Trademark Appeal Case
UK略語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−23171(T2010−23171/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「UKスリムドレーン」の文字を横書きしてなり、第10類「医療用ドレーン」を指定商品として、平成21年9月10日に登録出願され、その後、その指定商品については、当審における同23年7月28日付けの手続補正書により、第10類「ウロキナーゼ固定化抗血栓性スリット型排液用カテーテル」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、商品の品番等を表示するために用いられている欧文字二文字の一類型と認められる『UK』の文字と、『ほっそりしたさま。細いさま』を意味する外来語として知られる『スリム』の文字と、指定商品との関係において『医療用ドレーン』を理解させる『ドレーン』の文字とを一連に『UKスリムドレーン』と書してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用するときは、『UKの品番を有する細い医療用ドレーン』であることを認識させるにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識できないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記商品以外の商品に使用した場合は、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
本願商標「UKスリムドレーン」に関して、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、以下の事実が認められる。
1 「UK」の語について
(1)PTCR(経皮的冠動脈再開療法)の項目に「血栓溶解薬(欧米は streptokinase;SK,わが国は urokinase;UK)・・・」の記述がある。(「南山堂 医学大辞典」株式会社南山堂 2001年4月10日発行)
(2)「UROKINASE ウロキナーゼ」(「看護師のための看護・医学略語・用語辞典」株式会社秀和システム 2009年3月25日発行) (3)「ウロキナ−ゼ (UK) による治療の症例」と題するウェブサイトにおいて、「UK治療」、「UKで良くなる病気」、「UKで治る」及び「UKの副作用」の記述がある。
(http://www.tim.hi-ho.ne.jp/keisaku/index_uk.html)
(4)「健康・病気・症状相談コーナー(あーちゃんの部屋)」のブログサイトにおいて、「【播種性血管内凝固(DIC)、ウロキナーゼ(UK)、副作用】」の記述がある。
2 「ウロキナーゼ」の語について
(1)「ウロキナーゼ」の項目のもと、「タンパク質分解酵素の一種。ヒトの尿中に存在。この作用により、血栓溶解作用をもつプラスミンが生成されるため、血栓の治療に用いられる。出血傾向・過敏症の副作用がある。」の記述がある。(「大辞林第3版」株式会社三省堂 2006年10月27日)
(2)「e−血液.com」のウェブサイト中の「e−血液用語辞典」において、「ウロキナーゼ ( urokinase ) 」の項目のもと、「血管内にできた血栓を溶かす作用を持つ薬剤。急性心筋梗塞、肺塞栓症などでできた血栓を溶解することにより、血流を回復することを目的としています。同様の作用を持つ薬剤には、ヘパリン、ワーファリン、合成抗トロンビン薬、アンチトロンビンIII濃縮製剤、抗血小板薬などがあり、それぞれ病態に合わせて投与されます。」 の記述がある。
(http://www.e-ketsueki.com/)
(3)フリー百科事典「ウィキペディア(wikipedia)において、「ウロキナーゼ」の項目のもと、「ウロキナーゼ(Urokinase, 商品名 アボキナーゼ(Abbokinase))は、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(uPA)とも呼ばれるセリンプロテアーゼ(EC 3.4.21.73)の1つである。ウロキナーゼは最初ヒトの尿から単離されて血栓溶解剤として利用されたが、現在では血液や細胞外マトリックスに存在することも確認されている。最もよく見られる生理学的基質はプラスミノゲンで、これは不活性な酵素前駆体であり、セリンプロテアーゼの1つであるプラスミンを形成する。プラスミンの活性化は一連のタンパク質分解反応によって行われ、血栓溶解や細胞外マトリックスの分解が関与する生理学的環境に依存する。また血管の病気やがんにつながる。」の記述がある。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BC)
(4)「がん情報サイト」中の「PDQR*日本語版 がん用語辞書」において、「ウロキナーゼ」の項目のもと、「腎臓で作られる酵素であり、尿中に認められる。この酵素の類似物質は製造ラボで合成され、血栓の溶解や形成防止に用いられる。「u-plasminogen activator(u-プラスミノーゲン活性化因子)」、「uPA」、「urokinase-plasminogen activator(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子)」とも呼ばれる。」の記述がある。 *Rの文字は○で囲まれた文字。
(http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/dictionary/detail.jsp)
3 「スリム」及び「slim」の語について
(1)「【slim】細いさま。ほっそりしたさま。」(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)
