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Trademark Appeal Case

不使用取消と内部取引

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30989号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2268855号商標の登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2268855号の商標(以下「本件商標」という)は、「LITTLEMERMAID」の欧文字と「リトルマーメイド」の片仮名文字を二段に書してなり、昭和62年9月28日に登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品平成2年9月21日に登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は「商標法第50条第1項の規定により、本件商標を取り消す。審判使用は被請求人の負担とする」旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べるとともに証拠方法として甲第1号証から同第4号証までを提出している

(1) 被請求人は、本件商標を、その指定商品のいずれについても継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず(甲第1号証)、また通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内商標権者、専用使用権唐又は通常使用権者のいずれも、その指定商品につき使用されていないものである。

(2) 平成10年12月7日付審判事件答弁書に対する弁駁として

被請求人は、上記答弁書において、要するに、本件商標が乙第2号証に示す「シャボネット」洗剤、乙第6号証「アルボース A2グリーン」手洗い消毒液、乙第10号証「キッチンエコ 800」洗剤、乙第15号証「Dolce」バニラエッセンス」に使用された、と主張している。しかしながら、これらの商品は、被請求人がフランチャイザーとして、そのフランチャイジーであるパン小売店に納入した規格品であり、自由な流通に置かれたものではないから、商標法上の商品ではない。また、本件商標が使用されたとの証明もない。

以下、被請求人の提出した証拠について、個別に認否を行う。

乙第1号証 不知。被請求人又はその子会社のフランチヤイジーの一覧表とのことであるが、本件商標の使用には直接関係がない。

乙第2号証 不知。「シャボネット」洗剤の写真であるが、撮影者も撮影年月日も不明である。まず、このような洗剤が実在するとしても、この洗剤は、被請求人又はその子会社が、フランチャイザー(親)として、フランチャイジー(子)たるパン小売店に対し半ば強制的に供給する規格品・納入品であり、この洗剤は、この写真示すような「リトルマーメイド」のシールが貼られた態様でー般市場に流通するものではない。したがって、この洗剤が商標法上の商品でないことは明らかである。また、この洗剤容器及び包装段ボール箱には、「リトルマーメイド」文字を表示した紙製と見られるシールが貼られているが、この商品には本来の商標「シャボネット」が明確に表示されており、このような方法で「商品」に商標が表示れることは極めて不自然である。さらに、裏紙を剥がしてどこにでも簡単に貼ることができるような上記「リトルマーメイド」名入りシールは、平10年審判第30758号の審判において請求人が提出した乙第2号証及び同第3号証に示す商品陳列用のトレイ(盆)や、平成10年審判第30754号の審判におい被請求人が提出した乙第2号証に示す「コック用ズック」にも使用したといずれも被請求人が主張するシールと同一と見られるものであって、これがフランチヤイザーへの納入品である上記洗剤に実際に使用されていたかという点にも重大かつ合理的な疑いがある。

乙第3号証 不知。被請求人がその子会社式会社と主張する株式会社「アンデルセン」からそのフランチャイジーであるリトルマーメド岩槻店へ「シャボネット手洗い洗剤」が納入されたことを示す受領書とのことであるが、ここには本件商標の記載は全くない。この乙第3号証は、上記洗剤の納入・受領がフランチャイザー・フランチャイジー間のいわゆる内部取引にすぎず、商標法上の取引ではないことを示すものである

乙第4号証 否認。これは、フランチャイジー(子)からフランチャイザー(親)に差し出された「証明書」の形式をとるものであるが、両者間の力関係からみて、全く信憑性の認められない文書であり、また、カッコの中に「(具体名)」を手書きでどのようにも書き込める形式となっており、このような例文形式の証明書に証明力はないというべきである。

乙第5号証 否認。上記乙第4号証と同様、この「証明書」なる文書には、証明力は認められない。しかも、この「証明書」なる文書には、「別添の受領書」と記載されているが、「受領書」は添付されていない。

乙第6号証 不知。「アルボース A2 グリーン」手洗い消毒液の写真であるが、撮影者も撮影年月日も不明である。その他、乙第6号証についての請求人の主張は、上記乙第2号証に係るものと同一である。

第7号証 不知。被請求人がその子会社と主張する「株式会社アンデルセン」からそのフランチャイジー」であるリトルマーメイド東急サニーマート店へ「アルボース A2グリーン」手洗い消毒液が納入されたことを示す受領書とのことであるが、ここには本件商標の記載は全くない。その他、乙第7号証についての請求人の主張は、上記乙第3号証に係るものと同一である。

