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Trademark Appeal Case

複合商標の要部強調

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第31205号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3081225号商標の登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3081225号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成4年7月6日に登録出願、後掲に示すとおり、「CHAMPIONCLUB」の欧文字を表してなり、第25類「バンド,ベルト,靴類,(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服」を指定商品として、平成7年10月31日に設定の登録がされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁をつぎのように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第9号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)請求の理由

商標権者は平成8年10月1日付けで本件商標の使用権を「ジャス・インターナショナル株式会社」(以下、「使用権者」という。)に許諾している(甲第2号証)。

また、前記使用権者は「フェアーストーン株式会社」(以下、「再使用権者」という。)に本件商標の再使用を許諾し(甲第3号証)、再使用権者は、「Champion」の文字を筆記体で大きく、「club」の文字を同じく筆記体で小さく「Champion」の文字の下にやや離れて表示し、また、「USA」の文字も離れて表示した商品「靴」(甲第5号証)を「株式会社ニューステップ」に納品し、販売業者は当該商品を販売していたものである(甲第4号証)。

請求人は、商標登録第552301号、同第第1599898号、同第3228142号、同第3245810号、同第3313391号商標外多数のChampion関連の商標を保有する者である。

そこで、甲第5号証をみるに、被請求人が前記販売業者に対して販売する商品に表示される商標は、請求人の商標権を侵害するものと認められるので、直ちに当該商品の販売を中止するよう警告書を送付した。その結果、前記販売業者に代わって前記使用権者及び再使用権者から回答があり、当該商標の使用は、本件商標の使用権の範囲である旨主張した。しかし、口頭で以後紛らわしい表示は使用しない旨回答があったにも拘わらず、今もって改正処置がなされた形跡が見出せない。

商標法第53条の規定に照らし検討すると、本件商標の前記使用権者及び再使用権者は法第53条の通常使用権者に該当するものと認められる。また、実際に販売している「靴」に表示されている商標は、同条でいう本件商標の類似商標と認められる。

甲第5号証の各写真より明らかなように、再使用権者は「靴」の「ヘラ」部分に「Champion」の文字を筆記体で極めて顕著に表示し、「club」の文字及び「USA」の文字を「Champion」の文字の下に隠れるように小さくやや離れて表示している。また、「靴」の中敷き部分にも同様の表示をしている。そして、「Champion」の文字の直ぐ右下に一般に登録商標であることを示す「R」をまる(丸)で囲った文字を付けている。これはあたかも「Champion」が登録商標であるかのごとく取引者・需要者に誤認・混同させる意図が認められる。

更に、「靴」を収納する箱の横部分にも同様に表示されており、実際に販売する時は、蓋の部分を底部に重ねて展示するため、「Champion」の文字のみが見える状態で残り、「club」の文字及び「USA」の文字は蓋の部分で隠されてしまう。

この様な使用は、登録第3245810号商標と故意に似せた使用と認められ、一般の取引者・需要者に於いては、当該製品が登録第3245810号商標の商標権者により製造・販売されたものと誤認を生じている。

従って、本件商標の登録は、商標法第53条の規定により、取り消されるべきである。

(2)被請求人の答弁に対する弁駁

(イ)本件商標の商標権が被請求人に移転されたこと及びその移転登録が平成10年9月7日になされたことは、被請求人が提出した乙第1号証により明らかであり争わない。

(ロ)被請求人が提出した乙第2号証は平成9年10月16日に被請求人と「フェアストーン株式会社」の間で締結された契約書であることは認めるが、本件商標に関する契約書であるか否かは不明である。即ち、この契約書第1条,1−2)には確かに『CHAMPION CLUB』と記載されているが、登録番号が記載されておらず、また、本件商標は前述したように『CHAMPIONCLUB』とアルファベットの大文字を空白無く一連不可分に表示した態様からなるのに対し、この契約書では『CHAMPION』と『CLUB』の間に1字分の空白部分を設けており、更に、この契約書には『被請求人が「DORIS POOSER」との契約に基づき取得した権利を許諾する』となっているが、この「DORIS POOSER」は乙第2号証の契約時において本件商標の権利者と相違しており、被請求人は本件商標についてどの様な権利を取得したのか乙第2号証からは不明であり、何を立証しようとしているのか不明である。

