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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900308(T2011−900308/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5415157号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5415157号商標(以下「本件商標」という。)は、「御用邸の月」の文字からなり、平成22年11月29日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として同23年4月12日に登録査定、同年5月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。

(1)申立人の引用する商標

申立人が引用する登録第3161363号商標(以下「引用商標」という。)は、「御用邸」の文字を縦書きしてなり、平成5年9月21日に登録出願、第30類「菓子およびパン」を指定商品として、同8年5月31日に設定登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第7号について

申立人による商標「御用邸」の菓子についての継続使用により、「御用邸」は申立人の商標として、広く一般に知られている(甲第2号証ないし甲第30号証)。

そして、本件商標は、周知商標「御用邸」を含むものであるので、申立人が長年の営業努力により培ってきた周知商標「御用邸」が有する高品質イメージ及び顧客吸引力を無断で利用するものであり、申立人の業務上の信用を害し、商品流通社会の秩序を侵害するものであるので、公の秩序を害する商標である。

(3)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、周知商標である「御用邸」を含むものであるから、本件商標の要部から略称である「ゴヨウテイ」の称呼が生じるものである。

したがって、本件商標と周知商標とは、共に「ゴヨウテイ」の称呼を共通にする類似のものである。また、指定商品も互いに抵触するものである。

(4)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、出所表示機能を発揮する「御用邸」の部分から「ゴヨウテイ」の称呼が生じ、引用商標は「ゴヨウテイ」の称呼が生じるものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、共に「ゴヨウテイ」の称呼を共通にする類似のものである。また、指定商品も互いに抵触するものである。

(5)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、周知商標である「御用邸」を含むものであるから、本件商標がその指定商品である菓子及びパンに使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

(6)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、申立人の周知商標「御用邸」を含むものであり、共に「ゴヨウテイ」の称呼を共通にする類似のものである。本件商標の権利者は申立人と同じ那須地域で営業を営む法人であり、この地域で周知商標「御用邸」を含む本件商標を使用することは、申立人が長年の営業努力により培ってきた信用及び顧客吸引力を利用して営業を行うことを意図するものであり、不正使用に該当する。

3 当審の判断

(1)「御用邸」の独創性について

「御用邸」とは、「皇室の別邸」を意味する語であり、現在、栃木県那須郡那須町にある「御用邸」は、我が国において広く知られているものである。

(2)申立人の「御用邸」の周知著名性について

申立人は、平成6年から、「御用邸」を付したチーズケーキの販売を開始し、その後、同商標を他の菓子にも付し、これらの菓子を申立人が運営する「チーズガーデン」やJRの駅・高速道路のサービスエリア等を含め、那須地方を中心に、販売しているほか、一部の百貨店でも販売されている。

また、上記チーズガーデンは那須地方に来る多数の観光客が訪れてていることが認められ、上記菓子は、販売開始から本件商標が出願された平成22年までに約468万個が販売され、各種の観光刊行情報誌に紹介され、又は広告しているほか、那須周辺の道路を中心に看板広告をしていることが認められる。

しかしながら、上記のとおり、販売地域は、那須(栃木県)を中心とするものであり、広告、宣伝の回数はそれほど多いものとはいえず、那須地方若しくは那須地方の旅行情報誌等を中心に行われているものであり、販売数量が増えたのが平成20年以降と短いことからすれば、「御用邸」の商標は、ある程度知られていることは認めることができるものの、本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、栃木県及びその周辺を超えて需要者の間に広く認識されているものとはいうことができない。

(3)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、前記1のとおり、「御用邸の月」の文字からなり、該文字は同書・同大・等間隔で一体に表されており、これから生ずる「ゴヨウテイノツキ」の称呼も格別冗長でなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、その構成中の「御用邸」とは、前記のとおり、「皇室の別邸」を意味する語として知られているものであるから、本件商標からは「皇室の別邸(御用邸)から見える月」ほどの意味合いを認識させるものである。

そうとすれば、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の商標として理解され、「ゴヨウテイノツキ」の称呼のみを生ずるものと認められる。

イ 引用商標

引用商標は、「御用邸」の文字からなるものであるから「ゴヨウテイ」の称呼を生じ、「皇室の別邸」の観念を生じるものと認められる。

ウ 本件商標と引用各商標との類否

(ア)外観について

外観においては、本件商標が「御用邸の月」の文字からなり、引用商標は「御用邸」の文字からなるところ、両者は後半部において「の月」有無の明らかな差異を有するから、両者は外観上、十分に区別できるものである。

(イ)称呼について

本件商標から生じる称呼「ゴヨウテイノツキ」と、引用商標から生じる称呼「ゴヨウテイ」とを比較すると、両者は後半部において「ノツキ」有無との明らかな差異を有するものであるから、相紛れるおそれはないものである。

(ウ)観念について

本件商標は、「皇室の別邸(御用邸)から見える月」の観念を生じ、引用商標は、「皇室の別邸」の観念を生じるものであるから、観念上類似すものではない。

(エ)したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでない。

(4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

引用商標がいずれも本件商標の登録出願の時ないし登録査定時に取引者、需要者に広く認識されていたと認めることができないこと上記(2)のとおりであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(3)のとおり外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が引用商標又は申立人を想起することはなく、当該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるをえない。

以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号のいずれにも該当しない。

(5)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

本件商標と引用商標とが外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、前記(3)の認定のとおりである。

そして、本件商標は、その構成中「御用邸」の文字が「皇室の別邸」を意味するものとして一般に知られているものであり、全体から「皇室の別邸(御用邸)から見える月」ほどの意味合いを認識させるにとどまるというべきであって、引用商標を剽窃したなど、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情があるものと認めることはできない。さらに、引用商標の著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものとも認めることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号のいずれにも該当しない。

(6)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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