結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2010−890051(T2010−890051/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5198979号商標(以下「本件商標」という。)は、「モンテローザカフェ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成19年7月20日に登録出願、第43類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,会議のための施設の提供」を指定役務として、同21年1月23日に設定登録されたものである。
(1)登録第3112185号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「モンテローザ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に特例商標登録出願、第42類「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年1月31日に特例商標及び重複商標として設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第3112184号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「モンテローザ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に特例商標登録出願、第42類「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年1月31日に特例商標及び重複商標として設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第3112183号商標(以下、「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月30日に特例商標登録出願、第42類「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年1月31日に特例商標及び重複商標として設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(以下、まとめていうときは、単に「引用商標」という。)
請求人である株式会社三陽物産及び株式会社三井商事(以下、併せて「請求人」という。)は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号ないし第11号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標の類似について
本件商標は「モンテローザカフェ」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「モンテローザカフェ」並びに「モンテローザ」の称呼が生じることは明らかである。
これに対し、引用商標は、いずれもその構成文字に相応して、「モンテローザ」の称呼が生じることが明らかである。
本件商標中の「カフェ」部分は、「cafe」に通じる「喫茶店」「軽食堂」「レストラン」「キャバレー」「ナイトクラブ」「バー」等の意味を表す「カフェ」の表音であり、本件商標の指定役務を扱う業界において、取引上普通に使用されている実情から、役務の質を表示していることに過ぎない。
したがって、本件商標の自他役務識別機能標識とする部分は、「モンテローザ」にあるとするのが相当である。
特に、「飲食物の提供」の役務において、屋号や店名に「カフェ」や「レストラン」等の役務の質を表す語を付したとしても、これに接する一般需要者にとっては、「カフェ」や「レストラン」を省略することが常である。
そうとすれば、引用商標からはそれぞれ「モンテローザ」称呼のみが生じるのであるから、両者は、彼此聞き誤るおそれがある類似の商標と言うべきである。
このことは、本件商標の出願時の審査の際、引用商標が拒絶の対象として引用され、拒絶査定の理由となっていたことからも明らかである(甲第4号証の(1)及び(2))。
商標審査基準においても、「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、または役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加されていない商標と類似する。」とされている。
さらに、網野誠著 商標 [第5版] において、「商標の類否の判断に際しては、両商標が商品(役務)を識別するための標識として紛らわしいものであるかどうかをまず全体的に観察し、このような観点からそれぞれの商品の部分の中で、輪郭とか付飾的・付記的な部分のように識別機能に影響のない部分を除外し、識別機能を有する要部である部分のみを取り上げてこれを比較対照し、識別機能の面から見て外観・称呼・観念のいずれかにおいて紛らわしいか否かによって類否を決定すべきものである。」とされている(甲第5号証)。
