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Trademark Appeal Case

悪意の商標登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900135(T2011−900135/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5382887号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5382887号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲の構成からなり、平成22年8月31日に登録出願、第9類「インターネットに流れる情報を選択してテレビ画面に表示させる電子装置」を指定商品として、同年12月14日に登録査定、同23年1月14日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要点)

1 前提事実

イノデジタル カンパニー リミテッド(以下「イノデジタル社」という。)は、2008年にアンドロイド基盤の端末製品(以下「本製品」という。)を開発し、日本を初めとして、ヨーロッパやアメリカにも販売を行っている。

本製品の日本国への輸出は、イノデジタル社が製造し、同社の販売代理店である登録異議申立人(以下「申立人」という。)のヨンセイ コーポレーション リミテッドが西日本システム建設株式会社(以下「西日本システム社」という。)へ販売し、西日本システム社から、NTT西日本に販売するといった具合である。

本製品は、「WebTube」という名称で販売を行っており(甲2、甲3)、商標「WebTube」については、日本に商標登録出願(商願2010−78587号)を行っている。

2 商標法第4条第1項第7号について

イノデジタル社が製造した本製品の日本国への第1回目の輸出(輸出数量:1030台)は、2010年5月であるが、日本国への販売権は、申立人に付与していた。

その当時の申立人の技術担当の取締役(Chung Byungho)は、知人である内田広巳(以下「本件商標権者」という。)に日本国内での販売について依頼を行った。本件商標権者は、自身の会社(Netcom社)が有限会社であるために、協業関係にあるPeercom株式会社(以下「ピアコム社」という。)を契約などに関する代理として立てた。

そのため、申立人は、ピアコム社と販売契約を締結し、ピアコム社は、イノデジタル社が製造する本製品を西日本システム社に販売した。

ここで、申立人は、ピアコム社の植杉及び本件商標権者が、その当時やり取りを行った電子メール(甲4〜甲13)、同社からのオーダーシート(甲14)、2回目の発注を前提としたWebTubeの日本国内での販売に関する基本的な合意事項の覚え書き(日本語版:甲15、韓国語版:甲16)、申立人からの1回目の発注書(甲17)、2回目の発注書(甲18)を提出する。

こうした資料からも、本件商標権者が本製品に関する全ての情報を知っていたことは明らかである。特に甲第7号証ないし甲第11号証から、当時の日本でのWebTubeに関するビジネス(価格やマージン、NTT西日本との交渉等)を本件商標権者が仕切っていることが分かる。

ところで、本件商標権者が、平成22年8月31日付け提出の早期審査に関する事情説明書に添付の商標の使用事実を示す書類、平成22年10月19日付け提出の意見書に添付の指定商品のカタログ及び指定商品の外観図については、イノデジタル社の製品紹介資料を無断で使用している。

このように、本件商標権者は、商標「WebTube」がイノデジタル社が開発した本製品に付された名前であることを熟知しており、また、イノデジタル社の本製品の日本への輸出販売に深く関係していることは明らかである。

こうした事実からすれば、本件商標権者が「WebTube」なる商標を登録出願し、その登録を受けることは、指定商品についてこれを排他的に使用し、第三者による同一又は類似の商標の使用を排斥することになるのであるから、イノデジタル社や申立人、これらの関係者及び本製品を利用するものの利益を害するものであり、剽窃的であって、信義則に反するという以外にはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 商標法第4条第1項第19号について

イノデジタル社は、ドイツ、ネーデルランド、韓国で2010年に開催された展示会に参加し、本製品の展示を行っており(甲25〜甲27)、2011年1月には、米国で開催された展示会で本製品の展示を行った(甲28)。

この様に、各国での展示会の展示によって、商標「WebTube」が、イノデジタル社の製品を示すものであるとして、外国における需要者の間に広く認識されていることは明らかである。

また、前記2で説明したとおり、本件商標の権利者には、不正の目的が存在するという以外にはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである。

第3 当審の判断

1 認定事実

申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

ア 申立人は、イノデジタル社の販売代理店となり、同社が製造した本製品を西日本システム社へ販売した。西日本システム社がNTT西日本に納品した商品には、包装箱の上面、本製品の上面中央に「WebTube」の文字が表示されており、併せて、「yonsei」の文字も表示されている(甲3)。

イ 申立人の技術担当取締役であるChung Byung Ho、ネットコム有限会社の本件商標権者らは、2010年2月20日から同年5月14日までの間に、本製品の我が国における販売についての打合せを電子メールで行った(甲4〜甲13)。

ウ 申立人は、2010年4月26日に、ピアコム社から本製品1030台の発注を受けた(甲14)。

エ 申立人は、2010年8月9日に、西日本システム社とWebTube(本製品)の調達に関する覚書を交わした(甲15)。

覚書には、「(基本事項)」として、「延世社(決定注:申立人)は2010年10月15日にWebtubeを11,000台を、シスケン社(決定注:西日本システム社)が指定した場所に納品する。」、「(契約)」として、「延世社とInnodigital社は、2010年8月4日付けでInnodigital社のWebtubeに関する『製品販売契約書』を締結し、Innodigital社はWebtubeの日本における販売について、延世社に独占的な販売権を与える。」と記載されている。

オ イノデジタル社は、2010年5月4日ないし6日にドイツで開催された展示会、同年10月6日及び7日に韓国で開催された展示会及び2011年1月6日ないし9日に米国で開催された展示会において、本製品を展示した(甲25、甲27、甲28)。