(2)「ほっそりした,細い,すんなりした,きゃしゃな.」(「講談社英和中辞典」株式会社講談社 1994年11月28日発行)
4 「ドレーン」の語について
(1)医療用の排液管(「大辞林第3版」株式会社三省堂 2006年10月27日)
(2)創傷部にたまった液、尿などの排出に用いる排液管(「大辞泉増補・新装版」株式会社小学館 1998年12月1日)
(3)「わかるおとなの医療事務用語辞典」のウェブサイトにおいて、「ドレーンとは、創傷部や体腔内に貯留する血液や浸出液を対外へ排出するために、用いられるゴム製またはシリコンなどでできた合成樹脂性のゴムのことをいう。」の記述がある。
(http://otona.wablog.com/61.html)
5 「ドレーン」の形状について
(1)「医師に相談できるQ&Aサイト アスクドクターズ」のウェブサイトにおいて、「ドレーンの太さや、傷の具合」の見出しのもと、「ドレーンにも細いものから太いものまであるので、細いものだと、縫合しないこともあります。また、挿入期間が短期間だったり、特に合併症のない方で縫わない方が傷の治りが早いもしくは綺麗になるだろうと思われた時には、縫わないです。」の記述がある。
(http://www.askdoctors.jp/qa/breathing-asthma-and-no-smoking/lung-disease/m2790035.do)
(2)「財団法人永頼会松山市民病院呼吸器外科」のウェブサイトにおいて、「胸腔鏡手術のクリニカルパス」の表題のもと、「ドレーン類」の項目に「胸腔ドレーン(細い管)」及び「胸腔ドレーン(太い管)」の記述がある。
(http://www.matsuyama-shimin-hsp.or.jp/contents/sinryouannai/surg/thoracic_surg/clinical%20path(VATS_Pt).pdf)
(3)「Yasumiclinic」のウェブサイトにおいて、「ドレーン:他院と異なり、ドレーン(水溶液等の排出管)の極細のものを翌日まで入れておきます(平成8年、12年学会発表)。これによりドレナージ(排出)良好で手術翌日から腫れが少なく、術後の回復も早まります、熱感、硬結も軽度で済みます。ドレーンの跡は残りません手術後はエンダモロジーや専用トリートメントでアフターケア」の記述がある。
(http://www.dr-kimura.com/shinryou/ls.html)
(4)「日本肺癌学会」のウェブサイトにおいて、「O−246.80歳代で他臓器浸潤や肺内転移を伴わないcN0M0肺癌症例をいかに治療するか」の表題のもと、「08年から極細径胸腔ドレーンを採用,術翌日に空気漏れがあればミノマイシンを胸腔内注入.」の記述がある。
(http://haigan.kyorin.ne.jp/am/2010a/10a_gol52000O-246.html)
(5)「肺がんには負けない!」のブログサイトにおいて、「胸腔ドレナージ」の表題のもと、「肺がん手術後では胸腔内に溜まった胸水や空気をドレーンに抜かないといけない その治療を胸腔ドレナージというのだが胸腔ドレーンにはサイズが複数あるようだ 取り扱うサイズの選び方というのは医師によって違っているのを過去2度の手術で知ったのだ」の記述がある。 (http://oh-manuke.blog.ocn.ne.jp/blog/2010/10/post_7e0b.html)
(6)「呼吸器内科医」のブログサイトにおいて、「細い胸腔ドレーンの方が、胸水感染症のアウトカム改善と疼痛軽減のためにはよい 」及び「結論としては、チェストチューブサイズを太くしても臨床的なアウトカムに差はみられず、むしろ細い方(10Fr未満)が痛みが少ないという結果が出た。」の記述がある。
(http://pulmonary.exblog.jp/12318171/)
6 「ウロキナーゼ」と「ドレーン」の関連性について
(1)「国立情報学研究所論文情報ナビゲータ[サイニィ]」において、「腹腔内留置ウロキナーゼ固定化ドレーンの有用性」の論文名のもと、「(略)ドレーンが血液塊で閉塞し排液不能にならないようウロキナーゼ固定化ドレーンを留置しているが、今回は開腹手術例に対する同ドレーンの有用性について報告する。」及び「ドレーンは塩化ビニル製でGantrez被膜にて被われ、このGantrezを介してウロキナーゼをペプチド結合させ固定した」の記述がある。
(http://ci.nii.ac.jp/els/110001356116.pdf?id=ART0001754540&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1308047100&cp=)
(2)「第111回日本外科学会定期学術集会」のウェブサイトにおいて、「呼吸器外科領域におけるウロキナーゼ固定化ポリウレタン製スリット型ドレーンの使用経験」の表題のもと、「呼吸器外科領域におけるウロキナーゼ抗血栓加工ポリウレタン製スリット型ドレーン(UKドレーン)の認容性試験を行った.20例に対して閉胸時UKドレーン24Frを1本留置し,(略)UKドレーンは呼吸器外科術後において安全に使用可能.」の記述がある。
(https://infosesa.com/jss2011/home/showdetail/6012)
(3)「看護学生 相談の部屋」のウェブサイトにおいて、「胸腔ドレナージについて教えてください」の質問項目のもと、「膿胸の診断で、胸腔ドレナージをしている患者さんがいます。挿入2日後から3日間、ドレーンから胸腔内にウロキナーゼを投与して3時間クランプ後開放という処置がありました。なぜウロキナーゼを投与するのかがどうしてもわかりません。」の記述がある。
(http://31008.webspace.ne.jp/rental/icon_tree_bbs/bbs.php?bbs_id=31008&mode=p&no=299)
第4 請求人の意見の要旨
