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Trademark Appeal Case

商標の要部抽出と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900059(T2011−900059/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5369794号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5369794号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおり、「mercifrance」の文字を書してなり、平成22年4月13日に登録出願、第30類「菓子及びパン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,プレミックス粉,食用グルテン」を指定商品として、同年10月8日に登録査定、同年11月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第2705767号商標(以下「引用商標」という。)は、「MERCI」の欧文字を書してなり、平成2年12月25日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同7年3月31日に設定登録されたものである。その後、同17年3月8日に商標権の存続期間の更新登録がされ、同年3月23日に第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)理由の要点

本件商標は、下記アないしエの理由により、指定商品中「菓子及びパン」について、その登録を取り消されるべきものである。

ア 商標法第4条第1項第10号について

申立人が商品「チョコレート」に使用する商標「merci」は、ヨーロッパでは、需要者の間に広く知られたものであり、日本の需要者においても、本件商標の登録出願時に周知性を獲得しているものである(甲第35号証ないし甲第41号証)。

本件商標の構成中「france」の文字部分は、商品の生産地又は販売地を表示する記述的部分であって、出所識別機能を発揮し得ない部分である。仮に、この部分が記述的でないとしても、「merci」が、申立人の商標として周知性を有していることから、指定商品「菓子及びパン」との関係において、「merci」の部分が、強い識別力を有している。したがって、本件商標は、引用商標と称呼及び観念を同一にするものであって、商標全体として引用商標と出所混同を生じるおそれのある類似商標に該当する。

また、本件商標の指定商品は、申立人が販売する商品と同一である。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

イ 商標法第4条第1項第11号について

本件商標の要部は、「merci」の部分にあり、本件商標は、引用商標と称呼及び観念を同一にするものであって、出所混同を生じるおそれのある類似商標に該当する。

本件商標の指定商品中、「菓子及びパン」は、引用商標の指定商品と同一である。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

ウ 商標法第4条第1項第15号について

申立人の使用商標「merci」は、ドイツ製のチョコレート菓子の商標として、特に近年、著名なものとなっている(甲第3号証ないし甲第41号証)。本件商標は、その一部に「merci」の文字を含むものであり、本件商標を「菓子及びパン」に使用した場合には、申立人の業務に係る商品及び申立人のフランスにおける子会社や系列会社等の密接な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する者の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

エ 商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、その構成中に「france」の文字を含むところ、指定商品「菓子及びパン」との関係において、「フランス産以外の菓子」又は「フランス産以外のパン」に使用した場合に、商品の産地又は販売地の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)引用商標の周知、著名性について

申立人は、引用商標が本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されている旨主張し、甲第3号証ないし甲第41号証を提出している。

甲第3号証は、ドイツ国における別件異議申立で提出された、申立人の法務顧問、授権役員の宣誓供述書である。

甲第4号証は、ドイツ国における2010年のアンケート結果である。

甲第5号証ないし甲第34号証は、宣誓供述書(甲第3号証)の添付資料であって、チェコ、ハンガリー、スウェーデン等における「merci」の商標を付したチョコレートの売上高及びブランド調査である。

甲第35号証、甲第39号証及び甲第40号証は、通販サイトのウェブページである。

甲第36号証ないし甲第38号証は、個人のブログであり、甲第41号証は、クチコミサイトのウェブページである。

以上の事実を総合すれば、引用商標は、上記甲各号証によっては、本件商標の登録出願時及び査定時において、ドイツ国を中心に東欧及び北欧において、使用されている事実が認められるものの、我が国における需要者の間に広く認識され、周知、著名性を獲得するに至っていたとは認められないものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲に示すとおり、「mercifrance」の文字からなるものであるところ、その構成各文字は、同じ角度で右に傾き、同じ書体、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されている。

そして、本件商標は、「merci」及び「france」の両文字から、「ありがとうフランス」の意味合いを生ずるとしても、一連に書された構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。

また、本件商標のかかる構成から生ずる「メルシーフランス」の称呼は、無理なく一連に称呼し得るものである。

そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「メルシーフランス」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。

一方、引用商標は、「MERCI」の文字からなるところ、「merci」が「ありがとう」の意味を表す成語として、我が国においても広く親しまれた仏語の一つであることから、「ありがとう」の観念を生ずるものであり、また、当該構成文字に相応して「メルシー」の称呼を生ずる。

してみれば、本件商標から単に「メルシー」の称呼及び「ありがとう」の観念をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するものとする申立人の主張は採用できない。

その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は見出せない。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

(3)商標法第4条第1項第10号について

申立人提出の証拠によれば、商標「merci」を付したチョコレートが、ドイツ等で使用されており、我が国においてもインターネットによって購入することが可能であるとしても、本件商標の登録出願時及び査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることはできないものである。

しかして、引用商標の周知性を認めることができない上、本件商標は、前記(2)に示した理由により、引用商標に類似する商標と判断することはできないものである。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。

(4)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、前記(1)及び(2)のとおり、引用商標に類似する商標であるとは認められず、また、引用商標が、我が国の需要者の間で広く認識されるに至った商標であるとも認められないことからすれば、本件商標は、その構成中に「merci」の文字を有するものであるとしても、該「merci」が成語であることから、該語を構成の一部に含むことをもって、本件商標が引用商標と関連付けて認識されるとはいい難いものであり、結局、両者は、別異の出所を表示する商標として看取されるというべきである。

してみれば、本件商標をその登録出願時及び査定時において、指定商品「菓子、パン」に使用しても、これに接する需要者が、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信するとは認め難く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあったということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

(5)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、前記(2)のとおり、一連の造語として看取され理解されるというのが相当であるから、かかる構成態様の本件商標にあって、「france」の文字部分が、商品の産地又は販売地を表示したものと認識されるとは認め難いものである。

しかして、本件商標は、特定の商品の品質を表したものとはいえないから、これを指定商品「菓子及びパン」に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標は、指定商品「菓子及びパン」について、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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