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Trademark Appeal Case

TPPの識別力と公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900299(T2011−900299/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5412306号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5412306号商標(以下「本件商標」という。)は、「TPP」の欧文字を横書きしてなり、平成22年12月17日に登録出願、第2類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年3月25日に登録査定、同年5月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

「TPP」の語は、有機ELの分野で染料の一種を表示するものとして普通に使用されている事実がある(甲2)。

また、該語は、塗料等の分野で「トリフェニルホスフィン(triphenylphosphine)」等のリン化合物の略称として普通に使用されている事実がある(甲3の1ないし27)。

そして、リン化合物が、塗料の原材料として使用され、染料、顔料等と同一の用途(塗料用途)で用いられている。

また、リン化合物と本件商標の指定商品とを同一の企業によって取り扱われている例があり、リン化合物と本件商標の指定商品とは、用途、販売部門、取引者、需要者を共通にする(甲4の1ないし5)。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「有機EL分野の染料」又は「リン化合物TPPを原材料とする塗料」について使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、取引者、需要者をして、あたかもその商品が色素材料としてのTPPであるかのように認識するか、又はその商品にリン化合物としてのTPPが含まれているかのように認識するため、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第7号について

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、関税をほぼ例外なく撤廃する取決めであり、参加の是非が日本国内で盛んに議論されていることから、国民的に注目度の高い協定である(甲5ないし6)。

そうすると、同協定の略称を表す本件商標は、これを一私人である本件商標権者が商標として採択し登録することは、国際信義及び社会公共の利益に反するものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(3)よって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本件商標は、上記1のとおり「TPP」の欧文字を横書きしてなるものである。

ところで、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠(甲2ないし4)によれば、以下の事実が認められる。

特許庁が公表する「標準技術集」(甲2)には、「有機EL」の項目があり、その技術の「技術内容」として、「2種類の染料(TPP,DCM)を発光材料(Alq3)にCo−ドープしてなるEL素子」と記載されている。

また、塗料関連の発明に係る公開特許公報において、例えば「塩基性触媒(2):トリフェニルホスフィン(以下「TPP」と記す。)」のように、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフェート又はトリフェニルホスファイトといったリン化合物を表す際の略称として「TPP」の文字が使用されている(甲3の1ないし27)。

さらに、リン化合物と本件商標の指定商品とが同一の企業によって取り扱われている例がある(甲4の1ないし5)。

しかしながら、たとえ「TPP」の文字が前記のとおり使用されているとしても、該文字が特定の物質を表示するものとして使用されているとまでは認めることはできず、また、トリフェニルホスフィン等を含んだ塗料があるとしても、該物質は染料や塗料の主たる原材料として使用されるような物質とは認めることはできない。

そうとすると、リン化合物と本件商標の指定商品とが同一の企業によって取り扱われている例があるとしても、上記事実によっては、「TPP」の文字が本件商標の指定商品を取り扱う業界において商品の品質又は原材料を表示するものとして取引上普通に使用されているとはいい難いものである。

また、本件商標の指定商品を取り扱う取引者、需要者が該文字を商品の品質又は原材料を表示したものと認識するというべき事情も発見できない。

そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質又は原材料を表示したものと認識されるものではなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないものというべきである。

したがって、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第7号について

申立人は、環太平洋戦略的経済連携協定の略称を表す本件商標は、これを一私人である本件商標権者が商標として採択し登録することは、国際信義及び社会公共の利益に反するものといわざるを得ない旨主張しているが、たとえ「TPP」の文字が該協定の略称であり、該協定への参加の是非が日本国内で盛んに議論されているとしても、このことをもって商標権者が本件商標を商標として採択し登録することが、国際信義及び社会公共の利益に反するものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。

(3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同項第7号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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