Trademark Appeal Case
欧文字商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−2105(T2010−2105/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「avex」の欧文字を横書きしてなり、第9類、第14類、第16類、第18類、第24類、第25類、第26類、第28類、第35類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年5月15日に登録出願されたものである。
そして、指定商品及び指定役務については、当審における同22年1月29日付け手続補正書により、第9類、第14類、第16類、第18類、第24類、第25類、第26類、第28類、第35類及び第41類に属する別紙記載の指定商品及び指定役務と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の1ないし3の拒絶の理由に該当すると認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標登録を受けることができる商標は、現在使用をしているもの又は近い将来使用をするものと解されるところ、本願において第9類、第16類、第24類及び第41類において指定する商品及び役務については、その広範な範囲にわたる商品及び役務を指定しているため、このような状況の下では、出願人が本願商標をそれらの指定商品及び指定役務の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるものである。また、本願において指定する小売等役務(商標法第2条第2項に規定する役務)は、全く業種が異なり、類似の関係にもないものであるため、このような状況の下では、出願人が本願商標をこれらの指定した小売等役務のいずれにも使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備していない。
2 本願に係る指定役務中、第41類「興行の企画・運営又は開催」の表示は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備していない。
3 本願商標は、登録第639248号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第982837号商標(以下「引用商標2」という。)、登録第1063662号商標(以下「引用商標3」という。)、登録第1456816号商標(以下「引用商標4」という。)、登録第2034701号商標(以下「引用商標5」という。)、登録第2052564号商標(以下「引用商標6」という。)、登録第2076403号商標(以下「引用商標7」という。)、登録第2168111号商標(以下「引用商標8」という。)、、登録第2654994号商標(以下「引用商標9」という。)、登録第2707620号商標(以下「引用商標10」という。)、登録第2707621号商標(以下「引用商標11」という。)、登録第4204921号商標(以下「引用商標12」という。)、登録第4282604号商標(以下「引用商標13」という。)、登録第4496924号商標(以下「引用商標14」という。)、登録第4964447号商標(以下「引用商標15」という。)、登録第5204399号商標(商願2008−35139号。以下「引用商標16」という。)及び登録第5204400号商標(商願2008−35147号。以下「引用商標17」という。)(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品又は役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
なお、引用商標1ないし引用商標17の構成等については、以下のとおりである。
(1)引用商標1は、「AVEX」の欧文字を横書きしてなり、昭和37年11月14日登録出願、第13類「手動利器、手動工具、金具」を指定商品として、同39年3月24日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、平成16年12月15日に第6類「金属製金具」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(2)引用商標2は、「APEX」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年9月1日登録出願、第23類「時計」を指定商品として、同47年9月30日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたもので、現に有効に存続している。
(3)引用商標3は、筆記体風の「apex」の欧文字と「エイペックス」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和45年9月28日登録出願、第17類「ネクタイ、その他被服」を指定商品として、同49年5月4日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、平成17年1月19日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(4)引用商標4は、「APEX」の欧文字を横書きしてなり、昭和49年9月26日登録出願、第11類「電気通信機械器具(ラジオ受信機、テレビジヨン受信機、音声周波機械器具を除く)電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料(絶縁テ−プ、絶縁用ゴム製品を除く)」を指定商品として、同56年3月31日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、平成15年6月4日に第9類「電気通信機械器具(ラジオ受信機,テレビジョン受信機,音声周波機械器具を除く。),電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(5)引用商標5は、「APEX」の欧文字と「エイペックス」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和60年4月22日登録出願、第21類「装身具、ボタン類、宝玉およびその模造品、造花」を指定商品として、同63年3月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、平成20年10月22日に第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(「造花の花輪」を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(6)引用商標6は、別掲(1)に表示するとおりの構成よりなり、昭和59年11月14日登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、同63年6月24日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、平成21年9月2日に第14類「貴金属製靴飾り」、第21類「靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー」、第25類「履物」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(7)引用商標7は、「APEX」の欧文字と「エイペックス」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和59年6月27日登録出願、第17類「被服、布製身回品」を指定商品として、同63年9月