Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出と類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900200(T2011−900200/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5397763号商標(以下「本件商標」という。)は、「さくら学院」の文字を標準文字で表してなり、平成22年8月23日に登録出願、第9類「眼鏡」、第14類「キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙類,文房具類,印刷物,写真,写真立て」、第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,布製ラベル」、第25類「履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第26類「テープ,リボン,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花,靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」を指定商品として、同23年2月8日に登録査定、同年3月11日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、別掲1ないし8に示すとおりの商標並びに商品及び役務を登録商標並びに指定商品及び指定役務とする登録第5042410号商標(引用商標1)、同第5333471号商標(引用商標2)、同第4824237号商標(引用商標3)、同第5255208号商標(引用商標4)、同第5333470号商標(引用商標5)、同第5318610号商標(引用商標6)、同第2539444号商標(引用商標7)、同第5316703号商標(引用商標8)、同第464603号商標(引用商標9)、同第542443号商標(引用商標10)、同第542444号商標(引用商標11)、同第542446号商標(引用商標12)、同第4033620号商標(引用商標13)、同第5268517号商標(引用商標14)、同第5313432号商標(引用商標15)、同第5313433号商標(引用商標16)及び同第2492720号商標(引用商標17)であり、いずれも有効に存続しているものである(以下これらをまとめて「引用各商標」という場合がある。)。
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第48号証を提出している。
(1)引用商標及び「サクラ」について
申立人は、文房具類及び描画材料等の製造、販売を行う総合メーカーとして、我が国有数の存在である。
引用商標1、2、4ないし6、8、14ないし16は、申立人のハウスマークとして位置付けられており、その指定商品に限らず、様々な商品に使用されており、その商品は、日本各地に有する支店や営業拠点を通じて、全国で流通している。
したがって、申立人のハウスマークである上記各引用商標は、取引者、需要者の間で申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されるに至っている著名な商標である。
また、「サクラ」の片仮名は、申立人の著名な略称である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「さくら学院」の文字からなるところ、「さくら」の文字部分が平仮名で表されているのに対し、「学院」の文字部分は漢字で表されていることから、これらは、視覚的に分断して認識されるものである。
また、称呼に関しても、「サクラ」の音が日本語としてなじみのある言葉であることから、「サクラ」と「ガクイン」とを分けて認識するのが自然である。
さらに、観念に関しても、「学院」は学校を表す言葉であり、「さくら」は花や木を表す言葉(申立人の著名商標も想起させる。)であって、いずれもよく知られた観念であることから、それぞれが独立して認識されるものである。
そして、「サクラ」は、上述のとおり、申立人のハウスマークであって著名な商標であるから、本件商標が申立人の取扱商品やこれに近しい商品に使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「さくら」の文字部分に注目する。
以上によれば、本件商標は、引用各商標と類似する商標であり、また、本件商標に係る指定商品中には、引用各商標に係る指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品が含まれている。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1、2、4ないし6、8、14ないし16は、上記(1)のとおり、申立人のハウスマークであって、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、申立人の著名商標である。
また、本件商標に係る指定商品中の異議申立てに係る指定商品は、申立人の取扱商品と同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号について
「サクラ」の片仮名は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、申立人の著名な略称として知られている。
そして、本件商標は、平仮名と片仮名の違いこそあれ(この違いは、社会通念上同一の範囲である。)、申立人の著名な略称を含むものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「さくら学院」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、また、その構成全体から生ずる「サクラガクイン」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本願商標の構成中の「学院」の文字は、「学校」の異称として一般に広く知られている語であって、例えば、「○○学院」のように、他の語(「○○」の部分)と結合して、全体として学校名を表す語として用いることがしばしば行われているところである。
