Trademark Appeal Case
「インテル」称呼類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900150(T2011−900150/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5386560号商標(以下「本件商標」という。)は,「株式会社インテルグロー」の文字を書してなり,平成22年6月18日に登録出願,第35類「建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,金属製配管パイプの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,換気扇の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,システムキッチン用調理台の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,暖冷房装置及びボイラーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,汚水浄化槽の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,浴槽類及びそれらの部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,太陽熱利用温水器及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用汚水浄化槽及び家庭用し尿処理槽の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建築用又は構築用の非金属鉱物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,便器及び洗浄機能付き便座の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,バルブの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用水槽の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,石製又はコンクリート製の彫刻の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,火災報知機及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,温水床暖房装置の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,消火栓の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用エレベーターの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用ごみ処理機の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用給湯器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭浴室用ガス給湯器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」を指定役務として,平成22年12月21日に登録査定,同23年1月28日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,「INTEL」,「インテル」,「INTEL CORPORATION」,別掲1のとおりに図案化した「intel」,「I NTEL960」,別掲2のとおり,図形との組合せからなる「intel」,標準文字で現してなる「INTEL」及び「インテル」からなる,登録第1373591号商標,同第1415771号商標,同第1415772号商標,同第1981178号商標,同第1981179号商標,同第1981180号商標,同第2326735号商標,同第2332545号商標,同第3018770号商標,同第3021997号商標,同第3028844号商標,同第3046181号商標,同第3063164号商標,同第3081280号商標,同第3102514号商標,同第3105618号商標,同第3143210号商標,同第3244229号商標,同第3314090号商標,同第3331850号商標,同第3337686号商標,同第4068771号商標,同第4348442号商標,同第4362619号商標,同第4412313号商標,同第4431563号商標,同第4441585号商標,同第4456379号商標,同第4480703号商標,同第4614499号商標,同第4618241号商標,登録4634154号商標,同第4733468号商標,同第4997875号商標,同第5054296号商標及び同第5076985号商標並びに登録第4456379号商標の防護標章登録第1号及び同第2号であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
以下,まとめていうときは「引用商標」という。
なお,申立人が引用する「インテル コーポレーション」の片仮名からなる登録第1439936号商標は,存続期間満了により,平成23年7月13日に同商標権の登録は抹消されている。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第8号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するから,同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第42号証を提出した。
(1)「INTEL」及び「インテル」の周知・著名性
ア 申立人の名称である「インテル・コーポレーション」は,主にマイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリなどを製造・販売するアメリカ企業の商号として周知であり,その略称である「インテル」は,申立人の略称として著名な名称であり,申立人の製造及び販売にかかるマイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリの商標として世界的に周知な商標である。
