結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2010−301306(T2010−301306/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5071050号商標(以下「本件商標」という。)は、「Suppli」のローマ字を標準文字で表してなり、平成18年10月18日に登録出願、第1類「化学品,肥料」を指定商品として、同19年8月17日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む)を提出した。
本件商標は、その指定商品「化学品,肥料」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)本件商標の使用
被請求人が、乙第1号証ないし乙第3号証において、本件商標の使用にあたると主張しているのは「サプリ」であって、本件商標「Suppli」の使用を主張することはできない。
審判便覧には、商標法第50条第1項括弧書きに該当するか否かについて「平仮名及び片仮名とローマ字間の相互の使用について、同一の称呼を生ずる場合があって、平仮名及び片仮名とローマ字のいずれかに別異の観念が含まれるときは相互間の使用に当たらない」とされている。
ア 「サプリ」から「Suppli」を導出できるかについて
被請求人は「サプリ」がサプリメント(supplement)の略語として日本国内において使用されており、日本特有の略語であるため、対応する英語が存在しないが、「Suppli」に置換えられるのが自然である旨主張している。
しかしながら、対応する英語が存在しないなら一義的に置き換えることは不可能であり、そもそも「サプリ」をヘボン式のローマ字表記に従って変換すると「Sapuri」となる。
そして、インターネットで「栄養補助食品"サプリ"」を検索キーとして検索すると、「サプリ」に対応するローマ字表記として「Supli」、「Supple」及び「Sapuri」などが存在し(甲第3号証)、また、スポーツドリンク「amino supli」(甲第4号証の1)、サプリメント「SURF SUPPLE」(甲第5号証の1)、サプリメント「K−Haer Sapuri ryouga」(甲第6号証)などでみられるように、「Supli」、「Supple」及び「Sapuri」の綴りが広く使用されていると認められる。さらに、同様にそれぞれの語をインターネットで検索すると「suppli」が約17,800件(甲第7号証)であるのに対して、「supli」は約5,670件(甲第8号証)、「supple」は約41,400件(甲第9号証)、「sapuri」は約9,310件(甲第10号証)であり、「supple」のヒット件数が最も多く、「サプリ」に対応するローマ字表記として、各サイトのURL中に「supli」、「supple」及び「sapuri」の使用事実が確認できる。
以上のように、「サプリ」には複数のローマ字表記が存在し、一義的に「Suppli」の表記は導出できず、そのローマ字表記を自然なものと主張すること自体に無理があり、「Suppli」は完全な造語であると考えるのが妥当であり、その点が考慮されて商標登録が認められたものと考えられる。
イ 「Suppli」から「サプリ」を導出できるかについて
上述したとおり「Suppli」が「サプリメント(supplement)」の略語とは一義的にいえない以上、同一の観念を生ずるはずがなく、「サプリ」の語と社会通念上同一と認められないものである。
また、「Suppli」の語はイタリア語で「(肉、モッツァレッラチーズなどを加えて揚げた)ライス・コロッケ」を意味する「スップリ」の綴りそのものであり(甲第11号証)、その表記のみをもって同一の称呼・観念を生じるとはいえないから、「Suppli」の表記から「サプリ」を一義的に導出することはできない。
ウ インボイスなどの表示について
被請求人がインボイス(乙第5号証の1)と船荷証券(乙第5号証の2)を提出して主張する「SUPPLI RED」、「SUPPLI PINK」の語は、被請求人と関連がある香港法人が勝手に付したものであり、一般の社会通念といえるものではなく、何の意味も持たない。
仮に、これら商品が乙第1号証のパンフレット又はカタログにある「野菜用サプリ」、「いろいろな植物用サプリ」及び「バラや果樹用サプリ」などの商品に該当するとしても、乙第5号証の1では「SUPPLI RED」、「SUPPLI PINK」の使用であり、これらに対応するとされた乙第5号証の2には「GARDEN FERTILIZER(庭用肥料)」と記載されているにすぎず、当該商品には「Suppli」の表記を付していないことから、このインボイスは商標法第2条第3項に規定する標章の使用にはあたらない。
(2)結論
以上のとおりであるから、「サプリ」と「Suppli」は、片仮名とローマ字の相互間の使用にあたるものでもなく、同一の称呼及び観念を生ずる商標でもないため、被請求人の主張はいずれも失当である。
よって、被請求人は、本件商標をその指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用しているとはいえず、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。なお、証拠方法を「甲」としているものは「乙」に読み替えた。)を提出した。
被請求人(商標権者)は、本件商標をその指定商品中の「肥料」について、本件審判請求の登録前3年以内に使用している(乙第1号証ないし乙第4号証)。
(1)商品パンフレット又はカタログでの使用について
