Trademark Appeal Case
NYCの産地表示性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−761(T2011−761/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「NYC」の欧文字を標準文字で表してなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成22年1月8日に登録出願されたものである。
2 当審における審尋(要旨)
原審における平成22年6月14日付け拒絶理由通知において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の通知をなした点について、当審において、別掲に記載の辞書、新聞記事及びインターネット情報に係る事実を踏まえ、本願商標「NYC」は、その商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するから、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断し、同23年8月30日付け審尋により、前記事実を開示すると同時に請求人に対し意見を述べる機会を与えた。
3 審尋に対する請求人の意見
前記2の審尋に対し、請求人は、平成23年10月11日受付の回答書において、要旨、以下のように回答した。
審尋にて提示された辞書において「NYC」の項に「ニューヨーク市」との記載があることは否定しない。
しかしながら、「フリー百科事典ウィキペディア」において「NYC」を検索すれば、「New York City」の頭文字の他に候補が挙げられていることは、本願商標に接する需要者が「NYC」から「ニューヨーク市」を直截的に連想するとは限らないことを意味する。
また、審尋にて提示された新聞情報及びインターネット情報は、そのほとんどにおいて、「NYC」の語とともに「ニューヨーク市」といった語が併せて記載されており、「NYC」の語がニューヨーク市の略称であることを示唆する態様で使用されている。このことは、「NYC」の語が単独で使用されたときに、直ちに「ニューヨーク市」を想起させるとは限らないことを意味する。そうすると、わが国において「NYC」の欧文字がニューヨーク市を表示するものとして使用されることがあっても、それは「ニューヨーク市」を想起させる語と併せて記載されるという条件の下であり、「NYC」の欧文字のみではニューヨーク市を表示するものとして一般に広く使用されているとはいえないというべきである。
したがって、本願商標は、商品の産地等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではなく、商標法第3条第1項第3号の規定に該当するものではない。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記1のとおり「NYC」の欧文字を標準文字にて表してなるものである。
そして、前記2の審尋において開示した別掲の事実によれば、「NYC」が、アメリカ合衆国ニューヨーク市を意味し、また、同市を表示するものとして一般に採択、使用されている実情が認められる。
してみれば、本願商標は、「NYC」の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず、アメリカ合衆国ニューヨーク市を表示するものと容易に需要者に認識させるものであるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、その商品が同市で製造、販売されたものであること、すなわち、本願商標は商品の産地、販売地を記述したものと認識させるにとどまるものである。
したがって、本願商標は、商品の産地、販売地等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、原審において提出した平成22年7月21日受付の意見書及び同意見書添付の資料1を引用し、「フリー百科事典ウィキペディア」において「NYC」を検索すれば、「New York City」の頭文字の他に候補が挙げられているから、本願商標に接する需要者が「NYC」から「ニューヨーク市」を直截的に連想するとは限らない旨主張する。
しかしながら、辞書に複数の意味が掲載されているとしても、本願の指定商品との関係においては、本願商標「NYC」は、ニューヨーク市を意味するものとして、需要者に認識されるものというべきである。この点については、前記審尋において開示した事実から、実際にニューヨーク市を発信地とするファッションに係るブランドも存在する(別掲記載中(3)アないしキ)ことが明らかである。加えて、ニューヨーク市は、ファッションに係るトレンド(流行)の国際的な発信地の一つであるということは、ロンドン、パリ、ミラノと並んで、ニューヨークコレクションが開催され、世界のファッション界に影響を与えているという公知の事実からも優に認めることができるものである。
そうとすれば、インターネット上の百科事典的データベースである前記「フリー百科事典ウィキペディア」において、「NYC」の項に複数の候補が挙げられているとしても、それゆえに、本願商標「NYC」がその指定商品との関係において、ニューヨーク市を表すものとして需要者に認識されることの妨げとはならないというべきである。
イ 請求人は、前記審尋にて提示された新聞情報及びインターネット情報は、そのほとんどにおいて、「NYC」の語とともに「ニューヨークシティー」、「ニューヨーク市」あるいは「ニューヨーク」といった語が併せて記載されており、「NYC」の語がニューヨーク市の略称であることを示唆する態様で使用されている。このことは、「NYC」の語が単独で使用されたときに、直ちに「ニューヨーク市」を想起させるとは限らないことを意味する。そうすると、わが国において「NYC」の欧文字がニューヨーク市を表示するものとして使用されることがあっても、それは「ニューヨーク市」を想起させる語と併せて記載されるという条件の下であり、「NYC」の欧文字のみではニューヨーク市を表示するものとして一般に広く使用されているとはいえない旨主張する。
しかしながら、前記審尋に係る新聞記事及びインターネット情報において「NYC」の語とともに、「ニューヨーク市」等の語が記事中に存在するとしても、一定の販売部数のある新聞に掲載された以上、その読者において「NYC」を「ニューヨーク市」と認識し、その後「NYC」に接するときは、「ニューヨーク市」などの語がなくとも、ニューヨーク市を認識するに至るというべきである。また、インターネット情報においても、それらのブランドに関心のある需要者は、そのブランドに関するインターネット情報から「NYC」を「ニューヨーク市」と認識し、他の営業主に係るファッション関連の商品に接するときも、「NYC」が「ニューヨーク市」であると認識するというのが相当である。
以上のとおり、前記の請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるを得ない。
よって、結論のとおり審決する。
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