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Trademark Appeal Case

ハイテンションの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−13505(T2009−13505/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ハイテンション」の片仮名及び「Hi−Tension」の欧文字を二段に横書きしてなり、第24類及び第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年8月19日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、当審における平成23年7月11日付けの手続補正書により、第24類「伸縮性のある編物」及び第25類「スパンデックス繊維を用いた伸縮性のある女性用ズボン」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は『ハイテンション』の片仮名と、『Hi−Tension』の欧文字とを、普通に用いられる方法で上下二段に書してなるところ、該文字は、本願指定商品を取り扱う業界において、高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用した衣服等を指称する語として一般に使用されている実情があることからすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者・取引者は、当該商品が高い伸縮性を有するものであることを認識するにとどまり、また、これを上記商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといえる。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知の要旨

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、平成22年12月13日付けの意見書において、以下のように意見を述べている。

(1)「ハイテンション」「High−tension」の語が用いられた各種情報が提示されているが、かかる情報をみるとそのすべてにおいて、「伸縮性があって・・・」「伸縮性に優れる」「伸びが強い」「伸長率が高い」などといった修飾文句が付されていることから、当該文字から漠然と「高い伸縮性を有する生地」「高い伸縮性を有する生地を使用した衣服」の如き意味合いを想起させる場合があるとしても、そのような意味を表す用語として定着してないからこそ、上記修飾文句が必要となっているとみるのが自然であり、本願商標が何らかの暗示的な意味合いを認識させることがあったとしても、具体的な商品の品質を直接的に表示しているということにはならない。

(2)「ハイテンション素材」「ハイテンション生地」といった表現が用いられているが、これは事業者が品質の高い請求人商品を素材として用いていることを需要者に向け強くアピールすることを企図しているにすぎず、品質を表すためではなく、請求人商品を使用していることを示すために採られた表現方法である。

(3)「高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用したパンツ」といった意味を表す際、「ハイテンション」「High−tension」ではなく、「ストレッチパンツ」の語が用いられるのが普通である。

(4)以上のことから、本願商標「ハイテンション」「Hi−Tension」については、これを指定商品について使用した場合、少なくとも直接的かつ具体的に商品の品質を表示するというようなことはなく、「高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用した衣服」の意味を表すものとして一般的に用いられているということもない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、「ハイテンション」の片仮名と「Hi−Tension」の欧文字を二段に横書きしてなるところ、本願商標の構成中「ハイ」及び「Hi」の語は、「高度の、高性能の」の意味を有する英語「high」の略語で、複合語をつくるものとして広く親しまれているものであり、「テンション」及び「Tension」の語は、「伸張、張力、ぴんと張ること」等の意味を有し、その構成全体から「高い伸張、高い張力」程の意味合いを容易に看取するものである。

また、本願指定商品を取り扱う業界において、「ハイテンション」や「High−tension」等の文字が、「高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用した衣服」を表す語として使用されている実情が、前記3の証拠調べ通知に示した事実によっても認められるところである。

そうとすれば、本願商標は、「ハイテンション」の片仮名と「Hi−Tension」の欧文字とを普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、本願商標を、その指定商品「伸縮性のある編物」及び「スパンデックス繊維を用いた伸縮性のある女性用ズボン」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、単に、「高い伸縮性を有する商品」であることを表したものであって、当該商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項について

請求人は、「近時のストレッチ製品の需要の高まりに応じ、その数量や全体の販売実績は、その販売開始時に比べ3〜4割の拡大を見せている。その結果、『ハイテンション』『Hi−Tension』は、出願人の商品の独自の商標として広く知られており、本願指定商品に使用した場合、これに接する需要者・取引者において、それが出願人会社の取扱に係る商品であることを表示するものと認識するほどに至っているものである。」旨述べ、その根拠となる証拠として、原審において甲第8号証ないし同第10号証並びに当審において同第63号証ないし同第65号証及び同第81号証ないし同第85号証を提出している。

ところで、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要する。甲第8号証によれば、使用商標は「日本製 High−tension Stretch」「超ハイテンション/美脚ストレッチ/ブーツカットパンツ」「日本製の”ハイテンション美脚パンツ”が」「全方向ハイテンションストレッチ・・・」「全方向ハイテンションストレッチブーツカット[日本製]」の文字からなるものであり、これらは、本願商標とはその構成態様が異なり、当該文字以外の文字も併せて使用されているものであるから、本願商標と同一のものということはできないものである。