被請求人は、標章「サプリ」を付した商品「肥料」の写真を同人作成に係る2008年ないし2010年の商品パンフレット又はカタログに掲載し配布した(乙第1号証の1ないし3)。そして、当該パンフレット又はカタログのそれぞれの裏表紙の「08.12」、「このカタログは、2009年3月現在のものです。」及び「このカタログは、2010年3月現在のものです。」との記載は、これらのパンフレット又はカタログが、遅くとも2008年12月頃、2009年3月頃及び2010年3月頃までに、それぞれ作成されたことを示している。
(2)雑誌、書籍などでの使用について
被請求人は、2009年3月16日ないし2010年12月1日にかけて、雑誌、書籍などにおいて、その発行者及び発売者を介して、標章「サプリ」を付した商品「肥料」の宣伝広告を掲載し、その頒布を行った(乙第2号証の1ないし26)。
(3)売上伝票及び納品書での使用について
被請求人は、売上伝票及び納品書(乙第3号証の1ないし32)が示すように、2009年1月29日ないし2010年12月22日にかけて、標章「サプリ」を付した商品「肥料」の販売を行った。
なお、上記売上伝票などには、売上に係る商品の名称(肥料)が明記されてないが、上記カタログや雑誌などにおいて、標章「サプリ」が本件商標の指定商品「肥料」に係る標章であること、及び上記パンフレット中の「商品概要(価格・コード)」におけるコードが上記売上伝票などにおいて標章「サプリ」に係る商品に付された商品コードと一致している事実を併せて勘案すると、取引された標章「サプリ」に係る商品が本件商標の指定商品「肥料」であることは明らかである。
使用されている標章「サプリ」は、片仮名を白抜きボールド体又は通常のゴシック体で書してなる標章であり、本件商標は、ローマ字「Suppli」を標準文字で書してなる商標である。
そして、標章「サプリ」からは「サプリ」の称呼が生じ、本件商標からも、英単語の「supply」が「サプライ」と発音されること及び通常のローマ字の読み方では「li」が「リ」と発音されることを考慮すると、自然な称呼として「サプリ」の称呼が生じる。また、日本において「サプリ」がもっぱら「サプリメント」(「栄養補助食品」などの意。英単語「supplement」を日本語風に発音したもの)の略語として一般に認識されており(乙第4号証)、その他の意味を有しないことにかんがみれば、標章「Suppli」及び本件商標からは、共に「サプリメント」の観念が生じるといえる。
さらに、「サプリ」は、上記のとおり「サプリメント」の日本特有の略語であるため、対応する英語は存在しないが、ローマ字に置き換えるとすれば、その語源である「サプリメント」に対応する英単語「supplement」の綴りを踏まえ、また、上記ローマ字の読み方の原則に従い「Suppli」に置換されるのが自然である。
この点、香港法人が被請求人宛に発行したインボイス及び船荷証券(乙第5号証の1及び2)が示すように「サプリ」のローマ字対応表示として自然なものは「Suppli」であるといえる。また、栄養補助食品に関するウェブサイト検索結果(乙第6号証)において、栄養補助食品を指す語として「サプリ」が使用されており、各サイトのURL中に「suppli」の文字が広く使用されていることからも、「サプリ」と「Suppli」とが互いに対応する片仮名及びローマ字の表示であるといえる。
よって、使用されている標章と本件商標とは、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標にあたり、社会通念上同一と認められるべきものである。
以上のとおりであるから、被請求人がカタログなどを配布し雑誌などにおいて広告を行う上記行為及び商品「肥料」を販売する上記行為は、要証期間内において、本件商標の指定商品「肥料」に関する広告に本件商標を付して展示し、若しくは頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)及びその指定商品「肥料」又はその包装に本件商標を付したものを譲渡する行為(同項第2号)にあたる。
したがって、本件商標は、被請求人により、本件審判請求の登録前3年以内にその指定商品中の「肥料」について使用されていたものであり、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
(1)乙第1号証の1は、「ハイポネックス/2009年 新製品のご案内」を表題とする商品パンフレットであり、表紙には、別掲の商品(以下「本件商品」という。)の写真が掲載されており、その上部に「いろいろな植物用」、青地に白抜きで片仮名「サプリ」(以下「使用商標」という。)が表示されており、(「リ」の右下に小さく、○の中にRの記号が表示されている。以下「(R)」で示す。)、その下に「肥料」、右下に「700g」の記載があり、各種の野菜や花の絵などが表示されている、また、該写真の下に「2009年2月新発売」の記載がある。
また、表紙の裏の頁の左中央に別掲の本件商品の写真が掲載され、その下に「商品概要(価格・コード)」と題する表がある。その表の商品名欄に「ハイポネックス(R)いろいろな植物用サプリ(R)」、容量欄に「700g」、<希望>/小売価格/円欄に「788/(本体価格/750)」、JANコード欄に「49 77517 17600 8」等の記載がある。
そして、最終頁の下段には「株式会社ハイポネックス ジャパン」「08.12」の記載がある。
(2)乙第2号証の1は、雑誌「季刊 花ぐらし」の2009年春号(平成21年3月16日 家の光協会発行)の抜粋(写し)であり、3枚目の右上に「[NEWサプリ(R)シリーズ]/新登場!」、「価格:各700g/788円」、「問い合わせ:(株)ハイポネックスジャパン」の記載があり、その下に、別掲の本件商品の写真が掲載されている。
