Trademark Appeal Case
品質用途表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−570(T2010−570/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「清酒,その他の日本酒」を指定商品として、2008年10月7日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成21年4月1日に登録出願されたものである。
2 原審において通知した拒絶の理由
(1)本願商標は、「ROCK」及び「SAKE」の文字を、未だ普通に用いられる方法の域をでず上下二段に横書きしてなるところ、その構成中の「ROCK」の文字は、氷の入ったグラスに酒を注いで飲む酒の飲み方の一つとして広く知られ、「SAKE」の文字は指定商品の普通名称をローマ字表記したものと認められるから、その構成全体からは「ロックに適した酒」、「ロックで飲む酒」ほどの意味合いが看取される。してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、単にその商品の品質、用途等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標は、登録第1740674号商標と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)原査定は上記(2)の理由により本願を拒絶した。
3 当審における審尋
請求人に対し、平成22年11月29日付けで通知した審尋の内容は、別掲2のとおりである。
4 審尋に対する請求人の回答の要点
以下の理由により、本願商標は、その構成全体からなる一つの造語として、本願の指定商品について十分に自他商品識別力を発揮しうることから、商標法第3条第1項第3号には該当しない。
(1)本願商標は、普通に用いられる方法の範囲で表してなるものではない。
(2)本願商標から、「ロックで飲むことに適した酒」なる特定の意味合いが直ちに想起されるとはいえない。
(3)本願商標それ自体が指定商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実はない。
(4)過去の審決例からすれば、本願は登録されるべきである。
5 当審の判断
(1)本願商標は、別掲1のとおり、「ROCK」と「SAKE」(「E」にはアクサン・テギュがある。以下、同じ。)の欧文字を上下二段に書してなり、構成中の「A」及び「E」の文字が一部デザイン化されているとはいえ、近時、各種のレタリング文字が広く使用され、商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、特殊な態様とはいい得ないものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法の範囲で表してなるものとみるのが相当である。
そして、指定商品との関係において、構成中の「ROCK」の文字は、氷の入ったグラスに酒を注いで飲む酒の飲み方の一つとして広く知られ、「SAKE」の文字は指定商品の普通名称をローマ字表記したものと認められる。
さらに、別掲2(平成22年11月29日付け審尋)において示した証拠により、酒(日本酒)をロック(オンザロック)で飲むことが普通に行われており、「ロックで飲むことに適した酒」が多数取引されている実状が認められる。
そうとすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「ロックで飲むことに適した酒」を表すものと容易に理解・把握されると見るのが相当であり、これを、その指定商品に使用するときは、単にその商品の品質、用途などを表示してなるにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は欧文字「A」及び「E」を一般的なデザイン処理とはいい難い独創的な態様で表し、また、構成文字全体も統一してデザイン化され、まとまりよく図案化してなり、このような特徴的な外観に取引者・需要者は強い印象を受けることから、本願商標は普通に用いられる方法の範囲で表してなるものではない旨、主張している。
しかしながら、構成中の「A」と「E」の文字も含めて、本願商標の各文字のデザイン化の程度は元となる欧文字を容易に理解できる範囲のものであり、構成全体としても、2つの単語を二段に併記する場合の表示方法として、特殊な構成とはいえないものであることよりすると、本願商標は、外観において取引者・需要者に強い印象を与えるというほどデザイン化、図案化されているとはいえず、上記(1)のとおり、普通に用いられる方法の範囲で表してなるものとみるのが相当であるから、請求人の上記主張は採用できない。
イ 請求人は、本願商標が「ロックで飲むことに適した酒」程の意味合いを暗示させる可能性が考えられ得るとしながらも、本願商標それ自体は一般の英語辞書等には記載されておらず、特定の意味合いを有していないこと、また、「ROCK」と「SAKE」の2語を上下二段に並列してなる本願商標からは、「ロックに適した酒」、「ロックで飲む酒」、「ロック専用の酒」及び「ロックにできる酒」等の様々な意味合いを看取でき、需要者・取引者がほぼ例外なく「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いだけを具体的かつ容易に想起するとはいえず、商標全体として指定商品の品質・用途等を直接的かつ具体的に表示するものではないから、本願商標は、何ら特定の意味合いを看取させない一種の造語というべきであり、仮に意味合いが生じ得るとしても、それは単なる暗示にとどまる旨、主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、構成中の「ROCK」の文字は、氷の入ったグラスに酒を注いで飲む酒の飲み方の一つとして広く知られ、「SAKE」の文字は指定商品である「日本酒」(酒)の普通名称をローマ字表記したものと容易に理解されるものであるところ、指定商品に係る需要者において、別掲2のとおり、酒(日本酒)をロック(オンザロック)で飲むことが普通に行われている実情よりすれば、需要者は「ROCK」と「SAKE」の語からなる本願商標から、「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いを容易に理解、認識するというのが自然である。また、請求人が本願商標から想起し得るものとして例示する「ロックに適した酒」等の複数の意味合いは、いずれも「ロックで飲むことに適した酒」の概念に包含されるものにすぎない。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
ウ 請求人は、本願商標は、欧文字の「ROCK」と「SAKE」の2語のみを並列してなり、両語を繋ぐための語を何ら補っていない態様からなるものであるが、平成22年11月29日付け審尋(別掲2)において示された証拠(2(1)〜(10))は、日本語の「ロック」、「酒」等が他の語を介して結合された状態で用いられているものがほとんどであるから、本願商標を指定商品に使用した場合に「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いが容易に理解・把握されることの証左になるものではない旨、主張している。
しかしながら、我が国において、「ロック」の文字は「ROCK」の片仮名表記として親しまれ、「SAKE」の文字は「酒」のローマ字表記として親しまれていること、「SAKE」が本願商標との関係では指定商品の普通名称を表すものであること、「酒」を「ロック」で飲むことが普通に行われていること、「ロックで飲むことに適した酒」が多数取引されている実状が認められることから、これらを総合的に勘案すれば、欧文字の「ROCK」と「SAKE」の2語のみを2段に併記してなる本願商標からも、「ロックで飲むことに適した酒」の意味合いが容易に理解・把握されるというべきである。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
エ 請求人は、指定商品等の分野において各構成語が単独での意味を有しているとしても、結合して組み合わされた場合には必ずしも特定の意味合いを直ちに認識させず、また、特定の意味合いが生じ得たとしても暗示にとどまり、取引上普通に使用されている事実もないとして登録された過去の審決例を挙げ、本願商標も登録されるべき旨、主張している。
しかしながら、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人により提示された審決例(平成23年2月28日付け回答書 第1号証ないし第4号証)は、本件とは、商標の構成態様、指定商品を異にするものであり、また、本願商標に係る取引の実情は平成22年11月29日付け審尋(別掲2)のとおりであることよりすれば、本件については上述のとおり判断するのが相当であるから、請求人の上記主張は採用できない。
(3)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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