Trademark Appeal Case
複合商標の分離観察と類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−5577(T2011−5577/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類「運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,塗料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,つや出し剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下、「小売等役務」という。)を指定役務とし、平成21年11月27日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は以下のとおりであり、いずれも、現に有効に存続しているものである。
ア.登録第1522256号
商標の構成 PLUS
登録出願日 昭和52年8月9日
設定登録日 昭和57年6月29日
書換登録日 平成15年12月24日
指定商品 第5類「医療用腕環」、第9類「理化学機械器具,光学機械器具,映画機械器具,測定機械器具」、第10類「医療用機械器具」、第12類「車いす」
イ.登録第1532777号
商標の構成 PLUS
登録出願日 昭和52年8月9日
設定登録日 昭和57年8月27日
書換登録日 平成16年3月3日
指定商品 別掲2記載のとおり
ウ.登録第1543187号
商標の構成 PLUS
登録出願日 昭和53年12月26日
設定登録日 昭和57年10月27日
書換登録日 平成14年11月20日
指定商品 第1類「陶磁器用釉薬」、第2類「染料,顔料,塗料,印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。)」、第3類「塗料用剥離剤,靴墨,靴クリーム,つや出し剤」、第4類「靴油,保革油」
エ.登録第1556892号
商標の構成 PLUS
登録出願日 昭和53年12月26日
設定登録日 昭和57年12月24日
書換登録日 平成15年3月19日
指定商品 第9類「眼鏡」、第14類「時計」
オ.登録第1560552号
商標の構成 PLUS
登録出願日 昭和53年12月26日
設定登録日 昭和58年1月28日
書換登録日 平成15年4月16日
指定商品 第14類「貴金属製喫煙用具」、第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」
カ.登録第2419246号
商標の構成 PLUS
登録出願日 平成2年2月19日
設定登録日 平成4年5月29日
書換登録日 平成15年10月1日
指定商品 第1類「写真材料」、第9類「写真機械器具」
キ.登録第4103534号
商標の構成 PLUS
登録出願日 平成8年2月14日
設定登録日 平成10年1月16日
指定商品 第15類「楽器,演奏補助品,音さ」
ク.登録第4134691号
商標の構成 PLUS
登録出願日 平成8年2月14日
設定登録日 平成10年4月10日
指定商品 第9類「レコード,メトロノーム」
以下、これらをまとめていう場合には、単に「引用商標」という。
なお、原査定では、以上の8件の引用商標のほか、21件の登録商標を拒絶の理由として引用したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、別掲1のとおり、上面をわずかに開けたオレンジ色の箱状の図形(以下「立方体図形」という。)、波状に並べられた8つの「+」符号(8個のうち3個は立方体図形に重なる)及び「PLUS」の文字を組み合わせた構成からなるものであるところ、その構成中の「PLUS」の文字部分は、立方体図形等の他の構成部分と重なることなく分離して配置され、視覚上、分離して認識、把握されるものである。
そして、「PLUS」の文字は、「加えること、足すこと」等を意味する親しまれた英語であるのに対し、立方体図形の上面及び左右側面に表された「T」、「I」及び「G」の各文字は、その配置から特定の順番をもって読まれるものとは言い難く、また、いずれの順番から読んでも特定の親しまれた成語を形成するものとはいえず、その文字部分から特定の称呼、観念を生ずるものといえないから、その立方体図形と「PLUS」の間には、何らの意味上のつながりも認められない。
また、8つの「+」符号は、正の数の符号、すなわち、「PLUS」と同義を認識させるものであって、その配置からその下部に書された「PLUS」の意味を強調する、あるいは、補完する役割を果たし得るものといえる。
そうすると、本願商標に接する取引者・需要者は、その構成中の親しまれた語である「PLUS」の部分を分離抽出し、当該部分をもって取引に当たる場合もあるものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、「PLUS」の文字部分及び「+」の符号に相応し、「プラス」の称呼を生ずるものであり、「加えること、足すこと」程の観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、「PLUS」の欧文字を書してなり、「プラス」の称呼及び「加えること、足すこと」程の観念を生ずるものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、「プラス」の称呼及び「加えること、足すこと」程の観念を共通にするものであって、全体の外観は相違するとしても、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得る「PLUS」の部分において、綴りを同じくし、近似するものであるから、互いに類似する商標である。
また、小売等役務の取扱商品と引用商標の指定商品が一致する場合、その役務の提供者と商品の販売者が同一事業者であることが一般的であり、また、小売等役務が提供される提供場所と商品が販売される場所が一致し、さらにまた、需要者の範囲も一致する類似するものといえるから、両者に同一又は類似する商標が使用された場合、当該役務と商品との間において出所の混同を招くおそれがあるというべきである。
そして、本願指定役務の取扱商品には、引用商標の指定商品と一致するものが含まれるものであるから、本願指定役務と引用商標の指定商品は、互いに類似する。
(2)請求人の主な主張について
ア 請求人は、「『PLUS』には、小売店舗の新たな業態を表すものとして普通に使用されているため、『識別力がないか』或いは『極めて弱い』といえ、『PLUS』の部分のみを捉えて称呼することはない」旨主張する。
確かに、小売店舗名に「○○ PLUS」のように使用されていることは、必ずしも否定するものではない。
しかしながら、「PLUS」の語が、それ自体で、小売等役務における役務の質、内容等を表すもののとして、取引上、普通に使用されている事実を発見できない。
そうとすると、本願商標構成中「PLUS」の文字部分は、それ自体独立して自他役務としての識別機能を果たし得るものといえるから、係る請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張しているが、いずれの登録例も、本願商標とは、その指定役務との関係や、商標の構成態様等において、事案を異にするというべきであり、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例に拘束されることなく検討されるべきものであるから、係る請求人の主張も採用することができない。
(3)結論
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
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