sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標使用証拠の有効性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−301599(T2008−301599/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3029915号商標(以下「本件商標」という。)は、「CORTO MALTESE」の欧文字を横書きしてなり、1991年10月10日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、平成4年4月10日に登録出願、第25類「被服,ガ−タ−,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録され、その後、同17年3月15日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

そして、本件審判の請求の登録は、平成21年1月20日にされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(平成22年4月9日付け第二弁駁書に添付の「甲第1号証」は「甲第3号証」と読み替える。)を提出している。

1 請求の理由

請求人が本件商標の使用の有無を調査したところ、本件商標は、我が国内において継続して3年以上、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、取消請求に係る商品について使用されていないことが明らかになった。

また、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれにも、上記商品のいずれかを使用していないことについて、正当な理由を発見できなかった。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、取消請求に係る商品についての登録を取り消されるべきである。

2 弁駁の理由

被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者であるAdolfo Dominguez S.A.(以下「アドルフォ・ドミンゲス社」という。)が、請求に係る指定商品中の「ティーシャツ」について、本件商標の使用をしていると主張しているが、以下の理由により、受け入れられない。

(1)乙第1号証及び乙第2号証について

被請求人は、アドルフォ・ドミンゲス社を本件商標権の通常使用権者とするが、そういえるためには、被請求人が同社に対し、本件商標権につき、積極的に使用許諾の意思表示をしていることが必要である。この点、乙第1号証及び乙第2号証には本件商標権を特定する箇所はどこにも見当たらない。単に「コルト・マルテーズ(Corto Maltese)というキャラクターの画像および名称を複製する非独占権を認める」(乙第1号証)との条項があるだけである。

したがって、そもそもアドルフォ・ドミンゲス社は、本件商標権の通常使用権者に当たらないというべきである。

(2)乙第5号証ないし乙第7号証及び乙第11号証ないし乙第13号証について

ア いずれも本件商標と思しきものが付された「ティーシャツ」の写真である。そして、各々の写真には、商品の品番と思しき「1.73.02.15821」等の数字が打たれた商品タグが写っており、各々の数字は、乙第3号証の商品売上リストに掲載されている数字と一致している。

しかし、乙第5号証ないし乙第7号証の写真中の商品タグは、付け替えが自在にできる安全ピンで留められており、また、「1.73.02.15821」等の数字の改変も、何ら困難なことでない。したがって、やはりこれらの信憑性を高める補強証拠がない限り、該証拠の証明力は極めて低い。

さらに、これら商品タグは、すべてスペイン語と思しき外国語で表記され、商品の定価もユーロで表示されている。乙第5号証ないし乙第7号証の「ティーシャツ」は、我が国における一般消費者を対象として販売されたものであるはずである。それにもかかわらず、なぜ日本語表記・円表記になっていないのか、極めて不自然である。したがって、その理由を合理的に説明する補強証拠がない限り、やはりこの面でも、該証拠の証明力は低い。

イ 被請求人は、乙第5号証ないし乙第7号証の証拠価値について、「本件商品の分野では、使用する際に商品タグを取り外しやすくし、また、商品を傷めないために、安全ピンでタグを商品に付することは極めて普通に行われているものである。請求人の上記主張は、このような商慣習を無視するものであって、被請求人は到底首肯できない。」とし、あたかも厳格な証拠法則に商慣習が優先するような主張をしている。

しかし、商慣習がどうであれ、他の商品に安全ピンで留められていた商品タグを本件商標と思しき商標が付されたティーシャツに付け替えることは極めて容易であり、このことは否定できない厳然たる事実である。容易とは、物理的に容易というだけでなく、精神的にも容易という意味である。

したがって、乙第5号証ないし乙第7号証も、この疑いを払拭し得る他の証拠方法と相まって、初めて証明力を有する証拠方法となるものであるから、そのような証拠方法が提出されない限り、その信憑性に対する通常人の合理的な疑いを払拭し得ず、やはり事実認定の基礎とし得ない証拠方法といわなければならない。

