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Trademark Appeal Case

医療用具の使用該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30471号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1040398号商標(以下、「本件商標」という。)は、「NSK」の文字を横書きしてなり、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品及び付属品、写真材料」を指定商品として、昭和45年9月22日登録出願、同48年10月25日設定登録、その後、2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中『医療機械器具、およびこれらに類似する商品』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第6号証(枝番を含む。)を提出している。

(1) 本件商標は、当該商標登録原簿に徴して明白なとおり、昭和48年10月25日付けで設定登録されたものであるが、その指定商品中の「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」については、本件審判請求の登録日前3年以上、一度も日本国内において、商標権者たる被請求人が本件商標を使用していない事実があり、かつ、本件商標に関して、専用使用権者が存在していないことも明白である。さらに、通常使用権者も存在しない。

よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当し、指定商品中の商品「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」についての登録は取り消されるべきものである。

(2) 答弁に対する弁駁

(イ) 被請求人は、薬事法第12条に規定する「製造業許可」を厚生大臣から受けておらず、さらに、同法第39条に規定する「医療用具の販売業」を行うことを大阪府知事に届けていない。しかも、入れ歯や人工骨の厚みを測定するのに使用されるとする「デンタルノギス」と称する製品(以下「本製品」という。)は、製造の承認、あるいは販売の許可をうけているものではないから、「医療用具(医療機械器具、およびこれらに類似する商品)」とはいえない。

したがって、被請求人は、審判請求に係る「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」について、本件商標を審判請求前3年以内に、我が国において使用してはいない。

以下、上記したところについて詳述する。

(ロ) 「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」とは、概略的には、医者が個人的に経営している診療所である医院、又は大勢の患者を収容して診察及び治療を行う施設である病院で専ら診察、治療に使用される機械器具でなければならない(甲第3号証の1及び2参照)。

そして、「医療用具」の製造、輸入及び販売を業として行おうとする者に関し、まず、薬事法第12条の規定による製造業を行おうとする者にあっては、製造所ごとに厚生大臣から同条の規定による許可を得る必要があり、また、同法第22条の規定による輸入販売業を行おうとする者にあっては、営業所ごとに厚生大臣から同条の許可を得ることが必要である(甲第4号証の1及び2参照。)。

さらに、薬事法第39条の規定による医療用具の販売業を行おうとする者にあっては、同条の規定により、営業所ごとにその営業所の所在地の都道府県知事に厚生省令で定める事項を届け出ることが義務付けられている(甲第4号証の1参照)。

しかるに、被請求人は、製造所であろうと思われる「兵庫県津名郡津名町志筑2626」において「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」の製造業の許可を、厚生大臣から受けている形跡はない。

さらに、上記商品の販売を行う営業所と思われる「大阪市中央区久宝寺町2一7一7」において、大阪府の知事に厚生省令で定められている事項を届け出た形跡はない。

上記したところは、我が国において医療用具の製造(輸入)、承認・許可を取得した医療用具の全製品を、用途・機能別及び企業別に系統立ててとりまとめた「医療機器総覧‘99」中の「業者リスト」の項中において、厚生大臣から許可を受けているか、あるいは大阪府知事に届け出ていれば掲載されているであろう該当頁(第577頁)に被請求人の名称が記載されていない事実から立証される(甲第5号証参照)。

付言するならば、「神戸市中央区港島中町3丁目2番6号」在の「ジェイ・エム・テック株式会社」についても、「医療用具の販売業」を行うことについて、厚生省令で定められている事項を、兵庫県知事に届け出た形跡はない。

上記したところも「医療機器総覧‘99」中の「業者リスト」の項中において、厚生大臣から許可を受けているか、あるいは兵庫県知事に届け出ていれば掲載されているであろう該当頁(第540頁)に「ジェイ・エム・テック株式会社」の名称が記載されていない事実から立証される(甲第5号証参照)。

したがって、被請求人は、厚生大臣から医療用具製造業の許可を受けておらず、さらに、医療用具の販売をするにあたっての厚生省令で定められた事項を大阪府知事に届け出てはいないから、医療用具の製造業、あるいは医療用具の販売業を行ってはいない。

