Trademark Appeal Case
「LOOX」商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900216(T2011−900216/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5399531号商標(以下「本件商標」という。)は、「ルックス」の片仮名と「LOOX」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成22年11月5日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,スプレー式洗浄剤,せっけん類,化粧品,研磨剤(研磨用補助液及び歯科用のものを除く。),研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布」の商品を指定商品として、同23年2月1日に登録査定、同年3月18日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
1 申立人が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標
(1)登録第2643589号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲のとおり
登録出願日 平成3年12月26日
設定登録日 平成6年4月28日
指定商品 第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」(平成16年4月21日書換登録)
(2)登録第2719118号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 LOOK
登録出願日 平成元年8月25日
設定登録日 平成9年1月31日
指定商品 第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」ほか、第1類、第2類、第4類、第5類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成18年11月22日書換登録)
(3)登録第4553208号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 LOOK
登録出願日 平成13年3月23日
設定登録日 平成14年3月22日
指定商品 第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤」
(4)登録第2717313号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 ルック
登録出願日 平成元年8月25日
設定登録日 平成8年10月31日
指定商品 第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」ほか、第1類、第2類、第4類、第5類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成18年8月16日書換登録)
(5)登録第4553216号商標(以下「引用商標5」いう。)
商標の構成 ルック/LOOK
登録出願日 平成13年3月23日
設定登録日 平成14年3月22日
指定商品 第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤」
(6)登録第675296号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成 LUX
登録出願日 昭和37年3月26日
設定登録日 昭和40年5月11日
指定商品 第3類「せっけん類,歯磨き,薫料」(平成17年7月20日書換登録)
(7)登録第4590295号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成 Loops/ループス
登録出願日 平成13年8月10日
設定登録日 平成14年7月26日
指定商品 第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
(8)登録第5394814号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成 YOOX/ユークス
登録出願日 平成19年11月26日
設定登録日 平成23年3月4日
指定役務 第35類「コンピュータ化されたオンラインによる香水・せっけん・化粧品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」ほか、第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
なお、これらをまとめていうときは、以下「引用商標A」という。
2 申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標Aの類似性
本件商標と引用商標1ないし5を比較すると、本件商標「ルックス\LOOX」からは「ルックス」及び「ルークス」の称呼が生じ、引用商標1ないし5からは「ルック」の称呼が生じる。両者の相違点は、末尾の「ス」の有無のみであり、「ス」の音が弱音であること、末尾であること、アクセントが置かれる音から離れていることから、本件商標「ルックス」の「ス」の音は消え入るように発音され、両称呼の相違点は、さらに印象が乏しくなる。よって、本件商標と引用商標1ないし5は、称呼上類似する。
加えて、本件商標「LOOX」の末尾「X」について、「x」をクスと発音することから、英語の俗語的表現において、末尾「k」の単語が複数形に変化したとき、「ks」の部分を同音の「x」と表記する用例がある。そこで、本件商標「LOOX」より「LOOKS」が想起され、引用商標3ないし5の「LOOK」との観念上の関連が生じ得る。