乙第8号証 乙第8号証についての請求人の主張は、上記乙第4号証に係るものと同ーである。

乙第9号証 乙第9号証についての請求人の主張は、上記乙第5号証に係るものと同一である。

乙第10号証 不知。「キッチンエコ 800」洗剤の写真であるが、撮影者も撮影年月日も不明である。その他、乙第10号証についての請求人の主張は、上記乙第2号証及び同第6証に係るものと同一である。

乙第11号証 不知。作成名義・作成年月日のいずれも不明である。被請求人の主張を参酌すると、この文書は、フランチャイザーからフランチャイジーへ供給される製品の変更を通知した文書とみられる。この文書も当該洗剤がフランチャイザーからフランチャイジー間の内部取引品にすぎないことを示すものである。いずれにしてもこの文書に本件商標の記載は全くない。

乙第12号証 不知。被請求人がその子会社と主張する「株式会社アンデルセン」からそのフランチャイジーであるリトルマーメイド幡ヶ谷店へ「ダイバークリーン」が納入されたことを示す受領書とのことであるが、ここには本件商標の記載は全くない。

その他乙第12号証についての請求人の主張は、上記乙第3号証及び同第7号証に係るものと同一である。

乙第13号証 乙第13号証についての請求人の主張は、上記乙第4号証及び同第8号証に係るものと同一である。

乙第14号証 乙第14号証についての請求人の主張は、上記乙第5号証及び同第9号証に係るものと同一である。

乙第15号証 不知。「Dolce」バニラエッセンスの写真であるが、撮影者も撮影年月日も不明である。その他乙第15号証についての請求人の主張は、上記乙第2号証、同第6号証及び同第10号証に係るものと同一である。

乙第16号証 不知。被請求人がその子会社と主張する「株式会社アンデルセン」からそのフランチュイジーであるリトルマーメイド更埴店へ「ダイバークリーン」「バニラエッセンス」が納入されたことを示す受領書とのことであるが、ここには本件商標の記載は全くない。その他乙第16号証についての請求人の主張は、上記乙第3号証同第7号証及び同第12号証に係るものと同一である。

乙第17号証 乙第17号証についての請求人の主張は、上記乙第4号証、同第8号証及び同第13号証に係るものと同一である。

乙第18号証 乙第18号証についての請求人の主張は、上記乙第5号証、同第9号証及び同第14号証に係るものと同一である。

以上のとおり、本件商標は、被請求人が主張するような「せっけん類」「香料類」に属する商品について使用されておらず、また、他に本件商標がその指定商品に使用されたことを立証する証拠も何ら提出されていない。つまり、被請求人は、本件商標がその指定商品に使用されたとの事実を証明していない。よって、請求人は、本件審判について、速やかに請求の趣旨どおりの審決を賜りたい。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から同第18号証及び参考資料1を提出している。

まず被請求人たる商標権者株式会社タカキベーカリーは、「リトルマーメイド」と称呼されているフランチャイズペストリーチェーン店等を全国的に展開している(乙第1号証参照)。そして、当該乙第1号証に記載されているとおり、これらの店舗は現在(平成10年12月7日)のところ725店舗となっている。またこれらの店舗は、株式会社タカキベーカリー、あるいは当該株式会社タカキベーカリーの代表取締役と同じ社長であり、かつ、株式会社タカキベーカリーの子会社であり、本件商標権者の株式会社タカキベーカリーから本件商標権の通常使用権の許諾を受け、許諾通常使用権者である株式会社アンデルセンからパン、ベストリー製品の原材料等を継続的に購入していると共に、店舗を運営するに際し使用する各種の物品を継続的に購入している。そして、「リトルマーメイド」の各店舗のオーナーは、株式会社タカキベーカリーあるいは株式会社アンデルセンとは全く異なっており、別人のパン小売店舗として位置づけられる。これにより、株式会社タカギベーカリーで生産するペイストリー製品等を各店舗でも同様の品質で、また各店舗共に同様の店舗内環境を有して顧客に提供できるものとなっている。

