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Trademark Appeal Case

医療器具と運動具の区分

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30334号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2594589号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成3年11月15日に登録出願され、「TMJ」の文字を横書きしてなり、第24類「顎関節筋力トレーニング器、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成5年10月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「運動具(乗馬用具および乗馬ぐつを除く。)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁をを次のように述べている。

本件商標は、その指定商品中、上記の指定商品について継続して3年以上、日本国内において使用された形跡がない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権、通常使用権の設定登録がなく、このため使用権者が存在するとも思えないから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(答弁に対する弁駁)

(1)被請求人は、乙第1号証の雑誌に東京都世田谷区尾山台2丁目14番16号所在の株式会社グリーンライトが本件商標の通常使用権者として本件商標を商品広告に使用していると述べているが、当該証拠は商品広告ではなく雑誌の記事である。このため、乙第1号証では本件商標が商標権者又は通常使用権者によって商品広告として使用されているとはいえない。

又、乙第1号証に掲載された商品は、「頭痛やストレス、肩コリ解消のために開発された医薬外製品」と紹介されているので、当該商品は医療器具であって運動用具に属する商品ではなく、従って乙第1号証では、本件商標が「運動具(乗馬用具および乗馬ぐつを除く。)」について使用されているとはいえない。

さらに、乙第1号証には「THE TMJ2万7000円/グリーンライト」という表示がみられるが「グリーンライト」が被請求人がいう通常使用権者であるという証明はない。しかも、ここで使用されている商標は「THE TMJ」であって、これでは本件商標が使用されているとはいえない。

(2)被請求人は、本件商標を付した商品はオーストラリアで製造されたものを日本国内で販売していると述べると共に、乙第2号証ないし乙第4号証を提出している。

しかしながら、乙第2号証に示す商品が誰れによって日本国内で販売されたのか、又、販売されたとする取引書類などが全く提出されていないので、乙第2号証ないし第4号証は単なる商品の写真及びその説明書にほかならないものである。

(3)ところで、乙第2号証に示す商品(以下、単に「被請求人商品」という。)は医療器具に属する商品である。

被請求人商品は、頭痛を緩和・解消するための医療器具であり、使用に際して顎関節の筋力を使用するが、顎関節の筋力自体を強化するためのものではない。乙第4号証1頁には「TMJ装着で頭痛を解消」という表題及び「(医薬外製品)」が記載され、同3頁上段には「......顎のかみ合わせが悪ければ状況はさらに悪化します。前向きに頭痛を解消するには頭部及び頚部の筋力を正しい位置に戻すことです。」との記載並びに同頁の四角で囲った中で「......偏頭痛をうったえる患者に対して、下顎を前に出し上下のかみ合わせの領域を広げる矯正器具を与えてみた......」という記載からすれば、被請求人商品が医薬外製品すなわち医療器具のうちの矯正器であることは明らかである。

この他、被請求人商品が医療器具に属する矯正器であることは、乙第4号証における下記の記述からも証明できる。

3頁下段「TMJによって何年にもわたって蓄積されたストレスや緊張を、薬を使用することなく解きほどくこと可能になりました。」

3頁下段「TMJは、頭蓋下顎関節を正しくかみ合わせるべく矯正することが出来るのです。」

4頁上段「TMJは、柔軟にデザインされているために、下顎を正しいかみ合わせの位置に整え、さらに、これを日常的に使用することで頭部及び頚部全体の矯正を行ってくれるのです。」

5頁中段「TMJの装着がしっくりといっていれば、下顎は次第に正しいかみ合わせになります。」

これらの記述は、いずれも被請求人商品が筋力トレーニング器ではなく、下顎関節のかみ合わせを矯正するための矯正器であることを証明している。

又、被請求人は、被請求人商品が製造された経緯を詳しく述べているが、これらの記述は頭痛、耳鳴り、顔面神経痛、肩痛、首痛、腰痛、脊椎湾曲及び内臓疾患の原因が歯の不正咬合によって生じること、又、これらの症状及び疾患がものを噛む動作を行うことで緩和・解消されることを内容としている。

