ」の称呼、本件引用権利者の製造に係るリキュールの観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「Campari」の欧文字と「CAMPARI」の欧文字との綴りを同じくする点で外観上も近似するものであり、「カンパリ」の称呼及び本件引用権利者の製造に係るリキュールの観念を共通にするものである。
よって、本願商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似の商標であるというのが相当である。
ウ 商品の関連性及び取引者、需要者の共通性について
本願の指定商品は、上記1のとおり、「野菜,果実」であるところ、当該商品を販売するスーパーマーケットにおいては、引用商標が周知著名性を獲得している本件引用商品を含むアルコール飲料も同時に取り扱われ販売されていることは社会通念に照らしてみても明らかなところというべきであるから、両者を取り扱う小売業者は共通であるということができるものである。
また、本願の指定商品を購入する最終消費者は、一般的な消費者ということができ、本件引用商品の最終消費者も、一般的な消費者であるということができるから、その需要者も共通であるということができるものである。
さらに、本件引用商品は、上記3の証拠調べ通知に開示した事実から、食前酒として好まれているものであり、当該食前酒は、食欲をそそるために食前に飲まれる酒であるから、食事と密接な関連性を有するものであり、当該食事の食材となる「野菜,果実」とも関連の深いものというのが相当である。
そうとすると、本願の指定商品と本件引用商品とは、取引者、需要者を共通にするものであって、本願の指定商品と本件引用商品とは、商品同士の関連性も相当に高いものというべきある。
エ 小括
本願の指定商品の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、以上のアないしウを総合的に判断するならば、本願商標を請求人がその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者が、周知著名性を有する引用商標を想起、連想し、その商品が、あたかも本件引用権利者又は同社と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標とは、全体として類似性を判断しなければならない旨を主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、強く支配的な印象を与える「Campari」の欧文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないものとみるのが相当であるから、当該文字部分を引用商標との類否の対象とすることも本件においては適切なものというべきである。
イ 請求人は、過去の審決の事例を挙げ、出所の混同生じる範囲として審決が肯定している例は唯一旧第29類の「清涼飲料,果実飲料」のみである等縷々主張する。
しかしながら、引用商標については、上記3の証拠調べ通知で開示した事実から、本件審決時において本願の指定商品について出所の混同を生ずる程の周知著名性を認めることができるものである。
また、本件の判断は審決時を基準として判断をなすべきものであるから、本件の審決時より二十年以上前の審決を根拠とすることは適切ではない。
ウ 請求人は、食品の小売と異なり酒類の販売には「一般酒類小売業免許」を取得しなければならないことから、一緒に取り扱う店が必ずしも多いとは言えない環境にあること及び酒類といっても「ビール」「発泡酒」「焼酎」等多数あり、一般消費者向けの酒類は、「ビール」「発泡酒」「焼酎」「日本酒」「ウィスキー」「ブランディー」「ワイン」であって、カクテルバーに納品されるような「リキュール」(梅酒を除く。)を一般向けに小売りしている店はさほど多くない。輸入リキュール類は、バーなどの店でカクテルとして飲酒するものであり、単独で飲酒するものではないことから、本願の指定商品と本件引用商品が需要者、取引者を共通にする場合は少ない旨主張する。
しかしながら、スーパーマーケットにおいて「野菜,果実」とアルコール飲料を小売していることは、むしろ一般的であることは、上記(1)で説示したとおりである。
また、本件引用商品については、スーパーマーケットで小売されているほか、インターネット上でも1本単位で購入しうることは上記3の証拠調べ通知中3のインターネットホームページ(4)からも明らかである。
さらに、本件引用商品については、カクテルのベースとなることは広く一般に知られているとしても、必ずしもバーなどの酒場においてのみ飲酒されるものではないことは、上記3の証拠調べ通知2の新聞記事の記載(抜粋)から明らかである。
エ 請求人は、その主張を裏付けるものとして審決及び商標登録の事例を具体的に挙げる。
しかしながら、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否か
の判断要素である対比される引用商標との類否については、本願商標の具体的な構成態様とその指定商品に基づいて個別かつ具体的に判断をなすべきものであるから、他の審決、商標登録の事例が本件の判断に影響を与えるもの
ではない。しかして、本件については、上記(1)のとおり判断をするものである。
オ 請求人は、上記4のとおり、「商標審査基準」中、商標法第4条第1項第15号に係る基準を引用し、上記3の証拠調べ通知は、商標「Campari」が「リキュール」に使用されて我が国において広く知られているという事実に過ぎない等と縷々述べ、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものではない旨主張し、同年同月18日付け手続補足書をもって証拠(甲25ないし甲31)を提出している。
しかしながら、請求人が引用する商標審査基準の記載は、それらの全ての要素等を総合的に判断をする、との審査の準則であって、それらのすべてが満たされなければ、商標法第4条第1項第15号に該当しないと規定したものではない。すなわち、当該記載事項は商標法第4条第1項第15号を適用するための要件ではない。
また、請求人は、引用商標は当該審査基準の(ロ)ないし(ホ)を満たしていないと主張するが、前記(1)アのとおり、引用商標と同一の綴りの我が国で広く知られた外国語は存しないものである上に、上記3の証拠調べ通知の事実からも「Campari」は、本件引用商品の商標として認識され、それ以外を認識しないものである。そうすると、引用商標がその商品の創始者であるイタリア人の名前にちなむものであるとしても、その商標としての独創性は高いものといわざるを得ない。
次に、請求人は、本件引用権利者の名称と引用商標が同一でないことをもって、引用商標はハウスマークではないと主張するが、先に説示したとおり、我が国における引用商標の周知著名性及び独創性の程度、本願の指定商品と本件引用商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情を考慮するならば、引用商標が引用商標権者のハウスマーク(会社の営業全体を表示する社章)でないことが、本件の判断を左右するものではない。
なお、請求人は、上記の主張の他にも縷々主張するところがあるが、いずれも本件の判断を左右するものではない。
したがって、上記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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