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Trademark Appeal Case

ELLE」著名性と類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900395(T2010−900395/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5352561号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5352561号商標(以下「本件商標」という。)は、「リフレッシングエル」の片仮名を書してなり、平成22年4月14日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年8月26日に登録査定、同年9月10日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 申立人が引用する商標

申立人が引用する登録商標は、次のとおりである。なお、これらをまとめていうときは「引用商標」という。

(1)登録第689862号商標(以下「引用商標1」という。)は、「エ ル(エとルの文字の間には、2文字程度の間隔が空いている。以下、同じ。)」の片仮名を書してなり、昭和39年6月1日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同40年11月18日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成18年1月4日に第3類、第8類、第10類、第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する別掲1に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(2)登録第1793479号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ELLE」の欧文字を書してなり、昭和54年7月17日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年7月29日に設定登録、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成18年1月4日に第3類、第8類、第10類、第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する別掲1に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(3)登録第4297137号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成10年3月11日に登録出願、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き」を指定商品として、同11年7月23日に設定登録、その後、同21年6月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 引用商標の著名性について

(1)引用商標の沿革

申立人は、商標「ELLE」を付した女性向けファッション雑誌(以下「申立人雑誌」という。)を、1945年(昭和20年)に、フランスにおいて創刊し(甲第2号証及び第3号証)、現在に至るまで発行している。

また、申立人は、商標「ELLE」を付した各種商品の製造、販売及び各種役務の提供を全世界で展開し、各種商品及び役務に関して、「ELLE」及び「エル」の文字を含む多数の商標(上記引用商標は、その一部にすぎない。)に関して、400を超える商標登録を有している。

(2)申立人の申立人雑誌発行を通じての活動

ア 世界における申立人雑誌発行状況

申立人雑誌は、フランスのほか、アメリカ、イギリス、スペインの各企業等により各国において発行されている。

これらのうち、フランス版、アメリカ版及びイギリス版は日本国内においても販売されており、現在では、申立人雑誌は31力国版が発行され、その年間発行部数は6000万部を越えており、全世界で8000万人以上が購読している(甲第2号証、甲第5号証等)。

イ 日本国内における申立人雑誌発行状況

我が国でも、昭和45年3月、雑誌「アンアン(an an)」を申立人の雑誌の日本版と位置づけて創刊し(甲第6号証)、以来昭和57年に至るまで雑誌「アンアン」には、毎号フランス語版雑誌「ELLE」の記事が多数掲載されるなど「ELLE」ファッションの紹介、普及を図り、その表紙には必ず引用商標を付してきた。

その後、昭和57年4月、日本版女性雑誌「ELLE」が、創刊された(甲第9号証ないし甲第13号証)。

これらの雑誌に掲載されるファッションは、現代感覚に溢れた申立人雑誌独自の特徴を有し、その内容は、被服、布製身回品、化粧品、バッグ類、履き物、装身具、時計、眼鏡、傘、寝具類、家具、テーブルウェア、食品等、その他のファッションの紹介記事、あるいはこれに関連する広告の掲載であり、「ELLE」ファッション、「ELLE」カラーと呼ばれて、いわゆる「エル」及び「ELLE」ブランドの国内における源流となっている(甲第7号証及び甲第8号証)。

(3)申立人の商品販売を通じての活動

ア 世界における申立人商品販売状況

申立人は、日本を含め世界各国において各種商品について引用商標の登録をなしており、各国において管理をしている引用商標及びそのバリエーションを併せた申立人の商標登録の数はおよそ1700余りである。このように、申立人雑誌の人気及び申立人の大々的な宣伝活動の相乗効果により、申立人商品は、世界中の顧客の支持を受け、人気ブランドとなっている(甲第2号証)。

その結果、申立人の使用する引用商標は、女性向けファッションを対象とした婦人服、布製身回品をはじめとして、今や子供服、紳士服から、バッグ類、履き物、装身具、時計、眼鏡、傘、寝具類、家具、テーブルウェア、食品に至るまで、申立人の商品又は営業であることを示す表示として、世界中の取引者及び需要者間において広く認識されるに至っている。

イ 日本国内における申立人の商品の販売状況

申立人は、昭和39年以来、ライセンシー及びサブライセンシーを通して「ELLEファッション」の宣伝・販売・普及に努めてきた。

我が国の申立人のサブライセンシーの数は、2006年4月現在で35社に上り、その業種も、被服、布製身回品、バッグ類、履き物、装身具、眼鏡、傘、寝具類、家具、テーブルウェア、食器等あらゆる商品に及んでいる(甲第17号証ないし甲第42号証)。

これらのサブライセンシーは、申立人のライセンス商品の出所を示すもの、すなわち、商標として引用商標及び商標「ELLE」(以下、両商標をまとめていうときは「引用商標等」という。)をその商品に付して継続して使用している。また、引用商標等の使用を通じその称呼「エル」も著名なものとなっている。それゆえ、これらの使用を通じて、引用商標を含む商標「ELLE」及びその称呼「エル」は、遅くとも本件商標の登録出願の日前から我が国において著名な商標となっている。

