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Trademark Appeal Case

指定商品該当性と使用証明

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第31312号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第0902205号商標の指定商品中「土木機械器具、荷役機械器具、動力機械器具(「水車」「風車」を除く。)」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第902205号商標(以下、「本件商標」という。)は、「バルダン」の文字を書してなり、第9類「ミシン、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和43年9月5日に登録出願、同46年6月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

第1 請求の理由

被請求人は、正当な理由なく、本件商標を継続して3年以上、日本国内で、その指定商品中「土木機械器具,荷役機械器具,動力機械器具(「水車」「風車」を除く。)」について使用していない。また、本件商標の登録原簿によれば、本件商標には、専用使用権も通常使用権も登録されておらず、かつ、登録されていない使用権者が存在していて、斯かる使用権者が、本件商標をその指定商品中の上記商品に過去3年以内に使用していたという事実も存在しない。

さらに、本件商標の登録原簿によれば、平成9年3月31日以前に本件商標と相互に連合関係に立っていた登録商標として、登録第1440562号商標、登録第1942371号商標、登録第2473732号商標の記載があるが、これらのいずれについても、少なくとも過去平成7年12月9日から平成9年3月31日の間に使用されていたという事実も存在しない。

よって、本件商標の指定商品中「土木機械器具,荷役機械器具,動力機械器具(「水車」「風車」を除く。)」についての登録は取消されるべきである。

第2 答弁に対する弁駁

(1)使用の事実(第1点)について

「エアードライヤー」は、乙第2号証中の「作動原理」の項目の第1項の「エアコンプレッサからの湿気を含んだ圧縮空気は......」との記載から解るように、「圧縮空気機関」からの排出空気ではなく、「エアコンプレッサ」からの排出空気を取り込むものである。圧縮空気を動力源として様々な作用をする「圧縮空気機関」(「動力機械器具(「水車」「風車」を除く。)」に属する商品)と空気そのものを圧縮することをその作用内容とする「エアコンプレッサ」(「圧縮機」の一種で、「風水力機械器具」に属する商品)とでは、似て非なるものである。

したがって、「エアードライヤー」は、「エアコンプレッサに附属する器具」に属する商品と解される余地があるとしても、「圧縮空気機関に附属する器具であって......動力機械器具に属する商品」ではない。

また、被請求人は、「エアードライヤー」は、「ボイラーの類」とするが、被請求人も「冷却か、加熱かの相違」があるのを認めているように、この相違は極めて重要である。特許庁商標課編「『商品区分』に基づく類似商品審査基準」によると、日本分類第9類の「ボイラー」として例示されている商品は、「陸用ボイラー、船用ボイラー、車両用ボイラー、ストーカー、灰捨て機械器具、蒸気過熱器、蒸気過熱低減器、空気余熱器、給水加熱器」となっていて、「ボイラー」とは、「加熱」に関する商品であり「冷却」に関する商品ではない。

したがって、乙第2号証等を考え併わせれば、「エアードライヤー」は、「乾燥機、乾燥装置」の一種で「化学機械器具」に属する商品であり、場合によっては「風水力機械器具」に属する商品と解される余地もあるが、決して「動力機械器具(「水車」「風車」を除く。)」に属する商品ではない。 仮に、「エアードライヤー」が「動力機械器具(「水車」「風車」を除く。)」に属する商品であるとの反実仮想に立ってみた場合においても、その使用時期は「証明」されていない。

乙第1号証に添付された「総合カタログ」の頒布時期については、乙第1号証の上書きの「証明書」の記載しかなく、これは被請求人自身が被請求人の事項を証明している、いわゆる「自称文書」であり客観性が全くない。

乙第1号証の「総合カタログ」の最終頁の右下の隅の記載「H1(06)3000D(マル)/1B(02)3000D(マル)」と乙第1号証の上書きの「証明書」中の「1989年6月に大日本印刷株式会社にて3000部印刷し......」「大日本印刷株式会社にて1992年2月に3000部印刷し......」とでは、その内容に食い違いが生じている。

