結論テキスト
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2011−15686(T2011−15686/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年2月25日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同年9月13日付け手続補正書により、第21類「食器類,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー及びナプキンリング,盆,ようじ入れ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,お守り,破魔矢,板製のお札,紙製のお札,おみくじ,風鈴,化粧用具」と補正されたものである。
原査定は、「本願商標は、天満宮等で販売されている『鷽のお守り』の形状の一形態を表したものと容易に認識される立体的形状と、その上に表された鷽の顔や足等の模様よりなるものであるから、これをその指定商品中、例えば、『鷽のお守り』に使用しても、単に商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、その指定商品中の前記商品との関係においては、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
以上を踏まえて本願商標について検討する。
(2)本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、これは、太宰府天満宮の「鷽替え(うそかえ)」の神事に用いられる木製の鷽(木うそ)の形状をした人形であると認められるものである。
ところで、太宰府天満宮は、九州の福岡県太宰府市にある神社で、菅原道真(天神様)を祀る全国の天満宮の総本社とされており、「学問・至誠・厄除けの神様」として崇敬を集め、日本全国から毎年数百万人の参詣者が訪れるところであって、九州を代表する観光名所として知られているのは周知の事実であるといえる。
そして、「鷽替え(うそかえ)」とは、「広辞苑第六版 DVD−ROM版」(株式会社岩波書店)によれば、「太宰府・大阪・東京亀戸などの天満宮で、参詣人が木製の鷽を互いに交換し、神主から別のを受ける神事。金製の鷽を換え当てた者は好運を得るとされる。太宰府は正月7日夜の酉の刻に行う。」として知られるものである。
また、太宰府天満宮における木製の鷽は、同辞書によれば、別掲(2)のとおり、上部に翼を模したと思しき大きなカール状の部分を有する中央部分に切り込みがされた円柱部分からなり、その円柱上部には鳥の顔を模したと思しき彩色が施され、さらに、中央部分の切れ込みの下方には、鳥の足を模したと思しき彩色が施されてなるものであるところ、これらの特徴を有する木製の鷽の形状は、九州を代表する同神社の神事に用いられる「木うそ」として広く知られているものというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その指定商品に採用し得る一形状を表したものであるとしても、上記の太宰府天満宮の木製の鷽の特徴を模した形状であるから、一見して太宰府天満宮にかかる鷽の人形であることを理解、認識するものというべきであり、さらに、これらの特徴が本願の指定商品の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいは指定商品の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものとはいいがたく、むしろ当該形状をもって、太宰府天満宮にかかる鷽の人形として、同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができる程度に至っているものとみるのが相当である。
そして、請求人は、太宰府天満宮本人である。
そうとすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の形状をした本願の指定商品をみた場合、これが太宰府天満宮の鷽替えの神事に用いられる木製の鷽の人形にかかる商品であって、請求人の業務にかかる商品あるいは請求人と何らかの関係のあるものであると理解、認識すると判断するのが相当であり、本願商標は、その特徴的な形状をもって自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきである。
また、本願商標の形状が、本願の指定商品の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるものとも認められないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当ではなく、取り消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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