Trademark Appeal Case
称呼の類似性と"VILLE"接尾辞
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900214(T2011−900214/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5398203号商標(以下「本件商標」という。)は、「miraville」の欧文字を書してなり、平成22年11月16日に登録出願、第3類、第9類、第14類、第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年2月8日に登録査定、同年3月11日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」について商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、次の(1)ないし(6)のとおりである。
(1)申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている別掲のとおりの「FARMViLLE」の欧文字からなる商標(「FARM」の文字はオレンジ色で、「ViLLE」の文字は青色で表されている。以下「引用商標1」という。)。
(2)国際登録第1027159号商標(以下「引用商標2」という。)は、「FARMVILLE」の欧文字を書してなり、2009年8月14日に米国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)11月23日に国際商標登録出願、第9類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年8月20日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(3)国際登録第1014561号商標(以下「引用商標3」という。)は、「YoVille」の欧文字を書してなり、2009年2月25日に米国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)8月25日に国際商標登録出願、第9類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年5月28日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(4)国際登録第1042484号商標(以下「引用商標4」という。)は、「PETVILLE」の欧文字を書してなり、2009年9月7日に英国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2010年(平成22年)3月5日に国際商標登録出願、第9類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年7月15日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(5)国際登録第1046306号商標(以下「引用商標5」という。)は、「FRONTIERVILLE」の欧文字を書してなり、2009年12月16日に米国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2010年(平成22年)6月15日に国際商標登録出願、第9類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年7月22日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(6)国際登録第1038389号商標(以下「引用商標6」という。)は、「FISHVILLE」の欧文字を書してなり、2009年10月6日に米国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、日本国を指定する国際登録において指定された第9類及び第41類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2010年(平成22年)3月30日に国際商標登録出願されたものである。
2 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標1に類似する商標であって、その役務と本件商標の指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」は、類似するものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、本件商標の登録出願日(平成22年(2010年)11月16日)前の商標登録出願に係る引用商標2ないし引用商標6に類似する商標であって、本件商標の指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」は、引用商標2ないし引用商標6の指定商品及び指定役務と類似の商品である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1は、申立人の商標として、広く一般に知られているから、引用商標1を容易に連想させる本件商標がその指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
また、申立人は、引用商標1をはじめ「○○○Ville」又は「○○○VILLE」のように語尾に「Ville」又は「VILLE」の語を有する商標(以下「ファミリー商標」という。)を「オンラインによるコンピュータゲームの提供」に使用しており、該ファミリー商標は、その世界的な使用によりコンピュータゲームの分野における取引者、需要者の間において、申立人の業務に係る役務を連想させる標識として理解されているものであるから、本件商標がその指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」に使用された場合、商品の出所について混同を生じるおそれがあるのみならず、該商品が申立人との間にいわゆる親子会社又は系列会社等の緊密な営業上の関係にある者の業務に係る商品であると誤認されるおそれがある。
3 まとめ
上記のとおり、本件商標は、その指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」について、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。
第3 当審の判断
1 引用商標1及びファミリー商標の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
ア 申立人は、2007年(平成19年)1月に設立された米国のソーシャルゲーム会社である。また、主なゲームにはCityVille(シティビル)、ZyngaPoker(ジンガポーカー)、FarmVille(ファームビル)、FishVille(フィッシュビル)、PetVille(ペットビル)などがあり、これらのゲームの月間アクティブユニークユーザー数は、2010年(平成22年)8月ころには、2億3000万人にのぼっている(甲第8号証、甲第11号証及び甲第12号証)。
イ 「FarmVille」は、2009年(平成21年)6月にFacebookでリリースされ、月間アクティブユーザーは同年9月ころには、3,000万人、2010年(平成22年)9月には、6,000万人を超えていた(甲第9号証ないし甲第11号証、甲第13号証及び甲第18号証の1)。
ウ 申立人は、2010年(平成22年)8月に、我が国のソーシャルゲーム事業者「ウノウ」を買収し、ソフトバンクグループとの合弁会社「ジンガジャパン株式会社」を設立し、同社は同年11月にFarmVilleの日本版の提供を開始した(甲第11号証及び甲第13号証)。
