Trademark Appeal Case
効能表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−12384(T2011−12384/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「低分子ヒアルロン酸のちから」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年8月11日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における平成23年6月29日付けの手続補正書により、第29類「ヒアルロン酸を含有する冷凍野菜,ヒアルロン酸を含有する冷凍果実,ヒアルロン酸を含有する肉製品,ヒアルロン酸を含有する加工水産物,ヒアルロン酸を含有するカレー・シチュー又はスープのもと,ヒアルロン酸を含有するお茶漬けのり,ヒアルロン酸を含有するふりかけ,ヒアルロン酸を主原料とする粒状・粉末状・顆粒状・錠剤状・カプセル状又は液状の加工食品」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『低分子ヒアルロン酸のちから』の文字を標準文字で表してなり、構成中の『ヒアルロン酸』の文字は、『皮膚などの結合組織中に蛋白質と結合して存在する多糖類。』を意味し、また、『ちから』の文字は、『ききめ。効能。』を意味するため、商標全体としては『低分子ヒアルロン酸のききめ、低分子ヒアルロン酸の効能』程の意味合いを認識させるものである。また、インターネット情報によれば、低分子ヒアルロン酸が、肌に潤いを与え、美肌効果のあるヒアルロン酸を低分子化し、より体内への吸収率を高めた成分として知られ、低分子ヒアルロン酸を配合した食品や飲料が製造・販売されている実情も認められることからすると、本願商標をその指定商品中『ヒアルロン酸を主原料とする粒状・粉末状・顆粒状・錠剤状・カプセル状又は液状の加工食品』に使用しても、これに接する取引者・需要者は単に商品の効能、品質を表示するものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり「低分子ヒアルロン酸のちから」の文字よりなるところ、その構成中「低分子ヒアルロン酸」の文字は、別掲のインターネット情報によれば、「ムコ多糖(グルコサミノグリカン)の一種であるヒアルロン酸の分子量を小さくしたもの」を意味する語であり、また、「ちから」の文字は、「効能」(広辞苑第六版)等を意味する語である「力」を平仮名で表記したものであるから、構成全体として「低分子ヒアルロン酸の力(効能)」ほどの意味合いを認識させるものである。
ところで、ヒアルロン酸は、保水力があるため肌に潤いを与えることで知られている他、関節痛の緩和や血液循環をよくするといった効果を有する成分であり、健康(補助)食品、栄養補助食品(いわゆる健康食品)等の原材料(成分)として広く用いられているものである。
そして、通常のヒアルロン酸はその分子量が大きいため、体内で消化・吸収されにくいことから、分子量を小さくし体内への吸収性を増した「低分子ヒアルロン酸」が開発され、美肌効果、健康維持等に効果があるとして「低分子ヒアルロン酸を含有した商品」が広く製造、販売されているところである。
加えて、健康維持・増進等に効果があるとされる成分を原材料とする商品について、当該商品がその効果を有するものであることを表す表示として、その成分名と「ちから(チカラ又は力)」の語を組合わせて「○○(成分名)のちから」のように使用することが一般に行われているところである。
この点については、当審において職権により調査した、以下の事例からも裏付けられる(なお、下線は、審判の合議体で加えた。)。
ア 「低分子ヒアルロン酸の力(チカラ)」、「ヒアルロン酸の力」が使用されている事例
(ア)エバーライフの飲むヒアルロン酸「皇潤(こうじゅん)」に関するウェブサイトにおいて、「
低分子ヒアルロン酸の力
〜皇潤(こうじゅん)の
低分子ヒアルロン酸の力
についての説明〜」の見出しのもと、「どんな効果?低分子ヒアルロン酸とは」の項に、「ヒアルロン酸とは、主に潤いを与える成分です。例えば、お肌がプリプリと潤うのも
ヒアルロン酸の力
ですし、関節部分のクッションの役割をさせるのも
ヒアルロン酸の力
なのです。そこで皇潤は、独自のECM−E(ヒアルロン酸吸収用食品)と呼ばれる体に吸収されやすいヒアルロン酸を利用しています。」の記載がある(http://nwl.jp/koujun/kouka.html)。
