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Trademark Appeal Case

不使用取消と権利濫用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30428号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3034309号商標(以下、「本件商標」という)は、「SOUL TRAIN」の欧文字を横書きしてなり、平成4年7月29日に登録出願、第41類「ダンスの教授,映画・演芸・演劇及び音楽の演奏の興行の企画及び運営,映画の上映・制作及び配給,演芸の上映,演劇の演出及び上映,音楽の演奏,放送番組の制作,音響用及び映像用のスタジオの提供,ダンスホールの提供」を指定役務として同7年3月31日に設定登録がなされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「登録第3034309号商標の指定役務中、『演芸の上演,演劇の演出及び上演,音楽の演奏,ダンスホールの提供』について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように述べている。

本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定役務中、「演芸の上演,演劇の演出及び上演,音楽の演奏、ダンスホールの提供」について、継続して3年以上日本国内において使用していないから、同役務について商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第26号証を提出している。

1.本件審判の請求は、被請求人を害することを目的としているものであるから権利濫用として認められないものである。以下、その理由を述べる。

(1)本件商標は、「SOUL TRAIN」の文字からなるものであるところ、被請求人であるドン・コーネリアス・プロダクションズ・インコーポレーテッドが正当に所有し、かつ米国及び我が国において周知・著名な商標である。

(2)即ち、本件商標は、1984年に我が国で発行された辞書にも紹介されているとおり周知・著名な商標であり(乙第1号証)、そもそも米国の人気テレビ音楽番組の名称に由来しているものである(乙第2号証)。

また、米国本国においても被請求人の名義において正当に商標登録がなされ、現に有効である(乙第3号証)。

そして、この番組は、1970年代のソウルミュージックブームに乗り、日本においても既に当時から周知・著名であったが、近年のブラックミュージックの人気により再びこの番組が見直され、例えば1994年から1996年の期間にNHK衛星第2放送において100回にも及ぶ放送が行われ(乙第4号証乃至乙10号証)、その後、これを紹介する文献も出版されるほど注目を集めているものである(乙第11号証)。

また、ソウルミュージックに関する書籍においても、例えば「伝説的TV音楽番組」として紹介されているように(乙第12号証中の第113頁)、本件商標は必ず紹介されており、周知・著名な商標であることは明らかである。

(3)この事実は、請求人の出願に係る第42類の商願平9−29191号(商標:「ソウルトレインカフェトーキョー/SOUL TRAIN CAFE TOKYO」)に対して、本件商標は周知・著名な商標であることから出所の混同を生じるおそれがあるとして、商標法第4条第1項第15号により拒絶されるべきものであるとの拒絶理由通知を審査官が行っていることからして、特許庁においても顕著なものといえる(乙第13号証)。

(4)一方、請求人は、上記商願平9−29191号の出願に及ぶ前に被請求人と周知・著名な本件商標の下での営業を行うためにライセンス契約締結の交渉を行っていた経緯が存在する。

即ち、1997年1月24日付でFRANK E.RONZIO法律事務所のロジャース氏が、東海海運及び請求人の代理人として被請求人の代理人であるKATTEN MUCHIN&ZAVIS法律事務所の力ツテン氏に対して、「ソウルトレイン」をモチーフにしたナイトクラブを東京のトレンディーなエリアに設立し、2号店は大阪に設立する計画を提案し、そのライセンスを求めている(乙第14号証)。

1997年2月20日付の請求人書簡及び自筆の日本語原稿では、請求人の社長である鶴岡氏が被請求人の社長であるドン・コーネリアス氏に会見し、ライセンス契約の直接交渉を行っている(乙第15号証)。これを受けて、力ツテン氏は、ロジャース氏と共に代理人であるヒューストン氏に対して、ライセンス契約ドラフトを商願平9−29191号の出願日である1997年3月18日に送付している(乙第16号証)。

その後、契約交渉は中断されたまま現在に至っているものである。

なお、被請求人は、1997年7月7日に商標「Soul Train」を第42類に出願を完了している(商願平9−135832号)。

(5)被請求人は、商願平9−29191号の出願行為を承認したことはなく、またその出願の事実も何ら知らされていない。

更に、請求人においてはライセンス契約を未締結の状態のままで、かつ被請求人の何らの承諾を得ることなく既に東京の店舗において営業を開始している事実がある。(乙第17号証)。

