結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成8年審判第7370号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第730970号商標(以下「本件商標」という。)は、「天味」の漢字を縦書きしてなり、旧第32類「加工穀物、その他の加工食料品、食肉、卵、食用水産物、野菜、果実」を指定商品として、昭和42年1月25日に登録され、その後、平成8年第7724号審判の審決確定により、指定商品中、「卵、食肉、肉製品、加工水産物(かつお節、削り節、とろろこんぶ、干しのり、焼きのり、干しわかめ、干しひじき、寒天を除く)、かつお節、削り節、とろろこんぶ、干しのり、焼きのり、干しわかめ、干しひじき、寒天、加工野菜および加工果実、乾燥卵、カレーライスのもと、スープのもと、ふりかけ、お茶づけのり、なめ物、とうふ、凍りどうふ、あぶらあげ、こんにゃく、なっとう、豆乳」に係る登録が取り消されたもので、現に有効に存続するものである。
請求人は、本件審判において、登録第730970号商標の指定商品中、「食用水産物,野菜,果実」については、その登録は取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める旨を申し立てている。
請求人は、以下のように、本件商標の取消理由等を述べている。
(1) 被請求人は、本件商標をその指定商品中、「食用水産物,野菜,果実」については継続して3年以上日本国内において使用していない。
また、本件商標について専用使用権は存在せず(甲第1号証)、また通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、前記商品については使用されていないものである。
よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨どおりの審決を求める。
(2) 請求人は、同人の商標登録出願に係る商願平6−86043の審査において、本件商標を引用した拒絶理由の通知を受けている(甲第2号証)。
したがって、請求人は、本件審判請求につき、法律上の利害関係を有するものである。
4−1 答弁に対する弁駁
平成8年8月14日付け答弁書及び同8年9月3日付け証拠補充書に対し、以下のとおり弁駁する。
(1) 被請求人は、本件商標について、本件審判請求の予告登録(以下「本件予告登録」という。)前3年以内に、指定商品の中の「自然薯」について使用していると主張し、その証拠として乙第1号証ないし同第7号証の5を提出している。
しかしながら、以下のとおり、乙各号証によっては、本件商標が本件審判請求に係る指定商品のうちで、通常使用権者が「自然薯」について、本件予告登録前3年以内に使用していたとの事実は立証されたということはできない。
(2) 乙第5号証は、有限会社はつ花の会社の登記簿謄本であり、「被請求人から通常使用権の許諾を受けた有限会社はつ花」を立証するためのものと見受けられる。
被請求人が有限会社はつ花との間で、通常使用権の設定契約を本件予告登録前の日から3年以上前より本件予告登録の日までの間を使用期間に含んで、通常使用権の設定契約を結んでいたという客観的な資料(例えば、通常使用権の設定契約書等)の提出がない限り、有限会社はつ花は、通常使用権者の地位を認められないとするのが相当である。
(3) 乙第1号証は、「商品の自然著を、旬の時期において販売している状態を再現した」と題されている写真である。「再現した」というのは、写真を撮った平成8年8月1日の時点において、被請求人が実際には自然薯を売っていないにもかかわらず(答弁書で、被請求人自身も、12月から翌年の5月が自然薯の収穫時期としている)、天味と書された紙片が付された袋に、何処からか購入した栽培された山の芋等を入れて写真を撮ったという意味に解される。
してみると、乙第1号証は、実際に販売している商品について撮影したものではないので、その撮影にあたって何らかの作為がはたらいているのではないかという疑義さえ生ずるものである。
よって、乙第1号証からは、「12月から翌年の5月」の期間において、「天味」の文字が記載された紙が入った袋に、「自然薯」を入れて販売していたことを立証するにあたっては、その客観性に乏しいといわざるを得ない。
(4) 乙第2号証は、「商標を付した商品ラベル」である。
しかしながら、この紙片は、その態様からして未だ実際に商品又は商品の包装袋に付した状態のものではなく、したがって、未だ商品を包むのに用いられていないものに商標を付しても、それは商標の使用と認められない(甲第4号証参照)。同様に、この紙片に「天味」の文字を付しても、その状態を示しただけでは、商標の使用とは認められないとするのが相当である。また、乙第2号証では、その使用期日を特定することができない。