なお、申立人は、オランダにおける展示会でも本製品を展示した旨主張し、甲第26号証を提出するが、かかる証拠には、開催場所、開催時期を示す表示は一切無い。

カ 本件商標権者は、平成22年8月31日、別掲のとおりの構成からなる本件商標につき、商標登録出願をし、前記第1のとおり、第9類「インターネットに流れる情報を選択してテレビ画面に表示させる電子装置」を指定商品として、同年12月14日に登録査定、同23年1月14日に商標登録を受けた。

2 判断

(1)商標法第4条第1項第7号該当性

ア 商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その商標の登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、その商標は商標法第4条第1項第7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。しかし、同号が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(東京高等裁判所平成14年(行ケ)第616号判決参照)。そして、同号は、上記のような場合ばかりではなく、周知商標等を使用している者以外の者から登録出願がされたような場合においても、商標保護を目的とする商標法の精神に反するなどとの理由で,適用される事例もなくはない。しかし、商標法は、出願に係る商標について、特定の利害を有する者が存在する場合には、それぞれ類型を分けて、商標法所定の保護を与えないものとしている(商標法第4条第1項第8号、第10号、第15号、第19号参照)ことに照らすと、周知商標等を使用している者以外の者から登録出願がされたような場合は、特段の事情のない限り、専ら当該各号の該当性の有無によって判断されるべきといえる。周知商標等を使用している者が、出願を怠っている場合や他者の出願を排除するための適切な措置を怠っていたような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」ものとして、商標法第4条第1項第7号の適用があり得ると解するのは,妥当ではない(知的財産高等裁判所平成23年(行ケ)第10104号判決参照)。

イ 前記1で認定した事実によれば、イノデジタル社は、本製品を製造し、本製品に「WebTube」の文字を使用していること、申立人の技術担当取締役であるChung Byung Hoは、本件商標権者に対して本製品の我が国における販売についての依頼を行ったこと、同人らは、2010年2月20日から同年5月14日までの間に、本製品の販売に関する打合せを電子メールで行ったことが認められる。

また、申立人は、2010(平成22)年4月26日に、ピアコム社から本製品1030台の発注を受けたこと、同年8月9日に、「WebTube」の文字が使用された本製品の販売に関する覚書を西日本システム社と締結し、その後、本製品は、西日本システム社からNTT西日本に販売されたことが認められる。

一方、本件商標権者は、平成22年8月31日に本件商標の商標登録出願をし、同年12月14日に登録査定を受けた。

以上によれば、イノデジタル社ないし申立人は、本件商標が登録出願された平成22年8月31日前の同年4月26日に、ピアコム社から本製品を受注し、同年8月9日に、西日本システム社との間で本製品の販売に関する覚書を締結していたのであるから、我が国において「WebTube」の文字を使用した本製品の販売を意図していたことは自明である。

そして、本件商標の登録出願前までに、「WebTube」の文字について、申立人らが商標登録出願をし得ない特段の事情は何ら認められず、また、他人の商標登録出願を排除するための適切な処置を行ったと認めるに足りる証拠も見いだせない。

そうすると、イノデジタル社ないし申立人は、本件商標の指定商品について商標「WebTube」を自ら登録出願することが十分可能であったにもかかわらず、商標登録出願をしていなかったのであるから、かかる商標についての登録出願を怠っていたというべきであり、かつ、他人の出願を排除するための適切な措置も怠っていたといわざるを得ない。

また、本件商標権者による本件商標の登録出願の経緯に、著しく社会的妥当性を欠くと認めるに足りる証左もない。

ほかに、本件商標は、その構成文字からして、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるようなものではなく、これを商標権者が採択、使用しても、他の法律によりその使用が制限又は禁止されるとみるべき事情も認められない。

ウ 申立人は、本件商標権者が本件商標の審査において提出した平成22年8月31日付け早期審査に関する事情説明書に添付の商標の使用事実を示す書類及び同年10月19日付け意見書に添付の指定商品のカタログ並びに指定商品の外観図については、イノデジタル社の製品紹介資料を無断で使用していることからも申立人らの利益を害し、信義則に反する旨主張する。

確かに、甲第24号証によれば、本件商標権者が本件商標の審査において提出した上記資料に表示されたものは、本製品及びこれに関する資料と実質同一と認められ、また、上記のとおり、本件商標権者は、商標「WebTube」が付された本製品の我が国における販売に関与していたことも認められる。

しかし、イノデジタル社ないし申立人は、上記したように、商標「WebTube」の登録出願を怠っており、かつ、本件商標権者による商標「WebTube」の登録出願を排除するために必要な処置を何ら行っていなかったというべきであるから、本件商標権者が、イノデジタル社の資料を本件商標の審査において提出したことをもって、上記判断が左右されるものではない。

したがって、申立人の上記主張は、採用することができない。

エ 小括

以上によれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ということができないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第19号該当性

商標法第4条第3項は、同条第1項第19号に該当する商標であっても、商標登録出願の時に同号に該当しないものについては、この規定は適用しないと規定しているのであるから、本件商標が同第19号に該当するというためには、本件商標の登録出願時、かつ、登録査定時のいずれにおいても当該号に該当しなければならないものと解される。

申立人は、ドイツ、オランダ、韓国及び米国で開催された展示会に参加し、「WebTube」の文字を使用した旨主張するが、その展示会は、2010(平成22)年5月から2011(平成23)年1月に開催されたものであり、本件商標の登録出願時前の展示会は、その約4月前にドイツで開催されたもののみであり、その余の展示会は、いずれも本件商標の登録出願時後のものである。

そうすると、かかる程度の「WebTube」の文字の使用をもって、該文字が日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ということは到底できない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反してされたものということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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