ところで、パン、ケーキ等の商品を製造販売する工程において、該商品の衛生を保持することは、該商品の見栄え、味、香り等の品質を確保する上で極めて重要である。この際、店舗内外をはじめ、該商品を取り扱う器具および従業員の消毒・殺菌が不可欠となる。しかして、「リトルマーメイド」店等の各店舗においては、店舗の清潔さ、パン、ケーキ等食品の製造販売に関与する従業員の消毒、殺菌を特に重視しており、多くのせつけん液、洗浄液を販売している。ここで、各パン小売店舗において殺菌消毒用洗剤として使用されている「シャボネット手洗い洗剤」を乙第2号証として示す。当該「シャボネット手洗い洗剤」は、乙第3号証に示すように、本件商標に関する許諾通常使用権者である株式会社アンデルセンの秦野工場から出荷され、各パン小売店舗に販売されている。そして、販売される際には乙第2号証のように、包装箱及び容器に本件商標が付され、流通、販売される。乙第3号証はその一例を示したものであり、本件商標に関する許諾通用使用権者である株式会社アンデルセンが、LM岩槻店へ「シャボネット手洗い洗剤」を販売した際に受け取った商品受収書の控えであり、1998年(平成10年)7月24日に「シャボネット手洗い洗剤」を1本3,300円でLM岩槻店へ販売した取引事実が示されている。なお、「LM」とはリトルマーメイドのことを意味し、LM岩槻店は乙第1号証のNO.437に記載されている「LM岩槻店」のことで、埼玉県に存する店舗であり、1994年4月5日に開店した店舗である。乙第4号証はLM岩槻店の店長である根岸厚之助氏が平成10年7月に「シャボネット手洗い洗剤」を1個3、300円で株式会社アンデルセンから購入したことを証明した証明書であり、また.乙第5号証は、乙第3号証に示す受領書につき、それがLM岩槻店の店長である根岸厚之助氏が平成10年7月に「シャボネット手洗い洗剤」を1本3,300円で株式会社アンデルセンから購入した際の受領の控えとして提示した受領書に相違ないことを証明した証明書である。

(ロ)次に、各パン小売店舗において手洗い消毒液として使用されている「アルボースA2グリーン」を乙第6号証として示す。当該「アルボースA2グリーン」は、上記乙第2号証で示した「シャボネット手洗い洗剤」よりも殺菌力および消毒力に優れた洗剤であり、近年世間を騒がせている大腸菌「0−157」対策として、株式会社アンデルセンが各パン小売店舗へ流通、販売を勧めてきたものある。そして、当該「アルボースA2グリーン」は、乙第7号証に示すように、株式会社アンデルセンの秦野工場から出荷され、各パン小売店舗に販売されているものであり、販売される際には乙第6号証が示すように、包装箱及び容器に本件商標が付され、流通、販売する。乙第7号証は株式会社アンデルセンがLM京急サニーマート店(乙第1号証No.533参照)へ「アルボースA2グリーン」を販売した際に受け取った商品受収書の控えである。乙第7号証から分かるように、株式会社アンデルセンは、1998年(平成10年)7月21日に「アルボースA2グリーン」4kg入り1本をLM京急サ二ーマート店へ3,100円で販売した取引事実が示されている。そして、乙第8号証は、LM京急サニーマート店の店長である西本篤氏が平成10年7月に「アルボースA2グリーン」4kg入りを1本3,100円で株式会社アンデルセンから購入したことを証明した証明書であり、また、乙第9号証は、乙第7号証に示す受領書につき、それがLM京急サニーマート店の店長である西本篤氏が平成10年7月に「アルボースA2グリーン」4kg入りを1本3,100円で株式会社アンデルセンから購入した際の受領の控えとして提示した受領書に相違ないことを証明した証明書ある。

