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Trademark Appeal Case

薬剤略称の普通名称化

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35337号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4191951号の指定商品中「薬剤」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4191951号商標(以下「本件商標」という。)は、「クロピク」の文字を横書してなり、平成9年7月8日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、平成10年9月25日に設定登録され、現在有効に存続しているものである。

2.請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「薬剤」について登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める旨を申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第10号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)共立出版発行の「化学大辞典 3」に「クロルピクリン」の語が掲載されており、その用途の欄には「殺虫殺菌剤」として重要。穀物用くん蒸剤、乾燥果実、新鮮果実、種子のくん蒸、土壌くん蒸剤として用いる。(甲第3号証)

(2)東北農業研究第47号(1994)の「2 試験方法(2)試験区と処理方法」には、「クロルピクリン注入区」と記載されており、また、それを受けて同書の309頁及び310頁には、「クロピク処理、クロピク区」という語が用いられている部分が多く見られる(甲第4号証)。

また、関東東山病害虫研究会年報第32集(1985)を見ると、「クロピク」の語が多く用いられ「(イ)クロルピクリンくん蒸剤全面消毒」、「(ロ)クロルピクリンくん蒸剤畦内処理」をいう記載があり、それに対応する表として、第1表と第2表があり、この表の中には、「(イ)クロピク全面処理」、「(ロ)クロピク畦内処理」の語が掲載されている(甲第5号証)。

さらに、長野県野菜花き試験報告第3号には、「クロルピクリン剤のマルチ畦内処理法によるハクサイ黄化病の防除に関する研究」について記載され「1クロルピクリン剤によるマルチ畦内消毒法」において「クロピク注入」(甲第6号証の1及び同号証の2)の記載があり「クロルピクリン使用量別の効果」を表にしたものである(甲第6号証の2)。以上の甲第4号証乃至甲第6号証を考慮すると、「クロピク」の語は「クロルピクリン」の略称として普通に用いられていることは明らかである。

(3)クロルピクリン普及会発行のクロルピクリンの畦処理被覆(マルチ畦内消毒)による土壌病害防除法を見ると、「クロルピクリン(クロールピクリン)」、「クロピク」の記載がある(甲第7号証)。

(4)農林水産省農産園芸局防疫課がまとめた植物防疫地区協議会資料には、「クロピク」の語が多数記載されている(甲第8号証)。

(5)野菜園芸技術97年度4月号にも土壌病害対策と使用されている「クロピク」の利用方法について述べられている(甲第9号証)。これらに記載されている「クロピク」の語も薬剤に属する商品の普通名称として用いられていると捉えるべきである(甲第9号証)。

(6)燻蒸剤(殺菌殺虫剤の一種)である「クロルピクリン剤」の販売者及び使用者はこれを省略して「クロピク」と呼んでいることを、「クロルピクリン剤」の販売を行っている丸善薬品産業株式会社が証明している(甲第10号証)。

(7)以上、本件商標「クロピク」は、指定商品「薬剤」のうちの「土壌消毒剤」について使用しても商品の普通名称、品質等を表すに過ぎず、「土壌消毒剤」以外の指定商品について使用すると、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある商標であると認められる。

したがって、本件商標は商標法第3条第1項第1号、同条同項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当することは明らかであるので、本件商標の登録は商標法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

3.被請求人の答弁

被請求人は、なんら答弁していない。

4.当審の判断

よって判断するに、請求人が提出した甲第3号証「共立出版発行の化学大辞典」によると、「殺虫殺菌剤」に使用される「クロルピクリン」は有機化合物質であるが、単独でも、「穀物用くん蒸剤」「土壌燻蒸剤」等の名称「クロルピクリン剤」として用いられること、また、甲第4号証「東北農業研究第47号」、甲第5号証「関東東山病害虫研究会年報第32集」、甲第6号証「長野県野菜花き試験報告第3号」「長野県野菜花き試験報告第3号」、甲第7号証「クロルピクリン普及会発行のクロルピクリンの畦処理」「被覆(マルチ畦内消毒)による土壌病害防除法」、「クロルピクリン普及会発行のクロルピクリンの畦処理」「被覆(マルチ畦内消毒)による土壌病害防除法」「クロルピクリン普及会発行のクロルピクリンの畦処理」「被覆(マルチ畦内消)による土壌病害防除法」、甲第8証「地区協議会資料の一部抜粋写」、甲第9号証「野菜園芸技術97年度4月号」によれば、「クロルピクリン」を「クロピク」「クロピク処理」「クロピク注入」「クロピク区」「クロピク1条」のように略称し使用している事実を認めることができる。

そして、上記甲各号証を総合勘案すれば、「クロピク」文字よりなる本件商標は、「土壌消毒剤」若しくは「土壌くん蒸剤」の「クロルピクリン」の別称とも認められるものであるから、これを上記の「土壌消毒剤」若しくは「土壌くん蒸剤」について使用しても、単にその商品の品質を表示するにすぎず、また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。

したがって、本件商標は、その指定商品中「薬剤」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものとする。

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