イ 日本においては,「インテル」の称呼が生ずる英文字商標「INTEL」(登録1373591号,甲第1号証)及び「INTEL」(登録4456379号,甲第29号証)が,申立人の名義にて第9類の指定商品「その他の電子応用機械器具及びその部品」等に関して登録されている一方,「INTEL」が,登録4456379号商標の防護標章登録第1号(甲第30号証)及び同第2号(甲第31号証)として登録されている事実からも,「インテル」の名称が,日本においても申立人が製造販売する「マイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリ」の商標として周知な名称であることは明らかである。
ウ 「インテル」の名称が日本において「マイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリ」等の商標として周知であることは,裁判所においても,「『INTEL』は,本件商標が出願された平成14(2002)年当時において,パソコンを日常生活や業務で使用するなどパソコンに何らかの関係を有する極めて広範囲の国民の間に,『INTEL』といえば原告(インテルコーポレーション)を表わす略称として広く知れ渡っていたものと推認することができる」と認定した事実からも,疑問を差し挟む余地はない(知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)第10113号,平成19年12月20日判決,甲第41号証)。
エ また,世界的なブランド価値評価会社であるインターブランド社の調査によれば,申立人の名称の略称である「INTEL」は,2010年の「グローバルブランドランキングTOP100」において第七位の位置にあり,その経済価値は,32,015百万US$(約2兆5612億円)に相当するものと評価され(甲第42号証),我が国において「INTEL」が著名であることは明白である。
(2)商標法第4条第1項第8号について
「インテル」は,本件商標の指定役務の需要者において申立人の略称として著名であるが,仮にそうでないとしても,前記(1)のとおり,申立人の略称「インテル」が申立人を指し示すものとして一般に受け入れられている事実は前述の特許庁における登録例,裁判例及びブランド価値評価から明らかであるから,本件商標の指定役務の需要者において周知・著名である必要はない(最高裁判所平成16年(行ヒ)第343号,平成17年7月22日第二小法廷判決,『国際自由学園事件』同旨)。
また,申立人の著名な略称「インテル」は,特定の観念を有さない造語であるから,仮に「ソニーグロー」,「トイザラスグロー」,「ノキアグロー」,「グーグルグロー」などの商標について,需要者・取引者が第三者の著名な略称である「ソニー」,「トイザラス」,「ノキア」,「グーグル」を想起・連想することが火を見るより明らかであると同様に,「株式会社インテルグロー」についても,需要者・取引者が申立人の著名な略称である「インテル」を想起・連想することには理由がある。
特に,本件商標は,これを構成する各文字が同一の書体,大きさで,一連に表示されており,各文字の書体に格別の特異性はないものであるところ,十一文字のうち,五ないし八文字目までは,さきに認定した申立人の著名な造語の略称である「インテル」と一致しているのに対し,一ないし四文字目は,法人の種類を示す「株式会社」であって自他商品役務識別標識としての機能を有さず,また,「インテル」に付随する語尾の三文字「グロー」は,英語においては,「育つ」,「成長する」,「発達する」の意の語を形成する場合に用いられる単語であって,わが国における英語の知識の普及度に徴すると「インテル社とともに育つ」「インテル社の成長」「インテル社の発展」等の語意を直感するにとどまる者が多いことは明らかである。してみると,本件商標は,一般世人がこれに接した場合,「株式会社インテルグロー」の構成から,申立人の著名な略称である「インテル」を容易に想起看取し,その主要部を「インテル」として理解する蓋然性がきわめて大きい構成のものであるといわざるを得ない。よって,本件商標は,他人の著名な略称を含む商標というべきものである。
以上のとおり,本件商標は,申立人の名称であるインテル・コーポレーションの著名な略称「インテル」を含むものであり,かつ,その登録につき,申立人の承諾を得ていないものであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標において,商標としての自他商品の識別力を発揮する要部は「インテルグロー」であるから,本件商標は「インテルグロー」の称呼が生ずる。
また,本件商標のうち「インテル」の部分は,その指定役務,特に「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」においては周知性を有し,取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることに照らすと,本件商標からは,「インテル」という称呼及び観念をも生じると判断される(最高裁判所平成19年(行ヒ)第223号,平成20年9月8日第二小法廷判決「つつみのおひなっこや」事件)。
よって,本件商標の称呼である「インテルグロー」及び「インテル」のうち,「インテル」の称呼は,引用商標の「インテル」の称呼と類似するから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
申立人の著名な略称である「インテル」は,その英文字表記である「INTEL」を登録4456379号商標の防護標章登録第1号及び同第2号として登録されている(甲第30号証及び甲第31号証)。すなわち,これらの防護標章の登録は,第三者が標章「INTEL」を登録4456379号商標の防護標章登録第1号及び同第2号の指定商品・役務に使用した場合は,申立人が所有する登録4456379号(甲第30号証)の登録商標と混同を生じるおそれがある。
そして,本件商標の指定役務のうち,第35類に含まれる役務は,すべての役務が登録4456379号商標の防護標章登録第1号及び同第2号の指定商品・役務に同一若しくは類似する。また,第37類に含まれる役務についても,すべての役務が登録4456379号商標の防護標章登録第1号の指定役務に同一若しくは類似する。すなわち,本件商標の指定役務に「INTEL」を使用した場合は,申立人が所有する登録4456379号(甲第29号証)と混同を生じるものである。
