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Trademark Appeal Case

地名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−650130(T2009−650130/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第14類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2007年5月3日にEuropean Communityにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2007年(平成19年)11月5日に国際商標登録出願されたものである。

その後、指定商品については、原審における平成21年1月5日付けの手続補正書により、第14類「Tiepins of precious metal;cufflinks of precious metal;jewellery boxes of precious metal;brooches of precious metal;rings of precious metal;ornaments of precious metal;anklets of precious metal;jewellery,jewellery cases;precious stones;horological and chronometric instruments;watches and clocks;watch straps;chains and bands for watches.」と補正された。

第2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、黒色の長方形内に白抜きで『RICHMOND』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、『RICHMOND』は英国の地名を認識させるものであり、指定商品との関係から商品の産地・販売地を表示するにすぎないものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。

第3 当審における平成22年11月9日付け審尋

本願商標は、黒色の長方形内に白抜きで「RICHMOND」の文字を書してなるところ、「RICHMOND」及びその表音である「リッチモンド」の文字は、以下の辞書等及びインターネット情報によれば、「アメリカ合衆国バージニア州の州都。」を意味する語として知られているものである。

そうとすると、「RICHMOND」の文字は、わが国においてよく知られている外国の地名であって、これをその指定商品に使用しても、商品の産地又は販売地を表示したものとして理解、認識されるものというべきであるから、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

1 辞書等の記載について

(1)「広辞苑 第六版」(岩波書店)によれば、「リッチモンド【Richmond】」の項に、「アメリカ合衆国ヴァージニア州の州都。南北戦争の際には南部連合の首都。」との記載がある。

(2)「大辞泉」(小学館、第1版<増補・新装版>第2刷、1998年)によれば、「リッチモンド【Richmond】」の項に、「米国バージニア州の州都、南北戦争中は南部側の首都となった。」との記載がある。

(3)「大辞林」(三省堂、第3版、2006年)によれば、「リッチモンド【Richmond】」の項に、「アメリカ合衆国、バージニア州の州都。南北戦争では南部アメリカ連邦の首都。」との記載がある。

(4)「コンサイスカタカナ語辞典」(三省堂、第3版、2000年)によれば、「リッチモンド[Richmond]」の項に、「米国バージニア州の州都、南北戦争の際、南部連邦の首都となった。」との記載がある。

(5)「世界大百科事典29」(平凡社、1958年)によれば、「リッチモンド Richmond」の項に、「アメリカ合衆国東部,ヴァージニア州のほぼ中央にある州都。ジェームズ川の航路終点に当たる開港と6鉄道線とによって交通の中心地となり,連邦準備銀行の一つが置かれ,商業・金融勢力圏はノース・カロライナ州にもおよぶ。」との記載がある。

(6)「コンサイス外国地名事典」(三省堂、第3版、1998年)によれば、「リッチモンド1 Richmond」の項に、「4 アメリカ南部,バージニア

*

州の州都,同州最大の都市。空路・鉄道・バスなどの交通路の結節点をなし,〜海洋航路のターミナル。レーヨン・セロファン・製紙・製材・食品・アルミニウム・印刷などの工業が発達。商業が活発。南北戦争では南部連合の首都となった。」等の記載がある。

(7)「小学館 ランダムハウス英和大辞典」(小学館、第2刷第2版、1994年)によれば、「Richmond」の項に、「リッチモンド」とあり、「2 米国Virginia州東部,James川に臨む港市で州都;南北戦争時の南部連合の首都(1861−65).」等の記載がある。

2 インターネットのホームページにおける記載について

(1)「株式会社アルク」のウエブページにおいて、「英辞郎 on the WEB」における「RICHMOND」の文字検索の結果、「Richmond」の項に、「【地名】リッチモンド◆米国バージニア州の州都」との記載がある(http://eow.alc.co.jp/RICHMOND/UTF−8/?ref=sa)

(2)「ウィキペディア」のウエブページにおいて、「リッチモンド」の項に、「市町村」の見出しのもと、「リッチモンド(バージニア州)‐バージニア州中央部に位置する。同州の州都、かつてのアメリカ南部連合の首都。」とあり(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89)、そのリンク先である「リッチモンド(バージニア州)」の項には、「アメリカ合衆国東海岸、バージニア州の中心部に位置する都市で、州都である。歴史の古い都市として知られ、1779年にウィリアムズバーグ市に代わって首都が置かれた歴史を持つ。アメリカ独立後は州都となり、今日に至る。19世紀前半はタバコの集散地として栄え、南北戦争時代にはアメリカ南部連合の首都が置かれ〜。」との記載がある。

また、姉妹都市として、「さいたま市(日本)」が挙げられている(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89_(%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E5%B7%9E))。