そして、申立人の有する引用商標1ないし5は家庭用洗浄剤の分野で著名な商標である。その場合、商標の類否判断において、商標の周知著名性を参酌すべきである(甲第21号証)。
したがって、全体的に観察すれば、本件商標と引用商標1ないし5は互いに類似する商標である。
次に、本件商標と引用商標6を比較すると、本件商標から「ルックス」の称呼が生じ、引用商標6からは「ルクス」、「ルックス」の称呼が生じる。引用商標6を「ルックス」と称呼した場合は、両称呼は同一である。また「ルクス」の称呼が生じたとしても、両者は促音「ッ」の有無にすぎず称呼上類似する。
さらに、本件商標と引用商標7及び8を比較するに、本件商標から「ルークス」の称呼も生じるところ、引用商標7の称呼「ループス」及び引用商標8の称呼「ユークス」と比較すると、引用商標7については中間の「ク」と「プ」の音が相違し、引用商標8については冒頭の「ル」と「ユ」の音が相違する。ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が母音を共通にするので、両者は称呼上類似する。
よって、本件商標と引用商標Aとは、称呼上類似する商標であって、かつ、本件商標の指定商品と引用商標Aの指定商品・役務が類似するため、本件商標を、その指定商品に使用する場合、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、上記引用商標1ないし5に加えて、登録第4442715号、登録第4502451号、商標登録第4553175号、登録第4630754号、登録第4676518号、登録第4907408号、登録第4937498号、登録第4937499号、登録第4937500号及び登録第4937501号を引用する。
なお、これらをまとめていうときは、以下「引用商標B」という。
(ア)引用商標3ないし5及び引用商標Bの著名性
申立人(ライオン株式会社)は、1891年(明治24年)に小林富次郎商店として創業され、1980年(昭和55年)にライオン油脂株式会社との合併によりライオン株式会社が発足し、洗濯用洗剤の「トップ」、住居用洗剤の「ルック」等、多数の有名ブランド商品を取り扱っている(甲第22号証)。
申立人は、1976年(昭和51年)より、浴室・浴そう用合成洗剤「バスルック」及びシリーズ洗剤「強力ルック」、「ガラスルック」の販売を開始した以降、「おふろのルック」、「トイレのルック」及び「ルックきれいのミスト」などの多数の商品を販売している(甲第23号証)。
そして、「ルック」シリーズは主に家庭用洗剤のカテゴリーに属する商品であるため、長年の間、各種媒体にて積極的な広告宣伝が行われた(甲第24号証ないし甲第28号証)。
また、市場調査会社の株式会社インテージによれば、「ルック」シリーズ全商品を合計した販売金額及び販売数量は、2006年(平成18年)が約73億円で4100万個、2007年(平成19年)が約79億円で4300万個、2008年(平成20年)が約64億円で3900万個、2009年(平成21年)が約57億円で3900万個、2010年(平成22年)が約51億円で3700万個であり(甲第29号証)、金額シェアについては、2006年から2010年に至るまで、浴室用洗剤分野で約15%〜20%、トイレ用洗剤分野で10%を超えるシェアを確保している。
さらに、2006年(平成8年)6月から2009年(平成21年)12月までの家庭用洗浄剤の主な需要者である成年女性を対象とした「ルック」ブランドの商品知名率調査結果(訪問面接/留置法)であり、これによると、「おふろのルック」の再認知名率はほぼ90%台であり、「トイレのルック」についても80%から90%である(甲第30号証)。
同じく、2009年及び2010年の「ルック」ブランドの商品知名率調査結果では、再認知名率は80%を超えている。
以上のとおり、「ルック」シリーズは我が国の取引者・需要者にとって、著名なブランドとなっている。
なお、申立人は、「LOOK」の商標も実際の商品に使用しており、1990年代前半のパッケージ、テレビCMで確認できる(甲第26号証、甲第32号証)。
(イ)出所混同の可能性
上記のとおり、本件商標と引用商標1ないし5は、非常に近似した印象を与える商標であり、本件商標の欧文字部分「LOOX」と引用商標5の欧文字部分「LOOK」とは、末尾「X」と「K」のみの差異であり、両者が類似しないとしても、直線の組み合わせ方について構成が近似しているため、両商標は外観上も近似した印象を与える。
そして、引用商標B及び甲第25号証及び甲第26号証に示す申立人の使用商標「ルック」及び「LOOK」(以下、これらをまとめて「ルック商標」という。)は、本件商標の登録出願時には既に、主に家庭用洗浄剤の類似範囲である指定商品「スプレー式洗浄剤,せっけん」の分野において申立人の業務を表す商標として、取引者・需要者の間で広く認識されている。
そうとすれば、「スプレー式洗浄剤,せっけん」について本件商標が使用された場合、その商品に接する需要者は、当該商品が申立人に係る商品であるか、又は、申立人の「ルック」「LOOK」の関連商品であると誤認し、需要者が商品の出所について混同するおそれがある。
さらに、上記商品以外の商品、例えば「つや出し剤」等に使用した場合にも、その商品に接した需要者は、その商品を申立人又はライセンシーによる商品であるか、又は、申立人の「ルック」「LOOK」の関連商品であると誤認し、需要者が商品の出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標を、その指定商品に使用した場合、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号
(1)本件商標
本件商標は「ルックス」と「LOOX」の文字からなるところ、各構成文字に相応し、「ルックス」の称呼を生じ、特定の意味合いを有しない造語と認められるものである。