仮に「1B(02)」が1992(平成4)年2月を示し、この時点で追加印刷されたと仮定しても、最初の3000部については、1989年6月から1992年2月までの約2年8ヶ月の間で頒布しきっているのに、追加印刷の3000部については、1992年2月から1999年3月までの約7年間が経過している。業務を行なっていれば、通常は、約7年間も経過すれば、その途中で、新製品の販売が開始され、旧製品で売れ行きの悪いものは販売中止となり、従来からの製品で在庫が無くなり売切れたものも生じるのであるから、カタログを新たに印刷しなおす筈であるが、現在においても7年も前のカタログを頒布し続けているとは、いかにも不自然であって、にわかに信じ難いものである。

(2)使用の事実(第2点)について

「ベルトコンベアー」のような大きな機械器具にあっては、その組立部品一式を内包する段ボールの箱などが「包装」に該当するのであって、社会通念上、展示品の「塵・挨よけのためのビニール・シート」は、商標法上の「包装」に該当しないのであるから、かかる「ビニール・シート」に標章が記載されていたとしても、商標法第2条第3項第2号の「商品の包装に標章を付したものを......展示し......」の「使用」には該当しない。

また、通常使用権者である株式会社バルダンソーイングマシンが被請求人の子会社であり、かつ全範囲の使用権を有しているならば、その社名の重要な一部でもある「Barudan」については、乙第1号証の「総合カタログ」のような、通常使用権者自身の商品カタログ(当然のことながら、商品「べルトコンベアー」も掲載されている)を作成し、それに、乙第1号証と同様に「Barudan」を付して頒布し、同一商標を直接的に「ベルトコンベアー」やその他の使用権者の商品に付している筈であり、「ビニール・シート」に記載して被せている程度では済まないとみるのが社会的・常識的な見方といえる。

「展示して、営業活動を行っている......」との点についても、商品見本の展示であるならば、その商品の真近に立て札などにより、商品の名称・型式・諸元・価格などが示されているのが通常であるが、乙第3号証添付の写真のいずれからも、そのようなものは見られず、商品の展示とは考えられない。

「販売」についても、「シザーリフト」についてはその販売先を具体的に明示しているのに比較し、「ベルトコンベアー」については、販売年度と台数のみの主張と自称文書である乙第3号証の上書きの「証明書」中の記載という証拠だけで、およそ具体性に欠けている。

これらの点から、乙第3号証添付の写真は、取消を免れんとするために、子会社の工場内にあった「ベルトコンベアー」に、機器の「塵・挨よけ」の「ビニール・シート」を被せて写真撮影し、これを展示品の「包装」に「使用」していると強弁しているにすぎないものである。

(3)使用の事実(第3点)について

乙第4号証並びに乙第5号証(その1)ないし同(その3)によれば、「シザーリフト」の形状は判別可能であるが、本件商標が付されているのは「シザーリフト」の隣に設置された全く別の機械であり、「シザーリフト」には付されていない。

通常使用権者は「Barudan」なる商標が付された包装シートを被せて展示していたと主張するが、これを裏付ける証拠は何も無い(仮にあったと仮定しても、上記の商品「ベルトコンベアー」につき論じたのと同様である)。

さらに、「Barudan」なる商標を使用していたと主張する各年月日につき、これを裏付ける証拠もない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第25号証(但し、乙第11号証ないし同第19号証は欠番)を提出した。

本件の商標権者及び通常使用権者は、指定商品中の「荷役機械器具及び動力機械器具」について、過去3年以内に、日本国内において本件商標とは社会通念上同一と認められる商標を使用している事実がある。

第1 使用の事実(第1点)について

本件商標権者の従業員及び関連販売会社の従業員は、タオルの加工機を販売する為に乙第1号証に示されるような、「タオル加工機」に係る広告宣伝文と写真及び「Barudanの白抜表示の標章」(同一性ある商標)が掲載された総合カタログを頒布している。

上記カタログの主たる頒布地域は、本件商標権者の本店所在地に近い東海、近畿地方であるが、関東、四国地方にも商圏があり、営業活動に伴って頒布は行われている。また上記カタログの頒布時期は、過去3年以内において継続的に頒布していたことは勿論のこと、それ以前から継続して頒布していたことは乙第1号証から明白である。