よって,本件商標は,前述のとおり「インテルグロー」と「インテル」の称呼を生じるところ,申立人の所有する登録4456379号(甲第30号証)の登録商標「INTEL」と称呼及び観念が同一であるから混同を生じるおそれがある。したがって,本件商標は,申立人の業務に係る商品・役務と混同するおそれがある商標である。
また,本件商標「株式会社インテルグロー」の称呼「インテルグロー」については,その構成態様から「インテル社の成長」「インテル社の発展」などの観念が生じるから,需要者・取引者は,本件商標は,申立人の関連会社,小会社,若しくはインテル社のライセンシーであるなどの密接な資本的・人的・事業的な関連性を誤認するおそれ,すなわち「広義の混同」を引き起こすおそれがある。よって,この理由からも,本件商標は,申立人の業務に係る商品・役務と混同するおそれがある商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,他人である申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものであるから,登録を受けることができない。
不正の目的は,(ア)他人の商標が需要者の間に広く知られているか(使用時期,使用範囲,使用頻度等)(イ)その周知商標が造語よりなるものであるか,若しくは,構成上顕著な特徴を有するものであるか(ウ)出願人がその商標を使用した場合,その周知商標に化体した信用,名声,顧客吸引力等を毀損させるおそれがあるか,を検討する必要がある。
(ア)について
申立人の商標「インテル」若しくは「INTEL」が需要者の間に広く知られていることは,前記(1)のとおり明らかである。
(イ)について
申立人の商標「インテル」若しくは「INTEL」は,本来的には,特定の観念を持たない造語である。即ち,申立人が独自に創作した標章であり,商標権者が「インテル」を標章の一部に採択する必然的な理由はない。
(ウ)について
申立人の所有にかかる商標は,ブランドとしての経済価値が2010年の「グローバルブランドランキング TOP100」において第七位であり,その経済価値は,32,015百万US$(約2兆5612億円)に相当するものと評価されている(甲第42号証)。よって,本件商標の権利者がその商標を使用した場合は,周知商標「INTEL」(「インテル」)に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗りし,その信用・名声及び顧客吸引力を利用することが可能である。
特に,本件商標中の「インテル」は,一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること,また,その周知な商標である「インテル」が造語よりなるものであることから,申立人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認することが妥当である。
よって,本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)結語
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同第11号,同第15号又は同第19号に該当することは明らかであるから,その登録は直ちに取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)「INTEL」及び「インテル」の周知・著名性について
申立人は,「インテル」は申立人の名称「Intel Corporation」(インテル・コーポレーション)の著名な略称であり,「INTEL」及び「インテル」は申立人の製造及び販売にかかる商品「マイクロプロセッサ,チップセット,フラッシュメモリ」の商標として周知である旨主張し,証拠として甲第1号証,甲第29ないし第31号証,甲第41号証及び甲第42号証を提出するので,まずこの点について検討する。
甲第1号証及び甲第29ないし第31号証は,申立人所有の商標登録の事実を示すものであり,なかでも,甲第30号証及び甲第31号証は,防護標章登録の事実(第1ないし8類,第10ないし13類,第15,17,19,20,22,23,26,27類,第29ないし35類,第37類,第39ないし41類について平成14年9月6日に,第9,14,16,18,21,24,25,28,35,36,38類,第42ないし45類について平成23年2月10日にそれぞれ登録され,現に有効に存在している。)を示すものであるが,いずれの商標も欧文字の「INTEL」に関するものであって,片仮名の「インテル」ではない。
つぎに,甲第41号証は,知的財産高等裁判所の平成19年(行ケ)第10113号判決であるところ,該判決は,平成14(2002)年当時において,パソコンに何らかの関係を有する極めて広範囲の国民の間に,「INTEL」が申立人を表す略称として広く知れ渡っていたものと推認したにとどまり,片仮名の「インテル」についてまで,申立人を表す略称として広く知れ渡っていたものと推認したものではない。
最後に,甲第42号証は,「Best Global Brands 2010」との表題による報道資料(2010年9月16日 株式会社インターブランドジャパン)であるところ,「テクノロジー関連ブランドが躍進,トップ10に5ブランドがランクイン」と記載された内容には,「Intel(7位 前年比4%増)」との記載と,「Best Global Brands 2010」と記載されたページには,「Rank」の「7(位)」に,「Brand」として「INTEL」,「Sector」として「ELECTRONICS」との記載があり,2009年に比べ2010年は,Brand Valueが,4%上回っていることが認められる。
該証拠は,欧文字の「INTEL」がエレクトロニクス分野において世界的なブランドであることを示すにとどまるものである。
その他,片仮名「インテル」の我が国における使用開始時期,使用地域,営業の規模(店舗数,営業地域,売上高等),広告宣伝の方法,回数及び内容等の事実関係について申立人からの主張及び証拠の提出はない。