(ロ) 被請求人が厚生大臣から医療用具の製造業を行うことの許可、あるいは医療用具の販売業を行うことを大阪府知事に届け出ていたとしても、「医療用具」の範疇に属する個々の品目のうち、薬事法第14条の規定による保険衛生上特別の注意を有する品目(日本工業規格に適合する医療用具以外の品目)を製造する者がこれらの品目を製造しようとする場合には、同条の規定により申請書に個々の品目の臨床試験の試験成績に関する資料、その他の資料を承認申請書に添付して申請し、厚生大臣の承認を得ることが必要である(甲第4号証の1参照)。

他方、薬事法施行規則第18条に規定される「品目ごとの承認を要しない医療用具」は工業標準化法第18条第1項の日本工業規格に適合する20品目の医療用具であるが、これとても厚生省に日本工業規格表示許可(認定)の認定を申請して表示の許可(認定)を受ける必要がある(甲第4号証の1ないし3参照)。

そして、厚生大臣の承認、あるいは許可を受けて製造された医療用具については、それ自体(入歯や人工骨の厚みを測定するのに使用されるという本製品)、その直接の被包(木箱)又は添付文書(本製品の取扱説明書あるいはカタログ)に承認番号を記載しなければならない(薬事法の承認を必要としない「医療用具」にあっては許可番号を記載しなければならない。)(甲第6号証参照)。

しかしながら、本製品の販売形態と木箱上の本件商標の表示態様を示す拡大写真、本製品の取扱説明書及びカタログ(NO.9100)(乙第1ないし第3号証)のいずれをみても上記したところが記載されている形跡はない。

そして、医療機器製品の実態が一目でわかるように、系統立ててまとめられた「医療機器‘99」中の「歯科用機器」及び「歯科用材料」の項をみても本製品が存在する事実はない(甲第5号証参照。)。

したがって、「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」は、医者が個人的に経営している診療所である医院又は大勢の患者を収容して診察及び治療を行う施設である病院で専ら診察、治療に使用される機械器具であることと、上記したところを考え併せると、本製品は、「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」の範疇に属する商品ではない。

すなわち、乙第1号証及び乙第3号証のノギスに付した「デンタルノギス」とは、被請求人が自分で「デンタル」、「歯科用」という用途表示をしているにすぎず、本製品は本来測定機械器具の中に含まれるものであって、医療機械器具に含まれるものではない。

(ニ) 「医療機械器具およびこれらに類似する商品」の流通経路は、医療品卸売業を通す卸売ルートと、医療品卸売業を通さない直販ルートとが考えられ、前記直販ルートは、メーカー→特約店→医療機関という形をとっているのが一般的である。

しかして、上記いずれの流通経路をとる取引の場合、あるいはこれらの経路と異なる流通経路をとる取引の場合においても、各経路間では、常に、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書等が介在するのが社会通念である。

しかしながら、乙第4号証販売実績表と乙第7号証売上伝票は自己証明であり、乙第6号証のジェイ・エム・テック株式会社の証明及び乙第8号証の有限会社ユーエスデンタルラボラトリーも上記した医療機械器具ではない測定機械器具である「デンタルノギス」の販売実績等を証明したにすぎない。

(ホ) 上記したところから、被請求人は、医療用具の製造業及び医療用具の販売業を行っておらず、本製品は、「医療機械器具およびこれらに類似する商品」の範疇に属する商品とはいえないから、審判請求に係る「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」について、本件商標を審判請求前3年以内に我が国において使用してはいない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第8号証を提出している。

被請求人は、審判請求に係る商品「医療機械器具およびこれらに類似する商品」について、本件商標を審判請求前3年以内に我が国において使用しているので、以下に立証する。

(1) 乙第1号証は、被請求人の代理人が平成11年9月18日に、神戸市中央区海岸通8番の鳥巣特許事務所で撮影した、被請求人の製造に係る本製品を木箱に収納して販売している態様を示す写真及び木箱上の本件商標と製品名(商品名)の表示態様の部分拡大写真である。本製品の販売態様の写真から明らかなように本製品のデジタル表示部のすぐ上に、本件商標「NSK」が表示されている。

(2) 本製品の木箱に添付されている取扱説明書(乙第2号証)の第1行目(表題)に、本件商標「NSK」及び製品名(商品名)であるところの「MAX−DN10デンタルノギス」が一連に表示されている。本製品は取扱説明書(乙第2号証)に記載されているとおり、医療分野の主に歯科技工分野や整形外科で使用される人工骨の加工・製作などのインプラント材料の取扱分野において、入歯や人工骨の厚みを測定するのに使用されている。いいかえれば、本製品は医療分野において入歯の人造歯や人工骨頭などの、特に各所の厚みを簡単にかつ正確に測定するために開発された製品であり、測定面にはそれらのインプラント材料を測定するのに好適な2種類の測定子を設けている。

