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Trademark Appeal Case

周知商標と商品類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900305(T2011−900305/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5413575号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5413575号商標(以下「本件商標」という。)は、「ゼロフロン」の文字を標準文字で表してなり、平成22年12月1日に登録出願、第6類「金属製サンドイッチパネル」を指定商品として、平成23年4月27日に登録査定、同年5月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)

(1)登録異議申立人の引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、登録第4895686号商標(以下「引用商標」という。)であり、「ゼロフロン」の文字を標準文字で表してなり、平成17年2月3日に登録出願、「発泡プラスチック製の建築用構築用防音・断熱材,その他のプラスチック製建築専用材料」を含む第19類、第1類、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月16日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は、ともに「ゼロフロン」を標準文字で表してなるものであり、同一の商標である。

本件商標の指定商品は、第6類「金属製サンドイッチパネル」(一般に使用されている商品名は「金属サンドイッチパネル」)であるところ、これは通常、発泡ウレタンフォーム等(商標権者の実際の商品はポリイソシアヌレートフォーム)のプラスチック製断熱材の両面に金属面材を貼り合わせた建築専用材料のことである。その構造からは、本件商品の主要な材料は「発泡ウレタンフォーム等のプラスチック」であり、その用途は建築物の断熱である。また、その需要者は建築会社、施工業者であるから、「金属製サンドイッチパネル」は、第19類「発泡プラスチック製の建築用構築用防音・断熱材,その他のプラスチック製建築専用材料」と原材料、用途及び需要者を共通にするものであり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第10号について

申立人は、2007年5月より、現場発泡断熱材・断熱システムについて「ゼロフロン」(以下「引用標章」という。)を使用しているところ、当該断熱材は、地球温暖化の原因となるフロンガスを一切使用しない断熱材であり、甲第45号証ないし甲第58号証に示すように多数の新聞で報道され、多数の取引先のウェブサイトで紹介され、また、展示会等への出展等を通じて積極的な宣伝活動を行っている。そして、2009年度10億円、2011年度30億円の売上目標に示されるようにノンフロン断熱材市場において極めて大きな売上げ・伸び率で推移しており、「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞 審査委員会特別賞」や「グリーン購入大賞 審査員特別賞」を受賞するなど、性能的にも注目を集めている。これらのことからすれば、引用標章「ゼロフロン」は異議申立人の「建築用断熱材」の名称として、その需要者・取引者の間で周知となっている。

そして、本件商標の指定商品「金属製サンドイッチパネル」は、「建築用断熱材」であり、引用標章が使用されている商品と同一又は類似する商品である。

よって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標であって、その商品と同一又は類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号について

上記のように、引用標章は「建築用断熱材」の需要者・取引者の間で周知となっており、本件商標は引用標章と「ゼロフロン」の文字を共通にする同一のものである。そして、取引の実情をみると、商標権者の実際の商品はポリイソシアヌレートフォーム(硬質ウレタンフォーム)を鋼板でサンドイッチしたもので、主材料は引用標章が使用されている商品と同一であり、用途及び需要者も共通にする。

したがって、互いの商品の関連性は極めて高く、本件商標を本件指定商品に使用した場合、引用標章と自他商品の出所の混同を生じるおそれがあることは明らかであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(5)商標法第4条第1項第19号について

本件商標権者は、同一雑誌に周知商標(引用標章)に係る商品と誤認を生ずる広告を掲載しており、また、ウェブサイトにてイソバンドBL(「ド」の右上に小さく○の中に「R」の記号が表示されている。)、BL−Hに引用標章に係る商品と誤認を生ずるような「ゼロフロン」の表記をしていることから、引用標章の信用にただ乗り(フリーライド)しようとする意図ないし目的が推認される。他方で、商標権者は、「ポリイソシアヌレートフォーム(ゼロフロン)」、「ゼロフロン」パネル、「ゼロフロンのNICSパネル」といったように広告宣伝物の記事や説明文中に本件商標を使用しており(甲第65号証、甲第66号証、甲第68号証)、引用標章の希釈化を図ろうとする意図ないし目的も見受けられる。

よって、本件商標は、かかる不正の意図ないし目的をもって使用をするものであり、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(6)以上のように、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同10号、同15号及び同19号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標と引用商標は、「ゼロフロン」の文字を標準文字で表してなるものであり、同一の商標である。

イ 申立人は、本件商標の指定商品である第6類「金属製サンドイッチパネル」と、引用商標の指定商品中、第19類「発泡プラスチック製の建築用構築用防音・断熱材,その他のプラスチック製建築専用材料」が類似であることを理由に本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしている。

そこで、本件商標の指定商品「金属製サンドイッチパネル」と、引用商標の指定商品中、第19類「発泡プラスチック製の建築用構築用防音・断熱材,その他のプラスチック製建築専用材料」が類似であるかどうかを以下検討する。

「金属製サンドイッチパネル」とは、表裏2枚の鋼板を成形加工し、その間に硬質ポリウレタンフォームなどを注入し発泡・硬化させたもの、又はロックウールボードなどを挟み込んだパネル型の建材であり、その特徴として、極めて優れた断熱性能を持ち、外装建材として使用されるほか内壁材として使用できるものであって、鋼板、外装を取り扱う業者(鉄鋼会社、外壁及び外装業者等)によって製造販売される商品である。

