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Trademark Appeal Case

商標更新の不使用取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第17387号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1643930号商標権の存続期間の更新登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第1643930号商標(以下「本件商標」という。)は、「オールウエイ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和56年2月19日に登録出願、第29類「コーヒー、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和58年12月26日に設定登録され、その後、平成6年5月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

2.請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証乃至同第12号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)本件商標の商標権存続期間更新登録出願における登録商標の使用説明書(以下、「本件使用説明書」という。)によると、商標の使用に係る商品は「果実飲料(ココナッツミルク)」とされ、その商標の使用の事実を示す書類として添付された写真(以下、「本件使用写真」という。)には「ココナッツミルク」と書かれた缶詰が写っている。甲第2号証の2は、この写真を財団法人日本特許情報機構において複製したものである。

本件使用写真は、缶詰の左側面方向から撮影された1枚のみで、商品の容器全体が明らかでないが、それは実際は「Chefs Choice」の商標で我が国でも知られるタイ国ノンタブリ、バングルアイ、マハ・サワド・ロード、99/9・ムー・5(99/9Mu 5,Maha Sawad Road,Banggruay,Nonthaburi,Thailand)に住所を有するシェフズ・チョイス・フーズ・マニュファクチャラー・カンパニー・リミテッド(Chefs Choice Foods Manufacturer Co.,Ltd.)の製造に係る比較的低価格帯に属する商品で、商標「SMUI」の使用に係るものである(甲第3号証の1及び2)。この商品のラベルには、「SUGGESTION:USE FOR MAKING CAKES,CANDlES,COOKIES,COCONUT JAM(KAYA) ICE CREAM CURRIES AND OTHER PREPARATIONS WHERE COCONUT MILK IS REQUIRED.」、即ち、「ケーキ、キャンディー、クッキー、ココナッツジャム(カヤ)、アイスクリーム、カレー、その他ココナッツミルクが必要とされる料理にお使い下さい。」との記載がされている。そのまま飲料として供することには、何ら言及していないばかりか、本件使用写真にも見えるが、この調味料としての用途の記載と軌を一にする「SHAKE WELL BEFORE USING」(使用する前によく振って下さい。)の表示がある。もし飲料ならば「SHAKE WELL BEFORE DRINKING」(飲む前によく振って下さい。)と表示するのが通常であるから、このことが飲料として販売されていないことを雄弁に物語っている。

さらに、各種の文献には、ココナッツミルクは菓子、カクテルの素材として利用される他、料理の調味料として使用され、特にタイ料理では不可欠の素材であるとされている。そのまま飲用に供するのは、「ココナツツジュース」と呼ばれる果実が未熟な状態で得られる半透明な液体である(甲第4号証乃至同第8号証)。

なお、甲第7号証及び同第8号証の文献において、ココナッツミルクをそのまま飲用する旨の記載が一部に見受けられるが、これらの文献の解説の全趣旨、特に甲第8号証の解説の末尾に「日本では(中略)主として菓子や飲料材料として使われる。」との記載からみれば、正確には「飲料材料」、即ちカクテルなど飲料を製造又は調製する際に加える素材を指すものと解される。

即ち、ココナッツミルクは一般に料理の調味料として使用されるものであり、本件使用写真もまた、上記の通りそのような用途に供するものと表示され取引されていたのである。

そうとすれば、本件使用写真は料理の際に使用する調味料として販売されていることが明らかであるから、仮にそのまま飲むことが可能であったとしても「果実飲料」には属しないばかりか、旧第29類に属する他のいずれの商品でもない。

(2)商標権者は、本件使用説明書の作成当時は、「東京都港区三田三丁目11番22号」に移転していた(甲第10号証)。それにも拘らず、本件使用説明書には商標の使用者の住所及び商標の使用場所として「東京都港区海岸3丁目105番1」と記載しているのは、事実と相違すると言わざるを得ない。即ち、この書面において何ら使用の事実は明らかにはされていない。

また、他に旧第29類に属することが明らかな商品についての使用の証左がないから、本件商標は、その更新登録出願前3年以内にいずれの指定商品についても商標権者によって日本国内で使用されなかったものである。