同様の趣旨から、乙第13号証も、単独では事実認定の基礎とし得ない証拠方法といい得る。

(3)乙第13号証(商標の同一性)について

乙第13号証に表された本件商標と思しき商標は、デザイン化された「CORTO」と「MALTESE」と思しき欧文字がそれぞれ上下二段に併記されて構成されている。

しかし、「MALTESE」と思しき欧文字の「SE」の部分は、文字のデザイン化が相当進んでおり、需要者及び取引者は、「SE」を容易に称呼できず、その称呼を諦めるか、又、称呼したとしても、「SE」というよりは、むしろ「X」と認識し、称呼するのが自然である。

この結果、乙第13号証に表示された本件商標と思しき商標を見た大部分の需要者及び取引者は、使用商標を「CORTO MALTE」又は「CORTO MALTEX」と認識し、「コルトマルテ」又は「コルトマルテックス」と称呼するものと推認される。

そうとすると、乙第13号証に表示された本件商標と思しき商標は、本件商標と同一の自他商品識別機能を発揮することはできないから、両商標は、社会通念上の同一性を欠くものといわなければならない。

(4)公正取引委員会の排除命令について

公正取引委員会は、スペインのアドルフォ・ドミンゲス社の完全子会社である「アドルフォ・ドミンゲス ジャパン株式会社」に対し、景品表示法第4条第1項第3号(商品の原産国に関する不当な表示)の規定に違反する事実が認められたため、平成21年6月9日付けで、同法第6条第1項の規定に基づき、排除命令を行った(甲第3号証)。

同社は、アドルフォ・ドミンゲス社から輸入した「ADOLFO DOMINGUEZ」ブランドの衣料品を店舗で販売するに当たり、原産国が記載されたタッグやシールをはさみで切るなどして、原産国を判別することが困難である表示を行っており、実際には、そのほとんどが中華人民共和国、インド又はトルコ共和国において製造された衣料品であった。

乙第14号証ないし乙第16号証を除く乙各号証は、すべて「アドルフォ・ドミンゲス ジャパン株式会社」とその親会社であるアドルフォ・ドミンゲス社を出所とする証拠方法である。

したがって、これらの証拠方法に対し、信憑性を疑う強い合理的理由がここにもあるといわなければならない。

(5)以上、上述した乙各号証は、いずれも証拠能力を欠くか、証明力に乏しいものであるから、これらをもって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定商品中の「ティーシャツ」について、本件商標の使用をしているとの被請求人の主張は、受け入れることができない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第19号証を提出している。

本件商標は、被請求人の通常使用権者によって、請求に係る指定商品中の「ティーシャツ」について、本件審判請求の登録日である平成21年1月20日前3年以内に日本国内において継続して使用されていたものであるから、以下にその詳細について述べる。

(1)乙第1号証及び乙第2号証

被請求人は、スペインに所在する会社「アドルフォ・ドミンゲス社」に対して、2005年10月1日から2006年9月30日までの期間に本件商標を使用した商品の製造・販売を許諾した。その許諾契約書の写しを乙第1号証として提出する。当該契約書4頁目の「Article VII」の項には、契約が適用される地域の定義として「Le monde entier(全世界)」と規定されており、日本においても本件商標についての通常使用権が被請求人から通常使用権者に与えられたことが分かる。

また、乙第1号証の契約は、2008年9月30日まで契約が更新されたものである(乙第2号証)。

(2)乙第5号証ないし乙第7号証及び乙第10号証

ア 乙第5号証ないし乙第7号証は、本件商標が使用された商品「ティーシャツ」の写真である。当該ティーシャツの胸の部分には、それぞれ大きく本件商標と同一の文字「CORTO MALTESE」が表示されている。これらの表示は、ブロック体による欧文字「CORTO MALTESE」を横書きしてなる本件商標とは書体が異なるものの、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるため、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。

