Trademark Appeal Case
フィニッシュとフィニッシングの称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900134(T2011−900134/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5387479号商標(以下「本件商標」という。)は、「フィニッシング」の片仮名と「FINISHING」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成22年10月7日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,創傷被覆材,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳幼児用粉乳」を指定商品として、同23年1月7日に登録査定がなされ、同年1月28日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標
申立人が本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するとして引用する商標は、以下の3件のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2384487号商標(以下「引用商標1」という。)は、「フィニッシュ コーワ」の片仮名文字(「コーワ」の文字が「フィニッシュ」に比してやや小さい。)と「FINISH KOWA」の欧文字(「KOWA」の文字が「FINISH」に比してやや小さい。)とを上下二段に横書きしてなり、平成元年6月9日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年2月28日に設定登録、その後、同13年11月6日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、指定商品中「化学品」について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、同10年5月20日にその確定登録がなされ、さらに、同14年4月10日に指定商品を第1類「植物成長調整剤類」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」及び第10類「氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),耳栓」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第1631415号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Finish」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年1月19日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年11月25日に設定登録、その後、平成5年10月28日及び同15年7月29日の二回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、指定商品中「化学品」について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、同10年5月20日にその確定登録がなされ、さらに、同15年11月5日に指定商品を第1類「植物成長調整剤類」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」及び第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第2384486号商標(以下「引用商標3」という。)は、「フィニッシュ」の片仮名を横書きしてなり、平成元年6月9日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年2月28日に設定登録、その後、同13年11月6日及び同23年10月25日の二回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、指定商品中「化学品」について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、同10年5月20日にその確定登録がなされ、さらに、同14年4月10日に指定商品を第1類「植物成長調整剤類」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」及び第10類「氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),耳栓」とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下、これらを一括していうときは、「引用各商標」という。
2 申立ての理由(要旨)
(1)申立人の概要と使用商標
申立人は、1894(明治27)年に創業、1939(昭和14)年に設立し、一般用医薬品、高度医療に用いられる医療用医薬品を中心に、医薬部外品・ヘルスケア商品や、医療用・放送用・レーザー応用など各種電機光学製品などを中心に扱う、我が国屈指の医療品や電機光学製品等の総合メーカーであるとともに、繊維、機械、建材、船舶、鉱物資源、化成品、生活関連物資などの輸出入を展開する企業である。
申立人の引用各商標を使用した商品は、「のどにピュッピュッと」のキャッチコピーの下、患部に稀釈化したヨード剤を直接噴射することによって喉の痛みを抑えることを可能とする申立人が開発した薬剤である(以下「使用商品」という。)。
使用商品は、1990年の販売開始後、その独自性や使いやすさ等の商品自体の魅力と斬新な広告戦略が相乗的な効果を発揮し、販売翌年には、売上高が30億円、販売3年後には売上高が44億円を超える大ヒット商品となった(甲5)。
1991年から10年間の長きに渡り、薬剤のうち口腔薬の分野においてシェア第1位を独占し続けた実績があり(甲8)、発売から20年以上が経過した現在においても引用各商標を使用した商品は、薬剤市場において極めて高い著名性を維持し続けている。
申立人は、1990年の発売以降、幅広い層の需要者をターゲットに、全国規模でのテレビCM、雑誌、一般新聞をはじめ、駅の中吊広告、店頭ホップやポスターなど、数多くの媒体を利用した広告・宣伝活動を展開し(甲12、甲12の2)、引用各商標は、のどスプレーといえば使用商品とまで言われるほどに、全国的に幅広い層の需要者に浸透することとなった。
そして、現在においても、市場において高い著名性を維持し続けている。
また、薬剤市場において、引用各商標のほかに、「FINISH」若しくは「フィニッシュ」又はこれと同様の観念をもつ単語を商標中に含む商品は存在しない(甲19〜甲21)。
したがって、一般用医薬品、指定医薬部外品等の薬剤等の商品が取り扱われる市場においては、「FINISH」若しくは「フィニッシュ」なる語を含む医薬品は、直感的に引用各商標のシリーズ商標と認識するのが自然である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、我が国の英語教育課程において初期に学ぶ極めて平易な英単語「FINISH」の現在分詞若しくは動名詞であることを容易に理解できる。
他方、引用商標1は、「フィニッシュ/FINISH」と「コーワ/KOWA」との間に一文字程度の間隙があり、両者の文字の大きさも相違している。したがって、当該商標に接した需要者は、「フィニッシュ/FINISH」と「コーワ/KOWA」を分離してとらえることかあり得、現実に取引が行われる市場においては、「フィニッシュ/FINISH」が際立つように使用されている(甲22)。そして、「コーワ/KOWA」は、申立人の商号の略称であり、かつ、同人のハウスマークとして広く使用されているから、需要者は、「フィニッシュ/FINISH」をペットネームとしてとらえ、当該部分のみをもって称呼することもあり得る。