(ハ)被請求人は乙第3号証を提出しているが、その経緯については本請求人の知らないことであり、また、版下は本件商標と態様を異にするものである。従って、被請求人が商標の使用態様を誤って指示したものと認められる。また、乙第3号証として提出された書簡類は被請求人とフェアストーン(株)との間の書簡であり、それらはいずれも発信番号、受領番号の記載のない書簡であって証拠としては認められないものである。

(ニ)乙第4号証(陳述書)中「平成10年6月23日付けで請求人が警告書を発送した事実」及び「平成10年7月13日に請求人の代理人がフェアストーン(株)の小穴氏及び被請求人の高橋氏と商標権の侵害、紛らわしい使用の禁止等について話し合った事は事実であるが、その余の事は請求人の知らないことである。特に、甲第4号証でも明らかなように、請求人は商標権の侵害の虞がある商品の販売を直ちに中止すること及び販売された商品を直ちに回収することを要求しており、陳述書に記載されている様な「在庫品の処分販売」は一切認めていない。従って、乙第4号証の陳述書は真実が記載されていないものである。

(ホ)被請求人は乙第5号証を提出し種々述べているが、本審判事件とは関係ないものである。

(ヘ)請求人が提出した陳述書(甲第6号証の1〜6)は、その商標の使用態様から当業者、取引者、需要者間において他人の業務に係る商品と誤認・混同が生ずるか否かを立証するものであって、大企業が証明すれば足りるとするものではない。小売店が商品の出所について誤認・混同を生ずるものであれば、その商標の使用態様は明らかに商標法第53条に該当するものと認めるべきである。

(ト)乙第6号証の記事は事実であり争わない。乙第7号証は否認する。

乙第8号証に記載のChampion Worldは請求人の商標であり、当時、登録3245810号(甲第8号証)と連合商標として登録されたものである。

(チ)被請求人は乙第9号証を提出し、答弁書の中で「現在、この態様の商標で販売を準備している」と述べ、また、「在庫品の処分がなかなか進まず、売出しが遅れているのが現状である」と述べている。この事から、少なくとも本審判事件の請求日前に於いては、この態様の商標を付した商品は売出されていないことは事実であり、請求人が警告書を送付して以来審判請求日までの間引き続き甲第5号証の商品は販売されていたものと認められる。

そして、甲第5号証の商品、特に、商品の包装用箱の蓋部分を箱の下に敷いた状態で店頭で陳列、販売された場合は、甲第8号証商標と酷似し、取引者・需要者間において請求人の業務に係る商品と誤認・混同を生ずるものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第9号証を提出した。

(1)答弁の理由

本件商標「CHAMPION CLUB」は、平成10年9月7日に「ジャス・インターナショナル株式会社」(以下、「ジャス社」という。)に譲渡されており、商標権者(被請求人)は現在「ジャス社」となっている。

被請求人は平成9年10月16日に「フェアストーン株式会社」とライセンス契約を締結し、「CHAMPION CLUB」の商品の日本国内での製造販売を許諾している(乙第2号証)。

上記ライセンス契約について、被請求人は「通常使用権者」が使用すべき商標は、添付の「印刷版下」の形で提供しており、これを使用する事が契約条件であった事は双方の確認事項である(乙第3号証)。

被請求人は、平成10年7月頃「通常使用権者」であり、被請求人のライセンス契約のサブライセンシーである「フェアストーン」より、同社の本件商品の販売先の「株式会社ニューステップ」が、請求人「日本サラ・リー株式会社」の平成10年6月22日付けの警告書(甲第4号証)を受けたとの報告を得た。それによると本件商標の使用は被請求人が指示したものと異なっており、被請求人は全く知らないものであった。その為、被請求人は厳しく「通常使用権者」に注意を促し、正しい商標使用について強い指示を行っている。同時に事情を聞いたところ、「通常使用権者」の会社内部の事務的ミスであり、現場担当者が商標使用の知識がなかった為と判明した(乙第4号証,「フェアストーン」の陳述書)。

被請求人は「フェアストーン」の「小穴好美常務」と平成10年7月13日に請求人の代理人「ウオーレン・ジー・シミオール」弁護士を訪問して話し合った。その時、「通常使用権者」の商標使用について、同社社内の事務的なミスであったことを説明し、被請求人は知り得なかった事実も説明し、代理人弁護士に理解してもらった。今後製造される商品について修正し、登録商標に従って使用する事を同弁護士に約束した。