(イ)「健康美味夢くらぶ本店」のウェブサイトにおいて、商品情報「ナノコラーゲン&ヒアルロン酸(60gオリヒロ)」の見出しのもと、原材料に「主成分配合量〈製品8粒中〉フッシュコラーゲンペプチド 900mg・・・低分子ヒアルロン酸 60mg」の記載があり、商品特性に、「輝きが違う! ナノコラーゲン+
低分子ヒアルロン酸のチカラ
」と記載がある(http://www.yumesupli.jp/shopdetail/030002000007/)。
(ウ)「自然生活」のオンラインショップのウェブサイトにおいて、「楽関サプリ 和−なごみ」の商品説明に、「選ばれる理由その2『実感できる、厳選した5大成分配合へのこだわり』」の見出しのもと、「『楽関サプリ 和−なごみ』は
ヒアルロン酸の力
を最大限に発揮するために、5つの成分を配合。」の記載があり、また、「選ばれる理由その3『体が吸収しやすい超低分子へのこだわり』」の見出しのもと、「『楽関サプリ 和−なごみ』で使用されている最高級ヒアルロン酸は体が吸収しやすい超低分子。」の記載がある(http://sizen-s.com/nagomi/lp.php)。
(エ)「進和堂」のオンラインショップのウェブサイトにおいて、商品「ヒアルロン酸コラーゲン『桃源郷』」の、商品説明に「そもそも『ヒアルロン酸』って?」の見出しのもと、「
ヒアルロン酸の力
は、そのずば抜けた保水力にあります。」の記載がある(http://www.shinwado.co.jp/cgi-bin/shinwado/siteup.cgi?category=2&page=0)。
(オ)「グルコサミン楽楽.com」のウェブサイトにおいて、「グルコサミン+コンドロイチン【世田谷自然食品】」の見出しのもと、商品説明に「グルコサミンと相性が良いII型コラーゲンと、コンドロイチンと密接な関係をもつ
ヒアルロン酸の力
で、より関節痛に効果を発揮します。」の記載がある(http://グルコサミン楽楽.com/supplement/setagaya.php#)。
(カ)「FORSIGHT[フォーサイト]ヘルス&ビューティーオンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「ヘルスケア商品」の項に、「MAXヒアルロン酸」の見出しのもと、「保健機能食品(栄養機能食品) 感じて下さい!
ヒアルロン酸の力
。 うるおい、ハリ、美しさ・・『MAXヒアルロン酸』誕生!」の記載がある(http://www.fore-sight.co.jp/max_hiaruron.htm)。
(キ)「イオンショップ」のウェブサイトにおいて、サプリメントの項に「ヤクルトヘルスフーズ グルコサミン粉末タイプ 180g」の見出しのもと、商品の詳細に「グルコサミンとコンドロイチン、
ヒアルロン酸の力
で活動的な毎日を応援。」の記載がある(http://www.aeonshop.com/tpshop-bin/tpshop_top.pl?itemlist_max_count=60&category_lid=4602&category_item_workfile=nwww4_20111027135625_29305&page_id=4&category_sid=60&category_mid=130&item_sort_key=0&itemlist_start_index=0&seqno=275494&purchase=1)。
イ いわゆる健康食品の分野で「○○(成分名)のちから(力)」が使用されている事例
(ア)「コットンズ(COTTON’S)」のウェブサイトにおいて、商品名「マルチビタミングミ 栄養機能食品(ビタミンB1、ビタミン)C)」の商品説明に「
ビタミンのちから
」として「ビタミンは人が生存・生育していくのに大切な栄養素です。」や、また、商品名「カルシウムグミ+VD&Mg」の商品説明に「
カルシウムのちから
」として「成長期のこどもにはたくさんのカルシウムが必要です。」の記載がある(http://cottons.jp/products/supplement.html)。
(イ)株式会社ノエビアが2008年7月15日付けで商品「ノエビア メノフォーミュラ II」の発売を発表した資料には、「〜
大豆イソフラボンのちから
