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Trademark Appeal Case

商標的使用態様の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−300605(T2010−300605/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4657563商標(以下「本件商標」という。)は、「NTTデータ」の文字を標準文字で表してなり、平成14年3月18日に登録出願され、第42類「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」のほか第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同15年3月28日に設定登録されたものである。

なお、本件審判請求の登録は、平成22年6月16日にされている。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第42類「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。

2 請求の理由

(1)本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定役務中第42類「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」について継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

(2)弁駁

ア 商標的使用態様による使用ではないこと

被請求人は、乙第1号証の表面の左肩に記載された「NTTデータ」なる表示が本件商標の使用に該当すると主張する。

しかし、上記記載は、役務の名称ではなく、単に、役務を提供する主体を示すものに過ぎないから、商標的使用態様において使用されているものではない。

イ 別件における被請求人の主張によれば、商標的使用態様ではないこと

被請求人は、本件と同一の商標権についての別件の審判である取消2009−300343号事件(以下「別件審判」という。)において、本件の答弁書と反する主張をしている。

甲第1号証は、別件審判において請求人が提出した弁駁書である。

甲第2号証の1及び2は、当該弁駁書とともに提出された証拠である。

甲第3号証は、別件審判において上記弁駁書に対して被請求人(本件の被請求人と同一である)が提出した上申書である。

甲第3号証の4ページ〜5ページにおいて、被請求人は、「次に、審判請求人は、新たな主張として、補助参加人2(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・セキスイシステムズ)が、ウェブサイト及び名刺上に次ページの表示をしていることをもって、本件登録商標の使用であると主張している(弁駁書3ページ10行ないし18行)(請求人注:「弁駁書」は本件の甲1である)。

しかし、上記の各表示は、補助参加人2が補助参加人1(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)のグループの一員であることを示しているものにすぎず、これが直ちに商標としての使用であるとはいえない。」と主張した。上記の被請求人の主張は、甲第2号証の1及び2の左上の商標、すなわち、二段書の「NTT/Data」の文字及び「10個の白点を三角形状に配した図形」からなる商標(以下「結合商標」という。)についての主張である。

甲第2号証の1には、結合商標とともに、「『ものづくり改革支援サービス』」等のサービスの記載がある。甲第2号証の2には、結合商標とともに、「基幹系ASPサービス」、「卸売業種向けパッケージ」等のサービスの記載がある。すなわち、結合商標は、上記サービスとの具体的関係において使用されている。それにもかかわらず、被請求人自身が、「上記の各表示は、補助参加人2が補助参加人1のグループの一員であることを示しているものにすぎず」というのであるから、本件の乙第1号証に記載の「NTTデータ」は、なおさら「グループの一員であることを示しているものにすぎず」というべきであり、せいぜい、役務の提供主体を示すにすぎないというべきである。

このため、別件審判における被請求人の主張によれば、乙第1号証に記載の「NTTデータ」なる記載は商標的使用態様による使用ではない。

また、本件審判における被請求人の主張は、別件審判における被請求人の上記主張によって、被請求人自身が作り出した外観と相反するという点においても認められない(民法上の外観法理)。

以上により、被請求人が提出した証拠は、本件商標の使用を示すものではない。

第3 被請求人及び補助参加人の主張

1 答弁の趣旨

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。

2 答弁の理由

(1)使用事実の要点

本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、補助参加人である通常使用権者が「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」に使用をしている。

(2)本件商標の具体的使用事実

ア 商標の使用者

被請求人は、本件商標にかかる商標権について、補助参加人に通常使用権を許諾している。

すなわち、補助参加人は、被請求人の一事業部であったデータ通信事業本部をその前身とし、昭和63年に被請求人から分離独立したものであって、両者は親子会社の関係にある(乙2)。

本件商標「NTTデータ」は、補助参加人の商号「株式会社エヌ・ティ・ティ・データ」から「株式会社」の文字部分を除いたうえで、「エヌ・ティ・ティ」の文字部分をアルファベットの「NTT」で表記してなるものであり、補助参加人の略称そのものと言える。

このようなことから、被請求人と補助参加人との間では、格別文書による通常使用権の許諾はなされていないものの、上記のとおり本件商標権の通常使用権の許諾がなされているものである(乙7)。

イ 使用にかかる役務

補助参加人は、指定役務「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」につき、顧客に対しサービスを提供しており、当該サービスの広告のために、本件商標が表示されたチラシ(乙1表面の左肩部分に本件商標が表示されている)を作成し、顧客に対し頒布してきている。