そうとすれば,申立人提出の証拠によっては,本件商標の登録出願時及び査定時において,欧文字の「INTEL」が申立人の業務に係る商品を表示する商標として需要者の間に広く知られていることは推認できるとしても,「インテル」の片仮名が申立人の名称の著名な略称として,又は申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く知られているとまでは,直ちに認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するためには,「インテル」の片仮名が,申立人の名称である「Intel Corporation」(インテル・コーポレーション)の略称として著名であり,かつ,本件商標の構成中の「インテル」の文字部分が申立人の略称として客観的に把握され,申立人を想起・連想させるものであることを要するところ,前記(1)で認定したとおり,申立人提出の証拠によっては,そもそも「インテル」の片仮名が,本件商標の登録出願時及び査定時において申立人の名称の略称として著名であると認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,前記1のとおり,「株式会社インテルグロー」の文字よりなるところ,該文字は,同書,同大,等間隔で外観上一体的に表されいるものである。
そして,本件商標の構成文字中「株式会社」の文字部分は,法人の組織形態を表すものであって,通常,自他役務の識別標識としての機能を果たすものではないから,本件商標をその指定役務に使用した場合,これに接した需要者は,「インテルグロー」の文字部分を自他役務の識別機能を果たすものとして認識するものということができるから,本件商標からは「カブシキガイシャインテルグロー」の称呼のほかに「インテルグロー」の称呼をも生ずるものと認めるのが相当である。なお,「インテルグロー」の文字部分を,さらに「インテル」と「グロー」とに分断して把握すべき特段の事情はない。
また,本件商標の構成中「インテルグロー」の文字部分は特定の語義を有しない造語と理解,把握されるものであるから,構成文字全体として単に会社の商号を認識させるにとどまり,本件商標から特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,「INTEL」,「インテル」,「INTEL CORPORATION」,別掲1のとおりに図案化した「intel」,「I NTEL960」,別掲2のとおりの図形と「intel」からなるものである。
そして,引用商標は,その文字部分に相応して「インテル」「インテルコーポレーション」又は「インテルキュウロクゼロ」の称呼を生ずるものであり,また,造語と認められるから特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と,引用商標とを比較するに,本件商標から生ずる「カブシキガイシャインテルグロー」又は「インテルグロー」の称呼と,引用商標から生ずる「インテル」,「インテルコーポレーション」又は「インテルキュウロクゼロ」の称呼とは,「カブシキガイシャ」,「グロー」,「コーポレーション」又は「キュウロクゼロ」の音の有無という明確な差異を有するものであるから,それぞれを一連に称呼しても,語調,語感が異なり,互いに相紛れるおそれはないものである。
また,両商標は,外観において明らかに区別し得るものであり,観念については,両者を比較することができない。
そうとすれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれからみても,類似する商標と判断することはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と申立人の「INTEL」又は「インテル」の文字よりなる商標とは,前記(3)で述べたとおり十分に区別し得る別異の商標であり,また,前記(1)のとおり,申立人提出の証拠によっては,本件商標の登録出願時及び査定時において,片仮名の「インテル」が申立人の業務に係る商品を表示する商標として,需要者の間に広く知られていたと認めることはできない。
そうとすれば,本件商標をその指定役務に使用した場合に,需要者がこれより申立人の「INTEL」又は「インテル」の文字よりなる商標を想起,連想することはないというのが相当であるから,本件商標は,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお,申立人は,本件商標の構成中「インテルグロー」の文字部分からは「インテル社の成長」「インテル社の発展」等の観念が生じるから,需要者・取引者は申立人の関連会社等の業務に係る役務であると誤認するおそれがある旨述べているが,本件商標の要部である「インテルグロー」の文字部分は造語であって,何らの観念も生じないものであるから,申立人の主張を採用することはできない。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
前記(1)のとおり,申立人提出の証拠によっては,本件商標の登録出願時及び査定時において,片仮名の「インテル」が申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者の間に広く知られていたと認めることができない。
また,申立人の「INTEL」の欧文字よりなる商標が,我が国の需要者の間に広く認識されていたとしても,本件商標と「INTEL」の欧文字からなる申立人の商標とは,前記(3)で述べたとおり非類似の商標である。
さらに,申立人提出の証拠によっては,商標権者が「INTEL」又は「インタル」の文字よりなる申立人の商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させる目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできないから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同第11号,同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録は維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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