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、平成21年3月4日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」、第24類「布製身の回り品」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(8)引用商標8は、「アペックス」の片仮名文字と「APEX」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和55年2月12日登録出願、第9類「販売機」を指定商品として、平成元年9月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、同21年10月28日に第9類「自動販売機」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(9)引用商標9は、「APEX」の欧文字と「アペックス」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和62年9月18日登録出願、第21類「化粧用具」を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録され、その後、同16年5月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、同17年8月17日に第3類「つけづめ,つけまつ毛」、第8類「ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」、第10類「耳かき」、第14類「貴金属製コンパクト」、第18類「携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」及び第26類「つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(10)引用商標10は、「エイペックス」の片仮名文字を横書きしてなり、平成2年4月20日登録出願、第10類「光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するものおよび電気磁気測定器を除く)これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、同7年6月30日に設定登録され、その後、同17年6月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたもので、現に有効に存続している。
(11)引用商標11は、別掲(2)に表示するとおりの構成よりなり、平成2年4月20日登録出願、第10類「光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するものおよび電気磁気測定器を除く)これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、同7年6月30日に設定登録され、その後、同17年6月7日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その指定商品については、同20年5月7日に第1類「写真材料」及び第9類「光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」とする指定商品の書換登録がされたもので、現に有効に存続している。
(12)引用商標12は、「アペックス」の片仮名文字と「APEX」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成8年7月18日登録出願、第35類「自動販売機の在庫管理,広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,競売の運営,書類の複製,速記,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、同10年10月30日に設定登録され、その後、同20年11月25日に商標権の存続期間の更新登録がされたもので、現に有効に存続している。
(13)引用商標13は、「A′PEX」の欧文字と記号とを一連に横書きしてなり、平成6年12月2日登録出願、第12類「陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の緩衝器・ばね,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機,乗用車用盗難警報器」を指定商品として、同11年6月11日に設定登録され、その後、同21年7月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたもので、現に有効に存続している。
(14)引用商標14は、「APEX」の欧文字を横書きしてなり、平成11年4月2日登録出願、第24類「不織布」を指定商品として、同13年8月10日に設定登録されたもので、現に有効に存続している。
(15)引用商標15は、「APEX」の文字を標準文字で表してなり、平成17年10月6日登録出願、第7類「プリント配線板製造用露光装置,プリント基板製造用露光装置,プリント回路製造装置,半導体製造用露光装置,電子部品製造装置,半導体及びプリント基板製造装置,プリント配線基板製造工程用カバーフィルム剥離装置,その他の半導体製造装置及びその部品,鉱山機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,農業用機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,風水力機械器具,食器洗浄機,電気式ワックス磨き機,電気洗濯機,電気掃除機,電気ミキサー,修繕用機械器具,乗物用洗浄機,消毒・殺虫・防臭用散布機(農業用のものを除く。),芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機」を指定商品として、同18年6月23日に設定登録されたもので、現に有効に存続している。
(16)引用商標16は、別掲(3)に表示するとおりの構成よりなり、平成20年4月17日登録出願、第35類「飲食店の経営に関する企画・管理」及び第43類「日本料理・西洋料理・中華料理及びアルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同21年2月20日に設定登録されたもので、現に有効に存続している。
(17)引用商標17は、「株式会社 エイペックス」の漢字と片仮名文字とを一連に横書きしてなり、平成20年4月17日登録出願、第35類「飲食店の経営に関する企画・管理」及び第43類「日本料理・西洋料理・中華料理及びアルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同21年2月20日に設定登録されたもので、現に有効に存続している。
第3 当審の判断
1 本願商標と引用商標1との類否について
本願商標は、前記第1のとおり、「avex」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイベックス」又は「アベックス」の称呼を生ずるものであり、また、これよりは特定の観念を生じさせないものである。
他方、引用商標1は、前記第2の3(1)のとおり、「AVEX」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイベックス」又は「アベックス」の称呼を生ずるものであり、また、これよりは特定の観念を生じないものである。
そこで、本願商標と引用商標1とを比較すると、両者は、「エイベックス」又は「アベックス」の称呼を共通にするものであり、また、外観についても、欧文字の小文字と大文字の差異はあるものの、その綴り字を共通にするものである。