次に乙第10号証は、各パン小売店舗において洗剤として使用されている「キッチンエコー800」を示したものである。当該「キッチンエコー800」は、乙第10号証に示されるように、当該商品の包装箱及び詰替容器に本件商標を付して現在、各パン小売店舗に流通、販売しているものである。そして、乙第11号証から理解されるように、当該「キッチンエコー800」は、これまで洗剤として各パン小売店舗に流通、販売してきた「ダイバークリーン」を商品変更したものである。すなわち、乙第11号証に示すように、平成10年9月以前は、本件商標に係る許諾通常使用権者である株式会社アンデルセンが、各パン小売店舗に洗剤として「ダイバークリーン」を流通、販売しており、その当時の取引事実を示す証拠として乙第12号証乃至乙第14号証を提出する。乙第12号証は、株式会社アンデルセンがLM幡ヶ谷店(乙第1号証NO.614参照)へ「ダイバークリーン」を販売した際に受け取った商品受収書の控えある。乙第12号証から分かるように、株式会社アンデルセンは、1998年(平成10年)7月21日に「ダイバークリーン」1本をLM幡ヶ谷店へ830円で販売した取引事実が示されている。そして、乙第13号証は、LM幡ヶ谷店の店長である伊藤祐介氏が平成10年7月に「ダイバークリーン」を1本830円で株式会社アンデルセンから購入したことを証明した証明書であり、また、乙第14号証は、乙第12号証に示す受領書につき、それがLM幡ヶ谷店の店長である伊藤祐介氏が平成10年7月に「ダイバークリーン」を1本830円で株式会社アンデルセンから購入した際の受領の控えとして提示した受領書に相違ないことを証明した証明書ある。

(ハ)また、本件商標に関する許諾通常使用権者である株式会社アンデルセンは、前記消毒液や洗剤のほかにも各パン小売店舗に対して、パン、ケーキ類に香料として使用される「バニラエッセンス」を販売している。証拠として提出する乙第15号証は、各パン小売店舗において販売される香料「バニラエッセンス」に対する本件商標の使用状態を示している。

すなわち、当該「バニラエッセンス」は、乙第16号証に示すように、株式会社アンデルセンの秦野工場から出荷され、各パン小売店舗に販売されているものです。そして、販売される際には乙第15号証のように、包装箱及び容器に本件商標が付され、流通、販売されているものである。

乙第16号証は、株式会社アンデルセンが、LM更埴店(乙第1号証NO.606参照)へ「バニラエッセンス」、および前記の洗剤「ダイバークリーン」を販売した際に受け取った商品受収書の控えであり、1998年(平成10年)7月22日に「バニラエッセンス」を1個3,424円,「ダイバークリーン」を1本830円でそれぞれLM更埴店へ販売した取引事実が示されている。そして、乙第17号証は、LM更埴店の店長である渡辺寛治氏が平成10年7月に「バニラエッセンス」を1個3,424円、「ダイバークリーン」を1本830円、合計4,254円で株式会社アンデルセンからそれぞれ購入したことを証明した証明書であり、また、乙第18号証は、乙第16号証に示す受領書につき、それがLM更埴店の店長である渡辺寛治氏が平成10年7月に「バニラエッセンス」を1個3,424円、「ダイバークリーン」を1本830円、合計4,254円で株式会社アンデルセンからそれぞれ購入した際の受領の控えとして提示した受領書に相違ないことを証明した証明書である。

(ニ)以上説明したように、被請求人たる商標権者は、当該登録商標「LITTLEMERMAID/リトルマーメイド」を指定商品である旧第4類「せつけん類」,「香料類」につき現在使用中である。

4 平成11年6月1日付け答弁書に対する弁駁

(1)請求人は、前記弁駁書2頁において、被請求人が本件商標を使用する洗剤等に対し、「被請求人がフランチャイザーとして、そのフランチャイジーであるパン小売店に納入した規格品であり、自由な流通に置かれたものではないから、商標法上の商品ではない」と述べている。しかしながら、当該請求人の主張は、以下の理由から商標法上の「商品」の認定を誤ったものである。

(イ) 商標法上の商品とは、十般に商取引の目的たりうる物、特に動産を意味し(工業所有権法逐条解説第14版929頁:発明協会)、商標法上の商品として成立するためには、取引の対象として流通し、有償であればよいとされている(商標法概説P227;田村善之:弘文堂)。そして、ここにいう「取引」とは、商人と商人又は商品と顧客との間の売買行為を意味し(広辞宛:岩波書店)、販売者と購入者間の関係は問わないものである。

したがって、たとえ被請求人(請求人がいう「フランチャイサー」)が、リトルマーメイド(請求人がいう「フランチャイジー」)各店舗へ一定の規格品を納入する場合であっても、両者間で売買行為が行われている以上、上記「取引」に該当するものである。よって、一般にフランチャイザーとフランチャイジー間で取引される商品についても、当該商品が有償で取引される限り、流通性及び有償性のある商品であるから、商標法上の商品であると言える。このことは、製造業者から商品を購入した卸売業者が、自己の商標を使用して問屋へ販売する商品が商標法における「商品」であるのと同様の関係にある。すなわち、上記商品の場合、卸売業者は製造業者から購入した商品を問屋に卸すことを主な業務内容とするから、その際に使用する表彰は他の卸売り業者の扱う商品と自己の商品とを区別するための識別標識、つまりは商法上の商標であり、また、当該商標の使用される商品は、卸売業者と問屋間で流通され販売される訳ですから、当然に商標法上の「商品」に相当する。