(3)乙第3号証の1は、売上伝票の写しであり、右上に「出荷日 2009/01/29」、左上に「株式会社ニチリウ永瀬 関西営業所(直J)御中」、その下の表には、商品コード欄に「017600」、品名欄に「いろいろな植物用サプリ 700g」、数量欄に「60」の記載があり、左下に「株式会社ハイポネックス ジャパン」の記載がある。
(4)乙第3号証の2は、納品書の写しであり、右上に「出荷日 2009/01/29」、左上に「株式会社ニチリウ永瀬 関西営業所(直J)御中」、その下の表には、商品コード欄に「017600」、品名欄に「いろいろな植物用サプリ 700g」、数量欄に「60」の記載があり、左下に「株式会社ハイポネックスジャパン」の記載がある。
(1)被請求人(株式会社ハイポネックスジャパン)は、2008年(平成20年)12月頃に商品パンフレット「ハイポネックス/2009年新製品のご案内」(乙第1号証の1)を発行し、また、平成21年3月16日発行の雑誌「季刊 花ぐらし」(乙第2号証の1)において、使用商標を表示して紹介し、広告した(上記1(1)及び(2))。
(2)また、「売上伝票」及び「納品書」の商品コード欄の「017600」、品名欄の「いろいろな植物用サプリ 700g」の記載と、2009年新製品のご案内とするパンフレット(乙第1号証の1)の商品名欄の「ハイポネックス(R)いろいろな植物用サプリ(R)」、容量欄の「700g」、JANコード欄の「49 77517 17600 8」中の商品アイテムコード「17600」の記載とが一致することから、被請求人は、2009年(平成21年)1月29日に、使用商標を表示した本件商品を株式会社ニチリウ永瀬に譲渡した(上記1(3)及び(4))。
(3)そして、上記(1)及び(2)の日付は、いずれも本件審判の請求の登録(平成23年1月4日)前3年以内であり、また、本件商品は、その(パッケージの)「いろいろな植物用」「肥料」の記載やパンフレット及び広告の記載内容から「肥料」と認められる(この点について、請求人は争っていない。)。
ア 本件商標は、上記第1のとおり「Suppli」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、該文字は我が国で親しまれている外国語の成語ではないから、このような場合においては、我が国において最も親しまれている外国語である英語の例えば、「suppliance」(サプリアンス)、「supplicant」(サプリカント)、「supplicate」(サプリケイト)及び「supplication」(サプリケーション)の発音に倣って、「サプリ」の称呼を生じ、該称呼から「サプリメント(の略)」の観念が生じるというが自然である。
るものである。
イ 使用商標
上記1(1)のとおり、使用商標は、別掲の本件商品に表示された青地に白抜きで「サプリ」の片仮名を表してなるものである。
そして、使用商標は、その構成文字に相応して「サプリ」の称呼及び「サプリメント(の略)」の観念を生じるものである。
ウ 小括
そうすると、本件商標「Suppli」と使用商標「サプリ」とは、ローマ字と片仮名の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標といえるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標といわなければならない。
請求人は、「サプリ」と「Suppli」は、片仮名とローマ字の相互間の使用にあたるものでもなく、同一の称呼及び観念を生ずる商標でもない旨主張している。
確かに、インターネットにおいて(甲第3号証ないし甲第10号証)、「サプリ」のローマ字表記として「supli」(SUPLI)、「supple」(SUPPLE)及び「sapuri」(SAPURI)など綴り字を異にする複数の表記が用いられていることが認められる。しかし、これらの表記は、いずれも「サプリメント(の略)」を表したものであるし、そもそも複数のローマ字表記が存在することが、「suppli」の文字から「サプリ」の称呼及び「サプリメント(の略)」観念が生ずることを否定する、又は他の特定の称呼、観念を生じるとする理由となるものではない。
また、請求人は「Suppli」の語はイタリア語で「(肉、モッツァレッラチーズなどを加えて揚げた)ライス・コロッケ」を意味する「スップリ」の綴りそのものであり(甲第11号証)、その表記のみをもって同一の称呼・観念を生じるとはいえない旨主張している。
しかしながら、該語がイタリア語の成語であるとしても、我が国において一般に知られている語ではないから、上記の意味や読み方を認識させるものということはできない。
してみれば、請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判についての要証期間内に本件商品(肥料)の広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布し(商標法第2条第3項第8号)、また、本件商品(又はその包装)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡した(商標法第2条第3項第2号)ものと認めることができる。
以上のとおり、被請求人(商標権者)は、同人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る指定商品中「肥料」について本件商標を使用していることを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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