同号証にかかるチラシの表面には、本件商標の下に「広告代理サービス」と記載されているところ、同「広告代理サービス」の内容については、「広告代理業サービス」と「コンサルティングサービス」とに分類されており、「コンサルティングサービス」においては、「WEBサイト構築・運用」、「WEBサイト改修」の各サービスが含まれることが、同号証表面下部に明記されている。

さらに、同号証の裏面右上部には、同サービスの「サポート体制」について記載されているが、同箇所の「システム担当」の部分には、「サイト構築・運用を担当します。サイト内のボタンやコンテンツの配置等、ユーザビリティの改善を提案します。」と記載されている。

上記のとおり、補助参加人が、乙第1号証のチラシによって広告宣伝しているサービスの内容は、「広告代理サービス」と記載されていることに加えて、同サービスを構成する「コンサルティングサービス」や、さらにその「サポート体制」中に「WEBサイト構築・運用」、「WEBサイト改修」などが記載されており、「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」が含まれていることが明らかである。

これに加えて、チラシ(乙1)裏面の「事例紹介」の欄には、上記サービスを顧客に対し実際に提供した実例として、「三菱地所リアルエステートサービス様の事例」が記載されている。同事例においては、補助参加人が、不動産の販売広告用のホームページの設計・作成又は保守サービスを、三菱地所リアルエステートサービス(株)に対して提供したことが紹介されている。

補助参加人は、同サービスを提供するに当たって、同社に対し、平成20(2008)年2月5日付提案書(乙3)を提出している。同提案書2、3枚目には、乙第1号証裏面に表示されている三菱地所リアルエステートサービス(株)の広告用ウェブサイトの具体的改善案が記載されているが、これは、チラシ(乙1)裏面の事例紹介の部分に表示されているウェブサイト両面そのものに他ならない。

これに加えて、同ウェブサイト画面は、三菱地所リアルエステートサービス(株)のウェブサイト上に、現実に表示されてきている(乙4)。

上記のとおり、本件商標が、指定役務「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」につき使用されていることは明らかである(乙7)。

ウ 使用時期

本件商標の使用時期に関しては、チラシ(乙1)裏面左下部に、「掲載内容は2008年8月現在のものです。」と記載されているとおり、同時期およびそれ以後であり、本件審判請求登録前3年以内の時期に使用されていたことが明らかである。

ちなみに、乙第5号証は、補助参加人が、同チラシの印刷を社外の(株)メディアピックスに対し依頼した際の平成20(2008)年7月3日付け発注書であり、乙第6号証は、(株)メディアピックスから補助参加人に対する同チラシ作成の完了を報告する平成20(2008)年8月22日付け業務完了報告書である。

これにより、同チラシが平成20(2008)年8月に補助参加人に納品され、以後、補助参加人が、これを顧客に対し頒布してきたことが明らかである(乙7)。

(3)結論

以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者である補助参加人により、本件審判請求にかかる指定役務である第42類「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」について使用されていることが明らかであり、本件審判請求は成り立たない。

第4 当審の判断

1 通常使用権者について

請求人は、補助参加人である「株式会社エヌ・ティ・ティ・データ」が通常使用権者であることに関して争うことを明らかにしていないところ、被請求人の主張及び乙第2号証によれば、補助参加人は、被請求人と親子会社の関係にあるといえるものであり、両者間には本件商標について黙示の使用許諾があったとみても不自然ではなく、補助参加人は本件商標に係る通常使用権者とみて差し支えないというべきである。

また、請求人は、本件商標の使用に関しては争っているので、以下検討する。

2 本件商標の使用について

(1)事実認定

乙第1号証は、通常使用権者の「広告代理サービス」に関するチラシと認められるところ、チラシ表の左上部には、「NTTデータ」「広告代理サービス」などと記載され、また、チラシ表下部には、「広告代理業サービス」の項に、「リスティング広告では、ビジュアル化されたレポートでの定期報告会を実施。」等の記載の下、「リスティング広告」などが例示され、さらに、「コンサルティングサービス」の項に、「広告出稿後は、実績データを多面的に分析し、仮説の検証を行うとともに、次のプロモーションに向けたコンサルティングを行います。」の記載の下、「ページ・バナー制作」「WEBサイト改修」「WEBサイト構築・運用」「SEO対策」などが例示されている。