乙第5号証のティーシャツの首の部分に安全ピンで付されている商品ラベルには、「1.73.02.15821」の記号が記されており、この記号は、乙第3号証の売上リストの1頁目から2頁目にかけての「REF_ID」の欄に表示されている商品記号と一致する。これにより、乙第5号証の写真の商品が、2006年5月26日から同年8月30日までの間に日本において販売されたことが分かる。

同じく、乙第6号証のティーシャツに付されている商品ラベルには、「7.73.02.15941」の記号が記されており、この記号は、乙第3号証の売上リストの17頁目の「REF_ID」の欄に表示されている商品記号と一致する。これにより、乙第6号証の写真の商品が、2006年4月30日から同年8月29日までの間に日本において販売されたことが分かる。

同じく、乙第7号証のティーシャツに付されている商品ラベルには、「7.73.02.16051」の記号が記されており、この記号は、乙第3号証の売上リストの19頁目の「REF_ID」の欄に表示されている商品記号と一致する。これにより、乙第7号証の写真の商品が、2006年6月13日から同年8月31日までの間に日本において販売されたことが分かる。

イ 請求人は、乙第5号証及び同第7号証の写真中の商品タグは、付け替えが自在にできる安全ピンで留められており、当該商品タグに記載されている商品の品番(数字)の改変も困難ではないため、補強証拠がない限り、被請求人が主張するようなタグの存在の推認は不可能と主張する。

しかし、本件商品の分野では、使用する際に商品タグを取り外しやすくし、また、商品を傷めないために、安全ピンでタグを商品に付することは極めて普通に行われているものである。請求人の上記主張は、このような商慣習を無視するものであって、被請求人は到底首肯できない。請求人の考え方によれば、安全ピンのみならず、付け替え(すなわち取り外し)が可能である商品タグは、補強証拠を伴わない限りそれ自体では存在が推認されないことになる。取り外しができない商品タグは考えにくいことから、請求人の主張は、結局のところ、ほとんどの商品タグ自体の証拠能力を否定しているに等しいと考えられ、著しく妥当性を欠くといわざるを得ない。

なお、乙第10号証においては、アドルフォ・ドミンゲス社が販売する同号証の売上リスト掲載の商品の値札(商品タグ)は、同社の販売にかかる商品「衣服」に常に安全ピンで取り付けられていることが確認されている。

また、請求人は、当該商品タグはすべてスペイン語と思しき外国語で表記され、商品の定価もユーロで表示されているため、なぜ日本語表記・円表記になっていないのかが極めて不自然と主張する。

これに関しては、請求人がなぜ当該商品タグの記載は日本語表記・円表記でなければ不自然と考えるのかが被請求人には不明である。取引市場においては、外国製の商品を日本国内で取引する場合には商品タグが外国語表記となっていたり、商品タグには外国の通貨で定価が表示されている商品について、別途日本語の価格表等が表示されたりすることは何ら珍しくないことである。

また、標章が付された商品を日本へ輸入する場合には、当該取引が日本円ではなく外国の通貨で行われることもあるが、当該輸入行為が商標法上の標章の「使用」のー態様とされている状況においては(商標法第2条第3項第2号)、商品の定価がユーロで表示されていても何ら不自然なものではない。したがって、上記の被請求人の主張は失当である。

なお、乙第10号証においては、インドに所在する商品供給会社から、本件商標と社会通念上同一の商標が付された「衣服」が、アドルフォ・ドミンゲス社の子会社へ直接販売・発送(すなわち、日本へ輸入)されたことが確認されている。

さらに、乙第10号証のレシートの写しは、本件商標が使用された商品が2008年6月1日に日本円によって販売された事実を立証するものであり、通常使用権者の日本の店舗において発行されたものである。

(3)乙第13号証

乙第13号証は、通常使用権者であるアドルフォ・ドミンゲス社の子会社(日本における販売会社)「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」の店舗で販売された商品「ティーシャツ」の写真であり、このティーシャツの背面左下に本件商標「CORTO MALTESE」が表示されている。