(2)引用商標A
引用商標1は、別掲のとおり、「LION」の欧文字とその下部の黒色の楕円形の中に「ルック」の片仮名が白抜きされた構成からなるところ、「ルック」の文字部分から「ルック」の称呼及び「見ること」の観念を生じるものと認められる。
引用商標2ないし5は、「ルック」の片仮名、又は「LOOK」の欧文字のいずれか又はそれらの結合からなり、いずれからも「ルック」の称呼及び「見ること」の観念を生じるものと認められる。
引用商標6は、「LUX」の欧文字を書してなるところ、指定商品「せっけん」との関係からすれば、「ラックス」の称呼が生じ、特定の意味を有さない造語と認められるものである。
引用商標7は「Loops」の欧文字と「ループス」の片仮名を上下二段に書してなるところ、各構成文字に相応し「ループス」の称呼が生じるものであり、特定の意味合いを有さない造語と認められるものである。
引用商標8は、「YOOX」の欧文字とややデザイン化された「ユークス」の片仮名を上下二段に書してなるところ、各構成文字に相応し「ユークス」の称呼が生じ、特定の意味合いを有さない造語と認められるものである。
(3)本件商標と引用商標Aとの類否
ア 本件商標と引用商標1ないし5を比較すると、前者の「ルックス」の称呼と後者の「ルック」の称呼とは、末尾「ス」の有無という差異を有するものであり、該差異音が、4音又は3音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合には、その語調、語感が著しく相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはない。また、本件商標が造語であることから観念上比較することができない。そして、両者の外観はそれぞれ上記のとおりであるから明らかに区別できるものである。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし5とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
イ 本件商標と引用商標6と比較すると、後者の「ラックス」の称呼と前者の「ルックス」の称呼とは、称呼上重要な要素を占める語頭において「ル」と「ラ」の音の差異を有することから、それぞれを一連に称呼しても、両者の語調・語感が異なり、称呼上相紛れるおそれはない。また、本件商標が造語であることから観念上比較することができない。そして、両者の外観はそれぞれ上記のとおりであるから明らかに区別できるものである。
してみれば、本件商標と引用商標6とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標7と比較すると、後者は、「Loops」と「ループス」の文字を上下二段に書してなるところ、その各構成文字に相応して「ループス」の称呼が生じ、特定の意味合いを有さない造語と認められ、前者から生じる「ルックス」とは、中間音である長音「ー」及び「プ」と促音「ッ」及び「ク」の差異を有するものであり、該差異音が、3音又は4音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合には、その語調、語感が著しく相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはない。また、本願商標が造語であることから観念上比較することができない。そして、両者の外観はそれぞれ上記のとおりであるから明らかに区別できるものである。
してみれば、本件商標と引用商標7とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本件商標と引用商標8と比較すると、後者は、「YOOX」の欧文字とややデザイン化された「ユークス」の片仮名からなるところ、各構成文字に相応して「ユークス」の称呼が生じ、特定の意味合いを有さない造語と認めら、前者から生じる「ルックス」とは、称呼上重要な要素を占める語頭において「ユー」と「ルッ」の音の差異を有するものであり、該差異音が、3音又は4音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼しても、両者の語調・語感が異なり、称呼上相紛れるおそれはない。また、本願商標が造語であることから観念上比較することができない。そして、両者の外観はそれぞれ上記のとおりであるから明らかに区別できるものである。
してみれば、本件商標と引用商標8とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
オ 以上のとおりであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号
前記1の認定のとおり、本件商標は、引用商標1ないし5とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、ルック商標は、1976年から現在まで継続して使用され、新聞、雑誌及びテレビ等を通じた宣伝広告をされてきた結果、申立人の業務に係る商品「家庭用洗浄剤」を表示するものとして、本件商標の登録出願の日前から、取引者、需要者の間に広く認識され、また、その商品と本件指定商品が関連性が高いことを考慮してみても、本件商標は、これに接する取引者、需要者がルック商標を想起又は連想するものということはできない。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして、該商品が申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。3 まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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