同時に無駄な損失を省く為、現在ある在庫品についてはそのまま販売を継続することについても説明して代理人弁護士より同意を得た。その時、代理人弁護士より在庫商品の処分等の要求は無かった。

しかし、日本の不況はその後益々深刻になり、景気が回復せず、消費も拡大せず「通常使用権者」はその後新しい商品の製造は行わず、そのまま継続して、同一販売店で前述で約束した在庫品の販売処分だけを細々と行っている現状である。

請求人は「CHAMPION」に関する商標について自己の所有権を主張しているが、被請求人は「CHAMPION」に関する商標登録第4113376号(CHAMPION FIELD),同第4113379号(CHAMPION FIELD),同第4113375号(CHAMPION LAND),同第4113378号(CHAMPION LAND),同第4113374号(CHAMPION HOUSE),同第4113377号(CHAMPION HOUSE)に係る各登録出願をした時(乙第5号証)、請求人よりことごとく異議申立をされたが、特許庁より「理由がない」と退けられている。

以上を考えると請求人の本件「審判」の主張がそれ程理に適っているとは思えない。

請求人の審判請求で提出されている各小売店の「陳述書」であるが、その提出した小売店は一般に知られておらず、それも青森、北海道、大阪等の限定した小売店や、請求人と特別な関係がある製造業者であることが不自然であり、同「陳述書」は請求人の得意先に強要して作成されたように思われる。

「陳述書」の中に、具体的な損害状況についての説明はなく、ただ単に、請求人の問い合わせに対して、すべて同一文書で「誤認・混同を生じている」等の評論的な説明をしているに過ぎない。

そもそも、被請求人が販売している商品は、「ニューステップ」の販売店に限定している事を考えると、それらの販売店とは無関係な青森や北海道の小売店で請求人と関係のある者の「陳述書」が提出されるのは大変不自然であり、その真実性は甚だ乏しいと言わざるを得ない。

その中でも、「世界長株式会社」は製造メーカーであり、卸業者である。「通常使用権者」が本件商標に係る商品の販売を始めた平成10年2月以降、本件商品を同社の子会社である「北日本世界長株式会社」を経由して「ニューステップ」に卸売りしていた。その為現在「ニューステップ」で販売されている商品はその商品のみである。

上記「北日本世界長」の親会社「世界長株式会社」はその後、請求人と契約して平成10年末から、本件商標に類似した商品の発売を計画していたらしく、被請求人と請求人の商品を同時に卸売りしている。それらの関係を考えると同社の「陳述書」の作成は大変不自然を感じられる。

「世界長株式会社」と請求人が提携して「CHAMPION」シューズを販売する事が記載されている1998年(平成10年)9月8日付の「繊研新聞」のコピーを提出する(乙第6号証)。

又、もし、正当で妥当と思われる小売店であるとすれば、スポーツ専門チェーンの「ビクトリア」、「アルペン」、スーパー「ダイエー」、「ジャスコ」、「イトーヨーカ堂」等の「陳述書」が提出されるべきものと思われる。

被請求人が請求人の「CHAMPION」のシューズの販売状況について調査したところ、現在全く販売されていない(乙第7号証)。

その後、被請求人が知り得た事は、請求人が「ニューステップ」に「警告書」を送った以降に「CHAMPION」シューズの販売を計画していた事を知った。それを援護する為に、請求人は「ニューステップ」に「警告書」を送ったと思われる。

「CHAMPION」の商標は、あくまで「勝利者」という意味の英語の一般用語であり、請求人の独占的な商標であるとは考え難い。実際に、1994年(平成6年)7月22日付の「繊研新聞」の記事には「トップウィンジャパン」の「CHAMPION WORLD(チャンピオン・ワールド)」のシューズが60万足も販売された記事が載っている(乙第8号証)。

現在「フェアストーン」では添付資料の商品を企画し販売を準備しているところである。しかし最近の不況と消費の停滞は在庫品の処分がなかなか進まず、売り出しが遅れているのが現状である(乙第9号証)。

