Trademark Appeal Case
釣り具「手感度」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900175(T2011−900175/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5389740号商標(以下「本件商標」という。)は、「手感度」の文字を標準文字で表してなり、平成22年10月27日に登録出願、第28類「釣り具」を指定商品として、同23年1月21日に登録査定、同年2月10日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立の理由(要旨)
本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。
第3 本件商標に対する取消理由(要旨)
1 登録異議申立人の提出に係る甲各号証において、以下の記載を確認することができる。
(1)「感度」の語の意味について(株式会社岩波書店発行「広辞苑(第六版)」甲第1号証)
「感度」の語は、「感じる度合い」を意味する語として記載されている。
(2)釣り具メーカー各社の商品カタログ及びホームページにおける「手感度」の使用について
ア 株式会社がまかつの2011年釣具総合カタログ(2011年1月印刷)(甲第2号証の1)
「船竿」の見出しの下、「手感度がさらに向上しています。」(第54頁)、「またダイレクトグリップ仕様により手感度向上効果でアタリを捉えます。」(第62頁)、「がまかつが独自に開発したエクストラセンサーをヒントに継番ごとの剛性差を最適値に設定することにより手感度が飛躍的に上昇しました。」(第73頁)との記載。
イ 株式会社がまかつのホームページ内における商品紹介(2011年1月21日印刷)(甲第2号証の2)
「ビジュアルセンサートップは『手感度の確認』として、視覚でも変化を捉えられるように開発しました。」との記載。
ウ 株式会社シマノのカタログ(甲第3号証の1及び2)
(ア)2011年釣具総合カタログ(2011年1月24日発行)(甲第3号証の1)には、「船竿」の見出しの下、以下の記載がある。
・「5号メイン/250M−S」の項には、「広範囲のテンヤ&カブラの両使いを想定した、目感度、手感度ともに優れている扱いやすいオールラウンダーモデルです。」(第187頁)
・「炎月 一つテンヤマダイ」の項には、「アタリを手で感じ取る“手感度”を重視したモデルとともに、個性ある3タイプのパーフェクトな布陣が、・・」(第187頁)
・「手感度に優れた圧倒的な先軽感が腕の振りと同調したクイックな小突きを可能にし、明確にアタリを伝達します。」(第202頁)
(イ)2010−2011年船新製品カタログ(2010年9月27日発行)(甲第3号証の2)
・「手でアタリを感じる[Versatile Type]/255M 240MH 255MH」の見出しの下、「・・手に伝わり感じるアタリを、穂先から手元までロスなくしっかり伝えてくれる“手感度”を重視したタイプ。」(第32頁)との記載。
エ グローブライド株式会社のホームページ(2011年1月21日印刷)(甲第4号証の3)
「ロッド/メタリア タチウオ」の見出しの下、「エサ取り名手タチウオの食い渋り時における微かなアタリも『目感度』『手感度』で明確に捉える事が可能。」との記載。
(3)平成22年11月1日発行の雑誌「つり情報」における「手感度」に関する記載について(甲第5号証)
「シーズン連載/カワハギテクニカルレポート/ガチハギ!」のタイトルの下、「第3回相模湾腰越港・多希志丸にて/繊細にして鋭敏。林良一のカワハギ攻略術」の項には、次のような記載がある(甲第5号証)。
ア 「林さんはどのようにアタリを察知しているのか?/手感度(グリップをにぎる手)−−>目感度(穂先を見る)」(第59頁)。
イ 「底狙いの釣り(オモリ着底、ゼロテンションから誘う)」の項には、「林さんがアタリを察知するときは、まずは手でアタリを感じ取ってから、目で穂先と道糸の動きを見ながらタイミングを見計らって聞き上げ動作に入る。」(同頁)。
(4)ブログにおける「手感度」の語の記載について
釣りに関する以下のブログ記事においても、「手感度」は、次のような記載がある(甲第6号証)。
ア 甲第6号証の1
・投稿日2010/12/01の記事には、「手感度なら役に立つだろうけど、目感度の場合は関係ないような気もする。他のロッドで目感度になるのが、メタルは手感度になるぐらい敏感なのか?」
イ 甲第6号証の2
・「2010.04.20/〈林〉マルイカは目感度重視で、カワハギは手感度重視!?」
ウ 甲第6号証の3
・「2010/08/27/〈宮〉2010カワハギロッド/カワハギロッドの調子を大きく分けると、『目感度系』と『手感度系』の2種類に分類されます。・・・《手感度系》:オモリを海底から離した釣り・・・◆基本的にカワハギロッドは『目感度系』&『手感度系』の2本持つことを僕はオススメします。」
エ 甲第6号証の4ないし16においても、「手感度」の語がロッドと関連して掲載されている。
2 また、職権による調査によれば、釣り具の製造・販売に係る企業のウェブサイトにおいて、以下の記載を確認することができる。
(1)「DAIWA:スーパーメタルトップ」のウェブサイトにおいて、「スーパーメタルトップ/感度」の項に、「釣りの中で、魚からのシグナルは非常に重要なポイントである。その中で『アタリ』は、手で捉えるアタリと、目で捉えるアタリの2種類が存在するが、スーパーメタルトップはこの二つのアタリを感知する『感度』を非常に高いレベルで備えている。・・・●2:振動伝達=手に伝わる感度/実釣では、この手に伝わる情報のみを頼りに釣りを行うこともあるほど重要な要素。このアタリを伝える伝達性は、穂先部の素材により大きく差が表れる。」との記載。
(http://all.daiwa21.com/fishing/function/smt/index.html)
(2)「point」のウェブサイトには、「【新商品】ひとつテンヤ『極鋭MC GAME』/2010年11月21日東京駒沢店」の項に、その商品説明として「穂先に極細スーパーメタルトップ搭載。極限の『感度』を追い求めたゲームロッドシリーズ。高感度極細スーパーメタルトップならではの『目感度』と『手感度』に加え、・・・テンヤゲーム専用設計ロッドゆえのメリット満載。」との記載。
(http://point−i.jp/index.php?id=1597&type=98&tx_ttnews%5Btt_news%5D=71017)
3 上記1及び2によれば、以下の事実が認められる。
まず、「手感度」の語は、「手」及び「感度」の有する語義からして、「手で感じる度合い」程の意味合いを容易に認識させるものである。
そして、釣り具を取り扱う業界では、本件商標の登録査定時前より、「ロッド(竿)」(以下「ロッド」という。)に関し、魚が餌等に食いついたときに感じる感覚、すなわち、「アタリ」をロッドから感じ取る度合いを「感度」と称し、その感度のうち、手でアタリを感じ取る度合いを示す語を「手感度」と称して広く一般的に使用されていること、また、ロッドの穂先にアタリが出やすいように、素材や機能に工夫を凝らしたロッドを、「手感度タイプ」、「手感度モデル」等、「手感度」を謳って販売し、普通に使用されていることが認められる。
さらに、釣り具を取り扱う業界のみならず、釣り愛好家の間においても、同様に、「手感度」の語が、上記したとおりの意味として認識されていたこと及びロッドの穂先にアタリが出やすいように、素材や機能に工夫を凝らしたロッドを、「手感度系」等と称して認識されていたことが認められる。
4 そうとすれば、「手感度」の文字からなる本件商標は、これをその指定商品中「ロッド」について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、「手でアタリを感じ取れるような素材や機能を有するロッド」程の意味合いを表したものと認識させるにとどまり、単に商品の品質、用途を表示したものというべきであり、なんら自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
また、本件商標をその指定商品中前記商品以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるというべきである。
第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由に対して、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
上記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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