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Trademark Appeal Case

A1cの識別力と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900367(T2011−900367/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5425484号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5425484号商標(以下「本件商標」という。)は、「A1c」の欧文字及び数字と「エーワンシー」の片仮名を二段に書してなり、平成21年6月10日に登録出願、「口臭消臭スプレー」を含む第3類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品を指定商品として、同23年6月6日に登録すべき旨の審決がなされ、同年7月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4137178号商標(以下「引用商標」という。)は、文字、数字及びハイフンよりなる「ヘモリッシュ−A1c」と「Hemorish−A1c」を二段に書してなり、平成8年10月18日に登録出願、第5類「自動グリコヘモグロビン分析計用試薬,その他の薬剤」を指定商品として、同10年4月17日に設定登録され、その後、同20年3月25日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由

(1)商標法第3条第1項第5号について

ローマ字1〜2文字と数字、そしてその表音にあたる片仮名を、普通に用いられる方法で表示してなる商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標にすぎないから、自他商品の識別機能を果たし得ないものである。

そして、本件商標の「A1c」は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標である。たとえ片仮名の「エーワンシー」が併記されていても、取引において英数字の記号に片仮名を付すことは常識的なことであり、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」の域を脱しない。

よって本件商標は、自他商品の識別機能を果たし得ないというべきものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

医薬品業界において、「A1c」は、ヘモグロビンの一種である「ヘモグロビンA1c」を表示するものとして普通に使用されている事実がある(甲11ないし甲15)。そして「エーワンシー」は、「A1c」の表音を片仮名で表示したものにすぎない。

本件商標を薬剤及びその類似商品について使用する場合、取引者、需要者においては、「A1c/エーワンシー」=「ヘモグロビンA1c」と認識されるから、単に、血中のヘモグロビンA1cに作用する商品であると認識されるに止まるといえる。

すなわち、本件商標をその指定商品中「ヘモグロビンA1cを下げる作用を有する成分を含む口臭消臭スプレー」に使用する場合には、単に商品の品質、効能等を直接的に表示したものに過ぎないといえるため、自他商品の識別機能を果たし得ない。また、上記以外の商品について本件商標を使用する場合は、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「A1c」及び「エーワンシー」の文字列より「エーワンシー」の称呼を生ずる。これに対し、引用商標は、その構成中「A1c」の部分より「エーワンシー」の称呼を生ずるものであるから、両商標は「エーワンシー」の称呼を共通にする類似のものである。

また、本件商標と引用商標とは、「A1c」の部分において外観が一致するから、外観においても類似のものである。

さらに、本件商標と引用商標とは、「A1c」の部分において共に「ヘモグロビンA1c」として認識されるものであるから、観念においても類似のものである。

なお、本件商標と引用商標とは、その指定商品も同一又は類似のものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断

本件商標は、前記1のとおり、「A1c」の欧文字及び数字と「エーワンシー」の片仮名を二段に書してなるものである。

(1)商標法第3条第1項第5号について

一般に、ローマ文字の1字若しくは2字又はアラビア数字は、商品の規格、型式等を表示する記号、符号として類型的に採択使用されているものであり、極めて簡単かつありふれた標章といえるものである。

しかしながら、本件商標は、前示したとおり数字を挟んで大文字と小文字のローマ文字を前後に配列した構成よりなるものであって、その文字構成は普通に採択され使用されているものとはいい得ないものであり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章と即断することはできない。

また、下段に表された「エーワンシー」の片仮名の文字部分が、記号、符号表示の類型的な表示として一般に使用され認識されているとはいい難く、むしろ、一体的に把握される一種の造語として理解されるものというのが相当である。

してみれば、本件商標を構成する「A1c」と「エーワンシー」の文字は、その指定商品との関係を考慮しても、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものとはいい難く、本件商標をその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものではない。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本件商標の構成中「A1c」の文字が、糖尿病治療における血糖コントロールの指標として用いられ、かつ「糖化ヘモグロビン」の意味合いを表す「ヘモグロビンA1c」の文字中の「A1c」と同じ英数字であるとしても、これが該文字の略称として一般に知られているほどの用語ではないから、直ちに「ヘモグロビンA1c」の意味合いとして理解されないものであり、また、申立てに係る商品「口臭消臭スプレー」との関係において、その商品の品質、原材料等を具体的に表示するものとして理解できるものともいい難いところである。

そうすると、本件商標は、親しまれた既成の観念を有しない一種の造語を表したものとして看取されるものというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえる。

してみれば、本件商標をその指定商品の「口臭消臭スプレー」について使用しても、商品の品質を表示したものとして認識し理解されるようなことはなく、また、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、その構成文字に相応して「エーワンシー」の称呼を生じ、上記4(2)のとおり、一種の造語として看取されるものであるから、特定の観念は生じないものである。

一方、引用商標は、「ヘモリッシュ−A1c」と「Hemorish−A1c」の片仮名、欧文字、ハイフン(−)及び英数字よりなるものであるところ、各構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で外観上まとまりよく一体的に構成されているものである。

そして、引用商標の係る構成においては、「−」(ハイフン)で結合された前半部分に表された「ヘモリッシュ」と「Hemorish」の文字を捨象し、殊更、後半部分の「A1c」の文字のみが着目されて取引に資されるというよりは、むしろ、その構成をもって、それぞれ一体不可分のものとして理解し、その指定商品の出所を表示する標章として認識されるものとみるのが相当である。

また、引用商標は、「ヘモリッシュ−A1c」と「Hemorish−A1c」を構成する文字及び英数字が何ら意味合いを有しないものであって、これらは造語と認められるものであるから、特定の観念は生じないものである。

してみれば、引用商標は、その構成文字に相応して「ヘモリッシュエーワンシー」の一連の称呼のみを生ずるものであって、単に「エーワンシー」の称呼は生じないものである。他に「A1c」の文字部分のみを分離抽出して観察すべき特段の理由は見いだせない。

しかして、本件商標の称呼「エーワンシー」と引用商標の称呼「ヘモリッシュエーワンシー」とを対比すれば、両者は、構成音数が大きく相違する上、前半で「ヘ」「モ」「リ」「ッ」「シ」「ュ」の音の有無の明らかな差異を有するから、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れることなく区別し得るものである。

そして、本件商標と引用商標は、外観において、明らかな相違があるから、外観上相紛れるおそれはなく、また、観念において、両者は、特定の意味合いを有しない造語であるから、観念上類似するところがなく、相紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標に類似する商標ということはできないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第5号、同法第4条第1項第11号及び同第16号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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