Trademark Appeal Case
歴史人物名の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2011−600046(T2011−600046/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4201846号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「平清盛」の文字を縦書きしてなり、平成9年1月8日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同10年10月23日に設定登録されたものである。
2 イ号標章
請求人が商品「菓子及びパン」に使用する標章として示したイ号標章は、「清盛」の文字を書してなるものである。
3 請求人の主張
(1)判定請求の必要性(要旨)
請求人は、既に、登録商標「平清盛」を取得しており、平成23年1月から、日本放送協会(NHK)が「平清盛」を描いた大河ドラマが放送されるため、長年、温めていた本件商標を使用して「菓子及びパン」を大々的に販売すべく計画をしている。
そのため、本件商標「平清盛」の効力範囲を確認するため、請求人は、イ号標章と同一文字の「清盛」を商標登録出願した。しかし、当該商標出願(商願2010−66952)は、拒絶査定となったため、判定を請求するものである。
(2)イ号標章の説明
イ号標章は、請求人が使用する商標であり、前記2のとおり、漢字にて「清盛」と書してなるものである。また、請求人は、前記3(1)のとおり、「清盛」の文字を書しなる商標を「菓子及びパン」を指定商品として、平成22年8月25日商標登録出願し、同23年2月4日に拒絶理由通知がされ、同23年6月17日に拒絶査定を受けたものである。
(3)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
請求人は、政策的な見地からの判断はさておき、純粋に、両者商標の類否判断をした場合には、イ号標章は、本件商標と類似し、商標権の効力の範囲に属すると考える。
即ち、上記商標登録出願に対して、その拒絶理由通知書(甲第3号証)において、商標法第4条第1項第7号に該当するとし、その理由の一部において「清盛」は、歴史上の著名な人物として広く認識されている「平清盛」を表したものと認められると判断されている。
4 当審の判断
本件商標は、「平清盛」の文字を縦書きしてなるところ、該文字は、「平安末期の武将。忠盛の長子。平相国・浄海入道・六波羅殿などとも。保元・平治の乱後、源氏に代わって勢力を得、累進して従一位太政大臣。」(広辞苑第六版)であり、また、次のインターネットの情報によると、帝国書院のホームページサイト内「教科書の特色を生かした授業案」の項(12頁)に、「また、教科書p.54〜55にも『平将門』、『平清盛』の二人の人物が取り上げられている。/『中学生の歴史 初訂版』p.54・55」との記載(http://www.teikokushoin.co.jp/journals/bookmarker/pdf/200609/bookmarker2006.09-10-14.pdf)があることからも、中学校の義務教育課程の歴史教科書にも掲載されている歴史上広く知られた人物といえるものであるから、本件商標からは、「タイラノキヨモリ」の称呼及び上記歴史上の人物である平安末期の武将「平清盛」の観念を生ずるものである。
他方、イ号標章は、「清盛」の文字を表してなり、該文字に相応して「キヨモリ」の称呼を生ずるものである。
そして、該文字は、株式会社三省堂発行「大辞林(第三版)」(670頁)によると、「きよもり」の項に「平清盛」と記載されているところであり、また、以下の新聞記事及びインターネット情報によれば、「平清盛」を表す際、「清盛」と省略されて一般に使用されている事実がある(下線は当合議体が付したもの)。
ア 2005年4月2日 毎日新聞 地方版/広島 25頁「宮島
清盛
まつり:9年ぶり復活、あす開催 /広島」の見出しのもと、『平安末期の武将・
平清盛
(1118〜1181)の遺徳をしのび、武者行列などを披露する「宮島
清盛
まつり」(同まつり実行委主催)が3日、9年ぶりに復活する。(中略)祭りは、宮島町に春の訪れを告げる恒例行事。毎年、
清盛
の命日にあたる3月20日前後に開かれていたが、96年に財政難などを理由に中止。宮島観光協会には、町民から復活を望む多くの声が寄せられていた。当日は、武者や稚児、僧侶にふんした約150人が宮島桟橋前広場から
