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Trademark Appeal Case

欧文字商標の類否と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900154(T2011−900154/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5390155号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5390155号商標(以下「本件商標」という。)は,「MCBook」の欧文字を標準文字で現してなり,平成22年5月21日に登録出願,第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,電子出版物を閲覧するための電子計算機用プログラム,フォント用コンピュータプログラム,電子出版物表示用携帯端末,フォントを記憶させた記憶部を備える電子計算機,電気通信機械器具,電子出版物,フォントを記憶させた記憶部を備える家庭用テレビゲームおもちゃ,インターネットを利用して受信し、及び保存することができるフォントファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,文字フォントに関するプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータソフトウエアのバージョンアップ,コンピュータソフトウエアのバージョンアップに関する情報の提供・助言及び指導,電子計算機用プログラムの提供,電子出版物の制作のための電子計算機用プログラムの提供,電子出版物の閲覧のためのコンピュータプログラムの提供」を指定商品及び指定役務として,同22年12月27日に登録査定,同23年2月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下のとおりであり,現に有効に存続しているものである。

(1)登録4972005号商標(以下「引用商標1」という。)は,「MACBOOK」の欧文字を標準文字で現してなり,2005年9月28日にマレイシアにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成18年2月23日に登録出願,第9類「ノートブック型コンピュータ,その他のコンピュータ,コンピュータソフトウェア,コンピュータ用周辺機器,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として,平成18年7月21日に設定登録されたものである。

(2)登録5204574号商標(以下「引用商標2」という。)は,「MACBOOK AIR」の欧文字を標準文字で現してなり,2007年5月21日にトリニダード・トバゴ共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成19年11月20日に登録出願,第9類,第16類,第37類及び第42類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成21年2月20日に設定登録されたものである。

(3)登録5211657号商標(以下「引用商標3」という。)は,「マックブック」の片仮名を標準文字で現してなり,平成20年10月9日に登録出願,第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,携帯電話,テレビ電話,携帯情報端末,デジタルオーディオ・ビデオプレーヤー,デジタルカメラ,電気通信機械器具,ノートブック型コンピュータ,その他のコンピュータ,コンピュータソフトウェア,コンピュータ周辺機器,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のソフトウェア,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として,平成21年3月6日に設定登録されたものである。

以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。

3 登録異議申立ての理由の要点

(1)申立人の商標「MacBook」の周知性

申立人の商標「MacBook」(以下「使用商標」という。)は,商品「パーソナルコンピュータ」に使用され,本件商標の出願時及び査定時において,申立人の業務を表示するものとして,その需要者及び取引者の間に広く認識されていたものである。

ア 「MacBook」の概要

使用商標は,2006年1月11日に発表された,申立人「AppleInc.(アップル インコーポレイテッド)」(以下「アップル社」という。)が製造販売する「パーソナルコンピュータ」の商標である(甲第8号証の1ないし3及び甲第10号証の1)。申立人は,当該「MacBook」シリーズについて,「MacBook」「MacBook Pro」「MacBook Air」の3つのモデルをリリースしている(甲第8号証の1ないし3)。

イ 各種事典・辞書への掲載

上記のとおり,使用商標は,申立人の製造販売するパーソナルコンピュータの名称(商標)であり,このことは,goo辞書,weblio辞書及びASCII.jpデジタル用語辞典(甲第9号証の1ないし3)に掲載されている。

ウ 申立人によるニュースリリース並びに新聞,雑誌及びインターネットニュースサイトなどによる報道・掲載等

使用商標は,申立人自身によって宣伝広告され,また,新聞,雑誌及びインターネットニュースサイトなどにより頻繁に報道・掲載等されてきたものである。

申立人は,2006年1月11日の「MacBook Pro」の発表の後,その新モデルの発表等をニュースリリースにより積極的に告知している(甲第10号証の1ないし14)。

そして,使用商標は,2006年1月11日のリリース発表の後,継続的に,全国紙を含む多くの新聞紙上等で取り上げられ,頻繁に報道ないし特集されている(甲第11号証の1ないし51)。

また,申立人の「MacBook」及びその関連商品は,インターネットニュースサイトにおいても頻繁に報道されており,その特集記事も多数掲載されているものであって,あらゆるニュースサイトを含めるとその掲載記事数は極めて膨大な数に上る(甲第12号証の1ないし141及び甲第13号証の1ないし123)。

エ まとめ

申立人のパーソナルコンピュータ「MacBook」は,パーソナルコンピュータの分野及びその関連分野において極めて著名であり,優れた品質を有するものとして多大な名声を有するものでもあって,以上の事実に鑑みれば,使用商標は,商品「パーソナルコンピュータ」に使用され,本件商標の出願時(平成22年5月21日)及び査定時(同年12月27日)において,周知著名であったことは明らかである。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は,欧文字「MCBook」を書してなるところ,「MC」の文字部分は「マック」,「Book」の文字部分は「ブック」と発音されるから,全体として「マックブック」の称呼を生じる。

これに対し,引用商標1は「MACBOOK」,引用商標2は「MACBOOK AIR」,引用商標3は「マックブック」の文字からなり,「マックブック」の称呼が生じるものである。

したがって,本件商標は,引用商標と称呼を共通にする。

加えて,引用商標1及び2の「MACBOOK」の文字部分と,本件商標との構成上の相違は,欧文字の「A」の有無のみであり,外観上も極めて相紛らわしいものである。

さらに,本件商標は,引用商標1及び2に係る「MACBOOK」の語と実質的に同一の言葉であり,引用商標3に係る「マックブック」は,当該「MACBOOK」を片仮名で表したものであるから,引用商標とは,その観念において類似する。