(5) 乙第3号証の1及び2は、「自然薯の仕入先である関戸幸治・鹿島勉の販売証明書」である。
しかしながら、このような販売証明書は、ワープロ等で記載した後、記名、捺印すれば誰でも作れるものであるから、その客観性に乏しく、客観的な証明力があるとは認められない。
(6) 乙第4号証は、「商品ラベルを印刷した協和印刷株式会社からの印刷証明書」である。
しかしながら、商品ラベルを印刷して納品した日付は、昭和63年10月であり、本件予告登録の日から8年の前のことである。したがって、その間に、証明する協和印刷株式会社の代表者又は納品した担当者が退職したりする場合も充分に考えられるため、当時の有限会社はつ花に対する商品ラベルの印刷・納品に関して知己しない可能性もある。このため、当該証明書には、客観的な証明力を認めることができない。
(7) 乙第6号証は、「平成7年12月から平成8年5月までの自然薯の販売概略数及び売上金額」であり、その書中において、「平成7年12月から平成8年5月までに、1セットlkg入りの自然薯を上記明細の通り販売したことに相違ありません。」との記述がある。
しかしながら、この事実を証明しているのは、有限会社はつ花であり、被請求人から通常使用権の許諾を受けているとされる者である。
したがって、本件審判において、有限会社はつ花は、被請求人側との間で直接の利害関係を有しているので、そのような者が立証しても、その立証に対する信憑性は疑わしいといわざるを得ない。
(8) 乙第7号証の1ないし5は、「一般需要者からの購入証明書」である。
しかしながら、購入日が「平成7年12月23日」、「平成8年4月29日」、「平成8年5月4日」と記載されているものであることから、証明願の日付けよりも4ヵ月から8ヵ月も前のことであり、購入した物に「天味」の文字が付されたいたか否かの記憶が不正確になるおそれがあるので、その証明も慎重にならざるを得ないはずである。しかも、この写真は、乙第1号証で提出したものと同一のものであると考えられるので、この写真は、販売しているところを実際に撮影したものではなく、写真に「’96 8 1」と日付が入っていることからすぐに判るものである。
前記の事実にもかかわらず、「平成7年12月23日」等に購入したとの証明を行う者に、証明を行う適格性を有しているかは疑問であり、その信憑性は大きく欠けるものといわざるを得ない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める旨答弁し、以下のようにその理由を述べ、乙第1号証ないし同第9号証(枝番号のものを含む。)を提出した。
(1) 請求人の主張に対する反論
被請求人から通常使用権の許諾を受けた有限会社はつ花(神奈川県足柄下郡箱根町湯本635番地所在)が、本件商標をその取消しに係る指定商品中の「自然薯」について、本件予告登録前3年以内に使用している事実がある。
被請求人から通常使用権の許諾を受けた有限会社はつ花は、はつ花本店(神奈川県足柄下郡箱根町湯本635番地所在)において、昭和27年12月から、また、はつ花新館(神奈川県足柄下郡箱根町湯本474番地所在)においても、同51年12月から、毎年自然薯の収穫期が始まる12月から翌年の5月頃にかけての旬の時期に販売して今日に至っている。
乙第1号証はその旬の時期に販売している状態の「自然薯」を、本件審判の答弁の証左のために再現した写真である。そして、この自然薯と一緒に詰め込まれた、健康食品としての効能等が書かれている商品ラベルの最上段には、「天味自然薯」と本件商標と商品名が表示され、また、右上隅の一箇所と左下隅の二箇所には自然薯を象った図形の中に「天味自然薯」と本件商標及び商品名の文字がそれぞれ表示されている(乙第2号証)。
この自然薯は、丹沢山中から収穫されたものを、その取扱業者の関戸幸二(神奈川県厚木市七沢402番地在住)から、また、埼玉の山から収穫されたものを、その取扱業者の鹿島 勉(埼玉県大里郡岡部町大字岡1160番地在住)から定期的に購入(乙第3号証の1及び2)したものの一部である。
また、商品ラベルは、昭和63年10月に、協和印刷株式会社(神奈川県小田原市寿町3丁目3番32号所在)において、3000枚印刷(乙第4号証)したものを現在もその時期において使用している。
乙第7号証の1ないし5は、有限会社はつ花が経営するはつ花本店において自然箸を購入した事実を証明する一般需要者からの証明願である。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しないことは明らかである。
6−2 答弁の理由2