このティーシャツにおける本件商標の表示は、多少図案化された書体による「CORTO」と同「MALTESE」の文字が2段に表記されたものである。しかし、当該商標全体として統一した書体で表示され、外観上の一体性が強い態様でまとまりよく構成されているため、本件商標とは書体のみ異なる同一文字からなる商標といい得るものである。すなわち、この表記は、本件商標と社会通念上同一と認められるべきものである。

乙第13号証の商品「ティーシャツ」には、商品番号「1.73.44.13681」が記載された商品ラベルが付されている。この商品番号は、乙第10号証のレシートの写しに記載されている8,400円の商品に該当する15桁の数字「173441368104281」のうちの前10桁に符合する。

(4)乙第14号証

乙第14号証は、インドに所在する商品供給会社「THE NRK CO.」がアドルフォ・ドミンゲス社の子会社である「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」に宛てて2007年12月17日付けで発行したインボイス(インボイス番号:TNC/139/07−08)及びその訳文である。

同号証中の矢印が示すとおり、当該インボイスには「1.73.44.13681」の商品番号が記載されており、これは、乙第13号証の商品「ティーシャツ」に付された商品番号と一致している。

さらに、当該インボイスの左下部には、「BILL OF LADING NO.ACS/MUM/07/1173/05.01.2008」の記載がある。この「BILL OF LADING」(船荷証券)番号及び日付は、後述の乙第15号証の複合輸送船荷証券中に記載されている番号及び日付と一致している。

(5)乙第15号証

乙第15号証は、インドに所在の輸送会社である「T.I.C.C. Container Line(India)Pvt.Ltd.」が2008年1月5日付けで積荷・発行した複合輸送船荷証券の写し及びその訳文である。同証券からは、「THE NRK CO.」が「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」を荷受人として、商品「ティーシャツ」等の輸送を輸送会社に依頼し、前記輸送会社がそれを受けて輸送したことが分かる。

また、同証券中に「B.L.No.」(船荷証券番号)として記載されている「ACS/MUM/07/1173」は、乙第14号証に記載されている船荷証券番号と一致している。さらに、同証券中の中央部「Number and kind of packages:description of goods」の欄に記載されているインボイス番号及びその日付「TNC/139/07−08 DT.17.12.07」は、乙第14号証に記載のインボイス番号及び日付と一致する。

(6)乙第16号証

乙第16号証は、東京税関長発行に係る輸入許可通知書の写しである。当該通知書からは、輸出者として「THE NRK CO.」が、輸入者として「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」が明記され、インボイス番号「TNC/139/07−08」・インボイス年月日「20071217」に該当する商品「ティーシャツ」等の輸入が平成20年2月7日に許可されたことが分かる。

(7)小括

上述の乙第10号証、同第13号証ないし第16号証を併せて考慮すると、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用された商品「ティーシャツ」(商品番号:1.73.44.13681、インボイス番号:TNC/139/07−08、インボイス年月日:2007年12月17日)が、商品供給会社であるインド所在の「THE NRK CO.」から通常使用権者の日本における販売会社である「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」に宛てて輸送され、当該輸入が東京税関により平成20年2月7日に許可されたことは明らかである。

また、上述のとおり、乙第10号証のレシートの写しには、8,400円の商品に該当するコードとして15桁の数字「173441368104281」が記載されているが、このうち商品番号に相当する前10桁は、乙第13号証のティーシャツのラベルに記載された商品番号「1.73.44.13681」と一致する。このことから、当該レシートに計上された8,400円の商品は、乙第13号証の写真の「ティーシャツ」と同一種類の商品であることは明らかである。

よって、当該レシートにお買い上げ日付として記載されている2008年6月1日の時点においても、本件商標が使用された商品「ティーシャツ」は、日本国内で販売されていたものである。

(8)乙第17号証

乙第17号証は、2009年11月6日の時点における「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」の日本での店舗のリスト及びその訳文である。