それにもかかわらず、構成全体として屋号、店名等を表した一体不可分のものと認識され、先登録商標と非類似の商標であり、登録要件を満たすとされる本件商標の審決は、商標法の規定に違反したものであり、到底受け入れることはできない(甲第6号証)。
もしこの審決を認容した場合、「モンテローザ」「モンテローザカフェ」「モンテローザレストラン」「カフェモンテローザ」「レストランモンテローザ」等が、すべて非類似と判断され、それぞれが別々の権利者によって登録されてしまうことになり、出所の混同が生じることは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標とは、互いに同一又は類似する商標ということができる。
(2)指定役務と指定商品の類似について
株式会社三陽物産は、「第30類 菓子、パン」について商標登録第794404号「モンテローザー」(甲第7号証)、商標登録第4853906号「モンテローザ/Monte Rosa」(甲第8号証)を所有し、商願2010−40079「Monte Rosa」(甲第9号証)を出願している。
さらに、株式会社三井商事も、「第30類 茶、コーヒー、ココア、氷/第32類 清涼飲料、果実飲料」について商標登録第1572585号「モンテローザ」(甲第10号証)、「第30類 コーヒー/第32類 コーヒーシロップ」について商標登録第2393684号「カフェモンテローザ」(甲第11号証)を所有している。
これらの登録商標の態様は、本件商標と同一又は類似のものであり、指定商品については、「第43類 飲食物の提供」で提供される「飲食物」そのものである。特にこれらの飲食物は、本件商標の「カフェ」部分から生じる最大の観念である「喫茶店」で提供される主要な商品であるといえる。
つまり請求人は、本件商標の指定役務である「飲食物の提供」において、提供する商品である飲食物部分についても予め権利を取得しており、商品、役務の両面から「モンテローザ」商標の権利を強固にしてきたのである。
したがって、本件商標「モンテローザカフェ」は、これに接する需要者にとって、請求人が商標権を所有する『「モンテローザ」商品を提供する喫茶店またはレストラン』であると認識されるため、指定商品と指定役務の点から見ても、まさに出所の混同を生じさせるものである。
(3)結び
上記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号ないし第6号証を提出した。
<答弁の理由>
理由(1)
ア 本件商標「モンテローザカフェ」は拒絶査定不服審判(不服2008−25226)において、登録が認められた商標である。
上記拒絶査定不服審判の審決は、商標「モンテローザカフェ」は、構成文字全体に相応した「モンテローザカフェ」の一連の称呼のみをもって、取引に資されるものであって、単に「モンテローザ」の称呼は生じないとみるのが相当であるとし、「モンテローザカフェ」のみの称呼を生じる本件商標と「モンテローザ」のみの称呼を生じる引用商標とは非類似であると判断している。
イ 他方、請求人は、上記拒絶査定不服審判で既に本件商標と対比し判断された引用商標を再度証拠として挙げ、本件商標が引用商標に類似するとして本件審判を請求している。
しかし、上記拒絶査定不服審判において既に本件商標と引用商標とは非類似である旨の審決がなされており、この審決は同級審たる本件審判において同一事実及び同一証拠により覆されるものではなく維持されるべきである。
ウ したがって、本件商標は引用商標とは非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。
理由(2)
ア 請求人は、本件商標中の「カフェ」部分は、「Cafe」に通じる「喫茶店」「軽食堂」「レストラン」「キャバレー」「ナイトクラブ」「バー」等の意味を表す「カフェ」の表音であり、本件商標の指定役務を扱う業界において、取引上普通に使用されている実情から、役務の質を表示していることに過ぎない。したがって、本件商標の自他役務識別機能標識とする部分は、「モンテローザ」にあるとするのが相当であると主張する。
確かに、本件商標中の「カフェ」の文字は、請求人が上記主張する意味を表す「カフェ」の表音である。
しかしながら、本件商標は「モンテローザカフェ」で一連一語の商標であり、「カフェ」の文字単独の観念は生じない。
そのため、本件商標中の「カフェ」の文字は単に役務の質を表示するものではなく、本件商標のその余の「モンテローザ」の文字と一連一体に結合することにより、構成全体として「モンテローザカフェ」という一体不可分のイメージを醸成するものである。
