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Trademark Appeal Case

アライグマ商標の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35069号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4070229号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第37類「建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を指定役務として、平成8年4月4日登録出願、同9年10月17日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人の引用する登録第3172027号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第37類「エレベーターの修理及び保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,暖冷房装置の修理及び保守,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。)」を指定商品とし、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月28日登録出願、特例商標として、同8年6月28日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は無効とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)及び資料1ないし19を提出した。

(1)商標法第3条第1項柱書きについて

被請求人である「社団法人全国ビルメンテナンス協会」(以下、「ビルメンテナンス協会」という。)の事業目的は、ビルメンテナンスに関する技術の調査・研究,知識の普及・啓蒙,専門技術者の資質の向上及び刊行物発行の事業である(甲第3号証及び甲第5号証)。

したがって、ビルメンテナンス協会自体が業として本件商標の指定役務を行うことはない。

即ち、ビルメンテナンス協会は、本件商標の指定役務に係る業務を行う立場にないから、出願人としての適格を有していない。また、建築物の清掃サービスは、被請求人の業務には該当しないし、被請求人自身建築物の清掃サービスを行うことも予定されていないのであるから、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の規定に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

請求人は、永年に亘ってその業務を表示するマークとして「アライグマ」を使用してきた。その結果、本件商標の登録出願当時、平成8年4月には、「アライグマ」といえば請求人のマークであると当業者その他の間係者間で周知されるに至っていた。

本件商標は、ビルメンテナンス協会の会員である全国のビルメンテナンス業者のマスコットマークとして使用されることを目的として公募されたものであるが、もしこの「アライグマ」をモチーフにした本件商標が広く全国で他のビルメンテナンス業者によって、清掃用員又は清掃者のユニフォームに使用されるなどビルメンテナンスの業務に関し使用されると、請求人の引用商標をはじめとする「アライグマ」の商標の識別性が阻害され、出所表示機能を著しく稀釈化することとなる。

さらに、請求人の「アライグマ」のモチーフ、即ち、引用商標をはじめとする「アライグマ」の商標の独自の識別性が稀釈化されることにより、需要者の認識はうすれ、請求人の周知商標に化体した業務上の信用及び顧客吸引力が著しく毀損される。

また、森山満の報告書(甲第4号証)にも明らかなように、ビルメンテナンス協会は、請求人の引用商標が、既にビルメンテナンス業界は言うに及ばずビル所有者及びビル入居者その他の関係者の間に周知されるに至っていたことを知っており、請求人の種々の折衝にも拘わらず、その申し入れを無視し、本件商標を採用して商標登録を行ったものである。

このような行為は、請求人の利益を著しく害する行為であり、その行為は善良な商慣習に違背する行為であって、信義則に反する。

したがって、本件商標は不正の目的を以て出願されたものというべく、本件商標は、商標法第4条第1項第7号又は同第19号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、清掃具(床洗浄機)を持った「アライグマ」、即ち「清掃に従事するアライグマ」を強く印象づけ、観念する商標である。

他方、引用商標は、「アライグマ」が清掃具(モップ)を肩にかついでいる図形であって、同様に「清掃に従事するアライグマ」が観念される。

したがって、両者は「清掃に従事するアライグマ」という観念を共通にし、共に「アライグマ」の称呼・観念が生じ、両者は称呼・観念において類似する商標である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(4)商標法第4条第1項第15号について

本件商標と引用商標とは、称呼・観念を同じくする類似の商標であるから、本件商標が全国のビルメンテナンス業者によって使用されると、それら業者の行っている業務が恰も請求人が行っている業務であるか、又は請求人と何らかの関係を有する者の行っている業務であるかの如く、請求人の業務との間に混同を生じるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第3条第1項柱書について

被請求人であるビルメンテナンス協会は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(昭和45年制定・略称「ビル管理法」)に基づく、ビル衛生管理業務を行う事業者の資質向上を目的とした「登録業者制度」に定められた指定団体であり、その業務として、登録業者のビルメンテナンス(ビルの総合的管理,保守)に関する技術の向上及び知識の普及を図り、全国のビルメンテナンス業の健全な育成に務め、ビルにおける健康で安全な環境条件の維持発展を目的としており、その事業としてビルメンテナンスに関する技術の調査・研究、知識の普及、専門技術者の資質の向上、刊行物の発行及びその目的を達成するために必要な事業を行うことになっている(乙第6号証及び乙第7号証)。

また、被請求人は、これらの登録事業について、1・建築物清掃業、2・建築物飲料水貯水槽清掃業、3・建築物ねずみこん虫等防除業、建築物環境衛生一般管理業等の厚生大臣指定団体である(乙第6号証)。

被請求人は、この登録事業に基づく業務活動をしているのであり、第37類の役務について商標登録を取得して信用蓄積を得る法的な保護は当然に与えられている。

そのうえ、社団法人たる被請求人には、第37類の役務について商標を登録し、登録事業についての業務活動が禁止され、又は制限されるような法規は存在しない。

被請求人は、その業務活動について、本件商標の指定役務と密接な関係にあることは明らかであり、商標登録における指定役務の使用についての蓋然性を充分具備する者である。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に違反して登録されたものではない。

(2)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

本件商標の文字及びキャラクター図形は、矯激な文字や卑猥な図形よりなるものではなく、社会の秩序を乱す過激又は公序良俗を害するようなものではないので、社会公共の利益に反したり、国際信義に反したり、或いは他の法律で使用が禁止されているものではない。

