Trademark Appeal Case
著名商標の称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900171(T2011−900171/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5389323号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成22年3月31日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,仮装用被服」を指定商品として,同年12月21日に登録査定,平成23年2月10日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下のとおりであり,それらの商標権は,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1628815号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲(2)のとおり
登録出願日:昭和38年 5月20日
設定登録日:昭和58年10月27日
書換登録日:平成17年 1月26日
指定商品 :第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(2)登録第1668555号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(3)のとおり
登録出願日:昭和55年 9月 5日
設定登録日:昭和59年 3月22日
書換登録日:平成17年 7月27日
指定商品 :第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(3)登録第2669139号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲(4)のとおり
登録出願日:平成 4年 2月 7日
設定登録日:平成 6年 5月31日
書換登録日:平成18年 2月22日
指定商品 :第6類,第14類,第18類,第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(4)登録第2693674号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲(4)のとおり
登録出願日:平成 3年11月29日
設定登録日:平成 6年 8月31日
書換登録日:平成18年 1月25日
指定商品 :第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(5)登録第4859604号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「セブンアップ」と「7UP」の二段書き
登録出願日:平成16年11月25日
設定登録日:平成17年 4月22日
指定商品 :第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
3 登録異議の申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,その構成中に「7’up」の文字を含むものであり,そこから「セブンアップ」の称呼を生じるため,申立人の業務に係る商標であって,本件商標の指定商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されている商標「7UP」と類似するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,引用商標1ないし5と類似する商標であって,その指定商品も類似する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は,引用商標1ないし5の権利者の親会社であり,日本において商標「7UP」を使用する権利を有する。
本件商標は,引用商標1ないし5と称呼において類似し,また,申立人が使用する著名商標「7UP」を一部に有するものであるから,本件商標がその指定商品に使用された場合には,上記商品が申立人又は引用商標1ないし5の権利者と何らかの関係があるものと誤認されるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,申立人が使用する著名商標「7UP」を一部に有するものであり,本件商標がその指定商品に使用された場合,申立人が清涼飲料について使用している著名商標「7UP」の出所表示機能が希釈化されるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は,別掲(1)のとおり,3重線からなる円(下部に「CHIBILER」の文字が配されている。)の内側から,西洋兜を被り擬人化した動物が,首から上の部分と親指を立てて片手を差し出したようにみえる図形(以下「円図形」という。),その図形の左上方に配された漫画の吹き出しのようにみえる図形(内部に「7’up」が配されている。以下「吹き出し図形」という。),及びこれらを繋ぐようにして配された円図形に接着した部分から徐々に大きさを大きくして表された4個の黒丸からなるものである。
そして,本件商標の構成にあって,円図形の部分は,本件商標の中心に吹き出し図形に比して大きく顕著に表され,需要者に対し強く支配的な印象を与えるのに対し,吹き出し図形の部分は,円図形に接着した部分から徐々に大きさを大きくして表された4個の黒丸によって繋がれ,円図形の付記部分と認識されるものとみるのが自然である。
そうすると,本件商標に接する需要者は,これをその構成全体をもって一体のものとして把握するか,あるいは,中央に顕著に表された円図形の部分に着目することはあるとしても,殊更,吹き出し図形の部分に着目し,かつ,その内部に表された「7’up」をもって取引に当たるとはいい難い。
してみれば,本件商標は,特段の事情がない限り,その構成中の「7’up」の部分が独立して出所識別標識としての機能を果たすことはないものとみるのが相当である。
そこで,以下,申立人が周知・著名であると主張する商標「7UP」について検討する。
(2)「7UP」の周知・著名性について
申立人の提出した甲各号証及び主張によれば,「7−Up」は,米国のThe Seven−Up Co.の略・通称であって,同社製の清涼飲料(以下「使用商品」という。)を示すものであること,そして,申立人は,使用商品の商標を日本において使用する権利を有する者であること,また,日本では,1957年に日本セブンアップ飲料が設立され使用商品の販売が開始されたこと,その後,1998年にサントリー(現サントリーホールディングス)が使用商品を含む申立人製品の販売権を獲得し,以降,使用商品は,サントリーの自動販売機で売られていること,さらに,2010年7月に,「セブンアップクリアドライ」が発売されたことなどが認められる(甲4ないし14)。
そこで,まず,使用商品に使用する商標についてみると,甲各号証のいずれにおいても,本件商標の構成中の「7’up」と同様の「7」と「up」の文字を「’(アポストロフィ)」で繋いだ構成からなる商標の使用の事実を確認することができないから,少なくとも,本件商標の構成中の「7’up」が,申立人の業務に係る商品(使用商品)を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
そして,甲第7号証に示された使用商品及び前記の「セブンアップクリアドライ」における商標の使用状況から,引用商標3及び4の中央に表示された「7とUPの文字を円によって繋いだようにみえる商標(円の位置は若干異なる場合がある。)」(以下「使用商標」という。)が1991年から日本において継続して使用されていることが推認される。
しかしながら,申立人からは,「セブンアップクリアドライ」のTVコマーシャルと思われる画面のコピー以外に(甲4,5,14),使用商標を使用した使用商品の日本における販売地域,販売数量,広告宣伝の方法やその回数などの具体的事実を立証する証拠の提出はない。また,引用商標1,2及び5を使用商品に使用している事実も確認できない。
そうすると,申立人提出の甲各号証からは,引用商標1ないし5及び使用商標が,申立人の業務に係る商品(使用商品)を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
また,申立人は,商標「7UP」が「被服」についても周知になっている旨主張するが,Tシャツの前面やタグなどに使用商標や「7UP」の文字が表示されている商品が販売されていることは確認できるものの(甲15),その使用のみによって,これらの商標が申立人の業務に係る商品(被服)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとは到底いえない。
したがって,本件商標の構成中の「7’up」,引用商標1ないし5及び使用商標が,本件商標の登録出願時及び登録時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたということはできない。
(3)本件商標と引用商標1ないし5及び使用商標の類否について
前記(2)のとおり,本件商標の構成中の「7’up」,引用商標1ないし5及び使用商標が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたといった特段の事情もないから,本件商標は,その構成中の「7’up」の部分が独立して出所識別標識としての機能を果たすものとはいえない。
そうすると,本件商標から「7’up」の部分を分離,抽出することができない以上,本件商標と引用商標1ないし5及び使用商標とが称呼及び観念ついて類似するとはいえず,また,両商標は,外観も明らかに相違する。
したがって,本件商標は,引用商標1ないし5及び使用商標とは,類似する商標ではない。
(4)商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同第19号該当について
前記(1)ないし(3)のとおり,本件商標は,引用商標1ないし5及び使用商標と類似する商標ではない。そして,引用商標1ないし5及び使用商標が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録時において需要者の間に広く認識されていたものとはいえない。
また,本件商標と使用商標とが混同を生ずるとすべき格別の事情も見いだし得ないから,商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者が使用商標を連想又は想起するとはいえず,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく,その商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。
さらにまた,申立人からは,商標権者が本件商標を不正の目的をもって使用するとする具体的な事実を立証する証拠の提出はなく,本件商標が不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するものではない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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