(ロ) 本件商標の指定商品である「シャボネット」洗剤、「アルボース A2 グリーン」手洗い洗剤、「Dolce」バニラエッセンス(以下「洗剤等」と省略する。)は、一般市場で売買される商品を被請求人が製造元から購入し、被請求人ないし通常使用権者(株式会社アンデルセン)を通じてリトルマーメイド各店舗へ販売されるものである。ここで、被請求人が何故このような販売方式をとるのかについて説明すると、他の企業が慣用的に行っているように、被請求人がリトルマ一メイド各店舗で使用する各種商品を安価に販売提供するためである。すなわち、被請求人たる株式会社タカキベーカリーは、菓子及びパンの製造をはじめ広くレストラン事業等を全国的に展開する会社である。そして、フランチャイズ契約をした全国のリトルマーメイド各店舗に対しては、各店で使用する器材から原材料等に至るまでの各種商品について、被請求人が集中的に運営管理し、各店舗で必要とするすべての商品の販売を行っている。上記洗剤等もこの例外ではなく、被請求人が大手製造メーカーから大量に購入したものを被請求人ないしは通常使用権者(株式会社アンデルセン)を通じてリトルマーメイド各店舗へ販売しているのである。このように一度に大量の洗剤等を購入すれば、洗剤等を個々に購入した場合に比べ、1個当たりの単価も安価になり、費用削減に繋がるためである。そして、上記洗剤等は、乙第3号証、第4号証、第7号証、第8号証、第11号証ないし第13号記、第16号証及び第17号証から判るように、通常使用権者(株式会社アンデルセン)がリトルマーメイド各店舗へ有償で販売しているものである。したがって、上記洗剤等は、サービスとして無償で配布するいわゆる ”ノベルティ商品(販促品)”でもなく、また、被請求人が自社内だけで使用する商品のいずれにも該当しないため、取引性、流通性は十分あると言える。

以上述べたように、被請求人ないしは通常使用権者を通じてリトルマーメイド各店舗へ販売される洗剤等は、商取引の目的たりうるべき流通性のある有体動産に相当し、商標法上の「商品」であることが明らかである。してみれば、請求人の「これらの商品(洗剤等)は、被請求人がフランチャイザーとして、そのフランチャイジーであるパン小売店に納入した規格品であり、自由な流通に置かれたものでないから、商標法上の商品ではない。」との主張は、商標法上の商品の誤った認定に基づくものであり、的外れな主張といわざるを得ない。

(2) 請求人は、上記弁駁書において被請求人が提出した証拠(乙第1号証ないし乙第18号証)に対し、個別に認否を述べている。しかしながら、これらの認否は、いずれも根拠のない主張にすぎないものである。

(イ) 乙第1号証について

被請求人が提出した乙第1号証は、平成10年12月7日付で被請求人がフランチャイズ契約をしている特約店(フランチャイジー)を列挙したリストである。このリストは、特に被請求人が提出した乙第3号証ないし乙第5号証,乙第7号証ないし乙第9号証,乙第12号証ないし乙第14号証,乙第16号証ないし乙第18号証との関係においては、正規の契約を結んだ特約店(フランチャイジー)を特定するために必要不可欠な証拠である。また、本件商標の使用については、上記特約店へ販売する洗剤等に対する商標の使用が問題となるのであるから、乙第1号証は、取引相手へ納入する商品に関する本件商標の使用を証明する手掛かりとなるものであり、本件商標の使用と関係の深い証拠である。

したがって、請求人の「本件商標の使用には直接関係ない」との主張は、 本件商標の使用態様を誤認しているものである。

(ロ) 乙第2号証,乙第6号証,乙第10号証及び乙第15号証について

これらの証拠は、いずれも本件商標「リトルマーメイド」を商品に使用している事実を示す写真である。請求人は、乙第6号証,乙第10号証及び乙第15号証に対する弁駁において乙第2号証を引用しているので、以下に乙第2号証について詳説する。