そのうえ、本件商標は、引用商標との顔形・表情・服装及び持物等の何れをみても、外観上類似しないばかりでなく、被請求人がマスコットキャラクタ−を公募し、応募作品中より採用したキャラクターマークであって、何ら不正の目的たる意図をもって採択し使用してるものではない。

また、本件商標は、引用商標と称呼・観念において非類似であり、外観においても明確に区別される非類似の商標である。

そのため、本件商標をその指定役務に使用しても、何ら引用商標に対する希釈化を起こさず、また、財産的価値を毀損するものではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号又は同第19号に違反して登録されたものではない。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は、主要部をなす図形部分が動物の擬人化で掃除と関係のあるキャラクターを描いているとしても、写実的な動物図形と異なり、擬人化した動物キャラクターからは特定の称呼・観念を生じないとされる審査・審判例に徴すれば、両商標からは、いずれも特定の動物名を生じないキャラクター図形とのみ認識されるもので、外観においてもキャラクターにおける顔の輪郭・表情・服装及び持物等の表現方法を異にする別異のものと理解される。

そのため、本件商標と引用商標は、その図形の構成態様から称呼を生じないので、称呼及び観念について比較することができないものであり、外観についても相紛れるおそれのないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼・観念のみならず外観においても明確に区別される非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

(4)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、請求人の各営業部門を表現するのに、引用商標と表情や動作を異にするバリエーションのキャラクターを使用しているとしているが(乙第5号証)、いづれも引用商標と同じパンダと同じような目と頬の膨らんだおむすび型の顔を特徴とするものであり、目が丸くミッキーマウスのような鼻が突き上った顔の大きい点を特徴するキャラクターであり、本件商標と全体の構図や表現方法を著しく異にするものである。

そして、前記のように本件商標の図形部分は、引用商標やこれらのバリエーションのキャラクターと表現態様が全く異なり、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

そのうえ、本件商標は、被請求人の業務活動におけるマスコットマークとして、また「クリーンクルー」の名称で、印刷物や電波を通じて被請求人の各種業務活動に使用しており、被請求人のキャラクターとして著名となっているのである(乙第6号証ないし乙第16号証)。

そのため、引用商標及びそのバリエーションのキャラクター図形が著名であるか否かに拘わらず、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、何ら他人の業務にかかる役務と混同を生ずるおそれがないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

4 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書について

被請求人であるビルメンテナンス協会は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(昭和45年制定・略称「ビル管理法」)に基づく、ビル衛生管理業務を行う事業者の資質向上を目的とした「登録業者制度」に定められた指定団体であり、その業務として、登録業者のビルメンテナンス(ビルの総合的管理,保守)に関する技術の向上及び知識の普及を図り、全国のビルメンテナンス業の健全な育成に務め、ビルにおける健康で安全な環境条件の維持発展を目的とし、その事業としてビルメンテナンスに関する技術の調査・研究、知識の普及、専門技術者の資質の向上、刊行物の発行及びその目的を達成するために必要な事業を行っていることが認められる(乙第6号証及び乙第7号証)。

さらに、被請求人は、これらの登録事業について、1・建築物清掃業、2・建築物飲料水貯水槽清掃業、3・建築物ねずみこん虫等防除業、建築物環境衛生一般管理業等の厚生大臣指定団体であることも認められる(乙第6号証)。

しかしながら、被請求人であるビルメンテナンス協会は、本件の指定役務についての業務活動が禁止され、又は制限されるような法規やその他の事情も見あたらない。

してみれば、被請求人の営業活動と本件商標の指定役務とが間接的な関係にあることを考慮すれば、本件指定役務の使用について蓋然性を有する者であるものというのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に違反して登録されたものということはできない。

(2)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

本件商標の構成は、前記したとおり、文字と図形の組み合わせよりなるところ、その構成自体が矯激、卑猥な文字、図形よりなるものではなく、また、本件商標をその指定役務について使用することが社会公共の利益、一般的道徳観念に反するものではなく、かつ、他の法律で使用が禁止されているものとも認められない。

そうして、本件商標は、被請求人が本件商標を不正の目的の意図をもって採択したものとも認められない。

そうとすれば、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反して登録されたものということはできない。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標の図形部分と引用商標は、いずれも「アライグマ」を擬人化し、前者が床洗浄機を使用し、後者がモップ(掃除具)を担いで歩いている構成よりなり、共に、掃除と関係あるかの如き描いた構成よりなるとしても、写実的な動物図形と異なり、擬人化した動物は、それぞれ異なった印象を与え、単に、「アライグマ」の称呼、観念は生じないものと判断するのが相当である。

さらに、外観についてみるに、両図形は、顔の輪郭・表情・服装及び持物等の表現方法を異にし、全体の印象も相違し、需要者、取引者をして、別異のものと認識、理解されるというのが相当である。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいづれにおいても相紛れるおそのない非類似の商標といわざるを得ない。

そうとすれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。

(4)商標法第4条第1項第15号について

本件商標及び引用商標は、前記したとおり、本件商標と引用商標のアライグマを擬人化した図形部分は、その称呼、観念及び外観のいづれにおいても相紛れるおそのない非類似の商標であり、別異のものと認識、理解されるばかりでなく、請求人及び被請求人の提出した各号証を徴するに、両商標が既に使用され、共にある程度の著名性を獲得していることをも考慮すれば、本件商標をその指定役務に使用しても、請求人の業務にかかる役務と混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書き、同法第4条第1項第7号、同第19号、同第11号及び同第15号に該当しないから、商標法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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