Trademark Appeal Case
効能表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−21116(T2010−21116/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「当帰の力」の文字を標準文字で表してなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年8月10日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同22年4月19日受付け及び当審における同23年7月12日受付けの手続補正書により、最終的に、第3類「当帰の成分を配合した歯磨き」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『当帰の力』の文字を標準文字で書してなるところ、このうち、『当帰』は『セリ科の多年草。』を意味する語であって、漢方生薬の一つとして知られているものであり、『力』は『ききめ。効能。』を意味するものである。また、近時、本願指定商品を取り扱う業界において、各種漢方生薬を配合した商品が販売されている実情があり、これら商品の中には、配合した生薬の名称の後ろに『の力』『パワー』等の語句を付して、その生薬の効能を利用した商品であることを表現し、商品の宣伝・広告に使用する例が見受けられる。これらの点を考慮すると、指定商品との関係から、本願商標は全体として『当帰の効能』程の意味合いを直観させるものであるから、本願商標をその指定商品に使用したときには、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知(要旨)
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
当該証拠調べにより、本願指定商品との関係において、「当帰(トウキ)の成分を配合した商品」が、市場において多数販売されている事実が認められ、また、本願指定商品との関係において、「○○の力」「○○パワー」等、「生薬の効果をうたった商品」が、少なからず流通している事実が認められる。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者が、「当帰(トウキ)が持つ血行促進や保湿等の効果を有する商品である」という商品の品質、効果、効能を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、平成23年7月12日受付けの意見書において、以下のように意見を述べている。
(1)「トウキ」「当帰」の文字が用いられた各種情報が提示されているが、単に、各商品に「トウキエキス」「当帰エキス」が原材料のひとつとして含まれていることを示しているものであって、「当帰の力」なる一連の表示が、本願の指定商品の取引界において、商品の品質、効果、効能の表示として取引上普通に使用され、知られているということを示しているものではなく、よって、これらの使用事実が、一連に書された本願商標「当帰の力」の識別力を否定する根拠とはなりえないものであり、また本願商標が、独占不適応な表示であるとの根拠にもならない。
(2)「当帰」は「セリ科の多年草。」を意味する語であって、漢方生薬の一つであることは認めるが、漢方生薬として広く知られている「ウコン」「芍薬」「クマザサ」「ドクダミ」等と比べ、わが国において一般的な認知度が高いとは言い難いものである。よって、「の力」の語と結合した本願商標は、充分に識別標識として機能しうるものと考える。
また、「当帰」が歯磨きの成分のひとつとして知られているとしても、一連に書された本願商標「当帰の力」の識別力は否定されるものではなく、「力」の語は、多様な意味を有するものであり、「効果、効能」という意味は、多数ある意味の一つに過ぎない。
本願商標「当帰の力」は、全体として「当帰の実力」程度の漠然としたイメージを想起させるにとどまるものであり、商品の品質、原材料、効果、効能等を直接的・具体的に表しているものではないとみるのが妥当である。
(3)請求人は、本願商標をすでに本願指定商品に使用しており、また、本願商標を付した商品について新聞広告を行う等、本願商標は、現に自他商品識別機能を有する商標として需要者間に認識されているものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標「当帰の力」は、その構成中、「当帰」の文字が「セリ科の多年草。乾した根は漢方生薬の当帰(和当帰)として鎮痛・通経薬。」等の意味を、「力」の文字が「しるし。ききめ。おかげ。効能。」等(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑 第六版)の意味を、それぞれ有している語である。
また、「当帰(トウキ)」は、本願指定商品の需要者である一般消費者を需要者とする商品の原材料として、一般的に使用されている実情が、前記3の証拠調べ通知に示した事実によっても認められるところである。
さらに、本願指定商品の需要者である一般消費者を需要者とする商品において、生薬による効果があることを「○○(生薬名)の力(チカラ)」「○○(生薬名)パワー」というように表示、表現することが普通に行われている実情についても、前記3の証拠調べ通知に示した事実によって認められるところである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「当帰の効能を有する商品」であることを表示したものであると理解、認識するにとどまるというのが相当であり、本願商標は、商品の品質、原材料、効能を表示するにすぎないものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、「請求人は、本願商標をすでに本願指定商品に使用しており、また、本願商標を付した商品について新聞広告を行う等、本願商標は、現に自他商品識別機能を有する商標として需要者間に認識されているものである。」旨述べ、その根拠となる証拠として、当審において資料3及び4を提出している。
ところで、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のものを含まないと解すべきである。
そこで、使用に係る商標についてみるに、提出された証拠の中には、「SUNSTAR」や矩形内に書かれた「生薬」のように、当該文字以外の文字も併せて使用されているものであり、本願商標と同一のものということはできないものであるから、「当帰の力」の文字自体が単独で自他商品の識別標識として使用されているとは認め難い。
さらに、意見書中に記載された出荷件数、売上高等についての客観的裏付けがなく、使用の状況を示すものとしては不十分であるといわざるを得ない。
そうすると、その使用に係る商標は出願に係る商標とは同一のものではなく、本願商標が使用された結果、審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということもできない。
(3)請求人のその他の主張について
請求人は、過去の登録例を挙示して、本願商標もこれと同様に登録されて然るべきものである旨主張するが、その登録例は、商標の具体的構成や指定商品又は指定役務において本願商標とは事案を異にするものであり、しかも、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、その登録例に拘束されるべき理由はない。
したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでもないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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