そして、被請求人は噛む動作が顎関節筋力をトレーニングするから被請求人商品が運動具に属する商品であると述べている。

しかしながら、被請求人商品は薬店・薬局で販売されることはあっても運動具店では販売されてない商品であると思われる。

なぜなら、被請求人商品が野球用具やゴルフ用具と同じ店舗で販売されているとは到底考えられないからである。

そうとすれば、被請求人商品は旧第10類の「医療機械器具」に属する商品であり、旧第24類の「運動具」とは異なる商品である。

(4)本件商標は、甲第2号証として提出する出願書類によれば、出願手続において拒絶理由通知を受けることなく登録されたものである。それは指定商品「顎関節筋力トレーニング器、その他本類に属する商品」のうち、「顎関節筋力トレーニング器」がどのような商品かは別として「筋力トレーニング器」とあるから運動具に属すると認定されただけである。なぜなら、出願手続において商品説明はなされていないからである。

「筋力トレーニング器」という商品は運動具に属する商品であろうが、筋力トレーニング器と称するからには特定の筋肉を鍛錬して運動機能を強化するものと解するのが常識的な認識であろう。この点、被請求人商品は顎関節の筋肉を鍛錬するといったものではなく、歯の噛み合わせを矯正することによって頭痛を緩和・解消させるためのものである。

したがって、被請求人商品は、旧第10類の「医療機械器具」に属する商品であって、旧第24類の「運動具(乗馬用具および乗馬ぐつを除く。)」には属さない商品である。

なお、請求人は被請求人商品と同様の機能を奏する商品が旧第10類に商標登録されている例を参考資料として提出する。

資料1 登録第2261259号(商公平1−93896)

資料2 登録第2302456号(商公平2−47872)

(5)以上述べたように、被請求人が本件商標を使用しているとして提出した商品が運動具に属する商品でないので、本件商標は、商標権者又は通常使用権者のいずれもか日本国内において継続して3年以上「運動具(乗馬用具、乗馬ぐつを除く。)」について使用されていない。

ここに、本件商標は指定商品中「運動具(乗馬用具および乗馬ぐつを除く。)」についての登録は取り消されるべきであることを重ねて主張するものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

(1)本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内である平成8年6月27日付け発行の雑誌において通常使用権者が商品広告に使用しており、本件商標は取消されるべきものではない。すなわち、本件商標権の通常使用権者である東京都世田谷区尾山台2丁目14番16号所在の株式会社グリーンライトが、本件商標を付した商品である「顎関節筋力トレーニング器」の広告を平成8年6月27日付け株式会社マガジンハウス発行の雑誌「Hanako」1996年6月27日号(乙第1号証)に掲載している。乙第1号証においては商品である「顎関節筋力トレーニング器」の写真が印刷表示されると共に、該商品の商標である本件商標が表示されている。本件商標は「TMJ」であるが、乙第1号証においての商標の使用態様が「THE TMJ」と表示されている点に関しては、定冠詞である「THE」が付記されているとしても「THE」と「TMJ」間には段落があり、商標法第50条第1項の規定により、前記のような使用態様においても、当該登録商標と社会通念上同一と認められるものと解されるべきものである。

(2)本件商標を付した「顎関節筋力トレーニング器」はオーストラリアで製造されたものを、そのままの荷姿で乙第2号証に示すような形で日本国内で販売している。ケースに収納された商品に添付の解説書(乙第3号証)は英文で記載されているため、日本文の要約解説書(乙第4号証)を付けて販売している。

(3)本件商標を付した「顎関節筋力トレーニング器」は次のような観点より製造されたものである。

人間の顎は口腔を上下より囲んでいる部分で、上顎と下顎に分けられる。顎の中には上下に夫々上顎骨と下顎骨とがあって支柱をなしており、これら上,下顎骨には歯が植っている。下顎骨は顎関節によって頭蓋に結びつけられていて、上顎に対し、前・後・左右方向に運動し、食物をかんだり、会話時等に所定の運動をする。前記顎関節は68対の筋肉をコントロールしており、中には脳神経にも影響を与える筋肉もあることから、前記顎関節の位置はずれることのないよう常に保持される必要がある。