さらに上記総合カタログのオプション欄には、「タオル加工機」とは直接関係ないが「コンプレッサー」と「エアードライヤー」の広告が掲載されている。

これらの二つの商品は本件商標権者の会社において製造するものではないが、製造メーカーの依頼を受けて本件商標権者の会社が取り寄せを行い、本件商標と同一性ある商標であるところの「Barudan」の標章のもとに責任をもって販売している商品である。

この内「エアードライヤー」は、圧縮空気機関等から吐き出される空気を取り込み、熱交換器中を通過させることにより、空気を冷却して、その空気中から水分を分離し、乾燥空気を排出する機能を有する(乙第2号証参照)。この機能は、空気を熱交換器に通して余熱する「空気余熱器」と物理的に冷却か加熱かの相違はあるものの「動力機械器具」としては相互に類似の機能を備えるものである。

したがって、上記「エアードライヤー」は、ボイラーの類か或いは圧縮空気機関に附属する器具であって、旧第9類の「動力機械器具」に属する商品である。

第2 使用の事実(第2点)について

本件商標権者が、本件商標について許諾による通常使用権を与えている一宮市千秋町浮野字中間得316ー5に所在する株式会社バルダンソーイングマシンにおいては、乙第3号証添付の写真に示される如く「ベルトコンベアー」の大きな機体に対し、それを包囲する態様で、しかも内部の「ベルトコンベアー」の構造を外部からお客が目視できるように透明の包装シートを被せ付け、かつ、そのシートには「Barudan」の標章を付す態様で本社工場において展示して営業活動を行っている。斯る販売行為は、過去数年間継続(例えば、平成10年には4台、平成9年には5台、平成8年には5台等)して行われている。

上記「ベルトコンベアー」は、旧第9類の「荷役機械器具」に属する商品である。

第3 使用の事実(第3点)について

上記通常使用権者においては、乙第4号証の写真に示される如き「シザーリフト」を平成8年1月9日に三重県四日市市白須賀1丁目15ー5に所在する藤松タオル株式会社へ販売している事実がある。

この「シザーリフト」は、乙第5号証(その1)及び(その2)の説明図(豊明市大久伝町東180所在の株式会社メイキコウ製)から明らかなように「荷降ろし用昇降台」であって、旧第9類の「荷役機械器具」に属する商品である。

通常使用権者は、その後においても、上記株式会社メイキコウから上記「荷降ろし用昇降台」を次々と11台も仕入れをなし(例えば、乙第5号証(その3)参照)、上記「ベルトコンベアー」と同様に社内において「Barudan」の標章が付された包装シートを被せて展示し、お客の要望のもとに各方面に販売したのである。

第4 請求人の弁駁に対する答弁

(1)請求適格について

件外の事案として、商願平9−122856号の事件が特許庁に係属している。この出願事件に関しては、本件の審決が出る迄の間、審査を留保してほしい旨の上申書が提出されている(乙第20号証、乙第21号証参照)。 しかしながら、商標登録第1440562号の「Barudan」又はこれに類似する商標は、工業用ミシン、刺しゅう機用ミシンを表示するものとして、上記出願の出願日(平成9年6月3日)以前において需要者の間に広く認識されている商標であり(1998年に発行された「日本有名商標集:AIPPI発行(乙第22号証参照)」にも掲載されている)、縫製業界においては、工業用ミシン、刺しゅう機用ミシン等の製品類とコンベアー、リフト等の荷役機械の製品類は、用途が一致し(乙第23、24、25号証参照)、かつ、需要者が一致し(乙第23、24、25号証参照)、その上当業界では販売部門も一致する(乙第8、9号証参照)等、両製品は密接な関係にあり商品の出所について誤認混同を生じるおそれの有る商品となっている。

してみれば、本件審判請求手続により、仮に本件登録に係る指定商品中、「荷役機械器具」が取消されたとしても、本件審判請求人と関連があると推認される上記出願の出願人は、商願平9−122856号については、商標法第4条第1項第10号が適用され、登録を受けることはできないのである。

