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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知性・不正目的

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900322(T2011−900322/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5416448号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5416448号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコウッド」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年6月18日に登録出願、第20類「木製の食品包装用容器」及び第21類「木製コップ,木製皿,木製重箱,木製べんとう箱,木製折り詰め箱,その他の木製食器類」を指定商品として、同23年4月20日に登録査定され、同年6月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。

(1)商標法第3条第1項柱書について

申立人は、木製の食品用容器(以下「申立人商品」という。)について、商品名「エコウッド容器」(以下「引用標章」という。)を平成21年4月に発表して販売を開始し、平成22年5月31日迄には10万個以上販売した。その18日後の平成22年6月18日に本件商標が出願された。

そして、引用標章を付して使用する申立人商品は平成23年6月1日迄には100万個以上販売され、また、平成23年5月26日には「第14回日食優秀食品機械資料・素材賞」に選ばれているところから、特に業界では著名である。

本件商標の商標権者が、その4日後の平成23年5月30日に商標登録料の納付を行ったのは、他人を困らせるためで民法第1条第2項の信義誠実に反するものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条柱書きの要件を具備しないものである。

(2)第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について

本件商標と引用標章とは、外観、称呼を共通にする類似の商標であり、また指定商品も同一又は類似である。

また、申立人は、申立人商品について引用標章を使用し、本件商標の出願日より前の約1年間には10万個以上販売された結果、引用標章は、本件商標の出願時には、需要者の間に広く認識されている。

そうすると、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者は、該商品が申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある。

さらに、商標権者の業務内容や「弁当用容器」の特許出願等(甲14ないし22)からすると、商標権者が「食品の木製容器」について非常に関心が高く、引用標章が、申立人商品を表示するものとして認識していたのは明らかであるから、商標権者が木製の食器等に商標権として本件商標を取得して使用する行為には、不正の目的がある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当する。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、同法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録を取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書きについて

申立人は、「本件商標『エコウッド』は、自分が使用するのではなく、他人が使用中の商標であり、その他人を困らせようとして出願した商標であるから、民法第1条第2項の信義誠実に反するものであること」を理由に、本件商標が商標法第3条柱書きの要件を具備しない」旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項柱書にいう「自己の業務に係る商品又は役務について使用する」とは、現に行っている業務に係る商品又は役務について、現に使用している場合に限らず、将来行う意思がある業務に係る商品又は役務について将来使用する意思を有する場合も含むと解されることから、仮に、商標権者が、現在本件商標の指定商品に係る業務を行っていないとしても、当該業務を将来行う意思があれば足るといえる。

加えて、商標権者のホームページの抜粋(写し)(甲14)によれば、業務内容欄に、「食品の容器・包装の製造と販売」の記載があることからも、商標権者が本件商標を将来使用する意思があることを否定することはできない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものではない。

(2)商標法第4条第1項第10号について

申立人は、「本件商標と引用標章とは、外観、称呼を共通にする類似の商標であり、また指定商品も同一又は類似である。また、申立人は、申立人商品について引用標章を使用し、本件商標の出願日より前の約1年間には10万個以上販売された結果、引用標章は、本件商標の出願時には、需要者の間に広く認識されている」旨主張する。

そこで、まず、本件商標の登録出願日前における引用標章の使用状況について、以下検討する。

申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、「紙器およびプラスチック製食品容器の企画・製造・販売」を業務内容とし、取扱商品の中には引用標章を使用する申立人商品が含まれていること(甲3)、2009(平成21)年5月25日付けの「包装タイムス」の新聞及び同年6月1日発行の「食品包装」の情報誌に、申立人が「エコウッド容器」の商品名で、早生木材パッケージ「シンゴン容器」の本格展開に乗り出したこと(甲6及び7)、2010(平成22)年4月5日付けの「包装タイムス」に、「デザインと品質、コストに優れた環境パッケージ」として、引用標章を使用する申立人商品が紹介されていること(甲8)、2010(平成22)年5月31日付けの「日本食糧新聞」に、引用標章を使用する申立人商品がJRグループの駅弁容器として採用されたことで注目が高まり、取り扱い量が10万個をこえたこと(甲9)が認められる。

そして、本件商標の登録出願日前における引用標章の周知性を立証するものは、以上のもののみであって、甲第10号証ないし甲第13号証の新聞、情報誌等は、いずれも本件商標の登録出願日後のものである。

そうしてみると、申立人は、2009(平成21)年5月頃、引用標章を使用する申立人商品の本格展開に乗り出し、その約1年後の2010(平成22)年5月頃には、その販売量が10万個をこえたとしても、引用標章を使用する申立人商品の本格展開から本件商標の登録出願日までの販売期間は、わずか約1年1か月と非常に短く、また、販売量10万個の市場独占シェアは不明であり、また、引用標章が新聞等に4回掲載されたことは認められるとしても、その回数は少なく、その他、販売地域、広告宣伝の方法や回数など、具体的に確認できるものはない。

そうとすると、引用標章は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

したがって、申立人が主張するように、本件商標と引用標章とが、類似の商標であるとしても、引用標章が、本件商標の登録出願時において、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について

前記(2)認定のとおり、申立人が主張するように、本件商標と引用標章とが、類似の商標であるとしても、引用標章は、本件商標の登録出願時において、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができない。

してみれば、本件商標に接する需要者は、引用標章を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

また、申立人は、商標権者の業務内容や「弁当用容器」の特許出願等(甲14ないし22)からすると、商標権者が「食品の木製容器」について非常に関心が高く、引用標章が、申立人商品を表示するものとして認識していたのは明らかであることを理由に、商標権者が木製の食器等に商標権として本件商標を取得して使用する行為には、不正の目的がある旨主張する。

しかしながら、商標権者の業務内容が「食品の容器・包装の製造と販売」であることや「弁当用容器」の特許出願等があるとしても、前記(2)認定のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時において、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないから、商標権者が、引用標章の存在を知った上で、引用標章に化体した業務上の信用を利用して不正の利益を得る目的や、引用標章の周知性の希釈化を図り申立人に損害を与える不正の目的等をもって本件商標を登録出願し、登録を受けたものとはいえない。

その他、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用するものであることを認めるに足る証拠はない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備していなかったものとはいえず、また、同法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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