3 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標は、「リフレッシングエル」の文字からなるものであるが、日本における一般消費者の外国語知識からして、本件商標は、「リフレッシング(REFRESHING)」という英単語と「エル」の単語からなる商標であると容易に理解される。また、「リフレッシング」という単語は、本件商標の指定商品である化粧品等の商品において、さわやかにする、さっぱりするという意味で広く使用されている語であるから、本件商標の指定商品との関係においては、強い識別力を有しない単語である。そして、かかる「リフレッシング」の単語が使用されている商品は、多数存在している(甲第43号証ないし甲第46号証)。

したがって、本件商標が、その指定商品に使用された場合、一般消費者は、「エル」の部分により注目することになり、この部分は、引用商標と同一又は類似である。

(2)また、特許庁の商標審査基準に徴すれば、需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、原則として、その他人の登録商標と類似するものとされている。前述のように、引用商標「エル」及び「ELLE」は需要者の間に広く認識された商標であり、本件商標の「エル」の部分は、係る周知著名の商標と同一であるから、引用商標に類似するものであることは明白である。また、上記のとおり、「リフレッシングエル」という単語が「リフレッシング(REFRESHING)」という英単語と「エル」の単語からなる商標であると容易に理解される以上、本件商標が不可分一体の、別の意味を有する単一の商標として認識されることもない。

(3)したがって、本件商標は、上記商標審査基準に照らし、引用商標と類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、上記3のとおり、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標「エル」及び「ELLE」に類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号にも該当する。

5 商標法第4条第1項第15号について

上記2のとおり、引用商標等は、雑誌「ELLE」による著名性、「ELLE」ファッション、「ELLE」ファッション商品化により、遅くとも本件商標の登録出願日には、我が国において「エル」の称呼をもって著名な商標となっていたものである。

特許庁の商標審査基準に徴すれば、他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取扱うものとするとされており、申立人の著名な商標である引用商標を含む本件商標に接した需要者については、本件商標に係る商品が申立人と少なくとも何らかの関係のある子会社等に係る商品であると誤認混同するおそれがあるのは明白である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

6 結語

上述のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

1 引用商標の周知、著名性について

申立人提出の甲各号証によれば、申立人は、1945年(昭和20年)にフランスにおいて、商標「ELLE」を付した女性向けファッション雑誌を創刊して以来、世界各国で当該雑誌を発行するとともに、商標「ELLE」を婦人服、バッグ類、履き物、装身具等に使用している。

そして、申立人の使用する商標「ELLE」は、申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして、世界中の取引者及び需要者間において広く認識されるに至っており、また、我が国においても、甲第17号証の1ないし5によれば、申立人が遅くとも1995年(平成7年)頃から、ライセンシー及びサブライセンシーを通じ、「ELLEファッション」の販売・普及活動を推進してきた結果、商標「ELLE」は、申立人又はライセンシーなど同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であることを表示するものとして、本件商標の登録出願前から著名なものとなっていたことを認めることができ、さらに、その著名性は現在も継続しているものといえる。

しかしながら、商標「エル」についてみると、申立人提出の甲各号証によれば、「エル・ルミエール ウォッチ」、「エル・プチ」、「エルプチ」、「エルオム」、「エルスポーツ」、「エルルミエール」、「エル・カンパーニュ」等の文字が、「ELLE」の文字とともに使用されている(甲第24号証の2、甲第27号証の1、2、4ないし9、甲第30号証の3)ものの、商標「エル」が、当該「ELLE」の文字を伴わずに、単独で使用されている例はほとんどないことから、片仮名で表記した商標「エル」は、本件商標の登録出願時及び査定時において、著名な商標となっていたということができないものである。

2 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「リフレッシングエル」の片仮名を書してなるものであるところ、同書、同大、等間隔に外観上まとまりよく表されているものである。

そして、本件商標中の「リフレッシング」の文字が、「心身を爽快にする、活気づける」という意味を表す英語を片仮名で表記したものであるとしても、かかる本件商標の構成においては、該文字が、特定の商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものではないから、後部の「エル」の文字部分を、ことさら分離して抽出すべき理由はない。

そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「リフレッシングエル」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものといわなければならない。

一方、引用商標1は、上記第2 1のとおり、「エル」の片仮名を書してなり、引用商標2は、「ELLE」の欧文字を書してなり、引用商標3は、別掲2のとおり、「ELLE」の欧文字を書してなるところ、これらは、「彼女」の意味を有するフランス語の「ELLE」の文字及びその表音の「エル」の文字であるから、いずれの引用商標も「エル」の称呼及び「彼女」程の観念を生ずるものである。

そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、称呼においては、それぞれから生じる「リフレッシングエル」と「エル」において、両者はその構成音数に明らかな差異を有するものであるから、互いに聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。

また、両商標は、それぞれの構成前記のとおりであるから、外観上明らかに区別し得るものであり、観念においても、本件商標は、前記のとおり、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、明確な観念を有するものであるから、観念において、類似するところがないものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

3 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

本件商標と引用商標等とは、上記2のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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