で、若々しく美しく〜ノエビア メノフォーミュラ II 2008年8月25日発売」の見出しのもと、「・・・大豆イソフラボンと、アミノ酸の一種であるGABA、カミツレエキス末を配合した栄養補助食品」の記載がある(http://www.noevir.co.jp/new/ir_info/pdf/per38/080715a.pdf)。
(ウ)美容と健康・インターネット「ケンオフィス」のウェブサイトにおいて、「
カプサイシンの力
【CLA−One】」の見出しのもと、「
CLAとカプサイシンWの力
で脂肪を分解燃焼・・・カプサイシン(唐辛子成分)エネルギー代謝を高め、脂肪を燃焼」の記載がある(http://park3.wakwak.com/~million/hits/cla-one.htm)。
以上のとおり、いわゆる健康食品について、その主たる原材料が成分名等であって、それが健康に良い影響を及ぼす場合に、該指定商品を扱う業界においては、「○○(成分名)のちから(チカラ又は力)」というように表示することは、現在において広く普通に行われており、更には「ちから」の部分を「力」あるいは「チカラ」の文字で表した本願商標と近似した表示等も実際に使用されているものである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する、取引者、需要者は、「低分子ヒアルロン酸の効能を有する商品」であることを理解させるにとどまるものというのが相当であり、本願商標は、商品の品質、原材料、効能を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「『低分子ヒアルロン酸のちから』の文字をインターネットで検索したところ、『低分子ヒアルロン酸の効果・効能を表すもの』として認識されている事実は認められないこと。そして、実際の商品ラベル『低分子ヒアルロン酸のちから』は、商標として機能するように使用されていることから、本願商標は自他商品識別標識として機能を有する。」旨主張している。
しかしながら、上記(1)アに例示したように「(低分子)ヒアルロン酸のちから(力又はチカラ)」は、(低分子)ヒアルロン酸の効能を表示するものとして使用されているものであって、また、本願商標全体を指定商品との関係において考察すれば、本願商標は、その構成中の「ちから」の文字部分は、漢字の「力」又は片仮名の「チカラ」と同じ「効能」等の意味を容易に理解させるものであるから、一般の取引者、需要者をして「低分子ヒアルロン酸の力(効能)」を認識するというのが自然であり、本願商標は請求人の識別標識として認識されているというよりは、むしろ低分子ヒアルロン酸の効能を有するものであること等を端的に表示する意味合いをもって使用され、理解されている実情にあるというべきである。
さらに、甲第2号証において提出された証拠に掲載されている商品の構成中の「低分子」「ヒアルロン酸」「のちから」の文字部分は、当該効能を有しているものであることを表しているにすぎず、自他商品識別標識としての機能は有し得ないものであるから、請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は、「『○○のちから(チカラ、力)』の文字からなる商標の登録例を挙げ、識別力がないと判断される場合には、具体的に事案等がどのように異なるのか、また、過去の登録例を考慮する必要がなくなった取引界の趨勢を提示してほしい」旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情(身体等に何らかの効能を有する成分、原材料表示と力(ちから、チカラ)の文字を組合せ、商品等の効能等を端的に表示した商品が各社から多種多様に製造・販売、広告・宣伝されている実情。)等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。
そして、本願商標については、実際の使用例等からしても、上記のとおり判断すべきであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
以上に加えて、上記(1)において認定した事実を考慮すると、本願商標は、請求人により使用をされた結果、健康食品業界における取引者及び需要者間において、出願人の商品として広く認識されているものであるとはいうことはできない。
(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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