(a)先ず請求人は、乙第2号証に対し弁駁書第2頁ないし第3頁において「被請求人又はその子会社が、フランチャイザー(親)として、フランチャイジー(子)たるパン小売店に対し半ば強制的に供給する規格品・納入品であり、この洗剤は、この写真に示すような「リトルマーメイド」のシールが貼られた態様で一般市場に流通するものではない。したがって、この洗剤が商標法上の商品でないことは明らかである。」と主張している。しかし、この点については、上述のとおり被請求人の通常使用権者(株式会社アンデルセン)がリトルマーメイド各店舗へ納入する洗剤等は、いずれも商標法上の商品であることは明らかである。

(b)次に請求人は、弁駁書第3頁において「この洗剤容器及び包装段ボール箱には、「リトルマーメイド」の文字を表示した紙製とみられるシールが貼られているが、この商品には本来の商標「シャボネット」が明確に表示されており、このような方法で「商品」に商標が表示されることは極めて不自然である。」と主張している。しかし、この点については次の理由から決して不自然ではないと言える。すなわち、大手メーカーから購入した殺菌消毒用洗剤「シャボネット手洗い洗剤」は、被請求人のもとで一旦開包され、該洗剤の正面上方へ本件商標の印刷されたラベルが貼付される。そして再び包装用段ボール箱へ梱包された後、通常使用権者(株式会社アンデルセン)によってリトルマーメード各店舗へ販売・出荷される(乙第2号証上写真参照)。この際、該洗剤の包装用段ボール箱の正面にも本件商標が同様に貼付される(同下写真参照)。なお、乙第2号証に示されるように、本件商標を使用する洗剤には製造元の商標「シャボネット」が印刷されたままになっているが、本件商標を印刷したラベルは、白地に茶色文字で「リトルマーメイド」という色彩で表示され、包装用段ボール箱の色彩とは明確に区別できる構成となっている。したがって、本件商標を印刷した該ラベルは、自他商品識別標識として十分機能しうる態様で使用されていると言える。このため該ラベルを貼る位置については、正面の外部から観察しうる箇所であれば何処でもよく、本写真に示されるように正面右上方部であっても構わないのである。

以上の理由より、本件商標の指定商品に関する使用態様については、請求人が主張するような不自然さは全くない。

(c)さらに、請求人は当該弁駁書3頁において「裏紙を剥がしてどこにでも簡単に貼ることができるような上記「リトルマーメイド」名入りシールは、...(中略)...これが実際にフランチャイザーからフランチャイジーへの納入品である上記洗剤に実際に使用されていたのかという点にも重大かつ合理的な疑いがある。」と主張している。ここで本件商標が印刷されたラベルについて説明すると、本ラベルは本件商標「リトルマーメイド」が印刷された紙表面に透明薄膜の樹脂をコーティングしたものであり、裏面には粘着剤を塗布したシールタイプの耐久性のあるラベルである。そして通常使用権者(株式会社アンデルセン)がリトルマーメイド各店舗へ出荷する各種商品に対して必ず本ラベルが貼付されるものである。したがって、このような事情の下では、請求人が主張するように、本ラベルがたとえ平成10年審判第30758号や平成10年審判第30754号で被請求人が証拠として提出した指定商品(商品陳列用トレイ(盆)又はコック用ズック(靴))に使用したものと同一であっても何ら問題はなく、むしろ同一であるのが当たり前である。よって、請求人の「洗剤に実際に使用されていたのかという点にも重大かつ合理的な疑いがある。」との主張は、請求人の単なる推測でしかなく、事実に反する仮説にすぎないものである。

(d)なお以上のことは、被請求人が提出した他の証拠書類(乙第6号証, 乙第10号証及び乙第15号証)についても同様のことが言える。

(ハ) 乙第3号証,乙第7号証,乙第12号証及び乙第16号証についてこれらの証拠は、被請求人と所定のリトルマーメイド店の間における「シャボネット手洗い洗剤」、「アルボースA2グリーン」、「ダイバグリーン(後に「キッチンエコー800」へ商品変更されたもの)」及び「バニラエッセンス」に関する取引書類である。

