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Trademark Appeal Case

使用証拠の信憑性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30521号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2497860号商標(以下、「本件商標」という。)は、「プロテン」の文字を書してなり、第1類「ポルフイリン鉄を主成分とする植物活力剤、その他本類に属する商品」を指定商品として平成1年9月20日に登録出願され、同5年1月29日に登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中『薬剤』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。

(1)本件商標は指定商品中「薬剤」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。また、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もない。

(2)被請求人が提出した乙第1号証の1ないし10の使用説明書及び同第2号証はいずれも使用を証する書面としては客観性を失するもので認められない。

まず、乙第1号証に添付されているパンフレット等の大半は、現物あるいはそのコピーではなく、デジタルプリンター又はデジタルフオトプリンターにより作成されたものであり、作成日等は容易に入力変更出来るため、正確な作成年月日を特定することが出来ない。従ってこれらのパンフレット等が販売促進用として実際に流通しているものとは考えられず、また一般にパンフレット、カタログ等は印刷所で作製されるものであり、作成者が個人名となっているのはいかにも不自然である。

更に、乙第1号証の4においては、品質規格書として資料作成年月日が平成5年6月20日となっているが、現物には年月日の記入がなく、また乙第1号証の7によれば「みどりのたより」(33号)の作成者は発行者である「緑の安全推進協会」のはずであり、その中の商品紹介記事における「本剤は〜、今後の開発が進められることになっております」とあるのが事実であれば、現在はまだ試験段階にある商品と思われる。

(3)被請求人は「植物育成剤」の他に「滋養強壮変質剤」にも使用しているとして、乙第1号証の9・10、及び乙第2号証を提出しているが、例えば乙第1号証の9のラベルには「健康食品」の記載があったり、乙第1号証の10のラベルはとてもこれが容器(びん)に付されるものとは思えず、乙第2号証に至っては被請求人の顧客の証明書であり、証拠書類としての信憑性を欠くものである。

(4)被請求人は乙各号証を以て本件商標を「植物育成剤」及び「滋養強壮変質剤」に使用しているとされるが、前者については農薬取締法、後者については薬事法の対象商品であり、これらを販売するためには当該官庁の登録を受けなければならないとされている(甲第3号証)。

よって、乙第1号証の前に、農薬取締法、薬事法による官庁の認可(登録)証を提示すべきであり、その証明がなされなければ不正使用であるか、あるいは農薬の登録申請にはその、薬効、薬害、毒性及び残留性に関する試験成績を記載した書類の提出が求められているから、現在はまだその準備段階ではないかと推察される。

(5)請求人は、本件商標の使用について当該官庁の許認可がなければその登録は無効であると主張しているのではなく、使用の有無を問題にしているのであって、被請求人が使用していると主張している商品が、農薬取締法、薬事法の対象外の商品であれば、上記使用商品の記載は誤りであるといわざるを得ない。

そこで乙各号証について検討するに、

(乙第3〜4号証)これらは肥料取締法、農薬取締法に基づく届出書であり、本件商標の使用の有無については直接関係がない。

(乙第5号証) 売上帳の一部に「プロテン MT−500」、「MT−500」の記載があるが、商品についてこれのみでは確認できない。

(乙第6号証) 商標は特定できるが、商品については「芝生用機能性活力剤」、「天然鉄タンパク質製剤」、「天然鉄タンパク」、「植物用栄養剤」、「植物活力剤」のように使い分けがされており、表現上は農薬でもあり、肥料でもあり、化学品ともとれ、これ又特定し難い。

(乙第7号証) 本商品は「鉄、ビタミンC、環状オリゴ糖を主成分とするカプセル状の健康食品」であり、その効能表示「鉄分補給に、ダイエットに、ねむけと二日酔いの予防に、疲れの回復に」からもこれが薬事法に規定する「医薬品、医薬部外品」に該当しないことは明らかである。

なお被請求人は乙第6号証において、兵庫県の平成9年度新産業創造プログラムの事業化計画に係る内定通知書、認定書の提出があるが、その中の「植物活力剤」について同県商工部に問い合わせたところ、その申請に当たって当該官庁の許認可証は必要とせず、又同商品を農薬として認定したものでもないとのことである。

従って本件商標の実際の使用は肥料か化学品(たんぱく質および酵素、食物保存剤)、あるいは健康食品であり、乙各号証には「植物育成剤」、「滋養強壮変質剤」の文字が一切みられないところからも、本件商標をこれらの商品に使用しているとする被請求人の主張は失当である。

