Trademark Appeal Case
周知商標と複合商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900379(T2010−900379/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5349442号商標(以下「本件商標」という。)は、「BEST学院」の文字と「ベストワン」の文字とを二段に横書きしてなり、平成22年3月26日に登録出願され、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、同年7月21日に登録査定、同年8月27日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)本件商標は、「BEST学院」と「ベストワン」を横2段に表示したもので、「ベストガクイン」及び「ベストワン」の称呼を生じるものである。そして、登録第5198490号商標は、「ベストワン」の称呼を生じるものであるから、本件商標は、上記登録商標と類似するものであり、その指定役務も同一または類似の役務である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が「学習塾における教授」に使用し周知著名である「ベスト学院」と類似するものであり、指定商品も「学習塾における教授」で共通にするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 当審における取消理由
当審は、平成23年7月27日付けで商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消されるべきものと認める旨通知した。その取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)引用商標の周知性について
申立人の提出した甲各号証によれば、申立人会社は、昭和60年1月に福島県郡山市に設立された会社であって、小・中・高校生対象の学習進学塾の業務を行っているものであり(甲第12号証)、その業務に係る「学習塾における教授」を表示するものとして「ベスト学院」の商標(以下「引用商標」という。)を使用するとともに、パンフレット、チラシ、新聞、ウェブサイト等を通じた広告宣伝などに使用しているものである。そして、申立人の年商は、平成20年が7億4000万円、平成21年が7億9000万円であり、本件商標の登録出願当時には、開塾27年の実績を有し、福島県全域の50教室で授業を行っていること(甲第6号証)、その後2010年11月17日当時においてもその状態が維持されていること(甲第11号証)が認められる。
これらの事実によれば、引用商標は、申立人が「学習塾における教授」に使用する商標として、本件商標の登録出願時には、福島県の取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
ところで、商標法第4条第1項第10号で規定されている「需要者の間に広く認識されている商標」とは、必ずしも全国的に周知となっている商標のみならず、ある一地方で周知な商標をも含むものである。
そして、引用商標を使用する役務である「学習塾における教授」は、商品のように流通しない性格のものであり、通常、特定の店舗地において提供されるという役務の性質上、需要者が一定の地域に限定されるものであるから、このような取引の実情を考慮するならば、引用商標は、登録出願時及び登録査定時において、同号の要件を満たす程度の周知性を有しているものと認め得るところである。
(2)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、上述したとおり、「BEST学院」の文字と「ベストワン」の文字とを二段に横書きしてなるものであり、「ベスト学院」の文字部分と「ベストワン」の文字部分とが視覚上分離して把握できるものである。
また、「学院」の文字は、「学校の異称」(広辞苑 第6版)であり、知識の教授の役務の分野では、その役務提供の主体を表す名称として「○○学院」のように一般に使用されているものであるから、「ベスト学院」は、その提供者の名称のごとく認識されるものであり、一方、「ベストワン」の文字部分は、「最上、第1位」(コンサイスカタカナ語辞典 第4版 株式会社三省堂発行)を意味するものであり、誇称表示として使用されているものであるから、観念上も「ベスト学院」の文字部分が提供する役務の主体を表す部分と認識され、強い印象を与えるといえる。
そうとすると、本件商標は、「ベスト学院」の文字部分も自他役務の識別標識としての機能を有するものというべきであるから、その構成全体より、「ベストガクインベストワン」の称呼を生ずるほか、「ベスト学院」の文字部分より、「ベストガクイン」を生ずるものであり、また、「『ベスト学院』という名称の学校」の観念を生ずるものである。
一方、引用商標は、「ベスト学院」の文字よりなるから、「ベストガクイン」の称呼を生じ、「『ベスト学院』という名称の学校」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを対比するに、外観においては、本件商標中の「ベストワン」の文字部分の有無の差異はあるものの、「ベスト学院」の文字を共通とし、近似するものである。
そして、称呼及び観念においては、両者は、「ベストガクイン」の称呼及び「『ベスト学院』という名称の学校」の観念を共通にするものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において近似し、上記称呼及び観念を共通にするものであるから、互いに紛らわしい類似する商標というべきものである。
(3)本件商標の指定役務と引用商標を使用する役務との類否について
本件商標の指定役務は「 技芸・スポーツ又は知識の教授」であるのに対して、引用商標を使用する役務は「学習塾における教授」であるから、両者は、同一又は類似するものである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と類似する商標であって、引用商標に係る役務と同一または類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
4 商標権者の意見
上述した取消理由の通知に対し、商標権者は意見書を提出していない。
5 当審の判断
本件商標の登録は、前記3の取消理由のとおり、商標法第4条第1項第10号に違反してされたと認められる。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定に基づき、これを取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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