(3)以上のとおり、本件商標の存続期間の更新登録は、商標法第19条第2項ただし書の規定に違反してなされたものであるから、同法第48条第1項第1号により無効とされるべきである。

3.被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を概略次のように述べている。

(1)請求人は、甲第3号証に示されたココナッツミルクの缶に記載された表示を例にとり、この表示には料理用の食材または調味料としてのココナッツミルクの使用方法が記載されているからココナッツミルクは飲料ではないと主張するが、この甲第3号証のココナッツミルクは、本件商標「オールウエイ」に係るココナッツミルクとは別のものであるから、この表示は、本件商標「オールウエイ」に係るココナッツミルクが飲料として販売されていなかったことを示すものではない。

実際、ココナッツミルクは、例えばトマトジュースが料理用の食材または調味料として利用されるとともにそのままで飲用されるのと同様に、料理用の食材または調味料として利用されるとともにそのままで飲料ともなるものである。したがって、甲第3号証のココナッツミルクの缶に料理用の食材または調味料としての利用方法が表示されているとしても、これはたまたまココナッツミルクの一つの利用方法が表示されているだけで、ココナッツミルクが飲料でないことの証拠とはなり得ない。

また、甲第7号証の文献には、「ココナッツミルクには脂肪・タンパク質・糖質・カリウムなどが含まれ、やわらかな甘味と芳香がある。そのままで飲用にもするが、」との記載があり、甲第8号証の文献には、ココナッツミルクについて「日本では、...主として菓子や飲用材料として使われる。」との記載がある。これらの記載は、ココナッツミルクが飲料であることを示すものにほかならない。そして、上述のとおり、甲第7号証の文献中には、ココナッツミルクはそのまま飲用される旨がはっきり記載されているから、ココナッツミルクは「飲用材料」であって「飲料」ではないとの請求人の主張は、成り立たない。

以上のように、ココナッツミルクは、料理の食材または調味料として利用されるだけでなく、そのまま飲料とされるものであるから、本件使用説明書で述べたように、被請求人が本件商標をココナッツミルクについて使用していた以上、本件商標は、旧第29類「コーヒー、その他本類に属する商品」、特に果実飲料について使用されていたものである。したがって、「本件商標は、その更新登録出願前3年以内にいずれの指定商品についても商標権者によって日本国内で使用されなかったものである。」との請求人の主張は不当なものである。

(2)請求人は、本件商標権者である博兼商事株式会社の登記簿謄本(甲第10号証)に基づき、博兼商事株式会社の本社は本件使用説明書の作成当時に移転していたから、本件使用説明書においては本件商標の使用の事実の証明がなされていないとの主張をしているが、この博兼商事株式会社の登記簿謄本は、博兼商事株式会社の本社が移転していたことを示すものに過ぎず、本件使用説明書においては本件商標の使用の事実の証明がなされていないことを示すものではない。したがって、請求人の主張は不当である。

(3)以上のとおり、請求人の主張およびその理由は妥当でないから、本件審判の請求は成り立たない。

4.当審の判断

当審では、被請求人に対し、登録商標の使用に係る商品と商標の使用者である被請求人との関係が明示された書類、当該商品に関する取引書類及び本件使用写真に写された缶詰の缶の裏側の写真等について説明を求める審尋を発し、期間を指定してその提出及び回答を求めたが、被請求人からは何らの応答もなかった。

ところで、ココナッツミルクは、料理用の食材または調味料として使用されるものであるが、一部は飲料用としても使用されることがあるとされている。しかしながら、本件使用写真にみる商品には「SHAKE WELL BEFORE USING」の文字が付されているところから、当該商品は、飲み物というよりは、料理用の食材または調味料として使用されている「ココナッツミルク」であるとみるのが相当である。

してみれば、本件商標の使用は、料理用の食材または調味料としての「ココナッツミルク」の使用であり、指定商品中の「果実飲料」についての使用とは認められないものである。

したがって、本件商標に係る商標権存続期間の更新登録は、指定商品以外の使用により更新登録がなされたものと認められるから、商標法第19条第2項ただし書き第2号に違反してなされたものといわなければならず、同法第48条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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