また、チラシ裏上部には「サポート体制」欄の「NTTデータ営業担当/システム担当」の項に、「サイト構築、運用を担当します。サイト内のボタンやコンテンツの配置等、ユーザビリティの改善を提案します。」と記載され、チラシ裏中央部には「三菱地所リアルエステートサービス」の事例紹介として「リスティング広告」「運用分析コンサルティング」「ランディングページ制作」及び「サイト制作・運用」などの文字が、「住まい探し」、「東京23区の中古マンション」等の記載のあるウェブサイト画面を含む3枚のウェブサイト画面と共に掲載されている。

さらに、チラシ裏下部左には「掲載内容は2008年8月現在のものです。」との記載、そして、チラシ表と裏の最下部にはいずれも通常使用権者を表示したものと認められる「株式会社NTTデータ」が記載されている。

乙第3号証は、2008年2月5日付けの、通常使用権者から三菱地所リアルエステートサービス株式会社宛の「売りたいページ、事業用・投資用ランディングページ修正案のご確認」と題する提案書であり、その2及び3枚目には、乙第1号証のチラシ裏面の「三菱地所リアルエステートサービス」の事例紹介の項における2枚のウェブサイト画面と実質上同じものが掲載されている。

乙第4号証は、三菱地所リアルエステートサービス株式会社の3枚のウェブサイトであり、これらは、乙第1号証のチラシ裏面の「三菱地所リアルエステートサービスの事例」の項におけるウェブサイト画面と実質上同じものが掲載されている。

(2)以上の認定事実によれば、遅くとも平成20年8月頃、通常使用権者により作成されたチラシ(乙第1号証)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていることが認められる。

また、当該チラシによれば、提供される役務は、「広告代理サービス」、同サービスを構成する「コンサルティングサービス」、また、その「サポート体制」中の「WEBサイト構築・運用」、「WEBサイト改修」などの記載からすれば、請求に係る役務「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」を含むものと認められる。

そうとすると、通常使用権者が、本件審判の請求の登録(平成21年5月20日)前3年以内に、チラシにおいて、その提供に係る役務「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示し、広告をしたことが認められる。

また、三菱地所リアルエステートサービス株式会社の事例が掲載されている上記チラシの作成に先立つ、2008年2月5日に、通常使用権者が、三菱地所リアルエステートサービス株式会社に対し、請求に係る役務を提供するにあたって、提案書を作成し、同社は、この提案書に基づいて、実際に、不動産に関する広告用ホームページを使用していることが認められるところからすれば、通常使用権者は、請求に係る役務を提供していたものと推認することができる。

そして、通常使用権者の上記行為は、「商品若しくは役務に関する広告」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。

そうしてみると、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定役務について使用をしていたというべきである。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、「乙第1号証の表面の左肩に記載された「NTTデータ」の表示は、役務の名称ではなく、単に、役務を提供する主体を示すものに過ぎないから、商標的使用態様において使用されているものではない」旨主張する。

しかしながら、請求人が主張するように、乙第1号証の表面の左肩に記載された「NTTデータ」の表示が役務を提供する主体を示すものであるなら、それ故に、提供する役務の出所識別標識としての機能を十分に果たすものというべきであって、当該表示が、商標的使用態様において使用されているものではないとする、合理的理由は見当たらない。

そうとすると、かかる請求人の主張は採用することができない。

(2)請求人は、「被請求人が本件商標権についての別件審判取消2009−300343号事件において、本件の答弁書と反する主張をしている。別件審判における被請求人の主張によれば、乙第1号証に記載の『NTTデータ』なる記載は商標的使用態様による使用ではなく、また、本件審判における被請求人の主張は、別件審判における被請求人の上記主張によって、被請求人自身が作り出した外観と相反するという点においても認められない(民法上の外観法理)から、被請求人が提出した証拠は、本件商標の使用を示すものではない」旨主張する。

しかしながら、別件審判件と本件とは、本件商標権が取消請求の対象とされている点において共通しているとしても、本件が商標法第50条第1項であるのに対し、別件審判が同法53条であって、その取消の要件が異なるものであること、請求人が異なるので当事者も異なっていることからすれば、全く事案を異にする案件というべきものであり、また民法上の外観法理を適用しなければならない事情も全く認められない。

そうとすると、かかる被請求人の主張も採用できない。

4 結論

以上のとおり、被請求人は、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定役務中、第42類「インターネットによる広告用ホームページの設計・作成又は保守」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。

したがって、本件商標の指定役務中、取消請求に係る役務についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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