したがって、上記出願人と何らかの関係があるものと推認される本件の請求人も、本件審判結果について何らの利益もないものであるから、本件の審判請求は請求適格なきものによる審判請求として速やかに却下されるべきである。

(2)使用の事実(第1点)について

乙第1号証添付の「総合カタログ」は、乙第7号証から明らかなように、一宮市千秋町町屋字高畑24番地25の株式会社バルダンソーイングマシンにも頒布されており、平成8年2月当時から現在に至る間、そこの会社の「カタログ陳列棚」に置かれて展示されている。その上、その間、株式会社バルダンソーイングマシンの来訪客、例えば新興産業株式会社、株式会社トウメンインダックス、株式会社丸紅テクマイン・ナショナル等の社員など多くの来訪客に乙第1号証添付の「総合カタログ」と同じものが頒布されている。

なお、請求人は総合カタログの最終ページの右下隅に記載されている印刷日付について疑問を投げかけているが、被請求人会社においては、「I」はローマ字の九番目の文字であることから[HI」は「89」を、また「IB」は「92」を意味させているのである。

上記のような事情からして、請求人の主張は、乙第1号証添付の「総合カタログ」の展示及び配布にかかわる事実を誤認し、かつまた上記「総合カタログ」記載の日付の読み方を誤るなどした行為に基づくものであり、妥当性を欠く。

また、「エアードライヤー」に関する請求人の主張は、請求人独自の見解を示すものであって、何らの根拠もなくその主張は妥当性を欠く。

(3) 使用の事実(第2点)について

乙第1号証添付の「総合カタログ」のほかに、バルダングループに属し、かつ通常使用権者である一宮市千秋町町屋字高畑24番地25の株式会社バルダン縫製機器において「バルダン全自動タオルヘム縫製機シリーズに関わるパンフレット」とタイトルの付いているパンフレットを、三井堂株式会社に発注して、平成8年4月30日に5000部印刷していた事実がある(乙第6号証ないし乙第8号証及び乙第10号証)。

このパンフレットにおける下方の「BEST一V」タオルヘム縫製機における右端には、乙第3号証に示される「コンベヤ」と同型機の「コンベヤ」の写真の一部が表れている。株式会社バルダン縫製機器においは、上記パンフレットに表れる「タオルヘム縫製機(型番・BEST−IVS)」の右側に表れる「シザーリフト(型番・BM−IS(option))」と共に、独自のオプション商品として「コンベヤ」という商品の広告をしていることを示すものである。

独自のオプション商品として「コンベヤ」という商品が掲載されている上記パンフレットには「Barudan」の標章が付されており、乙第6号証ないし乙第8号証から明らかなように、一宮市千秋町町屋字高畑24番地25に所在する(株)バルダンソーイングマシンの商談室に商談用として展示されており、かつまた、バルダングルーブによって多方面に頒布されていたのである。

請求人は、「ベルトコンベアー」のような大きな機械器具にあっては、その組立部品一式を内包する段ボールの箱などが「包装」に該当する旨主張しているが、この主張は、この種分野における商慣習を無視するもので妥当性に欠ける。即ち、大人が6人掛かりでやっと動かせるような大嵩なコンベヤを「段ボールの箱に包装」するような商慣習はこの種の分野には存在しない。「タオルヘム縫製機」にあっても、上記オプション商品「コンベヤ」であっても、陳列や運搬をする場合には、商標が付されている透明ビニールシートを被せて行うのが一般的である。

請求人は、「ベルトコンベアーを展示して、営業活動を行っている」点について縷々反論しているが、請求人の主張は、この種分野における中小企業の商習慣を理解していないが為の主張であって、全く根拠のないものであり、その主張は妥当性を欠くものである(乙第6号証ないし乙第8号証参照)。

なお、「販売事実の証明」については、「タオルヘム縫製機」の多くは、特にオプションであるところの「ベルトコンベヤ」が付され、システム化される「タオルヘム縫製機」の多くは国内の商社を通して販売される関係上、顧客に迷惑のかかるような販売の情報公開は商慣習上できない。