矢印が示すとおり、同社は東京都新宿区3−27−1にも店舗を有し、この住所は乙第10号証のレシートに記載の住所と一致する。

(9)まとめ

以上のことから、本件商標が被請求人の通常使用権者によって、商品「ティーシャツ」について、日本国内において、本件審判請求の予告登録前3年以内に使用されていたことは明らかである。

してみれば、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る証拠について

被請求人は、本件商標が被請求人の通常使用権者により請求に係る指定商品中の「ティーシャツ」について本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されている旨主張し、その証拠を提出している。

被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1)本件商標権者である被請求人は、2005(平成17)年9月30日付けでアドルフォ・ドミンゲス社との間で本件商標に係る商品の生産及び販売のライセンス契約を締結しており(乙第1号証)、アドルフォ・ドミンゲス社が本件商標の通常使用権者である旨主張している。

もとより、通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、口頭による契約や黙示の契約によっても可能であり、商標法50条における通常使用権者による登録商標の使用というために通常使用権の登録を要するものではない(知的財産高裁平成21年(行ケ)第10290号、同22年2月25日判決参照)。

そうすると、被請求人は、アドルフォ・ドミンゲス社にライセンス(使用許諾)した旨主張し、アドルフォ・ドミンゲス社も何ら異議を述べるところもないから、アドルフォ・ドミンゲス社に対し本件商標について使用許諾したものというべきであるし、上記契約の締結により、本件商標に係る通常使用権の存在はより一層明確であるといえるから、アドルフォ・ドミンゲス社は本件商標に係る通常使用権者とみるのが自然である。

(2)乙第10号証の最終ページは、「アドルフォ・ドミンゲス新宿店」におけるレシートの写しとするものであり、そこには「東京都新宿区3−27−1」、「お買上げ日付 2008/06/01」、「173441368104281」及び「¥8,400」などの記載がある。

そして、同号証の第1ページ及び第2ページは、通常使用権者である「アドルフォ・ドミンゲス社」の財務担当取締役が署名する確認書及びその訳文とするものであり、「商品の値札(商品タグ)は、同社の販売にかかる商品『衣服』に常に安全ピンで取り付けられている。インドに所在する商品供給会社から、本件商標と社会通念上同一の商標が付された『衣服』が、アドルフォ・ドミンゲス社の子会社へ直接販売・発送(すなわち、日本へ輸入)された。同封された販売領収書は日本の1店舗のキャッシュレジスターにより発行されたものであり、15桁の参照番号は前述の店舗より日本の顧客に対して販売された『Corto Maltese』の商品に対応する。」旨の記載がある。

(3)乙第13号証は、通常使用権者であるアドルフォ・ドミンゲス社の子会社(日本における販売会社)「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」の店舗で販売された商品「ティーシャツ」の写真とするものであり、このティーシャツの背面左下(同号証第1ページ、第3ページ、第4ページ)に多少図案化された書体による「CORTO」と同「MALTESE」の文字が2段に表されており、この表記は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であると認められる。

そして、このティーシャツには、商品ラベルが付されており、商品番号「1.73.44.13681」の記載が確認できる(同号証第4ページ)。この商品番号は、乙第10号証のレシートの写しに記載されている8,400円の商品に対応する15桁の数字「173441368104281」のうちの前10桁に符合する。

(4)乙第14号証は、インドに所在する商品供給会社「THE NRK CO.」がアドルフォ・ドミンゲス社の子会社である「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」に宛てて2007年12月17日付けで発行したインボイス及びその訳文とするものであり、「INVOICE NO & DATE」(請求書番号&期日)欄に「TNC/139/07−08 17.12.2007」、 「STYLE NO.」(スタイル番号)欄に「1.73.44.13681」及び「DESCRIPTION OF GOODS」(商品説明)欄に「・・・MENS S/SLV T−SHIRTS」の記載があり、「1.73.44.13681」は、乙第13号証の商品「ティーシャツ」に付された商品番号と符合する。

さらに、当該インボイスの左下部には、「BILL OF LADING NO.ACS/MUM/07/1173/05.01.2008」の記載があり、「船荷証券番号ACS/MUM/07/1173 2008年1月5日」を意味するものと認められる。