清盛
神社まで練り歩き、
清盛
の行列を再現する。』の記事。
イ 2008年9月28日 読売新聞 大阪朝刊 33頁「幻想...キャンドル1000個
清盛
フェスタと運河祭=兵庫」の見出しのもと、『平安末期、ミナト神戸の原点とされる「大輪田泊(おおわだのとまり)」を整備した
平清盛
にちなんだイベント「
清盛
フェスタ」と、「兵庫運河祭」が27日、神戸市兵庫区の新川運河一帯で開かれた。同運河近くには
清盛
をまつった
清盛
塚や平家ゆかりの寺院があり、地元自治会などが2005年から
清盛
フェスタを開いている。フェスタでは、源平合戦をイメージした鍋料理「
清盛
なべ」や野菜を販売する屋台などが出店。(中略)市立明親小2年(一部省略)「有名な
清盛
が、ここに住んでいたことがすごい。そのころの話をもっと知りたい」と話していた。』の記事。
ウ 2011年10月14日 中国新聞 朝刊 広島都市圏「
清盛
で招け観光客 廿日市市 ドラマ控え各地にブース」の見出しのもと、『廿日市市が、来年のNHK大河ドラマ「
平清盛
」の放送を前に、県内外での観光PR活動を強めている。広島市や松山市などのイベント会場にブースを出展。観光客誘致の絶好の機会と捉え、
清盛
ゆかりの宮島をアピールする。』の記事。
エ 2011年10月26日 毎日新聞 地方版/兵庫 27頁「現場リポート:
清盛
、救世主なるか 観光客増へ、『大河』波及効果に期待 /兵庫」の見出しのもと、『来年放送されるNHK大河ドラマ「
平清盛
」にちなみ、主人公・
清盛
ゆかりの地でもある神戸市や県が、
清盛
をテーマにした観光キャンペーンを進めている。好評な大河ドラマがここ数年続き、ドラマの舞台となった地元が軒並み観光客アップにつながっているからだ。」の記事。
オ 「神戸市立地域人材支援センター」のサイト名「1日まるごと清盛デーのお知らせ」の項及び同サイト内掲示のポスターに「清盛ってええ人なん?」の記載や、「写真展“清盛が愛したまち、神戸”」(http://futabasyo.jp/modules/pico/index.php?content_id=38#top_of_pico_body)の記載がある。
さらに、「清盛」の文字が、「平清盛」を内容とする書籍の題名として、「清盛以前−伊勢平氏の興隆(著者 高橋昌明)」(http://d.hatena.ne.jp/sanraku2/20041209/b1)や「蒼龍の星 上 若き清盛(著者 篠綾子)」(http://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-11393-7.jsp)のように、「平清盛」のことを「清盛」と省略して使用されている事実も認められるところである。
以上よりすると、イ号標章「清盛」の文字からは、これに接する取引者、需要者をして、歴史上の人物である「平清盛」を直ちに想起し、認識、理解させること明らかというべきである。
そうとすると、イ号標章は、「清盛」の文字に相応して、「キヨモリ」の称呼を生ずるものであり、歴史上の人物である「平清盛」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標とイ号標章(以下、これらを合わせて「両商標」という。)を比較すると、外観においては、前記のとおり、「平清盛」と「清盛」において、「平」の文字の有無に差異を有するものの、「清盛」の部分において一定程度の共通性が見られるものである。
また、称呼及び観念においても、「清盛」の文字が歴史上の人物「平清盛」を表す語として多数使用されていること、中学校の義務教育課程の歴史教科書にも掲載されている程に広く知られた歴史上の人物であることを考慮すれば、「清盛」といえば、「平清盛」を直ちに想起し、認識、理解させるものであり、その印象、記憶に残る影響は、極めて大きいといえるから、両商標は、「キヨモリ」の称呼において一定程度類似し、「平清盛」の観念において共通にするものである。
してみれば、本件商標とイ号標章の外観、称呼及び観念について総合的に考察すれば、両商標は、外観及び称呼において一定程度の類似性が認められ、歴史上の人物「平清盛」の観念を共通にする類似の商標といえるものであり、かつ、本件商標の指定商品とイ号標章の商品とは同一の商品である。
したがって、商品「菓子及びパン」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
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