また、甲第9号証、同第10号証及び同第63号証によれば、使用商標は、片仮名で表示されたもののみであり、本願商標と同一のものということはできないものである。

なお、甲第8号証及び同第9号証によると、当該使用商標の使用者は、それぞれ合資会社糸重及び株式会社由永縫製であり、請求人より商品を仕入れて販売を行っている者であって、請求人とは異なる者であるため、当該商標の使用が請求人によるものと認めることはできない。

以上の点よりすれば、本願商標は、使用をされた結果、識別力を有するに至った商標とは認められない。

さらに、提出に係る各証拠よりは、国内販売量等についての客観的裏付けがなく、提出された売上実績(甲第64号証)中にも、本願商標の表示が認められないことから、使用の状況を示すものとしては不十分であるといわざるを得ない。

そうすると、その使用商標は、出願商標とは同一のものではなく、本願商標が使用された結果、審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。

さらに、請求人から提出された証明書(甲第65号証、同第81号証ないし同第85号証)は、いずれも画一的な証明内容について、請求人の取引者等が、単に署名捺印したものであると認められるものであって、これら証明者がいかなる根拠をもって、需要者に広く認識されているものであることを証明したのか、その証明の客観的な根拠が明らかではないこと、また、証明に係る商標も、本願商標とその構成を異にすることから、これらの証明書の証拠価値を高く評価することはできない。

したがって、仮に、商標法第3条第2項の適用を主張するものとみるとしても、その使用商標は、出願商標とは同一のものではないから、結局、本願商標は、同項の要件を具備するものということもできない。

(3)請求人の主張について

ア 前記3の証拠調べに示した事実のいくつかは、明確な特定の意味合いを有しない「ハイテンション」という文字に、あえてその具体的な内容を説明する修飾語句を付すことで、その文字の意味を特定しているものであり、かかる使用例において「ハイテンション」の文字が何らかの暗示的な意味合いを認識させることがあったとしても、それ自体が具体的な商品の品質を直接的に表示しているということにはならない旨述べている。

しかしながら、本願商標が既成の語ではないとしても、前記5(1)のとおり、本願商標は、既成の語である「ハイ」及び「Hi」の文字と「テンション」及び「Tension」の文字からなることが容易に看取、認識され、かつ、「ハイ」「Hi」の語は、複合語を作るものであることからすれば、「ハイ」「Hi」の語と「テンション」「Tension」の語の有する意味から前記5(1)のとおりの意味合いを、取引者、需要者は一般に認識するものというのが相当であって、当該意味合いは、漠然とした意味合いを暗示させるものではなく、商品の品質を直接的に表示したものというべきである。

イ 請求人は、商品の品質が「高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用した衣服」を需要者・取引者に訴えたいのであれば、「ストレッチパンツ」といった表現が用いられるべきであるから、本願商標「ハイテンション」「Hi−Tension」については、これを指定商品について使用した場合、少なくとも直接的かつ具体的に商品の品質を表示するというようなことはなく、また、「高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用した衣服」の意味を表すものとして一般的に用いられているということもない旨述べている。

しかしながら、「高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用した衣服」の意味を表す際に、「ストレッチパンツ」等の文字を使用している場合があったとしても、それだけで、「ハイテンション」「High−Tension」の文字から「高い伸縮性を有する生地・織物や、それらを使用した衣服」が認識されるとする前記認定は妨げられるものではなく、また、前記3の証拠調べに示した事実に照らせば、「ハイテンション」「High−Tension」の語は、各新聞記事等において、単に上記意味合いを暗示させるような使用にとどまらず、上記の意味合いを直接的かつ具体的に表示するような用法で使用されていることが明らかというべきである。

なお、請求人は、前記3の証拠調べに対して、平成22年12月13日付けの意見書及び平成23年7月11日付けの上申書を提出し、当該証拠調べに示した事実のいくつかは、請求人会社の商品自体のことを表したものである旨述べ、その根拠となる証拠として、当審において甲第69号証ないし同第75号証及び同第87号証ないし同第114号証を提出している。

そこで、請求人の提出した証拠を検討するに、提出に係る証拠のうち、請求人の名称の表示がなく、請求人との関係が不明なものや本願商標の使用がなく、納品状況が不明なものが含まれており、請求人の商品自体を表したものであるというには不十分といわざるを得ない。

したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(4)むすび

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでもないから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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