最後に、被請求人が「植物育成剤」及び「滋養強壮変質剤」を当該官庁の許認可なく販売しているとすれば農薬取締法、薬事法違反行為であり,その販売に係るパンフレット、カタログ等も本件審判の立証物件としては当然無効とみなされ、農薬取締法、薬事法が商標法とは何の関係もないとする被請求人の主張は取消審判の本質を無視した暴論といわねばならない(甲第4号証)。

以上本件商標はその指定商品中「薬剤」について使用されているものでない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第13号証(枝番を含む)を提出した。

(1)被請求人は、本件商標を、指定商品中の「薬剤」に含まれる「滋養強壮変質剤」並びに「農業用薬剤中の植物育成剤」に現在使用中である。

(2)請求人の弁駁に対する答弁

被請求人は、販売も兼ねる中小生産業者であるが、兵庫県の肥料・農薬の認定業者である。(乙第3、4号証)

被請求人の「植物育成剤 MT−500」の顧客は、大半がゴルフ場業者であり、他に僅かの馴染みの農業従事者もあり、「滋養強壮変質剤」にあっても同様に本剤の効果を知っている人が被請求人に直接依頼して来る程度で拡販している訳ではないが、実際の注文に応じて商品を生産・販売しているもので、注文の都度必要なラベルやパンフレットなどをカラーコピーしており、パンフレットやカタログ類を大量に印刷業者に依頼して印刷するというような事はしていない。しかしながら、本件商標を付して該商品を製造・販売し続けている事は事実である。

なお、本件商品の販売実績を示すものとして、帳簿の一部を提出する(乙第5号証)。

また、「植物育成剤 MT−500」は、兵庫県の新産業創造プログラムに平成9年8月6日に選定され、現在に至っている。本制度は、「環境及び食用作物に安全な新規植物活性剤の企業化」を支援するためのもので、この認定以前には当然本件商品が完成しある程度の実績を示しておらなければならず、且つ少なくとも認定後には企業化されている事は言うまでもないことである。

そして、認定は平成9年8月6日であり、本件審判請求日は平成10年5月27日であり、少なくともその3ヶ月前の平成10年2月27日迄には半年もあり実施には十分な時間が経過している。また、本証拠には公証人の認証日付も得ている(乙第6号証)。

「植物育成剤であれ滋養強壮変質剤であれ、これらを製造・販売するには農薬取締法、薬事法により当該官庁の認可(登録)証が必要と思われる」との主張に対しては、商標法と農薬取締法、薬事法とは何の関係もない法律であり、これらの法律による認可(登録)が、商標法の商品区分第1類の指定商品「薬剤」に対する登録要件のひとつとはなっていないから、この点は請求人の誤解に基づく主張である。

(3)以上述べたように本件商標は不使用取消審判の請求日時の三年以内の使用は勿論、現在も使用中であり、請求人の主張には理由がない。

4 当審の判断

(1)被請求人が提出した乙第1号証の1ないし3、同7の「登録商標の使用説明書」に示されたパンフレット・リーフレット等、及び、乙第4号証・乙第10号証(枝番を含む)ないし同第12号証(枝番を含む)の取引伝票・帳票類の写しを総合して検討すれば、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、「植物育成剤」(あるいは、「天然鉄タンパク質製剤」「天然鉄素材・植物用栄養剤」「新植物活力剤」「植物活力剤」)と称される商品について、本件審判請求の登録前三年以内に、被請求人によって使用されているといい得るものである。

なお、請求人は、この点に関して、「乙第1号証の使用証明書の大半は、デジタルプリンター又はデジタルフオトプリンターにより作成されたものであり、作成日等は容易に入力変更出来るため、正確な作成年月日を特定することが出来ない。これらのパンフレット等が販売促進用として実際に流通しているものとは考えられず、また一般にパンフレット、カタログ等は印刷所で作製されるものであり、作成者が個人名となっているのはいかにも不自然であって、被請求人が提出した乙第1号証の使用説明書はいずれも使用を証する書面としては客観性を失するものである。」旨主張している。

しかしながら、口頭審理及び書面審理における被請求人の答弁の全趣旨によれば、乙第1号証の1ないし3の「登録商標の使用説明書」に示されたカラーコピーによる印刷物等は、被請求人が、顧客の注文に応じて、その都度必要な部分をコピーして作成しているものと認められ、当該コピーによって作成された印刷物は、使用に係る商品のパンフレット等といい得るものであって、これに反する証左は認められず、前記の請求人の主張は採用できない。