イ 請求人は、特に、「飲食物の提供」の役務において、屋号や店名に「カフェ」や「レストラン」等の役務の質を表す語を付したとしても、これに接する一般需要者にとっては、「カフェ」や「レストラン」を省略することが常であると主張する。
しかし、上記主張は「カフェ」や「レストラン」の文字を接尾語、即ち、単独では用いられず、常に他の語の後に付される語として使用する場合には当てはまらず、請求人の単なる主観にすぎない。
この点は、上記(1)で挙げた拒絶査定不服審判(不服2008−25226)の審決において、『本願構成中の「カフェ」の文字は、「主としてコーヒーその他の飲料を供する店。珈琲店。喫茶店。」(広辞苑第五版)等を意味し、珈琲店や喫茶店等の店名を表示する際の接尾語として普通に使用されていることから、本願商標「モンテローザカフェ」の文字は、構成全体として屋号、店名等を表した一体不可分のものと認識されるものである。』と判断されていることからも明らかである。
また、同様の審決は、本件商標のように「カフェ」の文字を接尾語とする一連一語の商標に対して、多数なされている(乙第1号ないし第5号証)。
ウ してみると、本件商標の自他役務識別機能標識とする部分は、「モンテローザ」の文字部分にある筈がなく、ましてや「カフェ」の文字部分にある筈がなく、「モンテローザカフェ」の文字の構成全体にあるとするのが相当である。
そのため、本件商標の称呼「モンテローザカフェ」と引用商標の称呼「モンテローザ」とが非類似であることは明らかであり、本件商標は引用商標とは非類似の商標である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。
理由(3)
ア 請求人は、商標の分離解釈について、商標審査基準の「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、または役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加されていない商標と類似する。」の記載を挙げている。
しかし、この商標審査基準は審査の原則を示しているに過ぎず、「カフェ」の文字を接尾語として使用する本件商標においては当てはまらない。
本件商標においては、上記理由(2)に示すように、「カフェ」の文字単独の観念は生じず、当該「カフェ」の文字は、上記商標審査基準の「形容詞的文字」に該当しないため、本件商標は「モンテローザ」の文字と「カフェ」の文字に分離して解釈されず、構成全体として屋号、店名等を表した一体不可分のものと認識されるものである。
よって、上記商標審査基準の記載に照らしても、本件商標は引用商標とは非類似の商標である。
イ また、請求人は、商標の分離解釈について、「商標の類否判断に際しては、両商標が商品(役務)を識別するための標識として紛らわしいものであるかどうかをまず全体的に観察し、このような観点からそれぞれの商品の部分の中で、輪郭とか付飾的・付記的な部分のように識別機能に影響のない部分を除外し、識別機能を有する要部である部分のみを取り上げてこれを比較対照し、識別機能の面から見て外観・称呼・観念のいずれかにおいて紛らわしいか否かによって類否を決定すべきものである。」(網野誠著 商標 〔第5版〕甲第5号証)の記載を挙げている。
しかし、本件商標の「カフェ」の文字は、上記理由(2)に示すように、「識別機能に影響のない部分」ではないため、本件商標は「モンテローザ」の文字と「カフェ」の文字に分離して解釈されず、構成全体として屋号、店名等を表した一体不可分のものと認識されるものである。
よって、上記「網野誠著 商標〔第5版〕」の記載に照らしても、本件商標は引用商標とは非類似の商標である。
ウ さらに、請求人は、上記商標審査基準と「網野誠著 商標〔第5版〕」の記載を挙げた上で、それにもかかわらず、構成全体として屋号、店名等を表した一体不可分のものと認識され、先登録商標と非類似の商標であり、登録要件を満たすとされる、本件商標の審決は、商標法の規定に違反したものであり、到底受け入れることはできないと主張する。
しかし、上記ア及びイに示すように、本件商標は「モンテローザ」の文字と「カフェ」の文字に分離して解釈される余地はなく、上記主張は失当である。
エ なお、請求人は、上記主張に併せて、もしこの審決を認容した場合、「モンテローザ」「モンテローザカフェ」「モンテローザレストラン」「カフェモンテローザ」「レストランモンテローザ」等が、すべて非類似と判断され、それぞれが別々の権利者によって登録されてしまうことになり、出所の混同が生じることは明らかであると例示を挙げて主張する。
しかし、審判請求人らの上記主張中の審決(不服2008−25226における審決)はあくまでも「カフェ」の文字が珈琲店や喫茶店等の店名を表示する際の接尾語として使用されている場合について判断しているのであり、上記例示のうち、少なくとも「カフェモンテローザ」「レストランモンテローザ」のように、「モンテローザ」の文字に「カフェ」や「レストラン」の文字を冠した場合については判断していない。
よって、上記例示を挙げた主張も明らかに失当である。