平成8年12月12日付け弁駁書に対し、以下のとおり答弁する。
(1) 有限会社はつ花は、被請求人である商標権者の小宮義一から通常使用権の許諾を受けている唯一の通常使用権者である。
有限会社はつ花と被請求人である商標権者の小宮義一との間には、本件商標につき通常使用権の設定契約がなされている。
通常使用権は、専用使用権とは異なり当事者間の契約に基づいて発生する債権であるから、当事者間においては通常使用権の設定登録を必要とせず、契約成立の時からその効力が発生するものであり、その設定契約は書面であることを必要とはしない(乙第8号証)。
してみれば、被請求人目身が設立して代表取締役であった有限会社はつ花の代表取締役の地位を、平成3年4月30日に次男の小宮憲二に譲ると同時に取締役に就任し、未だ会社の運営に携わっている現状からすれば、被請求人である商標権者の小宮義一は、その後の有限会社はつ花に対し、本件商標の使用につき通常使用権の許諾をしていることは容易に推認することができる。
(2) 乙第1号証の写真は、通常使用権者・有限会社はつ花の店舗において、本件商標「天味」を付した商品の「自然薯」を旬の時期(12月から翌年5月頃まで)にのみ他の商品と共に陳列販売している状況を、証左の一助を目的に再現して写したものである。
(3) 乙第2号証の本件商標を表示した商品ラベルは、乙第4号証で明らかなとおり昭和63年10月に3000枚印刷したものを、現在も同時期(毎年12月から翌年の5月まで)に使用しているもので、乙第2号証として添付したもの自体は未使用であるが、前記した自然薯の句の時期には自然薯と一緒に透明なプラスチックフイルム製の包装用袋に詰め込んで使用しているものと同じであり、あくまでも、間接証明を目的に提出したものである。
請求人は、乙第2号証の商品ラベルは未だ指定商品について使用したものでないこと、及びその使用期日を特定することができないことから、商標の使用ではないと主張しているが、乙第2号証の商品ラベルは、これ自体は未使用の商品ラベルであるが、前記のとおり、これと同じ商品ラベルを長年使用している事実からして、明らかに使用に該当する商品ラベルであり、請求人が法解釈を誤ったことによる主張である。
(4) 乙第3号証の1及び2は、通常使用権者・有限会社はつ花の支払い台帳から購入量と支払金額を抽出して作成したものに、年間契約をした自然薯取扱専門業者本人が内容を確認の上で記名捺印したものである。
(5) 乙第4号証の商品ラベルは、販売する商品自然薯と一緒に透明なプラスチックフイルム製の包装用袋に詰め込んで使用するもので、本件商標が表示されている唯一のものであるから、この商品ラベルが何時、何処で印刷されたものであるかを明確にすることにより、本件予告登録前3年以内の期間において、本件商標が使用されていたことを立証するためのものである。ただし、注文書、納品書、請求書等の取引書類は既に廃棄されて存在しないが、この商品ラベルの作成に際しては、当時から現在まで交代することなく協和印刷株式会社の代表取締役である竹田英俊氏(乙第9号証)が、校正、用紙の色彩等につき多大なる協力をしていたことで、当人には鮮明な記憶があることの確信のもとに証明をして貰ったものである。
(6) 乙第5号証の会社登記簿の謄本は、通常使用権者である有限会社はつ花が法人としての人格を有すること、本件商標権者の小宮義一が有限会社はつ花を設立すると共に平成3年4月30日まで代表取締役であったこと、同日をもって代表取締役の地位を小宮憲二に譲っていること、及び本件商標権者の小宮義一は現在も取締役の地位にあること等を証明することにより、有限会社はつ花が本件商標権についての通常使用権者であることを容易に推認し得るためのものである。
(7) 乙第6号証は、自己証明とはいえ外部に対して月別ごとの販売個数と売上金額までもを具体的に証明できることは、販売者本人以外には不可能なことからして、証拠としての信憑性は十分に具備している。
(8) 乙第7号証の1及び5の証明願は、通常使用権者・有限会社はつ花の馴染み客で、添付写真に表示されている包装状態の「自然薯」をお土産に購入された客の中から選んで証明して貰ったものである。
したがって、添付写真が過去の「販売しているところを実際に撮影したもの」でないことは当然のことであり、本件審判についての答弁内容を補強する証拠である。
(1) 乙第6号証に関する審尋について
乙第6号証「自然薯の販売セット数明細」の事実を裏付ける客観的な証拠として、平成7年2月販売分の「店売控票」(乙第6号証の1)を提出する。
この「店売控票」は、通常使用権者・有限会社はつ花が、売上の際に記録した日毎の売上記録で、品名欄に記入された品名は「天味芋」と略記されている。「自然薯」は、店内での小売のみであるから、納品書、請求書等は発行しない。