上述したように、これらの商品はいずれも商標法上の「商品」であるから、上記証拠は指定商品に関する取引書類に該当するものである。ここで、請求人は弁駁書において「ここには本件商標の記載が全くない。」(弁駁書4頁)と主張している。確かに請求人が主張するように、上記証拠に係る取引書類の中には本件商標「リトルマーメイド」の文字は表示されていない。しかしながら、たとえば乙第3号証をみれば判るように、本証拠の右上の「納入先」の欄には「LM岩槻店」という表示があり、この「LM」は「LITTLE MERMAID(リトルマーメイド)」の略称を意味する。そして、この「LM」という文字は「LITTLE MERMAID(リトルマーメイド)」の略称として需要者の間で広く知られているものである。被請求人が本答弁書に添付した参考資料1は、リトルマーメイド各店舗前に配置されている立て看板のディスプレーと(写真A)、被請求人がリトルマーメド各店舗へ販売している買い物袋(写真B)である。この参考資料1から判るように、リトルマーメイド各店舗では本資料の写真Aに示す「LM / Little Mermaid」と記された外看板が店頭に設置されており、顧客はこの看板を目印にリトルマーメイド店であることを識別する。そして、顧客に対してはリトルマーメイド店で買物した際には、参考資料1の写真Bに示される買い物袋が配布される。このように「LM」という表示は、リトルマーメイド各店舗の内外において常に顧客や取引者が視認しうる状態で使用されているものである。したがって、需要者であれば、この「LM」を見れば、直ちに「LITTLE MERMAID」ないしは「リトルマーメイド」を観念できるほどに広く知られたものであるから、上記取引書類における「LM」なる記載についても同様に「LITTLEMER MAID」ないしは「リトルマーメイド」を意味する。また、取引書類において「リトルマーメイド」と記載せず、本証拠のように敢えて「LM」という略称を使用したのは、データ入出力時の手続の簡素化できるというメリットもあるからである(なお、「LM」の表示については乙第1号証も参照されたい)。

以上の述べたように、被請求人は上記取引書類において本件商標を全く使用していないという訳ではなく、本件商標「リトルマーメイド」の略称「LM」を意図的に使用しているものである。してみれば、請求人の「ここには本件商標の記載が全くない。」との主張は、「LM」の表示を無視した考えに基づくものと言わねばならない。

(ニ) 乙第4号証,乙第5号証,乙第8号証,乙第9号証,乙第13号証,第14号証,乙第17号証及び乙第18号証について

これらの証拠は、該当するリトルマーメイド店が株式会社アンデルセン (通常使用権者)から洗剤等を購入したことを証明する証明書である。請求人は、乙第4号証,乙第8号証,乙第13号証及び乙第17号証において「これは、...(中略)...全く信態性の認められない文書であり、まカッコの中に「具体名」を手書きでどのようにも書き込め式となっており、このような例文形式の証明書に証明力はないというである。」と主張している。しかし、証明書の証明力に関しては、証明すべき事項が明確である限り、形式は問題とならず、むしろ証明内容に合意した者が自ら記入・捺印しているかどうか、という点が重要となるものである。上記証明書類において、商品の具体名、日付、個数及び金額を記入形式っているのは、短期間に多数の者に証明書を提出してもらわなければなかったという時間的手続的理由からであり、決して例文形式を採つけではない。そして、上記のいずれの証明書についても特約店ランチャイジーであるリトルマーメイド店の店長が自らが記入・捺印を行っている。したがって、上記証明書類は、記載方法としては書き込み形式を採用しているものの、証明書の内容に合意した本人自らが記入・捺印しているものであるから、証明書の証明力として十分信憑性の高いものと言える。また、請求人は弁駁書の中で乙第5号証,乙第9号証,第14号証及び18号証につき、この「証明書」なる文書には、「別紙の受領書」とされているが、「受領書」は添付されていない、と主張している。しかし、この「受領書」とは、被請求人が提出した答弁書の「6.証拠」における(5)乙第5号証,(9)乙第9号証,(14)第14号び(18)乙第18号証の各説明から理解されるように、それぞれ乙3号証,乙第7号証,乙第12号証及び乙第16号証を意味するから、請求人の当該主張はこれらの証拠書類を十分理解していないと言わざるえない。

以上のことより、請求人が乙第4号証,乙第5号証,乙第8号証,乙第証,乙第13号証,第14号証,乙第17号証及び乙第18号証につい主張する事項は、いずれも単なる言い掛かりであって、何ら根拠のないものであると言わねばならない。