オ 上記ア及びイに示すとおり、本件商標は引用商標とは非類似の商標であり、上記ウに示す請求人の主張は失当である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。
理由(4)
ア 請求人は、審判請求書の「指定役務と指定商品の類似について」において、請求人が本件商標の指定役務「飲食物の提供」における「飲食物」部分についても予め権利を取得していることを理由に(甲第7号及び第8号証、甲第10号及び第11号証)、本件商標「モンテローザカフェ」は、これに接する需要者にとって、請求人が商標権を所有する「モンテローザ」商品を提供する喫茶店またはレストランであると認識されるため、指定商品と指定役務の点から見ても、まさに出所の混同を生じさせるものであると主張する。
しかしながら、請求人が主張する上記出所混同は生じない。何故ならば、「飲食物に関する指定商品」に係る商標使用場面と、「飲食物の提供に関する指定役務」に係る商標使用場面とは、全く異なり、実際には出所混同は生じないためである。
また、請求人が「飲食物に関する指定商品」についても予め登録商標「モンテローザー」「モンテローザ/Monte Rosa」「モンテローザ」「カフェモンテローザ」(甲第7号及び第8号証、甲第10号及び第11号証の商標)に係る権利を取得していた事実は、請求人の事情に過ぎず、その事実は商標使用場面が異なる「飲食物の提供に関する指定役務」における需要者には関係のないことである。
そのため、上記事実のみで本件商標「モンテローザカフェ」が需要者に請求人が商標権を所有する「モンテローザ」商品を提供する喫茶店またはレストランであると認識されるとするのは具体的根拠に欠け、この点からも、請求人が主張する上記出所混同は生じない。
イ 被請求人たる「株式会社モンテローザ」は、本件商標に関する拒絶査定不服審判(不服2008−25226)の「請求の理由」(乙第6号証)に示すように、少なくとも当該拒絶査定不服審判の請求時において、白木屋、笑笑、魚民、月の宴、モンテローザファーム等の居酒屋を中心とした1300店舗強の店舗をチェーン展開している事実があり、「飲食物の提供に関する指定役務」において、「モンテローザ」は、むしろ被請求人の著名な略称として事実上定着している。
他方、請求人の「モンテローザ」の店名での店舗は僅か数店舗に限定されている。
そのため、「飲食物の提供に関する指定役務」において、本件商標「モンテローザカフェ」が需要者に「株式会社モンテローザ」を出所とする商標として認識されることは明らかであり、請求人を出所とする商標として認識されると想定することは困難である。
よって、請求人が主張する上記出所混同は生じない。
ウ 上記ア及びイに示すように、請求人らが主張する出所混同が生じることはないため、本件において、本件商標の指定役務と甲第7号及び同第8号証、甲第10号及び第11号証の指定商品とは非類似である。
よって、商標の類否を判断するまでもなく、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。
なお、請求人が挙げる商願2010−40079(甲第9号証)は、本件商標に係る出願日よりも後に出願されたものであり、証拠と成り得ない。
結び
上記のとおり、本件審判請求は成り立たない。
(1)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「モンテローザカフェ」の片仮名文字を標準文字で書してなるところ、その構成中、前半の「モンテローザ」の文字部分は、「モンテ‐ローザ【Monte Rosa イタリア】(「ばら色の山」の意)アルプス山脈中の高峰。スイス・イタリアの国境にそびえる。標高4634メートル。」を意味する語であり、また、後半の「カフェ」の文字部分は、「カフェ【cafe フランス】(コーヒーの意) 主としてコーヒーその他の飲料を供する店。日本では幕末の横浜に始まり、東京では1888年(明治21)上野で開店した可否カッヒー茶館が最初。珈琲店。喫茶店。」の意味を有する語(いずれも広辞苑第六版)であって、「軽食堂,コーヒー店」等を意味する英語である「cafe(「e」の文字部分には、アクサンテギュが付されている)」(プログレッシブ英和中辞典 小学館)の読みを表したものと容易に理解、認識させるものである。
そして、「カフェ」の文字については、統計局ホームページ/日本標準産業分類(平成19年11月改定)、「宿泊業,飲食サービス業」の「喫茶店」において、「主としてコーヒー,紅茶,清涼飲料などの飲料や簡易な食事などをその場所で飲食させる事業所をいう。○喫茶店;フルーツパーラー;音楽喫茶;珈琲店;カフェ」との記載(http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/pdf/19san3m.pdf)があることから、本件指定役務中、「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供」との関係においては、「カフェにおける飲食物の提供」であること等、役務の提供場所あるいは提供する役務の質(業種)を表示した文字部分であり、自他役務の識別標識としての機能は、極めて弱いか、若しくは果たし得ないものといえることから、本件商標は、その構成中「モンテローザ」の文字部分が、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。