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成23年7月28日付けの意見書を提出し、以下の主張をし、証拠方法として、甲第4号証ないし甲第6号証を提出するとともに、前記第1のとおり、同日付けの手続補正書を提出し、指定商品の補正を行っている。
本願商標は、一体不可分の造語であり、分断したそれぞれの構成語が意味を有するとしても、一体としては特定の観念を生ずることはない。
また、構成中の「UK」の文字は、一般的には「イギリス」を指すものであるが、請求人を欧文字2字で示す場合の文字としても、業界内にも浸透している。
さらに、請求人は、本願商標の指定商品を「ウロキナーゼ固定化抗血栓性スリット型排液用カテーテル」に補正したことから、商標法第4条第1項第16号の理由は解消している。
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
第5 当審の判断
本願商標は、「UKスリムドレーン」の文字を横書きしてなるところ、前記第3によれば、その構成中の「UK」の文字は、「血栓溶解剤」を指称する「ウロキナーゼ」の略語として、その構成中の「ドレーン」の文字は、「医療用の排液管」を指称する語として、また、その構成中の「スリム」の文字は、「細い」を意味する語として、それぞれ広く知られる語であるから、本願商標は、上記「UK」、「スリム」及び「ドレーン」の3つの語を結合したものと容易に認識させるものである。
そして、「ドレーン」の形状には、細い形状のものも認められ(前記第3の5)、また、ウロキナーゼに用いる「ドレーン」が存すること(前記第3の6)からすれば、「UKスリムドレーン」の文字に接した取引者及び需要者は、「ウロキナーゼに用いる細い形状の医療用の排液管」の意味合いを容易に理解するものとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品である「ウロキナーゼ固定化抗血栓性スリット型排液用カテーテル」について使用するときは、上記のごとく、商品の品質を表示したものとして認識し理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、請求人は、本願商標の構成中の「UK」の文字は、一般的には「イギリス」を指すものであるが、請求人を欧文字2字で示す場合の文字としても、業界内にも浸透している旨主張し、それを裏付ける証左として甲第3号証を提出する。
しかしながら、商標を観察するにあたっては、その指定商品との関係から
その構成文字の意味合いを考察すべきであり、本願の指定商品である「ウロキナーゼ固定化抗血栓性スリット型排液用カテーテル」の取引者及び需要者は、医療について専門的な知識を有するものといい得ることからすれば、前記第3の1における「UK」の文字の医療関係の事典類への掲載例からみても「UK」の文字を、「ウロキナーゼ」の略語として捉えるものとみるのが自然である。
また、甲第3号証に掲載された「UK」の文字を冠する商品は、職権調査によれば、別掲(1)ないし(6)のとおり、いずれも「ウロキナーゼ」に関する商品であること、そして、前記第3の(2)のほか別掲(7)によれば、「ウロキナーゼ」に関する商品について、「UK」の文字を使用する者が他にも認められることからすれば、「UK」の文字は、請求人を示す略語としてでなく、「ウロキナーゼ」の略語として捉えられるものとみるのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
ところで、商標法第3条は「商標登録の要件」を規定するもので、同第1項に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができるとしている。そして、商標の登録要件を具備しない商標を同条第1項第1号から第5号に定め、同項第6号で「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」と規定している。この規定の仕方からみて、同項第1号から第5号は、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を例示的に列挙し、上記各号に規定するもの以外の「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を同項第6号にまとめて規定しているものといえる。すなわち、商標法第3条第1項第1号ないし第5号は例示的列挙であり、同項第6号は総括規定である。
そして、出願に係る商標が、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得る商標であるか否かについては、指定商品又は指定役務に関連する取引の実情等を考慮し、かつ、同項第1号から第6号までのいずれかの条項に該当するか否かについては、上記各号に例示された内容を踏まえた上で判断し、当該案件についてより適切な条項を選択して適用するものである。一方、出願に係る商標が自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであっても、特に、後述するように、商標法第3条第1項第3号に規定するいわゆる「記述的商標」といえるか否かというような場合は、当該商標が上記各号の例示に直ちに当てはまるとは限らず、審査と審判の判断が相違する場合もあり得ると解すべきである。
そうとすれば、本件については、上記のとおり、本願商標が商品の品質を表示しているものとして認識されるにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当すると判断したのであり、原査定とは適用条項が異なるものの、自他商品識別標識としての機能を果たさない商標と判断したことには何ら変わりはなく、この認定判断において、原査定と相違するものではない。
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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