一方、「発泡プラスチック製の建築用構築用防音・断熱材,その他のプラスチック製建築専用材料」とは、ポリエリレン樹脂、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム等を原材料とした板状、発泡体及び熱硬化性樹脂の防音・断熱材であり、屋根裏や床下、柱・間柱の間の壁面等に施工される商品及びその他のプラスチック製の建築構築材料であって、合成樹脂製品を取り扱う業者(化学工業会社、プラスチック発泡製品製造業者等)によって製造販売される商品である。

そうとすれば、両商品は、需要者が一致する場合があるとしても、それぞれの用途、生産販売部門、商品の原材料、品質が相違し、また、上記パネルが硬質ウレタンフォーム等を使用し、製造されるものであるとしても、完成品と部品の関係であるともいえず、これらに同一の商標を使用した場合に、その需要者をして同一の営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるとは認められないから、非類似の商品と判断するのが相当である。

ウ したがって、本件商標と引用商標とが同一の商標であったとしても、その指定商品において同一又は類似するものとはいえないから、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

(2)引用標章の周知性について

申立人は、申立人の商品「現場発泡ウレタンフォーム断熱材」の使用に係る引用標章が周知性を有していると主張し、甲第8号証ないし甲第64号証を提出しているので、その周知性について検討する。

ア 申立人は、2007年(平成19年)6月にフロンを使用しない(ノンフロン)の現場発泡ウレタンフォーム断熱材(以下「申立人商品」という。)を開発し、引用標章を付して販売を開始し、その後、2009年(平成21年)8月には、新フェノールウレタンに改良した申立人商品(ゼロフロンER)の販売を開始した(甲8、甲9)。

イ 甲14ないし甲35は、申立人商品に係る2007年5月ないし2011年7月の出荷報告書であるが、本件登録出願時前(甲14ないし甲31)の期間についてみると、2007年、2008年にそれぞれ2回、2009年に7回、2010年に7回の出荷があったにすぎない。

ウ 甲44は、平成20年11月に作成された「ゼロフロンシステム『APS−3N』と「HFCシステム『APS−3H』」の商品カタログであり、甲43は、平成22年2月に作成された「ゼロフロンER」の商品カタログであるが、いずれのカタログも配布地域、配布部数などの配布状況は明らかでない。

エ 申立人商品の売上げについて、2009年(平成21年)7月16日付け「日刊工業新聞」によれば、「住宅建築用断熱材向けのノンフロン発泡材料事業の2008年度売上高約1億円」の記事がある(甲47)が、これが引用標章に係る商品の売上高であるとしてみても多い額とも言い難い。

オ 申立人商品及び引用標章について、2009年(平成21年)1月9日付け、2009年(平成21年)5月21日付け「化学工業日報」、2009年(平成21年)7月16日付け「日刊工業新聞」、2009年(平成21年)7月27日付け「日経産業新聞」、2009年(平成21年)7月27日付け「株式WEB新聞」、2009年(平成21年)7月28日付け「住宅新報」、2009年(平成21年)7月28日付け「夕刊デイリー」、2009年(平成21年)7月29日付け「日刊ケミカルニュース」、2009年(平成21年)8月5日付け「フォームタイムス」、2010年(平成22年)9月10日付け「西日本新聞」、2010年(平成22年)10月5日付け「住宅新報」(甲45ないし甲53、甲55、甲56)に掲載されたことは認められるものの、その回数は、わずかに11回にすぎず、しかも、うち5回は、「ゼロフロンER」が発売された一時期のものである。

カ 雑誌広告は、2009年8−10「日経アーキテクチュア」の一冊のみである(甲68)。

キ 甲59ないし甲63は、申立人商品を取り扱う者のウェブサイトであり、申立人商品が掲載されていることは認められるものの、これらの掲載日は不明である。

以上によれば、申立人が提出した前記各号証からは、申立人商品に引用標章が使用されていたのは、登録出願日のわずか3年6月前であること、引用標章が新聞等に掲載されたことは認められるのものの、その回数は多くはなく、しかもその多くは販売開始時期の一時期であり、雑誌広告もわずか1回で多くないこと、売上高が2008年度約1億円で決して多いともいえないことなどから、これらをもってしては、直ちに、引用標章が本件商標の登録出願の時ないしは登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

申立人の引用標章が本件商標の登録出願日前より使用されていたとしても、同人の業務に係る申立人商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできないこと上記(2)のとおりであり、さらに、本件商標の指定商品と申立人商品とは上記(1)と同様に非類似の商品であるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用標章を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものとはいえない。

(4)商標法第4条第1項第19号について

申立人の引用標章が、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認められないこと上述のとおりであり、申立人の提出に係る証拠を勘案しても、本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けた等と認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。

そうとすれば、本件商標は、使用商標の出所表示機能を希釈化させ、申立人の名声を毀損させる目的、その他不正の目的をもって使用するものとは認め難いものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものとはいえない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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