(2)次に、被請求人が、本件商標を使用しているとする商品「植物育成剤」(あるいは「天然鉄タンパク質製剤」「天然鉄素材・植物用栄養剤」「新植物活力剤」「天然鉄製剤」「光合成促進物質」「植物活力剤」)が、本件取消請求に係る商品である「薬剤」の範疇に含まれるものであるか否かについて、当事者間に争いがあるので、この点について検討する。

平成3年10月31日通商産業省令第70号による改正前の商標法施行規則第3条は、「商標法施行令(昭和35年政令第19号)1条の規定による商品の区分に属すべき商品は、別表のとおりとする。」と定め、当該別表によると、商品の区分第1類の「薬剤」は、「中すう神経系用薬剤」、「末しよう神経系用薬剤」、「農業用または公衆衛生用薬剤」等の商品に区分されている。

ところで、商標法施行令の別表で定められた各商品区分に属する商品の範囲は、その商品の用途、流通経路、需用者層などの、その商品に関する取り引きの実情を総合的に検討して定められているとみるべきものであり、また、この別表に掲げられていない商品についても、この基準に即して決められるべきものというべきである。

しかして、上記で区分された、商品の区分第1類の「薬剤」中の「農業用または公衆衛生用薬剤」の中には、農薬取締法で規制される農薬が含まれることは明らであるが、この法律が適用されない商品についても、当該商品が、肥料や化学品と認められるような取り引きがされている場合はともかく、当該商品が、植物の育成に用いる薬剤として市場に提供され、需用者においても、同様の認識をもって購入にあたる商品については、当該取り引きの実情に照らせば、それが、商品区分第1類に属する「薬剤」中の「農業用薬剤」に該当すると解するのが相当である。

そこで、これを本件についてみれば、乙第4号証によれば、被請求人は、兵庫県農林水産部長宛に、農薬販売業の届出を行っていることが認められ、また、乙第8号証によれば、被請求人は、現に農薬を取り扱っていることが認められるものである。

しかも、乙第1号証の1ないし3の「登録商標の使用説明書」に示されたカラーコピーによる印刷物等には、当該取り扱いに係る商品について、これが、肥料や化学品であることを明示している事実は認められず、さらに、乙1号証の7の「みどりのたより」には「農薬シンポジウム報告」「日本農薬学会 農業と環境と安全性シンポジウム報告」「新農薬情報」などの記事目次と思われる記載、および、奥付部分にある、農薬に関連する「(社)緑の安全推進協会」のキャッチフレーズ、「編集後記」における農薬に関する記述に照らせば、この「みどりのたより」は、農薬に係る事業者や需用者にも読まれていると推認できるものであり、この「みどりのたより」に掲載されている、被請求人の取り扱いに係る「植物活力剤」も、需用者により「農業用薬剤」との認識がされるものとみて差し支えないというべきである。

以上を総合すれば、被請求人が、本件商標を使用しているとする商品「植物育成剤」(あるいは「天然鉄タンパク質製剤」「天然鉄素材・植物用栄養剤」「新植物活力剤」「天然鉄製剤」「光合成促進物質」「植物活力剤」)は、「農業用薬剤」というべきものであって、これは、平成3年10月31日通商産業省令第70号による改正前の商標法施行規則第3条で規定された別表の商品区分第1類の「薬剤」中の「農業用または公衆衛生用薬剤」に属する商品であるということができるものである。

なお、この点について、請求人は、「被請求人が本件商標を付して使用している商品『植物育成剤』は、農薬取締法の対象商品であり、これらを販売するためには当該官庁の登録を受けなければならないとされており、使用しているのが農薬取締法の対象外の商品であれば、上記使用商品の記載は誤りであるといわざるを得ない」として、被請求人が本件商標を付して使用している商品は、「薬剤」には属さない旨主張している。

しかしながら、商品区分第1類に属する「農業用薬剤」は、それが農薬取締法の対象商品でなければならないとする根拠は見当たらず、農薬取締法の対象外の商品であっても、「農業用薬剤」として取り引きされる商品については、商品区分第1類に属すると判断したこと前記のとおりであって、請求人の主張は採用できない。

してみれば、本件商標は、これと社会通念上同一と認められる態様で、本件審判の請求の登録前三年以内に、被請求人である商標権者によって本件取消請求に係る商品に含まれる「農業用薬剤」について使用されていたといい得るものである。

5 以上、本件商標は、取消請求に係る指定商品について商標法第50条第1項の規定によっては取り消すことができないものである。

よって、結論のとおり審決する。

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