Trademark Appeal Case
「特厚」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−25600(T2010−25600/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「特厚」の文字を標準文字で表してなり、第16類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年10月26日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同22年5月12日受付けの手続補正書により、第16類「漫画本」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『特厚』の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は『特に厚いもの。極めて厚いもの。』という程の意味合いを表すものとしか認識されず、これを本願指定商品に使用しても、『特に厚く加工された商品』程の意味合いを表すにとどまり、単に商品の品質、形状をあらわすにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、「特厚」の文字が、本願の指定商品の分野における漫画を内容とする書籍において、他の同種の書籍に比較して厚い書籍であることを表示するものとして、取引上一般に使用されている事実(別掲)を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき当該事実を通知し、請求人に対し相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。
4 証拠調べに対する請求人の意見
前記3の証拠調べに対し、請求人は、何ら意見を申し立てていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記1のとおり、「特厚」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標を構成する「特」及び「厚」の文字は、いずれも我が国で親しまれた漢字であって、その意味を認識することが困難であるというような事情はないものである。そして、「特」の文字は、「特別に、とりわけ」の意味合いを表し、「厚」の文字は、「厚さ、厚み」の意味合いを表すから、本願商標に接する需要者は、その全体から「特別に厚い」程の意味合いを極めて容易に認識するものというのが相当である。
また、本願の指定商品「漫画本」の取引において、通常の漫画本に比較してページ数が多いことを、端的に「特厚」と称し、商品の品質、形状を表示するものとして使用している実情があることは、前記3の証拠調べ通知で示したインターネット情報(別掲)からもうかがうことができる。
そうとすれば、本願商標「特厚」を、その指定商品「漫画本」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、通常の漫画本に比較してページ数を増やした商品であることを容易に認識させ、全体として「特別に厚い」ことを認識させるにとどまるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、指定商品の品質、形状を直接的に表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標に係る「特厚」について、葉書用紙・コピー用紙・名刺用紙等の「紙類」との関係において既に品質表示として通用している事実が見受けられ(甲1)、それ以外については、「卓球用ラケットのラバー」、「肉(調理済みのとんかつ)」、「靴下(の生地)」等との関係で記述的に用いられている(甲2)が、本願の指定商品の品質、形状を表示するものとして使用されている例は見当たらない旨主張する。
しかしながら、本件の審理に係る商標法第3条第1項第3号にいう商品の品質、形状に該当するか否かは、当該商品の需要者の一般の認識をもって判断されるべきものである(昭和60年(行ツ)第68号、最高裁判所昭和61年1月23日第一小法廷判決参照)。そして、本件については、前記3の証拠調べの結果をも踏まえて判断するならば、前記(1)のとおり、本願商標に接した需要者は、「特別に厚い」との商品の品質、形状を表示したものと一般に認識するものということができるものである。
イ 請求人は、本願商標に係る「特厚」が品質、形状表示として理解される余地のある商品は、「厚みの多少が当該商品の質感に影響するもの」のように限定的に解するのが相当であるところ、本願の指定商品は、一定の「厚み」を、その本来的な商品属性として有しているから、「特に厚いかどうか」を問題としなければならない場面は殆どない旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品である漫画本、すなわち、漫画を内容とする書籍については、通常のものよりもページ数を増やしていることを、端的に需要者に訴求するために、簡単明瞭に「特厚」と表現していることは、前記3の証拠調べのとおりである。そうとすれば、通常の漫画を内容とする書籍に比較して厚みがあることを容易に認識させる「特厚」の文字は、掲載される漫画の分量が多いという商品の品質を記述するものであり、また、商品の外形に厚みがあるという商品の形状を記述するものということができるから、本願商標「特厚」は、その指定商品について、その品質、形状を直接に表示する標章のみからなるものというべきである。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。
(3)結語
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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