そうとすると、本件商標は、「さくら」の平仮名と「学院」の漢字とを結合してなるものであるとしても、かかる構成においては、そのいずれかの文字部分が看者の注意を強く引くことはなく、その構成全体をもって「さくら学院」という学校名を表したものとして認識される場合も決して少なくないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成全体に相応する「サクラガクイン」の称呼のみを生じ、「(学校名としての)さくら学院」の観念を生ずるものである。
イ 引用各商標
引用商標1ないし17は、それぞれ別掲のとおり、「SAKURA」、「サクラ」(縦書き又は横書き)、「さくら」(標準文字又は縦書き)又は「櫻」の文字を書してなるものであるから、これより、いずれも「サクラ」の称呼及び「(花木の)桜」の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用各商標との対比
(ア)外観
本件商標は、「さくら学院」の文字を標準文字で表してなるのに対し、引用各商標は、それぞれ「SAKURA」、「サクラ」(縦書き又は横書き)、「さくら」(標準文字又は縦書き)又は「櫻」の文字を書してなるものであるから、外観上、これらが互いに紛れるおそれはない。
(イ)称呼
本件商標から生ずる「サクラガクイン」の称呼と引用各商標から生ずる「サクラ」の称呼とは、前者の後半部において「ガクイン」の音が存することに顕著な差異を有するものであるから、該差異音の有無が両称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合には、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聴き誤るおそれはない。
(ウ)観念
本件商標は、その構成全体に相応する「(学校名としての)さくら学院」の観念を生ずるのに対し、引用各商標は、いずれも「(花木の)桜」の観念を生ずるものであるから、観念上、これらが互いに紛れるおそれはない。
(エ)以上によれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用各商標とは、上記(1)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
また、申立人の提出に係る証拠のうち、本件商標の登録出願日(平成22年8月23日)以前に係るものであることを確認できるものは、わずかに甲第5号証、甲第9号証及び甲第29号証ないし甲第31号証にとどまり、かつ、これらをみても、申立人の会社概要を紹介する記述であって引用各商標のいずれの使用も見当たらないもの(甲第5号証)、申立人の業務に係る商品「4色油性ボールペンとシャープペンシル(0.5mm)の機能を併せ持つ筆記具」の広告欄の左上隅に別掲1の商標が使用されているもの(甲第9号証)、平成22年3月5日付けの業界紙「オフイスマガジン(増刊号)」に掲載された記事の見出しにおける「サクラ 角型形状で多彩な表現」及び「サクラ 人気クリエイターがデザイン」の記載(甲第29号証及び甲第30号証)並びに同月15日付けの業界紙「オフイスマガジン」に掲載された記事の見出しにおける「サクラ 植物由来の樹脂を使用」の記載(甲第31号証)があるにすぎないものであるから、これらをもって、引用各商標が、申立人の業務に係る商品について使用され、本件商標の登録出願時に既に需要者の間に広く認識されていたと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠も見いだせない。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第8号該当性について
申立人は、「サクラ」の片仮名が、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても、申立人の著名な略称として知られていたことからすれば、本件商標は著名な略称を含む商標である旨主張するが、商標法第4条第1項第8号の趣旨は、他人の人格権を保護するものであり、同号が、他人の名称について著名性を要件としていないのに対し、他人の略称についてはこれを要件としているのは、略称については、これを使用する者がある程度恣意的に選択する余地があること、そして、著名な略称であって初めて名称と同様に特定人を指し示すことが明らかとなり、氏名と同様に略称が保護されるべきことによるものと解される(東京高裁平成13年(行ケ)第387号参照)ところ、申立人の名称が「株式会社サクラクレパス」であって、その略称は、会社の種類を表す「株式会社」の文字部分を捨象した「サクラクレパス」の文字部分というのが相当であることに加え、「サクラ」の文字は、看者をして、容易に「(花木の)桜」を片仮名で表したものとして認識され得るものであり、また、上記(2)において述べたとおり、申立人の提出に係る証拠のうち、本件商標の登録出願日以前のものはわずかにとどまり、かつ、その内容をみても、「サクラ」の片仮名が申立人の略称として取引者、需要者に広く認識されていると認めることができないものであることからすれば、本件商標の構成中の「さくら」の文字が商標法第4条第1項第8号にいう「他人」に該当するとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第8号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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