Trademark Appeal Case
著名図形商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900109(T2011−900109/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5379227号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成22年9月13日に登録出願、第3類、第16類、第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月7日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
本件商標の登録異議の申立ての理由に引用されている商標は、以下の(ア)ないし(オ)のとおりの商標である(以下、順次「引用商標1」ないし「引用商標5」といい、引用商標1ないし引用商標4を総称するときは「引用商標A」という。)。
(ア)引用商標1 登録第1569642号商標
商標の構成 別掲(2)のとおり
登録出願日 昭和53年8月14日
登録設定日 昭和58年2月25日
指定商品 第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成15年6月11日書換登録)
(イ)引用商標2 登録第1566205号商標
商標の構成 別掲(2)のとおり
登録出願日 昭和53年8月14日
登録設定日 昭和58年2月25日
指定商品 第16類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成15年6月11日書換登録)
(ウ)引用商標3 登録第1531355号商標
商標の構成 別掲(2)のとおり
登録出願日 昭和53年8月14日
登録設定日 昭和57年8月27日
指定商品 第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成15年1月22日書換登録)
(エ)引用商標4 登録第1543538号商標
商標の構成 別掲(2)のとおり
登録出願日 昭和53年8月14日
登録設定日 昭和57年10月27日
指定商品 第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成15年3月26日書換登録)
(オ)引用商標5 申立人Bの使用に係る商標
商標の構成 別掲(3)のとおり
使用に係る商品 かばん類等
第3 登録異議の申立ての理由(要点)
1 ロエベ エス エー(以下「申立人A」という。)からの申立て
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標Aとは、いずれも、全体として略菱形の形状を有している点、該菱形の相対する2つの頂点から、該頂点に接する菱形の各辺上を通り、菱形の内側から外側に向かって延びる植物のつるのような4本の外巻きの曲線を有している点、該菱形の内部中央に、より小ぶりの略菱形の図形が存在する点において共通の特徴を有しており、上下左右を対称にするという構図も同一のものであるから、構成の軌を一にするものである。
また、引用商標Aは、世界的に周知著名な申立人のブランド「ロエベ(Loewe)」のシンボルマークとして世界的に周知著名であることに鑑みれば、本件商標の指定商品の分野における需要者・取引者において、本件商標に接した場合に想起する観念は、引用商標Aに接した場合と同じく、「ロエベ」であるというべきであるから、本件商標と引用商標Aとはその観念においても、同一又は極めて類似しているといえる。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標Aの指定商品とは、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標Aは、申立人の世界的に周知著名な「LOEWE(ロエベ)」のシンボルマークであり、申立人は、世界中に店舗を有している(甲第6号証ないし甲第8号証)。
日本においては、1973年、最初の専門店が東京に出店されてから、「ロエベ」の商品はその高い品質及びファッション性が広く顧客層に知られるようになり、現在では、札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡等々、全国に40を超える店舗を有している(甲第9号証)。
「ロエベ」の商品は、被服、バッグ、財布類、ジュエリー・アクセサリー類、靴、化粧品類、文房具類、その他のインテリア雑貨に至るまで、幅広いジャンルの商品にわたって日本中に流通しており、これらの商品は多数の雑誌やオンライン情報等に取り上げられている(甲第10号証ないし甲第21号証)。
また、申立人は、「ロエベ」に関して、日本国内だけでも引用商標Aを含む59の商標を取得しており(甲第24号証)、引用商標Aは、申立人が権利を有する文字商標である「LOEWE」と共に、日本国周知・著名商標リストに掲載されている(甲第25号証)。
以上の点からすれば、引用商標Aは、本件商標の出願前から現在に至るまで、申立人のブランド「ロエベ」の商品を表示するものとして、需要者・取引者の間に広く認識されている商標であることは明らかである。
したがって、本件商標がその指定商品又は指定役務について使用された場合、需要者及び取引者において、申立人の商品若しくは申立人と経済的あるいは組織的に関連を有する者の業務にかかる商品と誤認し、その出所について混同を生じるおそれがあることは明白である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから取り消されるべきである。
2 ゲス?・インコーポレーテッド(以下「申立人B」という。)からの申立て
本件商標と引用商標5とを比較してみると、いずれの図形も、「G」の文字のような曲線からなる部分を上下左右の四方に対称的に配置してなるものであり、いずれの図形も四角形の中にさらに四角形を組み合わせた小さい図形を有してなるものである。
したがって、本件商標と引用商標5とは、その外観の構成において共通性を有するものである。
申立人は、引用商標5を主にかばん類に使用しており、世界各国で頒布されてきた商品カタログにも掲載しており(甲第4号証ないし甲第8号証)、世界各国で、数多くの雑誌に引用商標を付したかばん類に関する広告写真を掲載しているものである(甲第9号証ないし甲第18号証)。