(2) 乙第4号証に関する審尋について
乙第2号証及び同第4号証の商品ラベルの印刷に関しては、略10年前のことで発注書、納品書、受領書、領収書等の客観的に判る取引書類の一切は、税務上の保管義務期間7年も過ぎていることで、既に発注者及び印刷会社ともが廃棄処分にしており、手掛かりとなる物証が未だ見付かっていない。
(1) 本件審判請求に対して、被請求人が本件商標「天味」は、被請求人から通常使用権の許諾を受けた有限会社はつ花において、本件予告登録前3年以内に、取消請求に係る指定商品中の商品「自然薯」について使用している旨主張するのに対して、請求人は、被請求人が有限会社はつ花との間で通常使用権の設定契約を本件予告登録の日の3年前より本件予告登録の日までの間を含んで、通常使用権の設定契約を結んでいたという客観的な資料(例えば、通常使用権の設定契約書等)の提出がない限り、有限会社はつ花は通常使用権者の地位を認められない旨主張する。
しかしながら、被請求人の主張及び乙第5号証によれば、被請求人・小宮義一は、有限会社はつ花の創立者であること、本件商標の設定登録の日、昭和42年1月25日には有限会社はつ花が存在したにもかかわらず、小宮義一の名義で本件商標の登録を受けたこと、小宮義一は平成3年4月30日までは有限会社はつ花の唯一の代表取締役であって、その後も取締役としての地位にあること、そして、被請求人・小宮義一の住所と有限会社はつ花の住所とが現在も同じであることに照らせば、有限会社はつ花は、少なくとも小宮義一が代表取締役を辞任するまでは被請求人が経営する個人企業とみられるものであって、このような者の間にあっては、企業と個人が表裏一体のものとして営業活動に当たっているのが常であり、そこでは、登録の名義人としては代表者個人の名義にしたものの、明確な許諾契約なしに同人が経営する有限会社はつ花が本件商標を使用してきたものと推認されるものである。そして、商標法上、このような場合でも、両者の間で黙示の通常使用権の許諾があったものと解されていることは、被請求人の主張するとおりであるから、有限会社はつ花は、本件商標について、設定登録後以来、次男に代表者の地位を譲った後も通常使用権者の地位を継続しているというべきである。
したがって、この点に関する請求人の主張は理由がない。
(2) 本件請求に対して、被請求人が本件商標「天味」は、被請求人から通常使用権の許諾を受けた有限会社はつ花において、本件予告登録前3年以内に、取消請求に係る指定商品中の商品「自然薯」について使用している旨主張するのに対して、請求人は、これを否定する。
(ア)乙第1号証は、自然薯に本件商標を表示したラベルを付したものを通常使用権者の店舗において、販売している状態を、本件予告登録後に再現して写した写真である。
(イ)乙第2号証は、(ア)において付されたラベルで、「天味自然薯」及び通常使用権者名称「有限会社はつ花」及び住所等が記載されているものである。
(ウ)乙第3号証の1及び2は、自然薯の契約取扱専門業者2人が、平成7年11月から同8年6月までの各月において、通常使用権者に自然薯を販売(卸)した数量及び金額を証明したものである。
(エ)乙第4号証は、(イ)のラベルについて、「昭和63年10月合計3000枚印刷納品した旨」を印刷業者が証明したものである。
(オ)乙第6号証は、通常使用権者が(ア)の自然薯について、平成7年12月から同8年5月まで各月ごとの販売セット数及び売上金額を証明したものである。同第6号証の1は、品名として「天味芋」、数量及び金額が記載された平成7年2月販売分の「店売控票」である。
(カ)乙第7号証の1ないし5は、(エ)の中の実際の顧客5人の証明である。
以上の乙各号証によれば、通常使用権者は、神奈川県下足柄郡箱根町湯本において土産品などの食料品を小売りする店舗を構え、自然薯を仕入れて、それに使用するとみられる本件商標を表示したラベルを印刷して、そのラベルを付した、本件取消請求に係る指定商品「自然薯」を本件予告登録前3年以内に販売したというべきである。
これに対して、請求人は、本件予告登録後の立証である(乙第1号証)、取引上未使用のものである(乙第2号証)及び信憑性が乏しい証明書である(乙第3号証ないし同第7号証)旨主張する。
しかしながら、請求人の主張は、単に一般的に証明に必要な客観性の観点からのものであり、個別、具体的なものでない上に、乙各号証について、積極的に虚偽又は相互矛盾等を主張、立証するものでもないから、これをもって、前示の事実を覆すことはできないといわなければならない。
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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