しかしながら、上,下の歯の咳合状態がずれてくる(いわゆる不正咬合)と、当然前記顎関節の位置もずれてしまい、例えば下顎骨が奥へ押し込まれた場合、その分だけ頭は前方へ傾くので、それを調整するため生体は首の後の筋肉が重い頭を引張って前を向けさせるように努力するが、その結果、首の筋肉が緊張し続け、首筋がこったり、肩がこったりすることになる。そして、この無理な筋肉の緊張状態を強いるうちに、首の骨までゆがみ、頭の位置がずれて、左,右いずれかに傾いてくる。

更に、前記首のゆがみが背骨から全身に広がって行き、重たい頭部が傾くと、これを支える体の位置がずれてきて、その結果脊椎が曲ってしまうことになる。この脊椎は各器官や臓器、筋肉に連らなる神経を守ると共に、前記脊椎を構成する各椎体の間から多くの神経が出て、前記各器官や臓器、筋肉に連らなっているが、脊椎が湾曲してしまうということは一つ一の椎体のつながりがずれるということで、ずれた椎体から出ている神経が圧迫され、前記各器官や臓器、筋肉に影響を与え、頭痛、耳鳴り、顔面神経痛、肩痛、首痛、腰痛、脊椎湾曲の原因となると共に、内蔵疾患の原因ともなっていた。

そして、「顎関節筋力トレーニング器」は、歯の不正咳合が顎関節の位置のずれを生じ、前記種々の症状が生体に発生するという点に鑑み、前記68対の筋肉をトレーニングして強化することにより、疲労のたまった筋肉機能を再活性化させて、上顎骨および下顎骨の歯の咬合状態を正常位置に保持するよう習慣づけさせて、顎関節の位置のずれからくる前記各疾患を防止しようとするものである。

(4)そして、乙第4号証として提出する日本文の解説要約書には、「TMJを装着し、活発に噛むことで、筋肉の質が改善され、...」と記載され、更に「大量生産の食物は概してやわらかく、このやわらかさが、私たちから『噛む』という行為を忘れさせてしまいました。こうして、頭蓋下顎関節の筋肉組織が弱くなり、ストレスや痛みといった症状として表れているのです。TMJは硬くて、噛み応えのある食べ物を噛むという動きを再現し、顔面の皮膚や筋肉組織の質を若返らせます。TMJを活発に噛むことで、顔面、頚部及び咽喉部が活性化され徹底した『ワークアウト』(練習)を行なえるというわけです。」と記載されている。

すなわち、「TMJ」を付した商品は、顎関節の筋力をトレーニングすることによって、顎関節部の筋肉組織を強化し活性化させる「顎関節筋力トレーニング器」である。

(5)以上述べたように、本件商標は「運動具」に属する「顎関節筋力トレーニング器」に、本件審判請求の予告登録前3年以内である平成8年6月27日には使用されているものである。

(弁駁に対する第2答弁)

(1)請求人は、弁駁書において乙第1号証は商品広告ではなく雑誌の記事であるという。しかしながら、乙第1号証をみると、本件商標の外、商品写真、商品名、価格および販売会社名とその電話番号が表示されているので、単なる記事ではなく商品広告であるというべきものである。

(2)また、請求人はその弁駁書において、本件商標を使用している商品は医療器具であって、運動用具に属する商品ではないという。しかしながら、答弁書(第1)においても主張しているように、本件商標の指定商品である「顎関節筋力トレーニング器」は、歯の不正咬合が顎関節の位置のずれを生じ、前記種々の症状が生体に発生するという点に鑑み、前記68対の筋肉をトレーニングして強化することにより、疲労のたまった筋肉機能を再活性化させて、上顎骨および下顎骨の歯の咬合状態を正常位置に保持するよう習慣づけさせて、顎関節の位置のずれからくる前記各疾患を防止しようとするものである。そして、乙第4号証として提出する日本文の解説要約書には、「TMJを装着し、活発に噛むことで、筋肉の質が改善され、...」と記載され、更に「大量生産の食物は概してやわらかく、このやわらかさが、私たちから『噛む』という行為を忘れさせてしまいました。こうして、頭蓋下顎関節の筋肉組織が弱くなり、ストレスや痛みといった症状として表れているのです。TMJ は硬くて、噛み応えのある食べ物を噛むという動きを再現し、顔面の皮膚や筋肉組織の質を若返らせます。TMJを活発に噛むことで、顔面、頚部及び咽喉部が活性化され徹底した『ワークアウト』(練習)を行なえるというわけです。」と記載されていることから判断しても、本件商標を付した商品は、顎関節の筋力をトレーニングすることによって、顎関節の筋肉組織を強化し活性化させる「顎関節筋力トレーニング器」である。

