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Trademark Appeal Case

称呼の要部抽出と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900194(T2011−900194/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5393521号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5393521号商標(以下「本件商標」という。)は、「ABERFITCH」の文字を標準文字で表してなり、平成22年10月6日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,塗料用剥(はく)離剤,つや出し剤,せっけん類,化粧品,香料類,芳香剤,自動車用芳香剤,家庭用芳香剤,消臭成分を有する芳香剤,自動車用消臭芳香剤,家庭用消臭芳香剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布」を指定商品として、同23年1月5日に登録査定、同年2月25日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出している。

(1)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、世界的に有名な衣料品、香水等の企画・販売を主な業とする企業である「Abercrombie&Fitch Co.」(以下「A&F社」という。)の子会社で、A&F社の商標の管理業務をしている。

A&F社がその業務に係る「被服、かばん、ベルト、履物、身装品、香水等の化粧品」等について使用した「Abercrombie&Fitch」の文字よりなる商標(以下「申立人商標」という。)は、アメリカ合衆国では既に1990年代から需要者に広く知られていた。そして、申立人商標は、A&F社の上記商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において、本件商標の登録出願時前から広く知られていたものであり、現在では更に広く知られている。

この広く知られた申立人商標である「Abercrombie&Fitch」と本件商標である「ABERFITCH」とを比較すると、本件商標は、申立人商標のうちの「crombie&」の部分を省略した構成であるといえる。そして、本件商標から生じる「アバフィッチ」の称呼は、申立人商標から生じる「アバクロンビーアンドフィッチ」の称呼のうち、外観上省略されている「crombie&」の文字に対応する「クロンビーアンド」の称呼部分を省略したものである。

また、本件商標の指定商品は、申立人商標が使用される商品と消費者及び製造者が共通し、極めて近似した商品である。

したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、該商品がA&F社又はA&F社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標である。

(2)むすび

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

3 当審の判断

(1)申立人商標の周知著名性について

(ア)申立人が提出した証拠及び職権による調査によれば、以下の事実を認めることができる。

A&F社は、1892年に、米国ニューヨーク州に創業されたアウトドア用品及びスポーツ用品を取り扱う企業であった。

その後、1988年にリミテッド社(現リミテッド・ブランズ社)に買収され、1992年ころから、20代前半の需要者を対象としたカジュアル衣服の販売へと事業の転換をし、申立人商標を使用した被服等は、米国において若い世代を中心とした需要者層に人気のある商品となり、2009年度末現在、申立人商標を店名として全米で340店舗を展開している。

日本においても、申立人商標を付したカジュアル衣料は、2004年(平成16年)ころより、若者を中心に購読される雑誌等で盛んに宣伝され、申立人商標又は「アバクロ」の略称をもって、通信販売等により日本の市場に浸透していった。

また、日本における直営店の営業は、2009年(平成21年)12月15日であったが、その出店計画については、それ以前の2007年(平成19年)8月には既に新聞に掲載されていた。

さらに、2010年(平成22年)7月24日付け朝日新聞(東京夕刊)において、「東京・銀座、ファストファッション通り 大型店続々、安さも魅力」の見出しの下、「東京・銀座といえば、高級店が立ち並ぶ繁華街。・・・この地域はさながら、『世界のファストファッション』の見本市となっている。中央通りだけでも、ここ数年、米国のフォーエバー21、アバクロンビー&フィッチ(アバクロ)、スペインのZARA(ザラ)、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が進出。・・・アバクロは価格帯は高めだが、若者に人気だ。」及び同年11月11日付け毎日新聞(西部夕刊)において、「アバクロ:福岡・天神にオープン アジア2店目、米人気衣料ブランド」の見出しの下、「米人気カジュアル衣料品ブランド『アバクロンビー&フィッチ』の福岡店が11日、福岡市中央区天神にオープンした。昨年12月に出店した東京・銀座に次いでアジアで2店舗目。」の記載があるほか、「アバクロンビー&フィッチ」、「アバクロンビー&フィッチ(アバクロ)」又は「アバクロ」の表示による新聞報道が多数見受けられる。

(イ)上記(ア)で認定した事実によれば、申立人商標は、本件商標の登録出願時である平成22年10月6日の時点及びその登録査定時である同23年1月5日の時点において、A&F社の業務に係る被服等を表示するものとして、我が国の若者を中心とした需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。

なお、申立人は、我が国の需要者の一部や海外では既に申立人商標(Abercrombie&Fitch)の文字を「aberfitch」と省略して表す例があるとして証拠を提出している(甲第28号証の1ないし5)ところ、甲第28号証の1は、2011年8月24日にプリントアウトされたウェブサイトの写しであって、2009年12月27日に記入されたものであることは分かるものの個人的なブログを内容とするものであり、また、同日にプリントアウトされた同号証の3ないし5は、英文のみによるウェブサイトの写しであるなど、これらの証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時前から、申立人商標を「aberfitch」と省略して表すことが需要者の間に広く認識されているということを認めることはできない。

(2)本件商標と申立人商標との類似性について

本件商標は、前記1のとおり、「ABERFITCH」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「アバフィッチ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

これに対して、申立人商標は、「Abercrombie&Fitch」の文字よりなるものであるところ、「Abercrombie」、「&」及び「Fitch」の文字又は記号を結合してなるものと認識、把握されるものの、構成全体が一体的に表されているものであり、その構成全体としては「アバクロンビーアンドフィッチ」と称呼されるものである。

そして、上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及びその登録査定時において、A&F社の業務に係る被服等を表示するものとして、我が国の若者を中心とした需要者の間に広く認識されていたものと認めることができるものであり、「アバクロ」と略称されていることが認められるとしても、「aberfitch」と省略して表すことが需要者の間に広く認識されているということを認めることはできないものである。

以上の事情を考慮し、本件商標と申立人商標との類似性について検討するに、「ABERFITCH」の文字と「Abercrombie&Fitch」の文字及び記号とは、その構成において明らかに相違し、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはないというのが相当である。

したがって、本件商標と申立人商標は、外観上類似する商標ということはできない。

また、本件商標から生ずると認められる「アバフィッチ」の称呼と申立人商標から生ずると認められる「アバクロンビーアンドフィッチ」とは、語調、語感が明らかに相違しており、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、判然と区別し得るものである。

したがって、本件商標と申立人商標は、称呼上類似する商標ということはできない。

さらに、本件商標と申立人商標とは、いずれも特定の観念を生じない造語と認められるから、観念上は比較することができない。

以上によれば、本件商標と申立人商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(3)出所の混同のおそれについて

上記(2)認定のとおり、本件商標は、申立人商標とは、商標において非類似のものというべきである。

そうすると、申立人商標がA&F社の業務に係る被服等を表示するものとして、本件商標の登録出願時には既に、我が国の若者を中心とした需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標に接する需要者が直ちに申立人商標を想起、連想することはないとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品がA&F社又はこれと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ということはできないから、商標法第4条第1項第15号に該当しないものと認める。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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