(3)「さいたま市」のウエブページにおいて、「海外の姉妹友好都市」の項に「<アメリカ合衆国・リッチモンド市>」とあり、「リッチモンド市は、バージニア州の州都で人ロは約20万人です。リッチモンド市との姉妹都市交流は、少年野球チームの相互派遣を始めとして、学生間の交流を中心に行われています。」との記載がある(http://www.city.saitama.jp/www/contents/1264569835780/index.html)。

(4)「Yahoo!百科事典」のウエブページにおいて、「リッチモンド」の項に、「1.リッチモンド(アメリカ合衆国、バージニア州)」とあり(http://100.search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89)、そのリンク先である「リッチモンド(りっちもんど)」の項には、「Richmond アメリカ合衆国、バージニア州東部の都市で、同州の州都。同州中央部の卸・小売業、金融、流通の中心地である。伝統的なたばこ製造と化学工業が重要な工業で、そのほかにも繊維、衣服、食品加工、金属、製紙・紙製品、印刷・出版業が盛んである。」との記載がある(http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%80%81%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E5%B7%9E%EF%BC%89/)。

第4 審尋に対する請求人の回答

請求人は、前記3の審尋に対して、所定の期間内に何ら応答するところがない。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号の該当性について

本願商標は、黒色の長方形内に白抜きで「RICHMOND」の文字を書してなるところ、「RICHMOND」及びその表音である「リッチモンド」は、「アメリカ合衆国バージニア州の州都。」を意味する語として知られているものである。

そうとすると、「RICHMOND」の文字は、わが国においてよく知られている外国の地名であって、これをその指定商品に使用した場合には、商品の産地又は販売地を表示したものとして理解、認識されるというべきであるから、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、「本願以外の『RICHMOND』の語を含む登録商標(甲第1号証ないし甲第7号証)を付した本願指定商品の一である貴金属製の身飾品を含む商品を、1987年以来、日本を含む世界各国において展開している。そして、本願商標及び当該登録商標を付した商品は、1年のうち2回の新作発表機会毎にカタログに掲載され、また、雑誌にも紹介されており、そのたびに需要者・取引者が商標『RICHMOND』を目にしているから、本願指定商品分野において、『RICHMOND』の語は商品の産地・販売地としてではなく、ブランド名・商標名として認識されている。」旨主張している。

しかしながら、上記請求人の登録商標は、全て「RICHMOND」以外の文字等が含まれているものであって、それぞれの構成態様においても、「RICHMOND」の語が抽出され、該語が単独で自他商品識別機能を有するものとはいい難い。

また、甲第19号証ないし甲第29号証は、2001年から2002年の秋冬向けから2008年から2009年の秋冬向けまでの商品カタログであるが、そのほとんどが前記登録商標に関するものであって、本願商標を付した商品カタログは、提出物件の目録の記載からしても、甲第27号証及び甲第28号証のわずか2つにすぎず、さらに、甲第27号証においては、本願商標の使用が確認できない。

そして、甲第31号証は雑誌における紹介記事であるが、ファッションデザイナーの名である「JOHN RICHMOND」、「John Richmond」及び「ジョン・リッチモンド」並びに被服のブランド名と認識され得る「John Richmond」、「Richmond X」及び「リッチモンドX」の表示は確認できるものの、これらのデザイナー名及び被服のブランド名から、殊更に「RICHMOND」の語のみが抽出されるものではない。

そうとすれば、該「RICHMOND」の語は、需要者、取引者に自他商品の識別標識として理解、認識されるとはいえない。

したがって、請求人の主張は認められない。

(2)さらに、請求人は、「本願商標及び上記登録商標を付した商品が、デザイナーである『JOHN RICHMOND』のブランドとして取り扱われ、日本国内企業へ納品されたり、インターネット上で通信販売されたりした結果、本願商標は広く需要者及び取引者に認識されているものである。」旨主張している。

しかしながら、前記のとおり、本願商標の使用が確認できる商品カタログは甲第28号証のみであり、また、提出に係る商品注文確認書及び請求書(甲第32号証ないし甲第39号証)からは、「John Richmond Accesories」の取引が行われたことは確認できるものの、これらの証拠のみからでは、本願商標が広く需要者、取引者に認識されていることを認めることはできない。

したがって、請求人の主張は認められない。

以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(3)してみれば、本願指定商品分野において、「RICHMOND」の語が商品の産地、販売地ではなく、自他商品識別力のある標識として需要者、取引者に認識されているものとはいい難い。

また、提出にかかる証拠からでは、本願商標が、「JOHN RICHMOND」のブランドを表すものとして一般に取り扱われているとはいえないものであり、さらには、本願商標が広く需要者、取引者に認識されるに至っているとまではいえないものである。

その他、請求人の主張及び提出に係る証拠を総合してみても、本願商標が、請求人の業務に係る商品を表示する商標として需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができない。

したがって、本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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