(2)以上の事実からすれば、申立人が提供するFarmVille、FishVille、YoVille、PetVilleなどのゲームは本件商標の登録出願の日前から世界各国のコンピュータゲームのユーザーからアクセスされ、申立人の業務に係るオンラインによるコンピュータゲームの提供を表示するものとして、それぞれオンラインを利用した世界各国のコンピュータゲームの需要者の間に相当程度知られていたと推認することができる。
しかしながら、申立人提出の証拠によっては、本件商標の登録出願の日前に申立人やFarmVilleが我が国において、ホームページで紹介されていることは認められるものの、FarmVilleの日本版が提供されたのは、平成22年11月であるし、FarmVille、FishVilleなどの各ゲームが我が国の需要者からどの程度アクセスされたのか、我が国でどの程度広告宣伝されたのかなど我が国における事情が明らかでない。
したがって、引用商標1及びファミリー商標は、本件商標の登録出願の時ないし登録査定時に、申立人の業務に係るオンラインによるコンピュータゲームの提供を表示するものとして、我が国のオンラインによるコンピュータゲームの需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)引用商標1は、前記1のとおり、申立人の業務に係るオンラインによるコンピュータゲームの提供を表示するものとして、本件商標の登録出願の日前から、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標1について
ア 本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「miraville」の欧文字を横書きしてなるものであり、その構成文字は同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表され、該文字から生じる「ミラビル」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、かかる構成及び称呼からすれば、これに接する取引者、需要者は「miraville」の構成文字全体をもって一つの商標を表したものと認識するとみるのが自然である。
また、本件商標は、その構成中「Ville」の文字部分を分離抽出し、他の商標と比較しなければならない事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、「ミラビル」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じない全体が一体不可分のものといわなければならない。
イ 引用商標1
引用商標1は、別掲のとおり、肉太で表した「FARMViLLE」の欧文字からなるものであり、その構成中の文字の色、大きさが異なっているとしても、各文字を縁取りし、同一の書体をもって、外観上一体的に表してなるものであり、該文字から生じる「ファームビル」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、これに接する取引者、需要者は「FARMViLLE」の構成文字全体をもって一つの商標を表したものと認識するとみるのが自然である。
また、引用商標1は、その構成中「ViLLE」の文字部分を分離抽出し、他の商標と比較しなければならない事情は見いだせない。
してみれば、引用商標1は、「ファームビル」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じない全体が一体不可分のものといわなければならない。
ウ 本件商標と引用商標1の類否について
本件商標と引用商標1は、前記構成からみて、外観上明らかに相違するものである。
本件商標から生じる「ミラビル」の称呼と引用商標1から生じる「ファームビル」の称呼は、前半部において、「ミラ」の音と「ファーム」の音の明らかな差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、その語調、語感が相違し、相紛れるおそれはない。
また、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することはできない。
したがって、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないこと前記1のとおりであり、また、前記2のとおり、本件商標と引用商標1とは、非類似の商標というべきものであるから、本件商標が本件登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第10号に該当するとした申立人の主張には理由がない。
3 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1の構成からなり、前記2(2)アの認定のとおり、「ミラビル」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標2ないし引用商標6
引用商標2ないし引用商標6は、それぞれ前記第2 1(2)ないし(6)のとおり、「FARMVILLE」「YoVille」「PETVILLE」「FRONTIERVILLE」「FISHVILLE」の文字からなり、その構成文字はいずれも同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表され、該文字から生じる「ファームビル」「ヨービル」「ペットビル」「フロンティアビル」「フィッシュビル」の称呼も、いずれもよどみなく一連に称呼し得るものであるから、これに接する取引者、需要者はいずれの商標も構成文字全体をもって一つの商標を表したものと認識するとみるのが自然である。
また、引用商標2ないし引用商標6は、その構成中「VILLE」、「Ville」の文字部分を分離抽出し、他の商標と比較しなければならない事情は見いだせない。
してみれば、引用商標2ないし引用商標6は、それぞれ「ファームビル」「ヨービル」「ペットビル」「フロンティアビル」「フィッシュビル」のみの称呼を生じ、いずれも特定の観念を生じない全体が一体不可分のものといわなければならない。
(3)本件商標と引用商標2ないし引用商標6の類否について
本件商標と引用商標2ないし引用商標6とは、上記(1)及び(2)で認定したそれぞれの構成(外観)、称呼及び観念からすれば、いずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似のものであること明らかである。
また、他に本件商標と引用商標2ないし引用商標6とが類似する商標であるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標2ないし引用商標6は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するとした申立人の主張には理由がない。
4 商標法第4条第1項第15号について
引用商標1及びファミリー商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
また、本件商標は、上記2及び3のとおり、引用商標1ないし引用商標6とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうとすれば、本件商標は、本件商標の商標権者がこれをその登録異議の申立てに係る指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標1及びファミリー商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
以上のとおりであるから、本件商標が、本件登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第15号に該当するとした申立人の主張には理由がない。
5 むすび
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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