本件商標は、申立人が商品「薬剤」などについて使用した結果、周知・著名となった「FINISH」と他の文字とが結合した商標であるがゆえに、「FINISH」を含む引用商標1と類似するものであり、「Finish」からなる引用商標2及び「FINISH」の片仮名「フィニッシュ」からなる引用商標3とは、引用商標1と同様に類似するものである。
また、本件商標の指定商品中、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用ハッティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」は、引用各商標の指定商品と同一である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人が商品「薬剤」などについて使用した結果、周知・著名となった「FINISH」と他の文字とが結合した商標であるなどの理由により、本件商標は、引用各商標と類似するというべきであるが、仮に、本件商標が全体としてとらえられたとしても、引用各商標の亜形ととらえられるおそれがある。そのため、たとえ、本件商標と引用各商標とが別の商標であると理解されても、前者が後者の一つの亜形とされるので、両者は混同されるおそれがある。
引用各商標は、遅くとも、本件商標の登録出願時である2010(平成22)年10月7日までには、我が国の取引者・需要者の間で周知・著名となっていた。
また、本件商標の指定商品中、第5類「薬剤、医療用油紙、衛生マスク、オブラート、ガーゼ、カプセル、眼帯、耳帯、生理帯、生理用タンポン、生理用ナプキン、生理用パンティ、脱脂綿、ばんそうこう、包帯、包帯液、胸当てパッド」は、引用各商標の指定商品と同一である。
さらに、引用各商標は、薬剤「のどスプレー」に使用され著名となっているものであるところ、本件商標及び引用各商標に係る指定商品は、一般用医薬品として、ドラックストアなどにおいては、同一の販売コーナーで販売されることが常であり、需要者・供給者・販売店舗を共通にする。
したがって、本件商標をその指定商品について使用した場合には、これに接する需要者・取引者は、周知・著名な引用各商標と関連のある商品であるかのごとく、その商品の出所について混同するおそれが高い。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号若しくは同第15号に違反してなされたものであるから、その登録を取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、「フィニッシング」の片仮名と「FINISHING」の欧文字からなるところ、その構成中の「FINISHING」は、「最後の、仕上げの」を意味する英語(「新コンサイス英和辞典」株式会社三省堂 昭和54年4月1日発行)であり、「フィニッシング」は、該欧文字から生ずる読みを片仮名表記したものと認められるから、これらからは、「フィニッシング」の称呼を生じ、「最後の、仕上げの」の観念を生ずるものである。
(2)引用各商標
引用商標1は、「フィニッシュ コーワ」の片仮名(「コーワ」の文字が「フィニッシュ」に比してやや小さい。)と「FINISH KOWA」の欧文字(「KOWA」の文字が「FINISH」に比してやや小さい。)からなるところ、その構成中の「FINISH」は、「終わる、終わり」などを意味する英語(前出「新コンサイス英和辞典」)であり、その構成中の「フィニッシュ」も「終わり」を意味する外来語(「コンサイスカタカナ語辞典第4版」株式会社三省堂 2010年2月10日発行)であるが、「コーワ」及び「KOWA」は、申立人が商品「薬剤」に使用した結果、需要者の間に広く認識されている申立人の代表的出所標識と認められるものである。
そして、引用商標1は、その構成中の「フィニッシュ」又は「FINISH」の各文字のみに着目して取引に資するとみるべき特段の事情が見いだせないものであるから、その構成中の「フィニッシュ」及び「FINISH」の各文字が「コーワ」及び「KOWA」の各文字よりやや大きく表されているとしても、これに接する取引者、需要者がかかる「コーワ」及び「KOWA」の各文字を捨象して、殊更「フィニッシュ」又は「FINISH」の各文字のみをもって取引に資するということができない。
そうすると、引用商標1は、「フィニッシュ コーワ」の片仮名が「FINISH KOWA」の欧文字から生ずる読みを片仮名表記したものと認められるから、その構成全体に相応して「フィニッシュ コーワ」の称呼、「コーワ(申立人)のフィニッシュという薬」の観念を生ずるほか、「コーワ」又は「KOWA」の各文字に相応して「コーワ」の称呼、「コーワ(申立人)」の観念が生ずるとみるのが相当である。
また、引用商標2は、「Finish」の欧文字からなるところ、該文字は、上記引用商標1で認定したように「終わる、終わり」を意味する親しまれた英語であり、引用商標3は、「フィニッシュ」の片仮名からなるところ、該文字は、「終わり」を意味する外来語(前出「コンサイスカタカナ語辞典第4版」)と認められるから、これらからは、「フィニッシュ」の称呼を生じ、「終わり」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用各商標との類否
ア 外観
本件商標と引用各商標とは、それぞれの構成からして外観上、相紛れるおそれがない。
イ 称呼
本件商標から生ずる「フィニッシング」の称呼と引用商標1から生ずる「フィニッシュコーワ」又は「コーワ」の各称呼とは、それぞれの比較において、互いに構成音及び構成音数が明らかに相違し、両商標を一連に称呼した場合であっても、十分に聴別し得るものである。
また、本件商標から生ずる「フィニッシング」の称呼と引用商標2及び3から生ずる「フィニッシュ」の称呼とは、末尾において「シング」と「シュ」の明らかな差異を有するものであるから、これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼は、それぞれを一連に称呼しても全体の語調、語感が異なり互いに相紛れるおそれはないものである。
ウ 観念
本件商標から生ずる「最後の、仕上げの」の観念と引用各商標から生ずる「コーワ(申立人)のフィニッシュという薬」、「コーワ(申立人)」又は「終わり」の各観念は、いずれも何ら相通ずるところがないから、相紛れるおそれはない。
エ 取引の実情
本件商標と引用各商標とは、これらを同一又は類似の商品に使用した場合に、その商品の出所の混同を生ずるおそれがあるとみるべき特段の取引の実情を見いだせない。
(4)小括
以上によれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
なお、申立人は、審決例を挙げて本件商標と引用各商標とは類似すると主張する。
しかし、申立人の挙げた審決例は、本件と事案を異にするものであり、同列に論ずることはできないから、申立人の上記主張は、採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る証拠によれば、同人が商品「薬剤」に使用する商標は、「フィニッシュ」、「フィニッシュコーワ」、「フィニッシュコーワA」又は「フィニッシュコーワM」(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)(甲5〜甲22)と認められる。
そして、本件商標と使用商標とは、前記1において認定、判断した場合と同様に、何ら相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、申立人に係る使用商標を連想又は想起させるとはいえないものであり、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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