また、「コンベヤ」について、請求人は「自家用説」を主張するが、乙第10号証の「BEST一Vタオルヘム縫製機に対するコンベアの組み付け状況を写した現地工場内における写真」及び乙第6号証添付の「バルダン全自動タオルヘム縫製機シリーズに関わるパンフレット」に「コンベヤ」が写っていること等を総合的に判断すると、「自家用説」は全く根拠のないことが分かる。

(4)使用の事実(第3点)について

乙第6号証ないし乙第8号証に添付されている「バルダン全自動タオルヘム縫製機シリーズに関わるパンフレット」には、「タオルヘム縫製機(型番・BEST−IVS)」の右側に「シザーリフト(型番・BM−IS(option))」が表わされており、パンフレットの下方には「Barudan」の標章が、パンフレットの裏面にはパルダングループの一員であり、かつ、通常使用権者であるところの一宮市千秋町町屋字高畑24番地25株式会社バルダン縫製機器の住所、名称が記載されている。

上記のパンフレットは、乙第6号証ないし乙第8号証から明白なように日本国内において平成8年4〜5月以降、展示及び頒布の行為がなされており、乙第8号証から明白なように、「シザーリフト(型番・BM−IS(option)は、平成8年9月には譲渡されているという事実がある。

また、乙第9号証から明白なように、パンフレットにおける左側上方に表わされている「タオルヘム縫製機(型番・BES T−IVS)」とその右側に表わされている「シザーリフト(型番・BM−IS(option)の同型機は、平成8年1月9日に三重県四日市市白須賀1丁目15ー5藤松タオル株式会社に譲渡されているという事実がある。

なお、請求人は、乙第4号証に表わされている「シザーリフト」に本件商標が付されていない旨主張するが、乙第4号証に表わされている「シザーリフト」は、乙第9号証の写真(ロ)に表わされている「シザーリフト」そのものである。この写真(ロ)から明らかなように「シザーリフト」の前面には、他社の製品であることを表示するメーカー名(乙第5号証に表れる株式会社メイキコウ)と「シザーリフト」名の表示が一枚の銘板に表示されている。このような状態の場合、上記他社の銘板を剥がして、その代わりに「バルダン」マークを付するような行為は道義的に許されないものとして「Barudan」の標章を付することが出来ないのである。

しかしながら、一般的な商慣習として「Barudan」の標章が付されている「タオルヘム縫製機」に対して、オプション製品とはいえ上記「シザーリフト」は外見的に連結されており、第三者が乙第9号証における写真(イ)に表れている「タオルヘム縫製機」を見た場合は、「タオルヘム縫製機」も上記「シザーリフト」も共に、同一の会社から納入され、同一の会社によって保守管理(役務について「Barudan」の標章が使用されている)されているものと認識されるのが自然といえる。

このような事情から「シザーリフト」に対して、あえて道義的に好ましくないと思われる「Barudanの標章を付する行為」を行うことなく、「タオルヘム縫製機」の本体に「Barudan」の標章を付するに止めているのである。

このような使用の態様であっても、商標使用者の業務上の信用の維持を図るという面からみても、更に需要者の利益を保護するという面からみても、斯かる商標の使用行為は適法なものといえる。

4 当審の判断

まず、被請求人は、請求人の請求適格について主張しているが、平成8年改正商標法(平成8年法律第68号)第50条に規定する商標登録の取消審判は、何人も指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるものであることは、同条第1項の規定より明らかであるから、この点についての被請求人の主張には理由がない。

そこで、本案に入って判断するに、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「Barudan」を「動力機械器具」に使用しているとして「エアードライヤー」についての使用の事実を主張し、乙第1号証(総合カタログ)及び同第2号証(エアードライヤーの機能を説明するためのカタログの一部)を提出している。

しかしながら、総合カタログのオプション欄に「エアードライヤー」が掲載されていることは認められるにしても、「エアードライヤー」は、乙第2号証の作動原理の欄に「配管系統での結露を防止し、乾燥空気を供給することができる」旨、その用途、機能が記載されていることからも明らかなように、「乾燥機、乾燥装置」の一種とみるべきものであり、動力を発生させることを目的とする「動力機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。