(6)そこで、被請求人は、本件商標に基づいて請求人外1名(請求人の親会社)に対し、1998年2月27日付で警告書を送付したところ(乙第18号証)、その回答が1998年3月18日付であり(乙第19号証)、これに対して、1998年4月14日付で反論したところ(乙第20号証)、その後は何らの回答を行うことなく、不誠実な態度を堅持している事実が存在する。

そして、請求人は、1998年4月30日付で本件審判請求に及んだものである。

(7)以上のとおり、請求人は、本来であれば被請求人から周知・著名な本件商標の使用許諾を正式に受けた上で、その営業活動を行うべきところ、その契約交渉中から請求人が日本において未出願であった第42類に密かに商標出願を行い、何らの承諾もなしに先に営業活動を開始する一方で、正式な契約の締結交渉を一方的に中止しているものである。

そして、この行為に対する警告に対しても不誠実な対応を行うことにより意図的に遅延行為を行い、その意図とするところは明らかに登録日から3年経過したことによる本件審判の請求を行うことにあったことは明らかである。

(8)また、上記のとおり、本件商標は、その由来並びに周知・著名性からしてその登録の取消・無効等の処分により第三者の名義において商標権の取得が認められるものではない。

更に、被請求人が正当な権利者であることは明らかである。

また、本件商標が不使用の状態であるとするならばその原因を意図的に作り出した者は、ライセンス契約を締結することなく無許可で本件商標を使用している正に請求人本人である。即ち、請求人の請求に係る本件審判の請求行為は、被請求人との関係において、信義則に反し権利の濫用であることは明らかである。

(9)ところで、商標法第50条の取消審判は、条文の文言上「何人」にもその請求が認められる旨規定されているが、その審判請求が被請求人たる商標権者を害することを目的としている場合には、その請求は権利濫用として認められないとするのが定説である(乙第21号証乃至乙第23号証)。

そこで、本件の事実関係を鑑みると、請求人による本件審判の請求行為は明らかに権利濫用であるから、本件審判の請求は認められるべきでない。

よって、本件審判の請求は却下されるべきである。

2.被請求人は、将来において請求人が正式なライセンス契約の下で本件商標を使用する行為、又は第三者である新規の正式な使用者が本件商標を使用する行為を商標権の下で保護するため、乙第24号証のとおり、いわゆる広告的使用を行っている。この使用行為は、上記の事実関係からすれば、単に商標法第50条の取消審判の請求から逃れる目的だけの名目的な使用行為とされる場合とは本質的に事案を異にするものであるからこの本件商標の使用行為によって、審判請求の登録日前3年以内に本件商標は審判請求に係る指定役務について現実に使用されていることになる。

よって、本件審判の請求は棄却されるべきである。

3.上記の本件商標の使用行為が認めれない場合には、被請求人はその不使用について正当な理由が存在するのであるから、本件審判の請求は棄却されるべきである。即ち、本件商標の使用について、被請求人は上記のとおり、真摯に使用の準備を行っていたことは明らかである。不使用の期間が登録日から正に3年になろうとする時期において、正式な使用者となるべき請求人の背信的行為によって不使用の事実が作り出されたのであるから、このわずか数ヶ月の期間内に新たな使用権者を選定し契約までに辿り着くことは現実には不可能である。

ところで、商標法第50条第2項に規定する「正当な理由」は、商標法の目的との関係において、弾力的に運用されるべきものであるから(乙第25号証)、本件の上記特殊事情からすれば、その不使用には正当理由が存在することは明らかである。

以上により、答弁の趣旨どおりの審決を求めるものである。

第4 請求人の弁駁

請求人は、被請求人の答弁に対してなにも弁駁をしていない。

第5 当審の判断

本件商標は、前記のとおり「SOUL TRAIN」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、「SOUL TRAIN」の文字は、被請求人が提出した乙第2号証乃至乙第12号証によれば、米国の著名な音楽番組のタイトル名であり、日本においても、たとえば、1994年から1996年の間にNHK衛星第2放送において100回にもおよぶ放送がなされたこと等により、被請求人の商標として周知・著名なものとなっていることが認められる。

そして、被請求人が提出した乙第24号証(平成10年4月9日付通産省公報)によれば、本件取消審判請求の登録前3年以内である平成10年4月9日に、本件商標の指定役務中「演芸・演劇の上映、音楽の演奏、放送番組の制作、映画・演芸・演芸の興行の企画・運営、ダンスホールの提供」について、被請求人が本件商標を使用(広告)しているものと認められる。

してみれば、本件商標は、商標法第50条の規定により、前記請求に係る指定商品についてその登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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