(3)請求人は、「グリーンライト」が通常使用権者であるという証明はないという。しかしながら、通常使用権は商標権者と通常使用権者の契約(許諾)により発生するものであり、商標法は通常使用権者である旨の証明までは要求していない。本件の場合も本件商標の使用証明として、商標権者が乙第1号証を提出していることが、商標権者が「グリーンライト」へ通常使用権を許諾したことの証明となる。

(4)また、請求人は、乙第1号証で使用されている商標は「THE T MJ」であって、本件商標が使用されたとはいえないという。しかしながら、答弁書(第1)においても主張したように、本件商標は「TMJ」であるが、乙第1号証においての商標の使用態様が「THE TMJ」と表示されている点に関しては、定冠詞である「THE」が付記されているとしても「THE」と「TMJ」間には段落があり、商標法第50条第1項の規定により、前記のような使用態様においても、当該登録商標と社会通念上同一と認められるものと解されるべきものである。

(5)以上述べたように、本件商標は「運動具」に属する「顎関節筋力トレー二ング器」に、本件審判請求の予告登録前3年以内である平成8年6月27日には使用されているので、取り消される理由はない。

4 当審の判断

被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第4号証についてみるに、乙第1号証は、株式会社マガジンハウス発行の雑誌「Hanako」1996年6月27日号の抜粋(写し)と認められるところ、この雑誌の抜粋頁には「咬み合わせを改善すればストレス知らず......」との広告が該商品の写真と共に掲載されており、その下部に本件商標と社会通念上同一性を有すると認められる商標が表示されており、かつ、その掲載者(販売者)として「グリーンライト」とその電話番号が表示されていることが認められる。

また、乙第2号証は、オーストラリアで製造されたと認められる乙第1号証に掲載されたものと同一の商品と認められる該商品が包装箱に収納された状態のもの、箱の中の包装容器に収納された状態のもの及び包装容器から取り出した商品等のカラー写真(7葉)と認められるものであり、乙第3号証は、乙第2号証の包装箱(ケース)に添付されている英文で記載の解説書(写し)と認められるところ、これら各証拠の包装箱、包装容器及び解説書には本件商標と社会通念上同一性を有すると認められる商標が表示されていることが認められる。

さらに、乙第4号証は、前記商品の日本文の解説要約書と認められるところ、この日本文の要約書によれば該商品「TMJ」は、固くて噛み応えのある食べ物を噛むという動きを再現し、顔面の皮膚や筋肉組織の質を若返らせ、該商品「TMJ」を活発に噛むことで、顔面、頸部、及び咽喉部が活性化される......」旨の記載がされているており、その表紙及び各頁に本件商標と社会通念上同一性を有すると認められる商標が表示されていることが認められる。これらの記載内容及び前記の写真からすれば、該商品は、本件指定商品中の「顎関節筋力トレーニング器」に相当するものであり、これは本件審判の取り消し請求に係る商品「運動具(乗馬用具および乗馬ぐつを除く)」に属する商品と判断するのが相当といえるものである。

しかして、乙第1号証及び答弁書の「株式会社グリーンライト」の所在地等の記載によれば「(株式会社)グリーンライト」は被請求人によって許諾された通常使用権者と認め得るものである。

してみれば、本件商標は、通常使用権者によって本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中の「運動具(乗馬用具および乗馬ぐつを除く)」について使用されていたものと認めることができる。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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