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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900093(T2011−900093/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5374453号商標の指定商品中、第25類「被服」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5374453号商標(以下「本件商標」という。)は、「吉利富」の文字と「GERBE SOX」の文字を二段に書してなり、平成21年12月4日に登録出願され、第24類「織物」及び第25類「被服,履物」を指定商品として、平成22年11月4日に登録査定、同年12月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1434526号商標(以下「引用商標」という。)は、「GERBE」の文字を書してなり、昭和51年7月26日に登録出願、第17類(平成3年政令第299号による改正前の分類)「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和55年9月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

本件商標は、以下のとおり、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第7号及び同第19号、同第8号に該当するから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、引用商標と類似する商標であり、また、本件商標は、第25類「被服」を指定商品としており、他方、引用商標も、旧第17類「被服」を指定商品とするものであり、両者は、指定商品においても同一である。さらに、引用商標は、本件商標より、先願・先登録されたものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

「GERBE」は、1904年に設立され、靴下、メリヤス類の製造販売を業とするフランス企業であり、2003年から申立人の傘下に入っている。「GERBE」の商標(引用商標)は、商品「女性用靴下」のブランドとして、本件商標の登録出願日前より、世界的に周知・著名な商標となっている。

また、本件商標は、構成中の「SOX」は、「靴下」を意味する英語であり、商品の普通名称であるから、本件商標は、「GERBE ソックス」と称呼・観念されるものである。

加えて、本件商標は、その指定商品を「靴下」を含む「被服」及び「靴下」と関連性が深い、その素材となる「織物」、「履物」をも指定商品にしている。

よって、本件商標が、その指定商品「靴下」に使用されれば、その商品は申立人が提供するもの、又は、それと経済的又は組織的に何らかの関係がある(例えば、ライセンシー)の提供に係るものと、その商品の出所について、誤認・混同を生じさせるおそれがあることは明らかである。

また、「靴下」以外の指定商品、すなわち、「織物」、「履物」、「靴下以外の被服」も「靴下」と同じ、いわゆる「アパレル」商品と呼ばれるものであり、しばしば、同一の店舗で販売されている。よって、これらの指定商品に本件商標が使用された場合には、その商品は、申立人のライセンス商品であるかのごとく、その出所について、誤認・混同を生じさせるおそれがある。

以上のとおり、本件商標は、他人の周知・著名商標と同一又は類似する商標であって、その商品と同一又は類似する商品に使用されるものである。また、他人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれのある商標であり、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

上記のとおり、引用商標は、フランスの著名商標の一つである。そして、その商品である「女性用靴下」等は世界規模で販売されている。

このような引用商標を含む本件商標を、その同一商品である「靴下」を含む「被服」及びそれと同一店舗で販売される可能性のある「織物」、「履物」、「靴下以外の被服」に申立人の承諾なく商標登録しようとする行為は、引用商標の信用を不当にフリーライドしようとするものであることは明らかである。よって、係る本件商標を登録するのは、商品の国際的秩序を乱し、国際信義、ひいては公序良俗に反するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号にも該当する。

(4)商標法第4条第1項第8号について

「GERBE」は、申立人の屋号として使用されており(甲9)、かつ、これは、著名な略称ともなっている。

よって、本件商標は、他人のこの著名な略称を含むものであり、申立人の何らの承諾を得ているものではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 本件商標に対する取消理由

当審において、商標権者に対して、平成23年8月31日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、前記1のとおり、「吉利富」の漢字と「GERBE SOX」の欧文字を二段に書してなるものであるが、別段にしていること及び字種の相違から、視覚的に分離して認識できるものであり、また、「吉利富」が特段の意味を有するものとして知られているものではないから、上段と下段の文字を観念上、一体とすべき理由はない。

そうとすると、本件商標は、下段の「GERBE SOX」の文字部分も自他商品の識別標識としての機能を有するものというべきであり、更に、該文字部分についてみてみると、構成中の「GERBE」の文字は、フランス語で「(刈り取った小麦などの)束」(クラウン仏和辞典 甲10)の意味合いを有する語であるものの、我が国において、格別の意味合いをもって知られているものではないものであり、「SOX」の文字は、「靴下(socks)」を意味する語(カレッジライトハウス英和辞典 甲8)であって、「靴下」を取り扱う業界において普通に使用されているものである。

そうとすれば、本件商標は、「GERBE」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有する部分といえるから、該文字部分より「ジェルブ」の称呼を生ずるものと認められる。

一方、引用商標は、「GERBE」の文字を書してるものであり、本件商標の「GERBE」の文字部分とそのつづりを同じにするものであるから、「ジェルブ」の称呼を生じ、格別の観念を生じないものと認められる。