(3) 本製品は通常は代理店を通じて販売されるが、平成7年ごろから徐々に注文が増え、30台以上の販売実績があるので、その販売実績表を乙第4号証として提出する。

(4) 本製品は上記したように医療分野の主に歯科技工分野やインプラント材料の取扱分野において主に使用されるが、本製品も精密測定機器であるので、他の工業用測定機器類を掲載しているカタログ(NO.9100)に一緒に掲載している。このカタログの配布先には、少なくとも乙第4号証に記載の代理店が含まれている。

同カタログを乙第3号証として提出するとともに、同カタログの過去5年間にわたる印刷部数と納品日とを印刷会社(株式会社ソーケン)が証明したものを、乙第5号証として提出する。

(5) 以上で、本件商標を医療機械器具又はこれに類似する商品に使用したことは十分と考えるが、本製品が医療機械器具又はこれに類似する商品に該当することを明らかにするために、本製品の販売先に歯科及び歯科技工の会社があること(乙第6号証)、乙第6号証の販売先には代理店からの指示を受けて被請求人が直接に発送しているので、そのときの売上伝票の写しを乙第7号証として提出する。さらに、本製品は歯科技工士の間で仕事上有効に役立っているようであるが、本製品が歯科技工の方にとっても入歯等の測定に好適な測定機器であるという内容の書面を乙第8号証として提出する。

4 当審の判断

(1) 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。

乙第1号証は、本製品の写真と認められるところ、本製品の本体には「NSK」及び「MAX−CAL」の文字が付され、その包装用箱には「NSK」、「MAX−CAL」及び「MAX−DN10」の文字が付されている。乙第2号証は本製品の取扱説明書であり、乙第3号証は本製品のカタログと認められるところ、これらには、「NSK」、「MAX−CAL」及び「MAX−DN10」の文字が記載されており、該「NSK」の文字は本件商標と社会通念上同一といい得る態様で表されている。乙第5号証は、株式会社ソーケンによる「和文総合カタログ製作、納品証明書」であり、これによれば、上記カタログが平成6年ないし同11年に製作されたとされている。乙第7号証は、被請求人が平成8年10月7日及び同10年4月15日に発行した売上伝票の写しと認められるところ、これらの伝票には、商品名として「MAX歯科用」と記載され、製品番号として「MAX−DN10」が記載されており、該製品番号と上記写真、取扱説明書及びカタログに記載された記号番号とが一致している。

(2) 以上の事実を総合すれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と同一文字よりなる商標を、取消請求に係る指定商品「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」中の「診断用機械器具」の範疇に属するものと認め得る本製品について使用していたというのが相当である。

(3) 請求人は、本製品は、「医療用具」としての製造・販売許可を受けていないものであるから、「医療機械器具」には属さず「測定機械器具」に属する商品であると主張している。

しかしながら、本件商標の指定商品である「医療機械器具」は、社団法人発明協会発行(昭和55年3月31日発行 改訂版)の「商品区分解説」によれば、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。」とされており、必ずしも薬事法にいう「医療用具」としての製造・販売許可を受けているものに限定されるものではなく、該「医療用具」以外の商品をも含むものといわざるを得ない。

そして、本製品は、その使用目的が「入れ歯や人工骨の厚み測定に用いられるもの」といえるから、これを購入し、使用する者は歯科医又は歯科技工士等であり、上記の「医院又は病院で専ら使用される機械器具」に該当するものというべきである。

さらに、上記商品区分解説の「診断用機械器具」の項では、「診断の性質上、測定を目的とする機械器具が多いが、医院又は病院で専ら用いられるので、ここに属することになる。」とされ、かつ、請求人提出の「医療機器総覧’99」(甲第5号証)の「歯科用機器」中にも「歯周ポケット測定器」のような測定機器が掲載されている事実からすれば、本製品は、取消請求に係る指定商品「医療機械器具、およびこれらに類似する商品」中の「診断用機械器具」の範疇に属するものとみるのが相当である。

したがって、請求人の主張は採用することができない。

(4) 以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で商標権者により本件取消請求に係る指定商品について使用されているものであるから、その登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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