また、申立人は、世界各国及び我が国において、引用商標5を付したかばん類を店舗のみならず、インターネットを通じて通信販売も行ってきているものである(甲第19号証ないし甲第24号証)。
よって、引用商標5とその外観の構成において共通性を有する本件商標が、その指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 申立人Aからの申立てについて
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、アルファベットの筆記体の大文字の「D」を4つ組み合わせたものを基調とした図形商標であり、該「D」の文字を左右及び上下に反転・対称させるようにして4つ配置し、上端及び下端において、各文字構成中の先端部分を結合させ、左端及び右端においても、各文字構成中の先端部分を一部接触させたうえ、僅かな間隔を空けて平行に並べ、4つの「D」の文字で囲まれた空間部分の中央に、菱形図形を内部にも有する二重構造の菱形図形を配した構成からなるものである。
他方、引用商標Aは、別掲(2)に示したとおり、アルファベットの筆記体の大文字の「L」を4つ組み合わせたものを基調とした図形商標であり、該「L」の文字を左右及び上下に反転・対称させるようにして4つ配置し、上端及び下端において、各文字の大きなループ部分を接触させ、左端及び右端においても、各文字の小さなループ部分を接触させ、4つの「L」の文字で囲まれた中央に、先端の尖った菱形図形が白抜き状態で現れるように、各文字のテール部分を結合させた構成からなるものである。
そこで、本件商標と引用商標Aとを比較するに、いずれも、構成要素となっている4つのアルファベット文字の上下左右を反転・対称させるという構図において共通にするところがあるとしても、上記したとおり、本件商標は、筆記体の大文字の「D」を構成要素としているのに対して、引用商標Aは、筆記体の大文字の「L」を構成要素としている点において顕著な差異があるばかりでなく、その描出方法においても、本件商標にあっては、各文字の曲線部分が丸く大きく表されていることから、全体としてふっくらとした印象を与えるのに対して、引用商標Aにあっては、各文字の曲線部分はさほど大きくはなく、むしろ、斜めに伸びる線状部分が太く強く表されていることから、全体としてシャープな印象を与えるものであり、加えて、各図形の中央部分に表されている菱形図形の表し方においても明らかな差異を有するものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標Aとは、構成態様において判然と区別し得る差異を有しており、その構成全体から受ける視覚的印象も明らかに異なるものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、少なくとも、本件商標は、その構成からみて、特定の称呼・観念をもって取引に供されるものとは認められないから、本件商標と引用商標Aとは、称呼及び観念については比較すべくもないものである。
してみれば、本件商標と引用商標Aとは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人Aの提出に係る甲各号証によれば、引用商標Aが「バッグ、靴、被服、ジュエリー・アクセサリー類、化粧品類」等の商品について使用され、取引者・需要者の間において広く知られていたことは認められるとしても、上記したとおり、本件商標と引用商標Aとは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標Aを連想又は想起させるものとは認められず、その商品及び役務が申立人Aあるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
2 申立人Bからの申立てについて
申立人Bは、引用商標5との関係において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである旨主張している。
(1)そこで、本件商標と引用商標5との類否についてみるに、本件商標は、前記したとおりの構成態様からなるものである。
他方、引用商標5は、別掲(3)に示したとおり、アルファベットの活字体の大文字の「G」を基調とした図形商標であり、2つの「G」の文字の一方を180度回転させたうえ、上下にやゝずらして組み合わせ、このG状のモノグラム図形を左右及び上下に反転・対称させるようにして4つ配置し、各G状モノグラム図形の僅かな間隙の外側寄りの位置に、角度を45度ずらした白抜きの正方形が内部に有るかのように表した黒塗りの小さな正方形を配した構成からなるものである。
そこで、本件商標と引用商標5とを比較するに、いずれも、構成要素となっているアルファベット文字の上下左右を反転・対称させるという構図において共通にするところがあるとしても、上記したとおり、本件商標は、筆記体の大文字の「D」を構成要素とし、その各構成要素を結合するようにして表されているのに対して、引用商標5は、活字体の大文字の2つの「G」を組み合わせたモノグラム図形を構成要素とし、その各構成要素をそれぞれ分離した状態で表されている点において顕著な差異を有するものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標5とは、構成態様において判然と区別し得る差異を有しており、その構成全体から受ける視覚的印象も全く異なるものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、少なくとも、本件商標は、その構成からみて、特定の称呼・観念をもって取引に供されるものとは認められないから、本件商標と引用商標5とは、称呼及び観念については比較すべくもないものである。
したがって、本件商標と引用商標5とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)してみれば、本件商標と引用商標5とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標5を連想又は想起させるものとは認められず、その商品及び役務が申立人Bあるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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