(5)乙第15号証は、インドに所在の輸送会社である「T.I.C.C. Container Line(India)Pvt.Ltd.」が2008年1月5日付けで積荷・発行した複合輸送船荷証券の写し及びその訳文とするものであり、「Shipper」(船荷主)欄に「THE NRK CO.」、「Notify address」(船荷通知先)欄に「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」、「B.L.No.」(船荷証券番号)欄に「ACS/MUM/07/1173」の記載があり、「ACS/MUM/07/1173」は、乙第14号証に記載されている船荷証券番号と符合する。

さらに、「Number and kind of packages:description of goods」(荷物の数と種類:商品説明)欄に「・・・MENS S/SLV T−SHIRTS.・・・ INV.NO.:TNC/139/07−08 DT.17.12.07」の記載があり、「TNC/139/07−08」及び「17.12.07」は、乙第14号証に記載の請求書番号及び日付と符合する。

(6)乙第16号証は、東京税関長発行に係る輸入許可通知書の写しとするものであり、「申告年月日」欄に「20080207」、「輸入者」欄に「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN LTD.」、「輸出者」欄に「THE NRK CO.」、「インボイス番号」欄に「B−TNC/139/07−08」及び「インボイス年月日」欄に「20071217」の記載があり、インボイス番号及びインボイス年月日は、乙第14号証及び乙第15号証に記載のそれらと符合する。

(7)乙第17号証は、2009年11月6日の時点における「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」の日本での店舗のリスト及びその訳文とするものであり、「LISTADO DE TIENDAS POR LOCALIZACION 06/11/09」(2009年11月6日 街区別小売店リスト)のタイトルの下、「TENDA」(小売店)欄に「821 SHINJYUKU AD」、「DIRECCION」(住所)欄に「3−27−1 SHINJYUKU」の記載があり、この住所は乙第10号証のレシートの写しに記載の住所と符合する。

2 本件商標の使用について

前記1のとおり、乙第1号証、乙第10号証及び同第13号証ないし同第17号証を併せて考慮すると、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示された商品「ティーシャツ」(商品番号:1.73.44.13681、インボイス番号:TNC/139/07−08、インボイス年月日:2007年12月17日)が、商品供給会社であるインド所在の「THE NRK CO.」から通常使用権者の日本における販売会社である「ADOLFO DOMINGUEZ JAPAN」に宛てて輸送され、それが東京税関により2008年2月7日に輸入許可され、当該商品は、本件審判の請求の登録前3年以内である2008(平成20)年6月1日に「東京都新宿区3−27−1」在の「アドルフォ・ドミンゲス新宿店」において販売されたことが推認される。

そして、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示された商品「ティーシャツ」を販売した行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを譲渡する行為」に当たるということができる。

3 請求人の主張について

請求人は、「乙第13号証に表示された本件商標と思しき商標を見た大部分の需要者及び取引者は、使用商標を『CORTO MALTE』又は『CORTO MALTEX』と認識し、『コルトマルテ』又は『コルトマルテックス』と称呼するものと推認され、本件商標と同一の自他商品識別機能を発揮することはできないからは、使用商標は、本件商標と社会通念上の同一性を欠くものである。」旨主張する。

しかしながら、乙第13号証に表示された使用商標は、「CORTO MALTESE」文字を横一連に書してなる本件商標を、二段書きで袋文字風に表してなるものと認められ、やや図案化していること及び彩色の濃淡があることなどから若干文字として読みづらいことはあるとしても、「CORTO」及び「MALTESE」の各文字が二段に書されているものであると認識できるものであり、前記1(3)のとおり、上記使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であると認められる。

したがって、使用商標中の「MALTESE」の「SE」の部分を称呼が生じない又は「X」と認識することを前提とする請求人の主張は採用できない。

4 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、その請求に係る指定商品中の「ティーシャツ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたを証明したということができる。

したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。