1 本願商標
本願商標は,「喜乃菓」の文字を標準文字で表してなり,第30類「洋菓子,その他の菓子及びパン」を指定商品として,平成22年7月21日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において引用した登録第5114248号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成19年7月26日に登録出願,第30類「菓子及びパン」を指定商品として,平成20年2月29日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,原査定は,引用商標からは「キノカ」の称呼をも生ずるとした上で,本願商標と引用商標は,「キノカ」の称呼において互いに紛らわしい類似の商標であるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当すると認定,判断したものである。
3 当審の判断
引用商標は,別掲のとおり,「富之助」の文字を,筆書き風に,大きく肉太で縦書きし,その下に比較的小さく「の」の文字を書した上で,「紀の香」の文字を,「富之助」の文字に比して小さく,また,「富之助」の文字より低い位置(「之」の文字の辺り)から書き始めて,縦書きしてなるものである(なお,「紀」の文字は,行書体風に書されている。この審決においては,便宜上「紀の香」と表す。)。
そこで,引用商標から生ずる称呼についてみるに,引用商標は,「富之助」の文字の下に「の(助詞)」があるため,「富之助」の文字から「紀の香」の文字へと続けて読まれるというのが自然である。
そうすると,引用商標からは,構成文字全体より「トミノスケノキノカオリ」,「トミノスケノキノコウ」又は「トミノスケノキノカ」の称呼が生ずるものといえる。
また,引用商標中「富之助」の文字は,「紀の香」の文字部分よりも高い位置に,大きく,肉太に,かつ,やや特徴的な筆書き風の書体で表されているから,極めて印象的で記憶に残りやすい部分といえる。
これに比して,「紀の香」の文字部分は,「富の助」の文字部分よりも低い位置に,小さく,細くかつ特徴的とはいえない書体で表されているから,看者に強い印象を与えるものとはいえない。
そうすると,引用商標に接する取引者,需要者は,引用商標全体をもって取引するほか,印象的で記憶に残りやすい「富之助」の文字部分のみを捉えて取引することがあったとしても,強い印象を与えない「紀の香」の部分を,殊更に分離,抽出して取引するとはいえない。
してみれば,引用商標は,構成文字全体より「トミノスケノキノカオリ」,「トミノスケノキノコウ」又は「トミノスケノキノカ」の称呼が生ずるほか,「富之助」の文字部分より「トミノスケ」の称呼が生ずることはあっても,単に「キノカ」の称呼は生じないというのが相当である。
したがって,引用商標から「キノカ」の称呼をも生ずるとし,その上で,本願商標と引用商標は称呼上類似のものであるとし,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は,妥当でなく,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。