以上の説明で被請求人は、「フェアストーン」が最終的に本件商標を変形して「使用する事実は知らなかった」し、それ以前に十分「注意した」事は明白である。

したがって、商標法第53条の条項により救済されるものであって、本件商標の登録は取り消されるべきでない。

4 当審の判断

(1)商標法第53条による商標登録の取消審判について

商標法第53条の規定の趣旨は、商標権者から使用許諾を受けた専用使用権者又は通常使用権者が指定商品又は指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標を不当に使用して需要者に商品の品質若しくは役務の質の誤認や他人の業務に係る商品若しくは役務との出所の混同を生じさせた場合における制裁規定であって、いわば、現行法において、自由に使用許諾を認めたことに対する弊害防止規定であり、その制裁は当該商標登録の取消である。すなわち、登録商標の使用に関し、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の権利乱用又は注意義務違反によって引き起こされる一般需要者への弊害防止規定と解される(同条第1項)。なお、商標権者がその事実を知らなかった場合において相当の注意をしていたときは本条の適用はなく、また、本条の適用に関しては、その使用の事実がなくなってから5年経過後の請求は認められない旨除斥期間が設けられている(同条第3項)。

しかして、本条による登録取消の要件は、A.登録商標又はこれに類似する商標であってその指定商品又は指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用されたこと、B.専用使用権者又は通常使用権者による不当な使用があったこと、C.商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務との出所を混同させるものであること、の3点が基本的要件である。

ところで、本件審判の請求の当時(平成10年11月16日請求)、すでに、本件商標に係る商標権者(被請求人)は、請求人が当初その請求の理由において本件商標の通常使用権者の一人として挙げた「ジャス・インターナショナル株式会社」を登録名義人とする権利移転の登録(平成10年9月7日登録)のあったことが当該商標登録原簿の記載より明らかであって、この点、本件審判における通常使用権者の認定等に関し若干の事情変更を生じているものであるが、前記法条の趣旨並びに本件審判における請求人主張の全趣旨に照らし、その「請求の趣旨」の範囲内において実質的に要旨を変更することなく請求理由の当否を判断することが十分可能であり、かつ、請求人・被請求人両当事者の主張の全趣旨によれば、事実上双方の了解事項とみて差し支えなく、したがって、変更後の事実関係に基づき、以下審理する。

(2)本件商標と使用商標との異同について

本件商標は、後掲したとおり「CHAMPIONCLUB」の欧文字よりなるところ、これを構成する各文字は、同書体、同じ大きさでかつ等間隔に表されていて、視覚上一体的に看取し得るものである。そして、これよりは、全体として「チャンピオン(勝利者)の会(集まり)」の如き意味合いの語として感得されるとともに、構成文字全体に相応して「チャンピオンクラブ」の一連の称呼を生ずるものと認められる。

一方、被請求人提出の甲号証によれば、本件商標の通常使用権者と認められる「フェアストーン株式会社」(甲第3号証)が「靴」について使用している商標(以下、「使用商標」という。)は、後掲(イ)又は(ロ)に示す態様のものであって、使用商標は、靴のヘラ、同中敷き及び同包装箱側面にそれぞれ筆記体風の書体により「Champion」の欧文字を大きく表し、同文字下部に小さく「club」、「USA」の各文字を配してなるものであって、特に包装箱の場合、上蓋を外しこれを中箱底部に重ねるようにして中身の靴を展示した場合、「club」及び「USA」の各文字部分は丁度上蓋に隠蔽される結果、「Champion」の文字部分のみが視認される格好になることが認められる(甲第5号証の1及び同2)。

しかして、構成中の「USA」の文字部分は米国の国名、すなわち、当該商品の産地(生産国)又は販売地表示と容易に理解される結果、それ自体は商品の出所識別の機能を果たし得るとみるのは困難であって、むしろ、付記的なものというべきものである。そして、これに接する取引者、需要者が上・下部にそれぞれ表示された「Champion」、「club」の各文字の全体に相応して生ずる「チャンピオンクラブ」の称呼及び「チャンピオン(勝利者)の会(集まり)」の観念をもって取引に当たる場合を否定し得ないから、この点において、本件商標と使用商標とは前記称呼、観念において類似のものというべきであり、かつ、その使用に係る商品「靴」は本件商標の指定商品中に含まれることが明らかである。

そうすると、使用商標は本件商標(登録商標)に類似する商標であってその指定商品又はこれに類似する商品について使用されたものであるから、前述取消要件A.に該当するものといわなければならない。

(3)使用商標の変更使用の程度について

進んで、使用商標についてみるに、「club」の文字部分は「Champion」の文字部分に比して極めて小さく表されていて記憶印象も弱く、その構成は明らかにバランスを欠いていて、両文字部分は自ずと分離して看取されるものといえるから、かかる場合、使用商標に接する取引者、需要者は、構成中顕著に表示された「Champion」の文字部分に着目し、これより生ずる「チャンピオン」(勝利者)の称呼・観念をもって取引に当たる場合も少なからずあるとみるのが取引の実情に照らし相当である。