そうとすると、本件商標を構成全体を見た場合には、本件商標と引用商標は、外観上区別できるものの、上記のとおり、本件商標中の自他商品の識別標識としての機能を有すると認められる「GERBE」の部分は、引用商標とそのつづり字を共通にするものであるから、本件商標と引用商標とは、該文字部分において、外観上近似した印象を与えるものであり、さらに、該文字部分より生ずる「ジェルブ」の称呼を共通にするものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、観念上比較することができないとしても、外観上近似し、「ジェルブ」の称呼を共通にするものであるから、互いに相紛れるおそれのある類似の商標と認められる。

(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について

本件商標の指定商品中、「被服」は、引用商標の指定商品中、「被服」と同一または類似するものである。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、第25類「被服」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見

本件商標について、前記4の取消理由を通知し、相当な期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は何ら意見を述べるところがない。

6 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、上記4で述べたとおり、その指定商品中、第25類「被服」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

そして、本件商標の指定商品中、上記商品以外の指定商品については、引用商標の指定商品とは同一又は類似する商品とはいえないから、同号に該当しない。

(2)その他の理由について

ア 引用商標の著名性について

申立人は、「GERBE」の商標(引用商標)は、申立人に係る女性用靴下のブランドとして、世界的に周知著名なものとなっていると主張し、甲第3号証ないし甲第7号証及び甲第9号証(以上枝番を含む。)を提出しているので、その周知、著名性について検討する。

申立人の傘下のGERBE社は、1904年に設立され、靴下等の商品を中心に製造販売しているフランス企業である。そして、我が国では、1997年に大祐商事株式会社(以下「大祐商事」という。)と独占販売契約を結び、当該商品が、我が国においても大祐商事の帝国ホテル内等の直営店やデパートで販売されていることが認められる。しかしながら、大祐商事の直営店は3店であって、取引している百貨店も、伊勢丹新宿店、西武渋谷店、阪急梅田店の3店にすぎず(なお、2011年3月22日にプリントアウトした大祐商事のウェブサイトによれば、西武渋谷店ではGERBEのストッキングは取り扱われていない。)、また、大祐商事は、GERBE社を含む多数の外国メーカーと販売契約を締結していることから、上記販売店における引用商標に係る商品は、他のメーカーの商品とともに扱われているものと推認され、その宣伝も取り扱う商品(メーカー)の一つのして、他のメーカーの商品とともに宣伝している(甲第5号証の陳述書に添付のパンフレットは、本件商標の登録査定後の伊勢丹新宿店におけるセール期間のパンフレットあるが、複数の商品が掲載されている。)ものと推認される。そして、我が国における、引用商標に係る商品の本件商標の登録査定時前の広告、宣伝等の証拠の提出はなく、売上額等も不明であるから、引用商標が、我が国において、需要者に広く認識されているものとはいうことができない。

また、甲第7号証によれば、2009年8月から2010年にかけて、引用商標に係る商品がフランス、米国等の雑誌、ネット記事に掲載されたことは認められるものの、本件商標の登録日以前のものは、8か国で30件(うち登録出願日以前のものは、9件)と多くはなく、しかもその内容も、モデルの着用する他のメーカー商品とともに紹介されているものもあることからすると、提出された証拠によっては、引用商標は、他の国においても、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

イ 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

前記アのとおり、引用商標は、我が国の需要者の間に広く認識されていたものではないから、他の要件について検討するまでもなく本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

また、引用商標は、我が国の需要者の間に広く認識されていたものではないから、本件商標が、その構成中に「GERBE」の文字を有してなるものであるとしても、これを被服以外の本件指定商品に使用した場合に、申立人(及びその傘下のGERBE社)若しくは、申立人らと組織的、経済的に何らかの関係を有する者の商品であるかのごとく商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとは認められない、

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

ウ 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

本件商標は、前記アのとおり、我が国及び他の国において、需要者に広く認識されていたものとはいうことができず、そして、本件商標を商標権者が使用することが引用商標の信用にフリーライドしようとするものであるとする証左はないから、「不正の目的をもって使用をするもの」とはいうことができない。

そうとすれば、本件商標について商標権者がその使用をしても、商品の国際的取引秩序を乱すものとはいえず、国際信義に反するものではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当しない。

エ 商標法第4条第1項第8号について、

申立人は、「GERBE」は、申立人の屋号として使用されており、かつ、著名な略称となっていると主張しているが、提出された証拠をみても、「GERBE」が商標法第4条第1項第8号にいう、他人の名称又はその著名な略称であるとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「被服」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。

また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものと認められるから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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