してみれば、本願商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、称呼において共通し、また、外観についても近似した印象を与えるものであるから、互いに類似する商標というべきであって、かつ、本願商標の指定商品中、「被服用はとめ」を含む「裁縫用小物」は、引用商標1の指定商品と同一又は類似のものである。
2 本願商標と引用商標2ないし17(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)との類否について
本願商標は、前記第1のとおり、「avex」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイベックス」又は「アベックス」の称呼を生ずるものであり、また、これよりは特定の観念を生じさせないものである。
他方、引用商標2、4、14及び15は、「APEX」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイペックス」又は「アペックス」の称呼及び「先端、頂点、頂上」等(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版<特装版>)の観念を生ずるものである。
引用商標3は、筆記体風の「apex」の欧文字と「エイペックス」の片仮名文字を、引用商標5及び7は、「APEX」の欧文字と「エイペックス」の片仮名文字を、それぞれ上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイペックス」の称呼及び「先端、頂点、頂上」等の観念を生ずるものである。
引用商標6及び11は、別掲(1)及び(2)のとおり、その構成中、顕著に表された「APEX」の欧文字部分は、残余の図形部分等とは、常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の事情は見いだせず、視覚的に分離して観察されるとみるのが相当であることから、当該欧文字部分に相応して、「エイペックス」又は「アペックス」の称呼及び「先端、頂点、頂上」等の観念を生ずるものである。
引用商標8及び12は、「アペックス」の片仮名文字と「APEX」の欧文字を、引用商標9は、「APEX」の欧文字と「アペックス」の片仮名文字を、それぞれ上下二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「アペックス」の称呼及び「先端、頂点、頂上」等の観念を生ずるものである。
引用商標10は、「エイペックス」の片仮名文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイペックス」の称呼を生ずるものであり、また、これよりは特定の観念を生じさせないものである。
引用商標13は、「A′PEX」の欧文字と記号とを一連に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エイペックス」又は「アペックス」の称呼を生ずるものであり、また、これよりは特定の観念を生じさせないものである。
引用商標16は、別掲(3)のとおり、その構成中、顕著に表された「エイペックス」の片仮名文字部分は、残余の図形部分とは、常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の事情は見いだせず、視覚的に分離して観察されるとみるのが相当であることから、当該片仮名文字部分に相応して、「エイペックス」の称呼を生ずるものであり、また、これよりは特定の観念を生じさせないものである。
引用商標17は、「株式会社 エイペックス」の漢字と片仮名文字とを一連に横書きしてなるところ、その構成中前半の「株式会社」の文字部分は、法人の組織形態を表すものであって,通常,自他役務の識別標識としての機能を果たすものではなく,引用商標17を指定役務に使用した場合,これに接する取引者、需要者は,後半の「エイペックス」の文字部分を自他役務の識別機能を果たすものとして認識するものということができるから、当該「エイペックス」の文字部分に相応して、「エイペックス」の称呼を生ずるものであり、また、これよりは特定の観念を生じさせないものである。
そこで、本願商標から生ずる「エイベックス」又は「アベックス」の称呼と、引用商標から生ずる「エイペックス」又は「アペックス」の称呼とを比較するに、「エイベックス」と「エイペックス」の両称呼は、共に促音を含めて6音からなるところ、6音中、第1音及び第2音の「エイ」と第4音ないし第6音の「ックス」の音を共通にし、異なるところは比較的聴別され難い中間における第3音の「ベ」と「ペ」の音に差異を有するにずきないものである。
また、「アベックス」と「アペックス」の両称呼は、共に促音を含めて5音からなるところ、5音中、第1音の「ア」と第3音ないし第5音の「ックス」の音を共通にし、異なるところは比較的聴別され難い中間における第2音の「ベ」と「ペ」の音に差異を有するにずきないものである。
そして、この差異音である「ベ」と「ペ」の音は、「ベ」の音が両唇を合わせて破裂させる有声子音「b」と母音「e」との結合した音節であるのに対し、「ペ」の音が両唇を合わせて破裂させる無声子音「p」と母音「e」との結合した音節であり、共に母音「e」を共通にする「へ」の濁音と半濁音という近似した音であることから、これらを一連に称呼するときは、全体として、語調、語感が近似したものとなり、称呼上互いに相紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較することができないとしても、称呼において相紛らわしいものであるから、本願商標は引用商標と類似する商標であって、かつ、本願商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものである。
3 請求人の主張について
請求人は、本願商標より生じる「エイベックス(アベックス)」と各引用商標より生じる「エイペックス(アペックス)」の差異音「ベ」及び「ペ」は、ともに強く響く有声の破裂音で、強勢(アクセント)がおかれ明瞭に称呼されるのが常であることから、当該「エイベックス(アベックス)」及び「エイペックス(アペックス)」の称呼は、互いに充分聴別し得るものと考えられ、さらには、上記差異音「ベ」及び「ペ」は、それぞれ第4音(あるいは第3音)に「促音(ッ)」を伴っているために、より一層強勢がおかれることとなるので、促音を含む称呼の全体が5音または6音という比較的短い音構成であることも相まって、互いに相紛れるおそれはない旨主張する。
しかしながら、「エイベックス」と「エイペックス」の称呼や「アベックス」と「アペックス」の称呼は、いずれも6音や5音からなる称呼のうち、中間部の子音のみが相違しているだけであり、しかも、その子音は、有声の破裂音であるか無声の破裂音かという点が異なるだけであって、一般の取引者、需要者が、自他商品及び自他役務の識別のために無意識的に「ベ」や「ペ」を強く発音するとは考え難いものであり、また、常に、これらにアクセントが置かれるとする請求人の主張を認めるに足る的確な証拠はない。
また、請求人は、過去の審決例を挙げて、本願商標も引用商標とは非類似である旨主張しているが、請求人が挙げる過去の審決例は、対比する商標の構成態様等において本願とは異なるものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の審決例の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
したがって、これらの点についての請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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