そうとすれば、本件商標は、「モンテローザ」の文字部分に相応して、単に「モンテローザ」の称呼をも生じ、「スイスとイタリアの国境にそびえるアルプス山脈中の高峰であるモンテローザ」程の観念を生ずるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1及び2は、いずれも「モンテローザ」の片仮名文字を横書きしてなり、これよりは、「モンテローザ」の称呼を生じ、本件商標と同様に「スイスとイタリアの国境にそびえるアルプス山脈中の高峰であるモンテローザ」程の観念を生ずるものである。
イ 引用商標3は、別掲のとおり、図形と、「MONTE ROSA」の欧文字からなるところ、図形部分と欧文字部分とはこれらを常に一体不可分のものとして認識しなければならない事情は認められないことから、欧文字部分が、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、構成各文字に相応して、「モンテローザ」の称呼を生じ、「スイスとイタリアの国境にそびえるアルプス山脈中の高峰であるモンテローザ」程の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標の「モンテローザ」の文字部分と、引用商標とは、いずれも「モンテローザ」の称呼及び「スイスとイタリアの国境にそびえるアルプス山脈中の高峰であるモンテローザ」程の観念を共通にするものであるから、両者は、称呼及び観念において、互いに相紛らわしい類似の商標と判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観において区別して認識される場合があるとしても、称呼及び観念において同一又は類似の商標であって、かつ、本件商標の指定役務中、「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供」は、引用商標の指定役務と、同一又は類似のものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、本件商標は「モンテローザカフェ」で一連一語の商標であり、「カフェ」の文字単独の観念は生じない。そのため、本件商標中の「カフェ」の文字は単に役務の質を表示するものではなく、本件商標のその余の「モンテローザ」の文字と一連一体に結合することにより、構成全体として「モンテローザカフェ」という一体不可分のイメージを醸成するものであり、
「モンテローザカフェ」の文字の構成全体にあるとするのが相当である、旨主張する。
ところで、最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決(昭和37年(オ)第953号)によれば、一つの商標から複数の称呼,観念が生じ得ることについて「簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものと認められない商標は,常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしば,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,一個の商標から二個以上の称呼,観念の生ずることがあるのは,経験則の教えるところである。」、また、「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されない。」と、判示されているものである。
本件商標の構成中、「カフェ」の文字部分は、主としてコーヒーその他の飲料を供する店などを意味するものであり、本件指定役務中、「飲食物の提供」との関係において、役務の提供場所あるいは業種を表示した文字部分であることから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、識別力が弱い文字部分であって、かつ、「モンテローザカフェ」の語が、観念上一連の熟語的意味合いを有する語句として一般に親しまれているものということもできない。
そうとすれば、本件商標は、前記認定のとおり、「モンテローザ」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、本件商標を常に一体不可分のものとしてのみ認識される旨の上記被請求人の主張は、採用することができない。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。