(ホ) 乙第11号証について

乙第11号証は、被請求人が提出した乙第10号証,乙第12号証ないし乙第14号証との関係において、本件商標の使用されていた商品が「ダイバグリーン」から「キッチンエコ800」へ商品変更された事実を証明するためのものである。まず、この「キッチンエコ800」が商標法上の商品であることについては、上述のとおりである。次に、本件答弁書に乙第11号証を添付した理由は次のとおりである。すなわち、乙第10号証において本件商標が使用された商品は「キッチンエコ800」であるのに対し、乙第12号証ないし乙第14号証の商品は「ダイバグリーン」である。したがって、もし乙第11号証がなければ、商品の変更が何時なされたのかという点、また、乙第10号証と乙第12号証ないし乙第14号証との間の関係では両証拠の関係が不明確となり、これらの証拠としての証明力が喪失するという点において整合がとれなくなる。このように乙第11号証は、被請求人が乙第12号証ないし乙第14号証において、本件商標の使用を証明した商品「ダイバグリーン」との事実関係を明確にする上で、極めて重要な証拠なのである。よって上記事実関係が明らかにできれば、請求人が主張するように、本証拠の文章中に本件商標の記載が全くなくても構わないものである。なお、請求人は、弁駁書6頁において「作成名義・作成年月日のいずれも不明である。」と主張しているが、乙第11号証の記載内容から判るように、作成者は本書右最上列の記載から「株式会社タアカキベーカリー企画部販促企画課 片山」であることは明らかである。また作成年月日については、同書「2.サンプル」の欄における「8/28(金)」の日付の記載から判るように、本書は少なくとも平成10年8月28日(金)より前に作成されたことも明らかである。したがって、乙第11号証は、被請求人が商品を変更した時期を証明する上でも極めて重要な証拠となりうるものである。

(3)以上述べたとおり、本件商標は、被請求人の指定商品である「せつけん類」「香料類」に属する商品について使用されており、かつ、前回提出した乙第1号証乃至乙第18号証は、各指定商品に使用されたことを十分立証できる証拠である。つまり、被請求人は、本件商標を指定商品「せっけん類」「香料類」のいずれにも使用していることは明らか事実である。よって、被請求人は、本審判について速やかに「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。

4 当審の判断

被請求人は、本件商標を使用する証拠として乙第1ないし同第18号証までを提出している。そこで、それら提出されている証拠から、本件商標が本件審判の請求登録日前3年以内に、日本国内において、その指定商品に商標権者又は通常使用権者によって使用されたか否かについて検討するに、乙第2号証、同第6号証、同第10号証の「洗剤」の写真、及び乙第15号証のバニラエッセンスの写真をみるに、該洗剤及びバニラエッセンスの容器の表面には、これを製造した会社の登録商標と認められる「シャボネット」及び「DOLCE」が中央部に大きく表されている一方、本件商標は容器の隅にシールで貼付されているものである。しかしながら、被請求人が他社から一括購入した「洗剤」及び「バニラエッセンス」を自己のフランチャイザーに販売する場合に、商品に手間暇をかけ「リトルマーメイド」の商標を貼付する行為は通常の商品の取引の慣習に照らし極めて不自然であること、また、フランチャイジーがフランチャイザーである被請求人に上記商品を注文するに際し、本件商標を使用せずに専ら「シャボネット」「アルボース」、「ダイバークリーン」、「バニラエッセンス」(乙第3号証〜同第5号証、乙第7号証〜同第9号証、乙第12号証〜同第14号証)の商標を使用していること等を考え併せれば、通常使用権者が上記商品に対し開封後本件商標を付す行為は、従業員が他店の洗剤と間違えないために付す程度の目的で使用されているものといえ、自他商品を識別するという商標の本質的使用とは言い得ないものである。

更に、被請求人のフランチャイジィーであるLM(リトルマーメイド)岩槻店、京急サニーマート店、リトルマーメード更埴店等が、通常使用権者のアンデルセンより本件商標の付されている「洗剤、バニラエッセンス」を購入しているとしても、これらの取引が通常の商品の如く広く不特定多数を対象にした取引ではなく、限られた関係者間の特異な取引であることからしても、本件商標が使用されていたものと言うことはできない。

してみれば、本件商標は、商標権者及び通常使用権者によって本件審判の請求登録日前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれについても使用していなかったものといわざるを得ず、かつ、使用していなかったことについて正当な理由があるものとは認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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