そうすると、使用商標は「チャンピオン」(勝利者)の称呼・観念を生ずる点において、本件商標とは別個の識別機能を併せ持つものであるから、かかる使用は、登録商標の構成・態様を著しく変更するものといわなければならない。そして、仮に前記称呼・観念において他人所有の同種商品に係る登録商標等と競合した場合、その使用は、当該他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ぜしめ、需要者の利益を損ねる可能性大であるから、通常使用権者による使用商標の使用は前述取消要件B.に該当するものといわなければならない。

(4)請求人業務に係る商標と使用商標との競合について

請求人主張の全趣旨によれば、請求人は古くから靴又は履物類、かばん類等の商品分野において、「Champion」(チャンピオン)又はこれを主要部とする登録商標(以下、「請求人商標」という。)を多数保有し(商標登録第552301号、同第第1599898号、同第3228142号、同第3245810号、同第3313391号等)、これら商標を付した靴類を件外世界長株式会社ほか国内各地の靴(製造)販売業者を通じて一定程度の数量のものを市場の流通に供していることが認められる(甲第6号証の1乃至同6)。

また、前述4(2)において認定したとおり、本件商標の通常使用権者「フェアストーン株式会社」に係る使用商標は、「Champion」と「club」とに分離しかつ後者を極めて小さく表示されている点に加え、特に、包装箱の場合は、展示具合によっては「Champion」の文字部分のみが視認し得る状況のものであって、請求人商標と使用商標とは、その外観、称呼及び観念の各点よりして、互いに類似し紛らわしいこと明らかである。

この状況に鑑み、請求人は、前記通常使用権者に係る商品の納入先(販売業者)である株式会社ニューステップに対し、平成10年6月23日付内容証明書付きの警告書を発して当該商品の販売中止等に関し注意を喚起したものであり(甲第4号証)、この点は被請求人も認めるところである(乙第2号証乃至乙第4号証)。

この事実経過並びに前述使用商標の使用状況よりして、被請求人又はその通常使用権者に係る使用商標は、請求人商標と競合することが明らかであって、取引場裡において需要者がその出所について混同を起こすこと必至であるから、この点において、使用商標は請求人業務に係る商品との出所を混同させるものであって、前述取消要件C.に該当するものといわなければならない。

以上、(2)乃至(4)によれば、本件商標の通常使用権者がその販売に係る商品「靴」について使用した使用商標は、不当な使用であって需要者に対しその出所を混同させるものというべきであるから、前述取消要件をすべて満たし、かつ、結果的にかかる事態を招来させたことは、本件商標の商標権者(本件審判請求時の商標権者を含む。)の注意義務が必ずしも十分でなく、また、本件審判の請求は、前記認定の警告時より5年経過前の請求であって、除斥期間内のものであるから、結局、本件商標の登録は、商標法第53条第1項により、取り消すべきものである。

被請求人は、答弁書において、警告を受けた商品の在庫販売につき請求人の了解があった旨述べ、また、通常使用権者による本件商標の変形使用(使用商標の使用)の事実は知らなかったし、事前に必要な注意を行った旨述べているが、在庫販売に関する事情をもって前記認定の混同惹起の事実を払拭せしめるものでなく、また、被請求人の弁明に拘わらず、結果的にかかる事態を招来させたことは、その管理・注意義務(例えば、事前の製品チェック等)が必ずしも十分でなかったことの現れというほかはなく、したがって、その主張は採用の限りでない。

また、被請求人は、甲第6号証(「世界長株式会社」ほか靴販売業者の陳述書)の証拠力について疑義を述べ、或いは、請求人商標の不使用に関し、被請求人自身の陳述書(乙第7号証)を提出しているが、たとえ甲第6号証に係る陳述書が請求人の依頼に基づき作成されたものとしても、国内の靴販売業者数社が使用商標の請求人商標との具体的混同の事実を陳述するものであってみれば、一定の事実を客観的に示すものというべきであって、その証拠力を一概に否定することは適切でなく、また、請求人商標の不使用について述べる被請求人自身による陳述書(乙第7号証)は、客観性に欠けるものであって俄に首肯し難いものであるから、それら主張は採用の限りでない。

その他、被請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。

よって、結論のとおり審決する。

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