Trademark Appeal Case
結合商標の一体不可分性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900263(T2011−900263/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5407220号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字により「ロフトくん」と表した構成よりなり、平成22年10月30日に登録出願、同23年3月28日に登録査定され、第6類「金属製の階段及びその部品,その他の建築用又は構築用の金属製専用材料」及び第19類「階段及びその部品(金属製のものを除く。),その他の木材,建具(金属製のものを除く。),合成建築専用材料,建築用ガラス」を指定商品として、同年4月15日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)「ロフト(LoFt)」の著名性について
「ロフト」の文字は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)である「株式会社ロフト」の略称であり、かつ、申立人の経営する我が国最大の雑貨専門店の店舗名称の略称でもある。その店舗群は、店舗のある地名に「ロフト」の文字を結合してなり、一般には「ロフト」と称されており、「ロフト」又は「LoFt」と表記されている。この法人名称の略称又は店舗名称の略称は、申立人によって永年使用されることにより、本件商標の出願時及び査定時のいずれにおいても周知・著名になっている。その事実は、甲各号証等からすれば明らかである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標の「ロフト」の部分は、申立人「株式会社ロフト」の著名な略称と認められ、又は、申立人の経営する雑貨専門店の店舗名称の著名な名称でもある。しかも、本件商標の出願書類等には申立人の承諾書は提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標の「ロフト」の部分は、少なくとも商品「雑貨」等については周知・著名商標と認められることから、本件商標が「ロフト」と「くん」とを結合して擬人化した商標と認められるとしても、これを本件商標の指定商品に使用した場合、申立人と何らかの関係のある販売者等の業務に係る商品であるかのごとく商品の販売者等について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当するから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、「ロフトくん」の文字よりなるところ、その構成は「屋根裏部屋、倉庫などの上階」の意味を有する「ロフト【loft】」(広辞苑第五版)と、「同輩や同輩以下の人の氏名の下に添える語」の意味を有し(同書)、しばしば人名以外の事物や物事などの語に付して愛称的に用いられる「くん」の文字とを一連に結合したものであって、抽象的なものとはいえ、全体として擬人化された一つの名称を表したものと把握されるとみるのが自然である。
そして、「ロフト」の語は、上記のとおり「屋根裏部屋」の意味を有し、建築業界やその分野では建物の構造に係る語として普通に使用されているといえるものであって、かつ、これを本件商標の指定商品である階段及びその部品、その他の建築用又は構築用の専用材料や建築資材に使用した場合には、その用途を表示したものとして理解されることも決して少なくないといえるものであるから、その文字自体を自他商品の識別性の点からみれば、本来的にはその識別力はないか、あるいは極めて弱いものであるというのが相当である。
してみれば、本件商標は、構成文字全体をもって、「ロフトクン」と称呼され、抽象的なものとはいえ「ロフト(屋根裏部屋)くん」程の一体不可分の造語を表したと認識されるものであり、その構成中の「ロフト」の文字部分のみが独立して把握、認識されるということはできない。
そうすると、本件商標の構成文字より「ロフト」の文字部分のみが殊更に分離、抽出されて、申立人の略称を表すものとして認識されるとはいい難く、また、申立人に係る雑貨専門店の店舗名称を含むものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
「LOFT(LoFt)」又は「ロフト」が申立人の営業に係る雑貨専門店の店舗名称ないしその専門店に係る小売の役務を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、上記(1)の認定のとおり、「ロフト」の文字(語)は、「屋根裏部屋」の意味を有するのみならず、本件商標の指定商品との関連からして、建物の構造に係る用途表示をも理解させることのある語であって、さらに、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語を表したと認識されるものであり、その構成中の「ロフト」の文字部分がこれらの用語としての理解を超えて、独立した自他商品の識別標識として把握、認識されることはないというべきであるから、本件商標から申立人に係る雑貨専門店の店舗名称ないしその専門店に係る小売の役務を表示する商標が連想、想起されるとすることはできない。
そうすると、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。