また,本件商標と引用商標の指定商品及び指定役務は,同一又は類似である。

よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標は,使用商標との類似性が極めて高い「MCBook」の文字からなり,取引者,需要者に対し,申立人の業務に係る商品と混同を生じさせる商標であるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について

使用商標は,世界的に広く知られており,本件商標は,その名声にただ乗りし,使用商標のもつ識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化するものであって,不正の目的をもって使用するものであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。

(5)むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第19号に該当し,商標登録を受けることができないものであるから,本件商標の登録は,同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)使用商標の周知性について

申立人の主張及び提出に係る証拠によれば,使用商標は,2006年1月11日に発表された申立人の製造販売する「パーソナルコンピュータ」の商標であって(甲第8号証の1ないし3及び甲第10号証の1),「MacBook」「MacBook Pro」「MacBook Air」の3つのモデルをリリースしている。また,申立人の商品「パーソナルコンピュータ」は,辞書等への掲載をはじめ,ニュースリリース,新聞,雑誌及びインターネットニュースサイトなどにより報道されたものであり,使用商標及び「マックブック」の文字が表示されている(甲第11号証の1ないし51,甲第12号証の1ないし141及び甲13号証の1ないし123)。

これらの事実からすれば,使用商標は,本件商標の登録出願時及び査定時において,申立人の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ」を表示する商標として取引者,需要者の間に広く知られているものと認められる。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は,前記1のとおり,「MCBook」の欧文字からなるところ,その構成は,同書,同大,等間隔で外観上まとまりよく一体的に表わされており,構成文字全体から生ずる「エムシイブック」の称呼は,格別冗長でもなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして,欧文字2文字が,大文字からなり,特定の意味合いを有する成語を形成するものでない場合は,構成するアルファベットを一文字一文字区切って発音するのが自然といえることから,本件商標の「MC」の文字部分は,「エムシイ」と称呼されるとみるのが相当である。

そうとすれば,本件商標は,「エムシイブック」の称呼のみを生ずるものと認められ,該文字は,特定の語義を有しない造語といえるものであるから,観念は生じないものである。

なお,申立人は,「『MC』の文字は,『Macの異形』と明確に定義されているとおり,『MAC』と実質的に同一の語(「の息子」の意)であって,称呼についてみれば,『マクドナルド(McDonald)』が『マック(マク)』と発音され,これに限らず,冒頭に『MC』が配されてなる言葉は全て『マック(マク)』の発音から始まり,事実上これ以外の称呼が生じ得ることはない。」旨,事例を挙げて主張する。

しかしながら,申立人の挙げる事例は,「McCarthy マッカーシー」「McLaren マクラーレン」のようにその多くが人名であって,また,大文字の「M」と小文字の「c」からなる構成で始まる語が,「マック○○」又は「マク○○」と発音される例であるから,本件商標のように「M」と「C」がそれぞれ大文字の場合とは,看者に与える印象が異なるものというべきであるから,申立人の主張は,採用することができない。

イ 引用商標

引用商標1は,「MACBOOK」の欧文字からなり,引用商標3は,「マックブック」の片仮名からなるものであるから,これらよりは,「マックブック」の称呼を生ずるものである。

そして,「MACBOOK」の欧文字は,前記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び査定時において,「マックブック」と呼ばれ,申立人の商品「パーソナルコンピュータ」を表示する商標として取引者,需要者の間に広く知られている「MacBook」と同一の綴りであるから,引用商標1及び3からは,「アップル社のパーソナルコンピュータ」程の観念を生ずるものである。

また,引用商標2は,「MACBOOK AIR」の欧文字からなるものであるから,これよりは,「マックブックエアー」の称呼を生ずるほか,上記と同じ理由により,「MACBOOK」の文字部分より,単に「マックブック」の称呼をも生じ,「アップル社のパーソナルコンピュータ」程の観念を生ずるものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

そこで検討するに,本件商標と引用商標とは,それぞれ上記のとおりであるから,外観において十分に区別し得るものであり,また,観念については,本件商標が造語であって観念は生じないものであるから,両者を比較することができない。

そして,本願商標から生ずる「エムシイブック」と,引用商標から生ずる「マックブック」又は引用商標2から生ずる「マックブックエアー」の称呼とは,それぞれを一連に称呼しても,その語調,語感が異なり,判然と区別され得るものであるから,互いに相紛れるおそれはないというべきである。

その他,本件商標と引用商標とを類似するものとすべき理由は,見当たらない。

エ まとめ

以上のとおり,本件商標は,称呼,外観及び観念のいずれの点からみても,引用商標と非類似の商標と判断するのが相当である。

したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

(3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号該当性について

申立人の主張及び提出に係る証拠によれば,使用商標は,本件商標の登録出願時及び査定時において,申立人の商品「パーソナルコンピュータ」を表示する商標として取引者,需要者の間に広く知られていると認め得るものである。

しかしながら,本件商標と,使用商標とは,前記(2)と同様の理由により,外観,称呼及び観念のいずれからみても十分区別し得る別異の商標であるから,商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても,申立人の使用商標を想起,連想させるものではないというのが相当であり,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

また,申立人の提出に係る証拠を勘案しても,例えば,本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を出願し,登録を受けたなどと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできない。

そうとすれば,本件商標は,使用商標の出所表示機能を希釈化させ,申立人の名声等を毀損させる目的,その他の不正の目的をもって使用するものとは認め難いものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものとする。

よって,結論のとおり決定する。

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