次に、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「Barudan」を「荷役機械器具」に属する「ベルトコンベアー及びシザーリフト」について使用しているとして、乙第3号証ないし同第5号証を提出している。

しかしながら、乙第3号証は、被請求人自身の作成に係る証明書であり、証明事項として「ベルトコンベアーは古くから毎年4〜5台位今日まで継続的に製造、展示、販売されていた」旨記載されているが、添付資料としては「Barudan」の標章が付されているビニールシートを「ベルトコンベアー」に被せ、通常使用権者であるとされる株式会社バルダンソーイングマシンの工場の隅に展示されている状態の写真が添付されているのみである。

また、乙第4号証は、「シザーリフト」が件外藤松タオル株式会社の工場に設置、利用されている状態の写真であり、乙第5号証は、件外株式会社メイキコウの製造に係るものと推認される「シザーリフト」についての商品説明図である。

してみれば、上記乙号証は、被請求人自身の作成に係る証明書であり、また、第三者の製造に係る商品説明図であり、あるいは単に「シザーリフト」が設置されている状態を示した写真であってみれば、本件商標の使用の事実を客観的に証明するものとはいい難く、その証明内容を裏付ける取引書類等が併せて提出されない限り、本件商標の使用事実を立証する証拠として、直ちには採用し難いものである。

この点を主張する請求人の弁駁に対して、被請求人は、被請求人の通常使用権者であるとされる株式会社バルダン縫製機器が発行する「バルダン全自動タオルヘム縫製機シリーズ」と題するパンフレツトを提出している(乙第6号証ないし同第8号証)ところ、確かに、乙第6号証ないし同第8号証に添付されているパンフレツトには「タオルヘム縫製機(型番BESTーV)」の右端に「ベルトコンベアー」の一部が表されており、又、「タオルヘム縫製機(型番BESTーIVS)」の右側には「シザーリフト」の一部が表されていることを認めることができる。

しかしながら、当該パンフレットには、「ベルトコンベアー及びシザーリフト」についての記述は全くなく、その表示の状態及び商品説明からみても、当該パンフレットは、明らかに「タオルヘム縫製機」のみについてのパンフレットというべきであり、「ベルトコンベアー及びシザーリフト」は、「タオルヘム縫製機」の使用状態の一態様としてパンフレット上にその一部が表されているにすぎないものというべきである。

また、被請求人は、「タオルヘム縫製機」と「ベルトコンベアー」あるいは「シザーリフト」とは連結して使用されるものであるから、「タオルヘム縫製機」に「Barudan」なる商標が付されていれば、「ベルトコンベアー」あるいは「シザーリフト」も同一の会社の出所に係るものと認識されるのが自然である旨主張し、「タオルヘム縫製機」とともに「ベルトコンベアー」あるいは「シザーリフト」が納品された事実があるとして、乙第8号証及び同第9号証(いずれも証明願)を提出している。

しかしながら、商品の生産工程においては、各種の機械類が組合わされて使用されていることが多い実情からみれば、「タオルヘム縫製機」と「ベルトコンベアー」あるいは「シザーリフト」とが連結して使用されるものであるからといって、それらの機械類が直ちに同一の出所に係るものであると認識されるとはいえず、乙各号証に照らしてみれば、「ベルトコンベアー及びシザーリフト」は、あくまでも「タオルヘム縫製機」とは別個の単なるオプション商品(必要に応じて、他社から取り寄せる)としての位置付けのもとに取引されていたにすぎないものというべきである。

そうとすれば、たとえ、パンフレットに「Barudan」なる商標が付されていたとしても、「Barudan」なる商標の自他商品識別機能が「ベルトコンベヤー及びシザーリフト」にまで及んでいるものとみることはできないと判断するのが相当である。

そして、他に、「Barudan」なる商標のもとに「ベルトコンベアー」あるいは「シザーリフト」が取引されていたとする証拠は提出されていない。

してみれば、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、本件商標あるいは「Barudan」なる商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その取消請求に係る指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「結論掲記の指定商品」について取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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